Annexに戻る 
斜滑考T 斜滑考V 斜滑考W 斜滑考X  斜滑考Y 斜滑考Z 斜滑考[ 斜滑考\ 斜滑考] 斜滑考]T 斜滑考]U
斜滑考]V

斜滑考]W
斜滑考U

2001/08/24 報酬 あるスポーツ団体のこと
2001/08/17 ハゲについて 唐突ですがハゲについて思うところがありましたので・・・・・(^^;
2001/08/02 エミールー ハリス アメリカンフォーク/カントリー界では最高の歌姫といわれているそうです
2001/05/12 タバコ屋 タバコ屋とスキー/MCの関係
2001/04/10 古いスキー 古いスキーを片付けました
2001/04/06 カービングシンドローム2 症状 
2001/03/24 塔Xキー♪ スキー♪という歌が暗示するもの?
2001/03/09 ’01技術選 久しぶりに見た技術選の感想
2001/03/07 研修会テーマ 毎年のことながらS○Jの「指導員研修会テーマ」ってどういう意味があるのかな〜
2001/02/26 ノルディカ9.1 ノルディカ9.1は、カービングスキーに対する私のアレルギーを治療できるか?
2001/02/23 カービング シンドローム カービングSyndrome 文字通り
2001/02/21 SKIを操るということ 乗っているのか乗せられているのか、又は操っているのかいないのか
2001/02/18 カービングスキー/バイクでいえば カービングスキーはバイクでいえばレーサーレプリカに似ているかも知れないというようなこと
2001/01/31 カービングスキーについてその4 ズレの少ないスキーのメリット・・・文章表現ではとても難しい。でも好意的に読んで下さい
2000/12/28 動画 私の深雪のシーンをリンク集にもあるTOKのHPで見つけました。素材の調達はスキージャーナル刊行の<上級スキーテクニック>からのようです。
2000/12/30 ストーブ アルピーヌのストーブについてこだわってみる

報酬
2001/08/24
過日産経新聞に元IO○会長が名誉会長に就任するにあたり、「年間4500万円の報酬と”ベンツ”を要求した」ことが報道されていました。
IO○委員は無報酬(真に受ける人は少ないでしょう)との方向だそうで、そういった改革の流れの中で”夏弁当”が年間4500万円の報酬を要求することが妥当かどうかは私にはわかりませんが、「”ベンツ”を要求した」という部分には笑えました。
そんなレベルの人間が牛耳っている大イベントの出場権を得るために、我々の想像を絶する血の滲むような練習に明け暮れるアスリート達と、招致する人々はどう感じているのかつい気になってしまいました。

ちなみに”夏の弁当”は腐りやすいと思われますので、長時間放置されたそれには蝿もたかってウジが湧いているかもしれませんね。

ハゲについて
2001/08/17

私はハゲている。自覚もあるし他人からも云われるので鉢巻状に髪の毛は存在しているにもかかわらず、客観的には「社会通念上のハゲ」に分類される。
散髪時は平均4mm程度に揃えるが、僅かに残った髪も殆ど白髪なので完全にハゲたボーズ(純粋に頭部の状態を表し、他意は無い)に見える。しかしその気になれば横に残った部分を伸ばして所謂バーコード状態にするのは可能という程度のボリュームはある。

「オレはもしかしたら禿るかもしれない」という兆候は高校生の頃にあったが、まだそれ程深刻ではなかった為につい手入れを怠ってしまった。
実は父親もハゲており、彼はそれをとても気にしていて良いと言われるあらゆる育毛方法や育毛剤を導入し、それこそ滑稽な位努力していたが、結局報われない虚しい努力だったと気が付くまで60年以上の歳月と労力と資金を消費したのだった。

そういった父を間近に見ていた私は、社会通念上の「ハゲに分類されない状態」が仮に達成維持されたとしても、それらの投資に見合う価値とは一体何なのだろうと考えた時、私は答えを見出すことが出来ず、几帳面な父と違いずぼらな私は、早い時点で「禿るやつはどんなことをしても禿るし、禿ないヤツは何もしなくても禿ない」と悟ったのだ。勿論例外はあるにせよ。

しかしいざ20代後半から現実に髪が減り始めると、老化が始ったという観念からではなく、もっと別な次元から不安な気持ちになった。覚悟していたとはいえ「ルックスの悪化」に伴なう精神的な苦痛は疑う余地はなかった。しかしこの苦痛をどうやって乗り越えるのかと考えた時に、大雑把に言って2通りあると思った。
一つは父と同じ、あらゆる手法薬剤を投入してその進行を阻み、あわよくば増大の可能性を探り、それが失敗に終わりそうだと感じた時からは平行してカツラの装着乃至はバーコードへの移行を考える。しかしこの決断は時期を逸すると周囲に違和感を与えるので難しい判断をせまられるだろう。
もう一つは現実を直視し、ハゲの進行を阻もうとせず、ハゲなりの最良の頭部と精神環境を作り前向きな姿勢を模索する。と言うものだった。私は多少の葛藤の末後者を選んだ。

