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2002/08/25 スピードコントロールその2
2002/08/24 カービングスキーとF1 同じゴキブリスタイル?
2002/08/23 風圧中心?やストック
2002/08/09 乗鞍スカイライン この道が走れなくなるのはさびしい
2002/07/23 長野県知事 民主主義の混沌?
2002/04/19 シーズン最後のスキー 体力の低下は悲しい
2002/04/02 ゆで卵回し 説明って「大変だなー」と思いました
2002/04/01 スピードコントロール スキーのブレーキのこと
2002/03/27 最速降下線U 3/31内容を修正
2002/03/17 オレはクレーマーか? ただのクレーマーかと思う時がある
2002/03/13 技○選 感じたこと
2002/03/11 最速降下線 速く滑るってことは?
2002/03/08 バッジテスト バッジテスト・・・・この怪しげなるもの
2002/03/04 カービングとヒザ擦り
2002/02/28 カービング講習 カービングの講習を受けました
2002/02/13 カービングスキー購入その後
2002/02/06 カービングスキー購入 とうとうカービングスキーを買ってしまった(;;)
2002/02/01 遭難
2002/01/08 ビンディングそのU マーカーM4FDR&コンパクトローターマート
2002/01/04 ビンディングと板 ビンディングと板との微妙な関係
2001/12/29 ビンディングその1 ビンディングについてのウンチク
2001/12/27 スキーの紹介 現在使用中の板を紹介


スピードコントロールその2
2002/08/25
上手な人の滑りはキレが良く、スピード感に溢れているのに、暴走せずに安定感がありますね。これはスピードコントロールで書いたブレーキ成分の中で脚の屈曲と板のしなりによる位置エネルギーの吸収(熱として)が少なからず効いているのではないかと考えます。

どういうことかと言いえば、スキーでは位置エネルギーの大半を速度を得るために使っているのですが、通常はある一定以上の速度にならないようにコントロールしている訳です。特に急斜面ではこのスピードコントロールに神経と体力の大半費やし、これが又スキーの楽しさでもあるのではないかと思います。

とても主観的な表現になりますが・・・例えばスキーヤーがある一定の斜度の斜面を、ある高さからある高さまで降下して停止した時の位置エネルギーの使われ方を大雑把に考えて見ます。
直滑降の場合には、風の抵抗や板の摩擦力等の抵抗である速度に達した時点でそのまま進み続け、停止は出来ないので、これは除外します。

位置エネルギー使われ方

A:速度を得るためのエネルギー
B: ターンによる除雪や圧雪、風圧や摩擦等で消費されるエネルギー
C:脚部の屈曲や板のたわみ等の粘性抵抗で消費されるエネルギー


この配分は当然斜度によっても、またスキルによっても異なると思われますが、またまた大雑把に想像してみます。
位置エネルギーを100とすると

緩斜面では   上手な人  そうでもない人
  A:        98      79
  B:         1      20
  C:         1       1

急斜面では   上手な人  そうでもない人
  A:        60      30
  B:        10      65
  C:        30       5

勝手に想像しているので見当違いかもしれませんが、上記の様に板のズレが少なく、キレの良いカービングでありながら、脚部の屈曲によるエネルギーの吸収(発熱)で、的確なコントロールが出来る可能性はある訳です。上手な人は板のズラしだけでなく、こうした方法での減速も無意識のうちに行っているのだと思います。でも急斜面の連続滑走(3分以上)を考えると、まず純粋なカービングターンではどんな名手であっても脚がもたないということになりそうですね。

脚への負担が少ない滑り方は、こう考えるとやはりある程度ズレを伴ったターンになると考えられます。


位置エネルギーの配分で、実際実感出来るのはターン中半から後半にかけて脚部の屈曲でエネルギーを吸収していくのですが、屈曲運動が停止した瞬間にスキーが走る(抜ける)感覚は確かにある訳で、この時に板と重心とのクロスオーバーがシンクロすると、とても気持の良い滑りが出来ます。