そうと決めてはみたものの、これは全く個人的な開き直りであることは言うまでもない。何故ならハゲを差別する行為は世の中に厳然として存在しているのだから。
良い例が、何か不祥事を起こした時に頭をまるめる、あるいはまるめさせるということが行われ、これは「ルックスの低下」による精神的ダメージを与えようとするものだと思われるが、これほどハゲを蔑んだ行為は無い。日本人の潜在意識の中に刷り込まれている「ハゲはみっともないもの」という共通認識の上に成り立つ極めて悪質で軽蔑すべき行為と言わざるをえない。
一度剃ったら二度と生えないのであれば認めもしよう、しかし剃った髪の毛は必ず再生するという保証の上に成り立つ行為など一体何の役に立つと言うのか?しかし愚かではあっても現実としては行われている訳で、再生不可能なハゲにとってこうした欺瞞に満ちた行為は断じて許すことは出来ないのだ。

ハゲでない人間は機能的(低い天井や梁で頭部を強打しにくい等々)にはあきらかに優位だし、ルックス的にも自由度(髪の毛を剃る、のばす、染める、髪型等)の点でもハゲより優位というのは残念だが認めざるを得ない。
開き直ったハゲ(髪に未練を残した人は除く)が唯一優位に立てるとすれば、入浴時等に頭部メンテナンスにかける時間やケミカル類の少なさといったところか?しかしこれも健毛者?にボーズにされたら一髪で並ばれる(・・;  シクシク。

エミールー ハリス
2001/08/02

エミールー ハリス(Emmylou Harris)のCDを買ってきました。これはホンダシビックのTVコマーシャルに使われている歌(Together Again)に惹かれて購入したものです。カテゴリーで云えばカントリーで、2枚組のCD全44曲のどれもが素敵な曲です。

このアルバムを聴いていると今までカントリーミュージックとは無縁だったにも関わらず、何故かとても懐かしく心が穏やかになって行くような気分にさせられました。古き良き時代というのは大袈裟ですが、まだ世の中が未来の希望に満ちていた頃の空気に触れたような何とも不思議な感じです。

ここ数年のあまり思わしくない世の中の雰囲気なのか、私自身の加齢のせいなのか解りませんが、どうも心が渇き隙間が広がったような空虚な気分に支配されることがあります。そんな時にエミールー ハリスの歌声は私の心に出来た隙間に染み込み、希望で満たしてくれるような感じがしました。

ちなみにCDの番号は WPCR−10961/2 です

2001/05/09
タバコ屋

行きつけのタバコ屋のオヤジがタバコを止めた。理由は体に悪いからだって。そこの喫煙者は従業員一人だけになりました。
もしその従業員も止めたら、もうそこではタバコを買わないでしょう。

昨年から八方尾根はスノーボード(以下SB)を含め、すべてのスノーアスリートにゲレンデを開放しました。
私はこんなに人気のあるSBって一体どんなに楽しいスポーツなのか興味があったのと、受け入れ側としてスキーヤーに対してそうであったように、SBをより快適に楽しめるゲレンデのありかたを体感したいとの思いから早速始めました。

スキーは私のライフワークでもあり、その醍醐味を多くの人に経験して欲しいのは当然ですが、古くからのスキーヤーにとって、ある面で敵対関係にある(最近はそれほどでもありませんが)SBもなかなか楽しいスポーツだと思いました。
スキーに較べて驚異的に速い上達速度もさることながら、体重が否応無く一本のエッジに乗ることによって、脚部にそれほどの負担をかけずにカービングを楽しむことができます。

八方尾根の宿やリフト従業員の多くがSBを楽しんでいますし、かなり高度な技術を習得しています。にもかかわらず、経営者側といったら年齢的なこともあるのでしょうが若者さえSBをしない者が多いのです。
エキスパートスキーヤーとしてのプライドか、リスクが大きいからなのか定かではありませんが、少なくとも遊び場を提供する側の態度として自分が楽しまずしてどうやってその楽しさを伝えようというのか不可解です。

宿屋家業でありながら、「旅行はしない、してもキャンプ!」なんて信じられないことを言う人もいますし、MCメーカーの開発技術者の中にはMCを所有していないばかりか、「危険だから乗らない」というMC好きには唖然とする話を聞くにつけ、自分達が開発したMCは自分達の「乗りたい買いたい」MCであって欲しいものです。(ちなみにRC30は多くの開発技術者が購入し、今でも楽しんでいます)

スキーヤーやボーダーが減った、MCが売れない。というのは、道具や環境を提供する側が心から楽しんでいないからなのではないだろうか?。小賢しい経済の理屈を並べる前に、まず自分が楽しむことが先決だと勝手に解釈して、暇さえあれば日々スキーやMCにウツツをぬかしている今日この頃(^^;。

・・・・ということで「タバコ屋はタバコを吸え」というお粗末でした。

2001/04/10
古いスキー

今日展示しておいたスキーを片付けました。
YAMHA SKI TEAM に所属して以来、ヤマハがスキーの生産を打ち切るまでの25年間に試用したスキーです。

毎シーズン、使った中で調子の良かったスキーを記念にとっておき、年代順に並べておいたのですが、殆どのお客様に貸しスキーと間違われたのと、「邪魔だしみっともない」との家族の意見に負け、倉庫に仕舞いました。

一台一台には楽しい想い出やほろ苦い想い出があります。でも一旦しまいこんだこれらのスキーが、再び雪上を滑走することは無いだろうし、今度日の目を見るのは粗大ゴミの収集日かと思うと、なんだか青春を片付けているみたいで、センチメンタルな気分になってしまいました(;;)