カービングスキーとF12002/08/24

カービングスキーはどうも自動車レースのF1マシンに似ているのではないかと思った。
グリップの良い平らな路面のレーシングコースでは驚異的な速度とコーナリング性能を発揮するF1マシンを、仮に一般の道路を走らせることが出来たとしても、ターマック/グラベルを問わずその性能を発揮させられないのは勿論、とてもドライビングを楽しめるようなしろものではないと思う。
どんなに車好きでもF1カーを日常の足やドライブに使いたくはないだろうし、我慢できるレベルとしたらケーターハムやロータスエリーゼ止まりだろう。
しかし現在のスキーシーンは殆どこのF1マシンのドライビングテクニックについて語られているようで、とても違和感を覚える。
F1マシンがグラベルでは走行不能に陥るのが容易に想像できるのと同様に、カービングスキーもコブやシュカブラをはじめ、荒れた斜面ではその性能を発揮出来ないばかりか、むしろネガティブな面ばかりが目だってしまうと思う。だって終始雪面(路面)をグリップし続けることを前提に作られているスキーでありカービング理論だから、雪面から離れてしまう時間がけっこう長い荒れた斜面ではドーするんでしょうね

もし車の本の殆どがF1をはじめとしたレースや、そのドライビングテクニックの記事ばかりになってしまったら、ただの車好きはどう思うだろう?
それと同様の現象が今スキー界に起きているように思う。
そう云えばカービングのゴキブリスタイルとF1カーは似ている(^o^;

風圧中心?やストック2002/08/23


スキーの技術解説本では板に掛かる力や掛ける力に関してのものが殆どだし、又こうしたことについての体の使い方をはじめとした議論が喧しいですが、これはごく低速や緩斜面での話しであって、斜度がある程度急になり速度も速くなれば、体に受ける風の影響を無視することは出来ないのではないかと思います。
板に掛かる力が全て重心からのものだとすると、風圧中心が重心に及ぼすモーメントはスキーの進路や体のバランス保持にも深く係わってくるのではないかと思います。
風圧中心と重心が常に一致していれば問題ないのでしょうが、揚力の発生は通常の滑り方では避けられないし、又スキーをする上でストックの有用性にも殆ど触れられていないのは不思議でもあります。

勿論ストック無しでも滑られるので必要不可欠というわけではありませんが、ストックは滑走中バランスが崩れそうになった時、重心の位置を補正する外力を得る為のとても役に立つ道具だと考えます。
この外力はストックが雪面に接触することで得られる他、高速では受風面積の増減や重心からの距離を適当に取ることで、バランス保持にはとても有効だと思います。

以前書いた「最速降下線」だって机上で想像しているより、実際ゲレンデで友達同士で実験してみれば一目瞭然だと思います。速度低下を軽減する為の「使えるカモ?」というアイデアも、ある斜度までであって、それ以上は体力や精神力等のファクターが大きく、むしろ上手なブレーキ(スピードコントロール)の仕方がスキー技術の大半を占めているのではないかと思います。実際30°を超える斜面で指定された複数のポイントをブレーキ成分なしで最速降下線に乗って滑り降りるのはどんな名手でも不可能だと思います。

再三書いているように、スキーは難しい理屈を知らない子供でも上手に滑られるようになるので、こうした力学風?の知識はあまり意味を持たないのですが、スキーイングのイメージ構築のたしになればと思い書いています。

正確を期す為に、話がスキーを構成する要素のそれぞれのパラメーターにまで至ってしまえば実際に滑る時間など失ってしまいますからね。
でも未だに「脚を曲げていくのが加重」、「伸ばしていくのが抜重」と信じているスキーヤーが多いのには驚かされます。