2001/04/01
カービングSyndrome-2
症状:家主の独断と偏見による

   1) 滑った後、自の分のシュプールをついチェックしてしまう
   2) ずれていると感じると気分が悪くなる
   3) 上手くカーブ出来ないと、道具に問題があると思ってしまう
   4) プレートを入れたらマシになるのではないかと考える時がある
   5) ニューモデルの試乗会にはつい参加してしまう
   6) 来シーズンはもっと短い板にしようと思う
   7) 長い板を使っている人を見ると、遅れていると思う
   8) 他人の板が気になる
   9) 得体の知れない仕掛けがついているスキーやビンディングが良いと思ってしまう
  10) 最近ロングコースを休まず、一気に滑ることが少なくなった

心当たりが6っつ以上あれば要注意(^−^)
スキーを満喫するという点において、この病は厄介な問題を抱えています。
「スキーの乗り方」「スキーイングのパートにすぎない」ことに気付けば、長短問わず、例えボロボロの貸しスキーでも楽しむことは出来る訳で、当然昨今のカービンングスキーもその一部に含まれていますが、決して未熟さをカバーしてくれる物では無いと考えますです。ハイ!

エキセントリックな乗り味は怪しい匂いがする?。

2001/03/24
塔Xキー♪ 
時雨音羽 作詞 平井康三郎 作曲

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

1)山は銀(しろがね) 朝日を浴びて 滑るスキーの 風切る速さ
  飛ぶは小雪か 舞い立つ霧か おおおこの身も 駆けるよ駆ける

2)真一文字に 身を躍らせて さーっと飛び越す 飛鳥(ひちょう)の翼
  グーンと迫るは ふもとか谷か おおお楽しや 手練の飛躍

3)風をつんざき 左へ右へ 跳べば踊れば 流れる斜面
  空は碧(みどり)よ 大地は白よ おおおあの丘 我らを招く

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

このスキー♪という歌は今から40年以上も前、私が物心ついた頃すでに耳にしていた歌です。
当時のスキー板は殆どが単板といって、ブナ等の板から削り出してスキーの形にしたものが主流でした。弾力性や耐久性に富むヒッコリーがスキーには適していたようですが、高価で一般的ではなかった頃です。
普及品の板はエッジがオプションで後付けだったり、今のように細いモールドエッジではなく、直接木ネジで板に彫った溝に留めるインターロックエッジが一般的で、強度も現在のスキーから較べるとお話にならないほど低く、折損はごく普通で、その修理といったら折れた部分にブリキの板を包帯のように巻き、クギで留めるというものでした。
が、
その粗末な道具でも、このスキー♪の歌詞からも覗えるように、当時もスピード感溢れる痛快極まりないスポーツであったことは確かなようです。

スキーはその後単板から合板になり、GFRP(グラスファイバーリーンフォースドプラスチック)を上下に貼り付けた所謂グラスファイバースキーが出て強度や耐久性、滑走性は飛躍的に向上しました。FRPの材質はカーボン、シリコンカーバイト、ケブラー等が試されましたが、現在の主流はカーボンとグラスファイバーのようです。
ストックも竹からスチール、FRP、アルミ製へ。靴は革からプラスチック製へと進化しましたが、道具の目覚しい性能の向上は今から25年前までだったような気がします。以後性能は一進一退を繰り返し、製造技術はキャップスキーに代表されるように、大量生産によるコスト削減に向けられました。

その間スキー界はというと、僕らが子供の頃心を躍らせたスキー♪の歌詞からは程遠い”重箱の隅をつつくような技術論”とそれに伴う資格取得等、矮小な世界に向うばかりで、「日本のスキー界を統括する唯一の団体」と自負するS○Jからは、どのような形であれ、このスキーという醍醐味溢れる痛快なウインタースポーツへ誘うメッセージが伝わって来なかったのは残念です。このことが初心者(スキーをしてみようと思う人)がゲレンデから消えつつある原因の幾らかは占めているのではないかと思ってしまいます。

最近目先を変えてカービングをでっちあげたようですが、例によって「カービングの仕方」みたいなハデな写真入りのハウツー本が増えただけで、「スキーの楽しさは一体どこにあるの?」と思ってしまいます。何度も書くのははばかれますが、無理にCARVINGしようとさえしなければ、このタイプを使うと楽チンに滑ることが出来るようになったとは思います。

今年ほどスキーをしたのは本当に久しぶりで、それも 以前の様に短い距離を滑っては止まるというのではなく、第一ケルンから 一気に名木山まで5本とか、現役の時でもやらなかった滑り方です。
それが出来るのもゲレンデがガラガラで斜面が荒れていないからですが、 この歳になって改めて連続高速滑降の楽しさを知り病みつきになりそうです。特にリーゼンスラロームコースの中間にあるクニックに速度を乗せて進入するとジャンプするのですが、低い軌道でも飛距離が伸びるのでとても爽快な気分になれます。そんな時、もう随分昔に忘れていたスキー♪の歌詞が突然甦りました。

昔も今も、道具の性能や技術レベルの如何を問わず、スキーって本当に楽しいスポーツであることを再確認出来たシーズンでした。

スキーをしたことが無い方へ!

こんな楽しいスポーツ(初めは七転八倒したとしても)を知らないなんて全く
損デース!!(^−^;

ちなみに私のスキーは190cmと200cm。

2001/03/09
技術選を見てきました

半数程度の選手の滑りを見ただけなので必ずしも「そうだ」 とは言いきれませんが、ごく個人的な感想です。
結論は、整地の斜面では各選手のまるでハンコを押したような滑りに、思わず失笑してしまいましたということです。
いくらカービングスキーを使用したとしても、これほどまで同じとは驚きです。
時々ハンコがズレた(押し間違い)選手もいましたが、あくまで同じハンコな訳で、久しぶりに見た感想は、「大股開きの没個性もここまで来たか」といったところです。これほど同じになると優劣をつけるのは難しいでしょうね。

勿論技術選だけあって、出場する選手の大部分が上手なのはいうまでもありませんが、見ていて感動的とか、楽しそうとか、躍動的とか、そういったある種訴えて来るものが 感じられないのは不思議でした。

これは一体どうしてなんだろう?と思ったとき、大袈裟に言えば大工さんが限られた道具でスゴイ作品を創るのを匠の技としたら、電動工具を使って同じような作品を造るのと似ているのかもしれません。

かつてのデモ選や技術選(カービングが普及する前)では、自分が同じ競技者であることを 忘れて素直に「スゴイッ!ウマイッ!」と思ってしまう程、個性的で魅力的な選手が沢山いました。そう云う人達が必ずしもデモに認定された訳ではありませんし、又「どうしてあの人が?」 と思う人が認定されたりしていました。が、いずれにしてもスキーを「操っている」という 点において、現在より遥かに密度が濃かったように思います。

当時スキーの板に求めたものは、従順でリニアな特性だった様な気がしますが、現在では各種目でその演技するべき回転弧に合わせてスキーを換えているそうですので、これはスキーイングというよりむしろライディングといった方が当たっているかも。

不整地(モーグル)種目では以前スクールのプライズテストを見ていて感じた通りの現象が見られました。
CARVEに慣らされると、男子はともかく、女子選手は 「ピーーーーッ」(^_^;
整地の小回りはというと、どうしてもそのスキーが持つ固有の回転弧から外れた域を使う ことになり、何かぎこちない感じを受けました。

エッジを立てただけで曲がっていくようなでしゃばった性格のスキーに、ご機嫌を伺いながら「乗せていただく」のはマッピラ御免ってとこです。
「ハンコスキー」というか、どこを切っても同じ「金太郎飴スキー」というか、こんな方向性で ホントに良いんでしょうか?S○Jのエライ方々。

こうして偏屈なスキーオヤジは時代に取り残されていくのであった。チャンチャンッ

2001/03/07
S○J研修会テーマ


家主の言いたい放題Tの「変わった検定内容に疑問その4」でも少し触れた「セフティー、コンフォート、チャレンジって 一体何の事?」は、やはり何の事か(^^;当事者にも解らなかったか混乱したらしく、 今シーズンのS○J実技研修テーマでは、昨年度の「セフティー、コンフォート、チャレンジ」 に替わって、それぞれ「押し出し、ひねり、傾け」という表現になったようです。
だからどうなの?といえば

1)セフティー ⇒「安全に」 ⇒「押し出し操作」
2)コンフォート⇒「快適に」 ⇒「ひねり操作」
3)チャレンジ ⇒「挑戦的に」⇒「傾け操作」(いきなり角付けということか?)

だそうです。何を言いたいかを好意的に理解するとすれば、
1)は初心者
2)は中上級者
3)は超上級者(レーサーも含む)
の技術ということのようで、いかにももっともらしく系統だてたようですが、ゲレンデのスキーヤーを観察すれば一目瞭然「見たマンマジャネーカッ!」ってところです。

一つのターンが行われる時、少なくともこの3っつ(大事なことは他にも沢山あります) が複合的に存在することくらい、どのレベルのスキーヤーであっても主観的ニュアンスとしては感じている訳で、ただその配分量がそれぞれのレベルで多少異なるかもしれないというだけで、アナログ的に上達するスキーヤーをわざわざ線引きする必要などないのではないかと思います。

もっと言えば、押し出しただけ、ひねっただけ、傾けただけで、その操作単独では決してスキーにならないということ。 「そんなこと解ってる!」とは言っても、毎年研修会テーマとして「何か」が提示され、その指導員研修会で受けた研修内容をそのままレッスンに持ちこむようなことがあれば、(意外と多い)教わる側は毎年変わる指導方法や用語に混乱する、というよりスキーそのものに不信感さえ持つようになるのではないか、上意下達に慣らされた思考回路であったとしたら、教える側も教わる側も違和感を抱きつつ、過去との整合性を探る為に多くの”ムダ”な時間を費やすのではないでしょうか。

スキーは物心つく前の子供でも出来るし上達もする。難しい理屈なんて知らなくても全然OK。
でも思考できる年齢になったらベテラン、ビギナーを問わず、もっと自由に色々なアイディアを検討し雪上で試してみるのも楽しいものですし、それが又上達を早めることにもなるのではないかと思います。
年齢を重ねたスキーヤーが体力勝負から思考勝負にシフトしたとしても、それはそれで又新たなスキーの楽しみが見出せるでしょう。

美しく感動的な景色にめぐりあったとき、これを誰かに伝えたい気持ちになることがあります。あるいはもし隣に誰か居てそれを共有できたら一人より感動の度合いも多いのではないだろうかと考えた時、スキーもまた同様この醍醐味溢れるスポーツを多くの人に楽しんで欲しいと願わずにはいられないのです。