乗鞍スカイライン
2002/08/09

乗鞍スカイラインが今年限りで走れなくなるというので先月31日にMCで行って来ました。
朝6時出発、長野県側から登って畳平 (標高2700m)を通過し、岐阜県側のスカイライン料金所手前でUターンして帰って来ました。乗鞍スカイライン周辺ではゆっくりと景色を堪能したり写真を撮ったりしていたのに、帰宅は午前11時でした。遠いと思っていたのに案外短時間で往復出来て驚きです。
早朝だったので往きは車が少なく快適でしたが、帰りのR158 は乗鞍や上高地に向かう車の列が出来ており、出発が少し遅れれば渋滞で時間も相当掛かったと思います。
乗鞍スカイラインは道路の償還が終了し、来年から無料化されるのですが、それに伴 い一般車両の通行が禁止され、許可車両(バスとかタクシーだと思います)のみが通行出来るということだそうです。・・・・ナンノコッチャ???。 今まで一般車両がせっせと通行料を払って、特定業者の金儲け道路を作ってやっていたということになります。自然保護が大義名分のようですが、それなら立派な道路を作った目的は一体何だったのかと思います。 走って見て思ったのですが、長野県から岐阜県へ通り抜けられないのなら正常な道路の機能は失ったも同然なので、森林限界を超えた2700mの高さまでこの道を維持する必要性は無いと感じました。山に登りたければ歩いて行くのがいいと個人的には思います。

スカイラインが出来た頃(凡そ30年位前)、所属していたスキーチームの合宿で平湯温泉に宿泊し、この道を長野県側の雪渓が残る所まで何度も往復したことを懐かしく思い出しました。今日も僅かに残った雪の上でスキーをしている人がいました。当時と変わったのは長野県側が舗装されたこと位で他は何も変わってはいないように感じました。道路の脇もゴミ一つ落ちてはいないし、むしろ完成当時工事で削られたと思われる路側には今ではヨツバシオガマや鮮やかな黄色のウサギギクが群生して、ここを訪れる人々や関係者の意識の高さを感じました。この道路が出来てから今まで一体どの位の車や人が訪れたのか知る由もありませんが、少なからず排気ガス等の影響を受けていた筈なのに、美しさもさることながら昔と変わらぬ環境を維持していたことに、久々に感動してしまいました。

これからこの道路の維持管理費がもし税金で賄われるとしたら、岐阜県民は勿論、私も含め長野県民もオメデタイと思わずにはいられません。上高地といい、この地区はどうも胡散臭い感じです。シーズン 中にR158の沢渡あたりを通ると駐車場やタクシーの客引き合戦に遭い、とても不愉快になりますが、来年からは平湯峠で同じ光景が展開するものと思います。上高地に較べれば運送業者にとってウマミは少ないかもしれませんが、大正池が土砂で埋まってしまった現在、私には只の”河原”にしか見えない上高地(行くに価しないと言う訳ではありません) に人の行列を見に行くよりは、乗鞍の圧倒的な高山のスケールと眺望の中に身を置いていたいです。
ということで走れるのは今年中なので是非行って見てください。本当に綺麗でした。

この素晴らしい雲上の道が来年から走れなくなるのはとても残念です。有料のままでかまわないですから、この道路が道として機能することを希望します。

長野県知事のこと
2002/07/23

政治のことはあまり知らないけれど、知事について最近頻繁にマスコミに取り上げられるようになったので、一県民としての感想を述べてみます。

議会の不信任を受けて失職し、再出馬という田中氏の選択に対し、ある著名な識者は議会を解散するのが筋なのに、これは民主主義の大儀に反する行為だと非難し、かつ彼は民主主義の敵だと言い切っている。70%近い支持率を武器に田中氏は再び独裁者になるというのだ。議会も田中氏の手法はヒットラーのようだと言っていた。