その為にも、もっとストレートにスキーの楽しさを伝えることは出来ないものだろうかと悩む今日この頃。

2001/02/26
ノルディカ9.1

スキーのレースは殆どの場合完璧に整備された斜面で行われます。平滑度、硬度、安全対策等々およそ考えられる最善の仕上げがされて、はじめてレースコースとして使われます。これがどんなに素晴らしい仕上がりかは一度でもメジャーなレースを見に行けば良く解ります。セパレートネットで仕切られたコースは誰しも「滑ってみたい」という欲望に駆られる筈です。
こうした隔離されたコースを一人で滑るとしたらレーシングスキーの性能をフルに発揮させることも出来ると思いますが、スキーヤーやボーダーが混在し斜面も荒れている通常のゲレンデではどうなのか考えるとかなり疑問です。

年のせいかどうしても短いカービングスキーには抵抗がありますが、それでも好奇心から過日スクールに置いてある○ッシャーのカービングスキー168cmを試乗してみました。
乗り方が解らないこともあったのでしょう、たしかにCARVEはするものの、昔のショートスキーに似て落ち着きが無く、とても楽しめるようなしろものではないと感じました。

シーズン前にアルピーヌのお客様である保坂様から「カービングスキーは何が良いか?」相談され、カービングスキーの経験が無い私はスクールのスタッフに評判の良いスキーを教えてもらい、それを伝えました。
アドバイスに従い、彼はノルディカ9.1を購入したのですが、○ッシャーが良くない(私には合わない)印象でしたので、カービングスキーは皆同じ傾向にあるのでは?と、正直なところとても心配になっていました。
来館された保坂様とご一緒する機会があり、その際に9.1を試乗させて頂きましたが、とても170cmしかないスキーとは思えないほど安定しており、前よりを軽く押さえるするつもりで滑ると、先端から気持ちよくCARVINGが出来、速度が上がっても安定性が低下することなく、「これならイケル!」と思ってしまいました。楽しくスキーが出来たのは勿論ですが、それ以上に心配していたことが杞憂だったことがわかってホッとした次第です。


その9.1を履いた保坂様の滑りはどうかというと、昨年普通のスキーを使用していた時も上級者に共通するキレの良いスキーでしたが、それよりはるかにアグレッシブなスキーイングに変貌していました。
勿論彼はスキーヤーとして長い経験があり、高度なテクニックをすでに身につけているのは言うまでもありませんが、特に違ったのはやはり「CARVE」させることによって、速度の低下が少なくなったということでしょう。
上級者だけあって、ターン中半から「抜ける様に走る」カービングスキーのコツをあっさり掴んで、強烈に曲がる旋回性能を楽しんでいるように見えました。でもカービングスキーを使えば誰でも同じような滑りが出来るわけではなく、やはりCARVE以前のやるべき地道な練習は必要でしょう。
(写真はノルディカ9.1を履いた保坂様の滑り)




2001/02/23
カービング シンドローム

先日国体のご公務で長野県を訪れた皇太子妃殿下雅子さまがスキーをしているのをテレビで拝見しました。お滑りになられた斜面は比較的緩斜面に見えましたが、それにしても技術的に見て只者ではないと唸らせるほど、完璧にスキーをコントロールされているように見えました。もっと難度の高い斜面でもきっと華麗な滑りをされるのでしょう
スキーに乗せられているのではなく、皇太子殿下のシュプールをぴったりトレースしていたことからも、「自分の意思でコントロールするということはこういうことです」というスキーイングのお手本のように、力まず自然体で滑走感覚を楽しんでおられたように拝見しました。

今、時代はカービング全盛で、ちょっと上手になると目を吊り上げんばかりに大股開きでカービングターンをマスターしようとしています。スキーの性能を発揮させ、その持ち味を堪能するのは、それはそれで良いのですが、何か憑かれたように一斉にそちらを向いてしまい、その向こうにあるものが例え素晴らしい世界であったとしても、もう少し肩の力を抜いて楽しんだらと、余計な心配をしてしまいます。
きっとカービングでなければ味わうことの出来ない、今までのスキーとは違う新鮮な世界が展開するのかもしれませんね。

でも同時にあまりに雪面からの強い反力に耐えながらのカービングに慣れ過ぎると、足応えの無い深い新雪の状況では戸惑うことになりそうな感じがしますし、コブの急斜面をショートターンで降りる時ももたついた滑りになるかもしれません。それにウインドクラストなんかに遭遇したら果たして・・・・・・。

時にはスキーの性能は無視して思いきり力まかせに振り回したりしてみるのも良いと思います。自分で道具を支配しているという実感を得る為にも。

「カービングシンドローム」 このことについてはもっとありそうです。(^^)

2001/02/21
SKIを操るということ
2001/02/19にいつもの友人と名木山ゲレンデにスノーボードの練習に行きました。52歳のジジイがいい年をしてお互いにライバル心剥き出しで滑っていたのはいうまでもありません。
滑る度に上手くなるのが実感出来、前回困難だったコースも今日は楽に降りれるというように、スキーに較べれば驚異的な上達速度です(自画自賛)。
でも昨日はうまくいったのに今日はどうもイマイチということもありますので、順調に上達しているとは言い難いかも。

その時名木山上部の ”ウスバ” の斜面でスキーのテクニカルとクラウンのプライズテストが行われていました。
二人ともムキになって滑って少々疲労気味だったので、休憩しながらその様子を見ていました。どういう種目なのか定かではありませんでしたが大回りから中回りのターンをしていました。サスガにすでに1級を取得しているだけあって皆さんけっこうなスピードのカービングターンをしていました。斜面にはいわゆるシュプールではなく、スタンスのやけに広い2本の線が刻まれていました。我々二人の感想は「上手いもんだな〜〜」というもので、感心しながら又ボードの練習を再開しました。

暫くすると、今度は ”ウスバ” のコブのある斜面で、昔でいえば ”急斜面ヴェーデルン” が行われていました。ところが、これが先ほど「上手いもんだな〜〜」と思わせた同じ人達なんだろうかと疑ってしまうほど○○でした。10人位の滑りを見ていただけなので何とも云えませんが、とてもテクニカルやクラウンを取ろうとしている人達の滑りとは思えず、何か○ッカ○させられました。

どうしてなんだろう?と思ったとき、もしかしたらカービングスキーという道具に乗せられてあるいは乗っているだけで、自ら自在に操れるという部分にまで至っていないのではないかと感じられました。文字通り「板についていない」 というか、長年スーツを着ている人と、特別な日だけにスーツとネクタイをした 「着こなしていない」 人との違いとでもいいましょうか(^^;

早く上手になりたいという気持ちは誰も同じでしょうが、ことを急ぐあまりそれを道具に求めすぎるのは如何なものかと思います。我々の日常では本当は使い方の難しいものが技術の進歩で簡単になったり楽になったりと良いことが沢山ありますが、それによってつまらなくなったものも多いのではないでしょうか。
簡単に早く曲がれるようになる道具を手にしたからといって、それが必ずしもスキーの面白さに直結するものではないと思います。「古いやつだとお思いでしょうが・・・・・」って所ですね(^^)

一般スキーヤーが現在のカービングスキー(レースから生まれたスキー)を使って例え正しいカービングターンが出来るようになったとしても、コンベンショナルタイプの ”エラン” を履いた当時のステンマルクに勝てる確立は恐らく1%も無いと思います。こう言い切れるのにはそれなりの訳がありますが、「何故か」はもっと習熟の度合いが深まった時に自ずと答えは見つかるでしょう。
 
「自由に操る」という意味において複雑な要素が多いスキーの上達には時間が掛かります。だから「ハマル」と面白くて止められないのだと思います。

今日(2/21)又いつもの友人に誘われてスキーに行き、快晴、粉雪、真っ平らに整備された斜面を、主にスカイラインを中心に滑って来ました。
昨日も一昨日もボードだったので少し欲求不満になっていたみたいで、ゲレンデが空いていたこともあり、二人とも思いっ切りぶっ飛んできました。高速のターンでは普通のスキー(ヘッド24X190cm)でもちゃんとカービングしていました。とにかく久々に爽快なスキーが出来たように思います。

2001/02/18
カービングSKI バイクで云えば?


かつてオートバイブームの頃、世界グランプリを走っているレーサーのレプリカモデルが人気で、各社からこの種のバイクがリリースされていました。
ホンダはNSR、ヤマハはTZR、スズキはRGV−γ。400とか500もありましたが、主力は250CC。
これらのバイクは、いずれも130Kg前後の軽い車体に公称45馬力(実際は70馬力以上はあったかも?)の2ストロークエンジンを搭載していました。
外観だけでなく走りっぷりもGPレーサーに似ていると思わせるものでした(実際は公道走行を前提に作られているのでかなり違っていたはずですが)。

一旦パワーバンドに入ると鋭い吹けあがりをする2ストロークエンジンの性格はピーキーで、免許を取得したばかりのライダーにはとても乗り難かったと思われますが、当時若者の間では人気でこのタイプのバイクは年間数万台を販売していたように記憶しています。

サーキットのラップタイムをつめる為に、レーシングマシンは毎年進化していくのは当然ですが、一般市販車のレーサーレプリカも同じようにイヤーモデルとして各社がそれぞれの方法で改良を加えていました。
主なものが、よりクイックなハンドリングを得るためキャスターを立て、旋回性を向上させる為にホイールベースを短縮するという方向でした。それに加えてハイグリップなタイヤを装着するようになった為、それなりのスキルを持ったライダーは、より速く峠道やサーキットを走れるようになったものの、一方でその高性能を御しきれず、事故も多く発生したように思います。

設計者が意図したように走らせることができれば、この種のバイクはとても速く楽しかったはずです。しかし意図した以外の使い方では、ただ乗りにくく短時間で疲れ、エンジンの調子も悪くなり・・・・と、あまりよい結果は得られなかったのではと思います。
そんなことが原因だったのかは定かではありませんが、現在は一部の熱狂的なライダーを除きこの種のバイクは支持されなくなりました。バイクといえばレーサーレプリカが全盛だった頃が懐かしいです。

バイクとスキーを同列に比較することはできませんが、今のスキー界はこれに良く似ている感じがします。
レースにおいて強力なエッジホールドと旋回性の追及から生まれたカービングスキーは、どうしても2スト250CCのレーサーレプリカとオーバーラップしてしまいます。
スキーショップに行っても置いてあるのはカービングとテレマークのみ、普通のスキーはありません。これはバイクがアメリカンタイプとレーサーレプリカタイプだけになったようなもので、かなり異常な感じです。
旋回性やエッジホールドを道具に頼りすぎる傾向は、例えばハイグリップタイヤとディメンションに頼って「寝かせば曲がるだろう」というバイクの乗り方に似ていて、自分からトラクションを掛けてタイヤをグリップさせ、旋回性を引き出すというバイクを「操る実感」が希薄(乗せられている)になってしまうのと同じ様な感じがします。
カービングスキーを否定はしませんが、これからのスキーシーンが「操る実感」を伴った醍醐味のあるスポーツであり続ける為にも、同時にいわゆる普通のスキーを入手できるようにして欲しいものです。