この国が民主主義国家であるならば確かにその通りだろう。しかし現実は民主主義的、あるいは民主主義のふりをしているにすぎないのではないかと思う。
議員は民衆が選ぶ。しかしその一方で試験を勝ち抜いた官僚と呼ばれる民意を反映しないグループが存在する。政治は民意を受けた政治家が行うのが筋なのに、実は官僚政治が長野県では40年も続いている。現実は官僚がヒエラルヒーの頂点に位置しており、いかに民意を受けた政治家といえども彼らの意向に従わざるを得ないのだ。そしてお互いのメリットを享受し合う。その意味で長野県の政治は官僚グループと与党政治家グループの独裁制といえなくもないだろう。

県民の多くの支持を得て知事に就任した田中氏の名刺を折り曲げたり「腹が立つ」と発言した官僚達は、「民意なんかクソクラエ」と言ったに等しいし、「俺達の仕切りにシロートがケチつけるんじゃねーよ」ということだろう。こうした精神構造を持つ役人達に田中氏が”県民の奉仕者”としての自覚を促す発言は、ヒエラルヒーの頂上部分を占める彼らにとって、とても容認の出来るものではなかったに違いない。

オリンピック招致活動の使途不明金をうやむやにしたのも独裁的な例だ。議会は一体何をしていたのだろう。
前回の知事選で田中氏が選ばれたのは、民主主義という耳障りの良い隠れ蓑の下、相変わらず続く明治時代の内務官僚的精神構造にほとほと嫌気がさした県民が、経済より精神的気持ち良さを優先したということなのだろう。

官僚政治の全てが悪いと思っている訳でも、又田中氏的手法が良いと思っている訳でも勿論無い。実際今度の知事選では前回の支援者が田中氏の言動や行動に疑問を感じ、支援しない方針を打ち出したりしている。

不信任の大きな原因になったと思われるダム建設については、100年に一度の大雨の際に、ダムが流域住民の生命財産を守るただ一つの方法だとするならば、その建設によって100%住民を守れると保障するだけの自信が与党議員にはあるのだろうか?それに、そんな大雨では他地区に住む住民だってヤバイだろう。これは軽自動車しか乗れない収入でありながら、”安全”という大義名分でベンツの最高級車を買おうとしているのに似ている。どんなに完璧に見えても、逝く時は逝くと思っている私には彼らの真意が解らない。

自然という観光資源の多い長野県で自然と共に生きるということは、自然の美しさ荘厳さ等々だけではなく、その脅威も又甘んじて受けなければならないということだ。
従来の手法や思想で安全を極めるのであれば、最終的に長野県をコンクリートと借金で固めてしまう以外に方法は無いだろう。
どちらにも偏らず、自然と人工工作物とのウエルバランスを見極められる政治をして頂きたいものだ。

不信任を可決した議会を解散せずに、失職した田中氏が再選されるようなことになれば、議会と知事は「一体ドーなってしまうのか」と、とても心配になるが、それはそれで未熟な民主主義の混沌から脱却する良い機会なのかもしれない。


シーズン最後のスキー2002/04/19


今シーズン最後のスキーに行ってきました。板は買ってから3度目のヘッドXP100です。
滑りながら、又リフトの上でも考えました。50年以上スキーをして来て今年ほどスキーについて真剣に考えたシーズンはなかったのではないかと思います。
世の中の状況が思わしくないにしても、こんなに楽しい冬のスポーツがどうして下火になりつつあるのだろうか?という疑問から、この言いたい放題にも色々書いてしまいました。勿論余暇の過ごし方が多様になっているのは承知の上ですので、スキーを押し売りするつもりは毛頭ありません。

シーズンも終わり、春スキーということもあって滑っているスキーヤーは皆上手でした。使用している板の殆どがカービングなのはシーズン中とは若干違いました。
従来の板ですとズラしたくなくてもズレてしまうものもありましたが、それがカービングスキーの出現である程度改善され、熟練スキーヤーのキレの良い滑りに近ずけたことはスキーの爽快感も増したことと思います。
私もカービングスキーでしたが、滑走時間の殆どがカービングでは無く、ズレを伴った従来からの技法に終始しました。自由にラインを取り、体力を温存しながら気持ちよく滑ろうとすると、どうしてもエッジを甘くして高まる圧を逃がしながら滑らざるをえませんでした。筋力や体力は人それぞれですので、速度も回転弧も又ズレ幅も、結局はそれらと相談しながらということになると思いました。
どんなに高性能な板の乗り方を習得したとしても、技術的なスキルでは超えられない壁を感じました。
本当にカービングを楽しもうとするのなら、平均斜度16°以上もある八方尾根スキー場は残念ながら私にとって急過ぎるということも解りました。