バイクも最近は尖がった性格ではなく、排気量の大小を問わず普通のタイプが好まれているように見受けられます。

2001/01/20
カービング?スキーその4 


カービングってそれほど大騒ぎしなければならない滑り方なのでしょうか? カービングって素直に受け取れば曲がって行くこととか、曲がりやすいことだと思うんだけど、識者によるとそうではなくて溝を掘るとか切るって意味だそうです。
正しい?カービング状態になるとスキーまかせになって、短時間ではあってもラインの変更が出来なくなる(経験済)から自分でコントロール出来るのはその一歩手前まで(僅かずれている)。それに脚や腰にとても負担がかかる。

スキーをコントロール出来ない、又は困難な状況がカービング状態だとすると、これはやはり危険な感じがします。 実際高名なスキーヤー同士が衝突したという話もあるし。
ただ八方のゲレンデを滑っいても、所謂カービングスキーを履いたスキーヤーはそれほど目につかないし、そうしたスキーを使用している人の滑りを見ていてもカービング状態には程遠いスキーをしていたので、それ程気にすることも無いのかなとも思ったりもします。
でもアッパーレベルのプライズテストだとそれを要求されますね。これはどういうことなんだろう?

何故カービングが良いのか、カービングを習得しないとスキーは楽しめないのか、カービングは一般スキーヤーの皆が最終目標とすべき技術なのか。こういった疑問に答えてくれるのはカービングというスキーを考えた人に訊くのが一番なのですが・・・・一般的にカービングと呼ばれているサイドカーブがきつく短いスキーは、ずれを伴ったスキー操作に限ればとてもラクチンに楽しめることは確かなので、その点では価値があると思います。でもこれは本来の意図とは違うメリットでしょう。

多くのスキーヤーの考えや技法を知ることによって、今まで気付かなかった楽しみ方、奥深さに接することができるかもしれませんので、あえて私の見解を。

形状が従来のスキーに限って云えば、ズレの少ないキレの良いターンの優位性は特に悪雪や深雪で発揮されると考えます。それはズレが少ない分、ウイークポイントの横方向の外乱に影響されにくいからです。重い雪でも縦方向に進めばスキーを横に押し出す力は殆ど不要で、早くスキーの向きを変えようと無理にテールを振り出す動作を止め、板の真中に乗る(板を持って来る)ことに意識を集中すれば良いのですが、現実にはなかなか難しいです。

では具体的にどういうつもりで滑れば良いのか?。
横から斜面を滑り降りるスキーヤーを見た時、谷回りの間は下に向かって スキーが落ちて行く時期ですから、加速状態であり、言ってみれば自然落下 なのでスキーへの荷重は減ります。 この時雪面への加重減少を防ぐ為、谷回り開始から山回り開始までの間、 脚を伸ばす動作を入れ、それが途切れないようにし(途切れた瞬間加重は減る)、 山回りが始まると今度はマイナス加速状態になり、脚に掛かる荷重は増えて行きますのでこの時に伸びた脚を徐々に曲げながら増える荷重を減少させるつもりで滑るということになります。
簡単に言えば、攻撃的にならず、スキー板は長いですから回っていくまで時間が掛かるものと思って、無理に回そう、押そう、踏ん張ろうとするのではなく、足裏で雪から受ける加重(荷重)の変化を小さい振幅に留め、なるべく少しずつ回すように努めることです。こういったことを意識して滑っているうちに丁寧にターンを仕上げることが出来るようになり、結果的にズレの少ないスマートでキレの良いターンになるのではないかと思います。

ただしこれだとキレが良くても、いわゆるズレないカービングという訳では無いです。

ズレ幅の少ない滑り方は横からの外乱に強い反面、動的なバランス面積(こういう表現が適当かどうかは解りません)が狭くなる為、正確な加重点≪重心の落ちる位置≫(以下≪ベクトルの指す位置≫←生物物理学者の香川浩先生からの受け売り)の維持に神経を使うことになります。したがって普通にスキーを楽しむ上で動的なバランス面積を確保する為には、どうしても若干のズレは必要かと思います。
上達するに従い動的バランス保持に必要なズレの幅は例えば30cmから15cmに なり、5cm、2cmでも充分となって行くとは云え、0ではあまりにシビアすぎる感じがします。


動的なバランス面積
スキーをV字型にして滑るプルーク系の技法は殆どのスキーヤーが初心の頃経験した技法です。これは三輪車と同様、ベクトルの指す位置がスキーのトップとテールで作られる三角形の内側であれば、それがどこであろうと転倒はしないことから、初めてターンを経験するうえでとても優れた技法で、もちろん静的にも動的にも安定な滑り方です。

ところが一旦パラレルでターンが出来るようになると、重心位置はターンの内側に入るようになり、ターンが続く限り動的には安定でも静的に見れば安定では無いということになります。
動的な安定を保つ為にはベクトルの指す位置が両スキーの内側ということになりますが、仮に両スキーがズレずに進むと動的バランス面積はとても小さくなります。そこでトップよりテールのズレ幅を僅か大きくとることによって、面積は一気に増えるということになります。

動的なバランスを維持する為にターンの最中私達が行っている動作は、内側に倒れそうになったらテールのズレを大きくし、外側に倒れそうになったらトップのズレを大きくするというものです。これはあまりに微妙で気付かないかもしれませんが、重心の位置を変えることは困難なので、ベクトルの指す位置へスキーを移動することになり、自分の意思で大小のターンを描くのと同時に、常に行っている動作です。

何気ない日常の動作、例えばコップの水を飲もうと手を伸ばしてコップを掴む場面を考えてみます。正確にコップを掴めるということは、コップの位置に手が届くまで、手がコップより行きすぎないように常にその距離を測りながら次第にコップに近付いて行く、つまり適度な量のネガティブフィードバックが効いているからで、もしこのフィードバック系に何らかの支障が発生すると、フィードバックが少なければ、手はコップより行きすぎ、又戻りを繰り返し、そのうち激しく振動を始めるでしょうし、多すぎればなかなかコップに手が届かないことと思います。
お酒の好きな方がお酌をする時に時々上手くつげないで震えているのを見ますが、このフィードバック系に問題を抱えているのでは?と想像します。
スキーの場合も熟練以前はこれによく似ているような感じがします。ズレながら進むことによってベクトルの指す位置がある振幅で振動していたとしても、それを吸収出来るだけの動的バランス面積があれば、結果的に安定したターンが出来るのではないかと思います。
パラレルでのターンがまだ不安なうちは、いきおいズレ幅を大きくして滑りますが、こうした行為は、決して間違いでは無いし、悲観することでもありません。

カーブしたレールの上を進んで行くような滑り、例えば斜滑降をする時にエッジをしっかり立てて滑り始めると、スキーはサイドカーブとしなりが作る弧に沿って全くズレずに進み、この状態を維持するのは簡単そうで実はけっこう難しいものです。
ところが僅かエッジの効きをダルにする(ズラす)だけで、滑走ラインはストレートに斜面を斜めに進み、全くずれない時と違ってバランス維持の為の緊張がいきなり少なくなくなることに気付く筈です。
これは斜面の微妙なアンジュレーションが、全くずれずに進むスキーの進路を乱し、スキーから外れそうになるベクトルの指す位置決めがとても難しくなるからですが、ズレながら進むことによって進路はアンジュレーションに左右されにくく、且つ動的バランス面積が確保出来るということになります。

したがって闇雲に純粋なカービングを志向するのは、少し疑問だと今は思っています。

無理をしてカービングを強く意識した滑りは、例え上級者であっても見ていて違和感があります。

カービングスキーというマテリアルを使用するのであれば、「切るとか刻むに」拘らず、文字から受ける印象通り、曲がり易い特性の恩恵を素直に享受するのが正解だと思います。

うまく書けなかったので続きは又次回(^^;

2000/12/22
ストーブ
アルピーヌには補助の暖房器具として薪ストーブがあります。普段見過ごされがちなので少し解説したいと思います。
今年(2000年)食堂のラジエター配管が逝ってしまい、暖房出来なくなりました。

新たに食堂の部分を床暖房にしたのですが、この専用ボイラーは出力が1万5千キロカロリーと小さい上、本来床暖の敷設面積は床面積の70〜80%が理想だそうですが、1階床面積約210uに対し、食堂部分の46uだけに施工したので22%の敷設率となり、約6mの吹き抜け構造ということもあって充分な暖房が出来ません。
そこで食堂の横にあって殆ど使われなかった薪ストーブを活用することにしました。

これはアメリカのコンソリデーテッド・ダッジウエスト社製でFA−288というストーブです。
タイプはエアタイト式キャタリティックコンバスター(自動車の触媒と同じ)付き。
簡単に言えば炭焼き方式で、発生した煙をキャタライザーで燃焼させ、その熱が筐体をあたため、二重構造の内部に設けられた隙間を空気が対流することによって上部のダクトから暖かい空気を放出するというものです。

対流する空気によって筐体は冷却されるので、必然的に筐体内の煙道を通り排出される燃焼ガスの温度はかなり低くなり、これは触媒無しの輻射式ストーブに比較し非常に低温で、キャタライザーを通過した燃焼ガスは非常にクリーンになり、かつ熱が煙突から逃げ難いため、キャタライザー無しストーブの熱効率が35%程度なのに対し、約85%以上と良好な値になります。何より有害なクレオソートを90%以上減少させ、薪燃焼による大気の汚染が減るということも見逃せない部分です。これは煙突から煤や未燃焼ガスの煙が出ないことからも判ります。
とはいっても薪1kgが燃焼すると水の他に温暖化の原因物質と言われている二酸化炭素が2キログラム位発生すると思われますので複雑な心境ではあります。

公称出力1万7千キロカロリー/時のこのストーブはエア調整にもよりますが、燃焼がゆっくり進むため、15Kgの薪を一度投入すると8〜12時間燃焼を続け、面積210u高さ6mの空間の例えば15℃の室温を、床から1.8mの位置で3〜4℃上昇させることが出来ます。
薪投入の手間が24時間で3回程度と少なくてすむのは助かりますが、薪以外のものはたとえ合板でも接着剤が使われている為、燃料として使用できない不便さはあります。中程度の燃焼で30Kg/日の薪が必要ですので、10日で300Kg、一冬で約3tの薪が灰になる計算です。
本体重量は288Kg。ちなみにこのストーブはクリーン度、効率、その他で、EPA(アメリカ環境保護局)の基準をクリアしており、認可を受けています。

Annexに戻る