ゆで卵回し2002/04/02

ゆで卵を横にしてテーブルの上で回すと、回っているうちに起き上がる(立つ)らしいのですが、日本の科学者(名前は失念)がその現象を理論的に解明したというようなことを今朝のテレビでやっていました。
かつて多くの科学者が解明に挑戦したのですが皆途中で挫折しており、今回の出来事は大変な快挙ということだそうです。
かなり厚みのある論文の内容は、その殆どが常人では理解し難い物理学の法則や複雑な計算式で埋め尽くされていました(テレビで見た限り)。

ナゼ「ゆで卵を横にして回すと立つ
」かを説明するだけなのにこの規模の論文が必要になるとすれば、スキーイングのことを理解してもらう為に、物理学(力学)の一部を引用して説明することで、受け手側のイメージ構築に役立つかもしれないという淡い期待はありますが、スキーの様々な現象を理論的に正しく説明出来るか?となると、もう気が遠くなる程絶望的なのです。

しかしこの科学者がどんなに「ゆで卵が立つ」理屈を正しく理解していたとしても、「ゆで卵立て選手権大会」で優勝するとは限らないでしょう。理解していることはアドバンテージではあっても、立つ理屈を知らない「ゆで卵立て」のエキスパートにはきっと敵わないと思います。

唐突ですがカービングスキー(R12)でカービングできる斜度は私の場合14°±2°位ということが解りました。具体的には八方尾根北尾根第三ゲレンデです。


スピードコントロール2002/04/01

スキーって一体どのくらい速度が出るのだろうか?ジャンプのラージヒルでは踏み切りの瞬間で90Km/h前後、アルペンのダウンヒルレースではコースにもよりますが最高速度は男子で140〜160Km/h、平均速度110〜120Km/hといったところ。これはターンをしながらなので、条件さえ整えば一般スキーヤーでもこれに近い速度で滑ることは可能かも知れません。
他には単純に速度を競うスピードスキーの240Km/h前後というのもあります。
スキーの最高速度は抵抗成分がなければ重力の加速度(初速 V0で落とした物体がそれから t秒後にもつ下向きの速度は V=V0+gt・sinθ)に従って増速を続ける訳ですが、実際はそれに伴って増大する空気抵抗によって現在の終端速度は前述の240Km/h程度になっています。

いずれにしても我々がこんな高速で普通のゲレンデを滑られる訳はないし、仮にそこまでスピードを出そうとしても自分の精神的限界速度に達した時点で、無意識の内にブレーキングしていると思います。

ではブレーキングはどういう方法で行われているのでしょう?

先ずこれを調べる前にブレーキに利用できるスキーの板を含むスキーヤー系に発生する抵抗成分を考えてみます。

1:空気抵抗(通常のゲレンデ滑走で、これをブレーキとして利用できる程速度を出してはイケナイのだ)
2:圧雪抵抗(スキーの進行に従って雪が圧し縮められる時の抵抗力)
3:除雪抵抗(雪を押しのける力)
4:摩擦力(静止摩擦力と運動摩擦力があって、それぞれに静止摩擦係数と運動摩擦係数がありますが、スキーの場合は運動の方)
5:粘性抵抗(斜面の凹凸によるスキーの変形運動にともなうスキー内部の摩擦。これは振動エネルギーの一部が熱エネルギーとして失われるために、減衰の早いダンピングが効きすぎたスキーではみかけ上の運動摩擦係数が増加すると考えられます。又脚部もダンパーとして見たら発熱するカモ)
こんなところでしょうか?

常識的にはブレーキ力は進行方向に対してスキーを横向きにする程大きくなり、角度が90°で最大になりますが、その時の荷重の掛かり具合やエッジの角度、斜面の状態で当然ブレーキの強さは異なることと思います。
スキーを進行方向に対して斜めにしようとすると、抗力等の作用により向いた方向に曲がっていくのは周知の通り。実際これ以外に速度を落とす方法は無い訳で、もし横ズレ成分皆無の正しい?カービングターンであれば、どんなに小径の深回りターンを繰り返しても理論的には増速を続けてしまうでしょう。
しかし現実にはズラシであれカービングであれ、ターンをすることによってスピードのコントロールを行っている自覚は確かにある訳で、それも深く回り込む程に減速すると感じるのは一体どういうことなのでしょうか?

1:スキーをターンさせようとすると多かれ少なかれ迎え角を作らなければならず、これによって発生する雪の効力と重力の分力がターンの主たる要因とすると、必然的に横ズレ(ブレーキ成分)は常につきまとう。
2:鋭いカービングは雪面に掛かる圧力も大きいので、圧雪抵抗、除雪抵抗が増える。
3:雪と滑走面間の摩擦係数は変化しないとしたら圧が増えると摩擦力も増加する

これらのことから、スピードコントロールの方法はコンベンショナルタイプだろうと、カービングスキーだろうと同じなのではないかと考えられます。確かにカービング状態で゙シュプールの幅が狭いとブレーキ成分も少なくスキーも走ると感じますが、だからといって同じターンを続けても益々速度が上がるということもない(緩斜面)でしょう。ということはターンを発生するメカニズムがブレーキ成分となる「横ズレ」なくしては成り立たないということになります。しかもこのターンによるブレーキ成分は、回転弧が小さくなるのに比例して大きくなるのではないかと想像でき、逆に言えば速度を上げるためにはターンを浅くするしかないのです。

どうしてブレーキングに関してこうも拘るかと言えば、確実にスピードを制御出来る技術があってはじめてスピードを楽しむことが出来るからです。
緩斜面では速度低下を抑えるズレの少ないターン、急斜面では速度増加を抑えるズレの多いターンを使い分けるのが妥当な滑り方だと思います。急斜面でも緩斜面と同様のカービングでスピードコントロールが出来るとしたら、その方法を是非教えて頂きたいものです。過日の「カービング講習」でスピードコントロールに関しての質問をしたのですが、明確な回答はありませんでした。

この間の技○選でも「速く滑るためには」というようなことばかりで、スピードコントロールの重要性に関する解説がなかったのは、その目的が「安全で楽しい基礎的なスキーの技術を競う大会?」という趣旨からは大きく逸脱しており問題だと思うのです。この競技(と言えるのかどうかは甚だ怪しい)がゲート無しの暴走レースに成り下がって(実際ゴールエリアでマトモ停止出来ないコドモがたくさんいた)、これを真似したイタイケな一般スキーヤーがカービング状態でコントロールを失い、衝突による事故や傷害が増大している現状を関係者はどう感じているのでしょうか?
以前からS○Jはスキーを
「生涯スポーツ」
として普及させようとしていましたが、このままだと
傷害スポーツ
になりそうでとても心配です

<力学的な部分に関しては自信がないのでかなり怪しいです。>

最速降下線U2002/03/26

「最速降下線なんてオレには関係ないよ」と思われるかもしれませんが、友人と滑りに行った時、大体同じ技量や体力で同じような道具とワックスを使っているのに、一緒に滑ると同じような大きさで同じ回数のターンをしているにも拘らず、次第に引き離されたり、あるいは引き離してしまうことはないでしょうか?。又長距離を一気に滑った後の体力の消耗具合も違ってはいないでしょうか?

この原因は様々な要素が絡み合っているので究明は困難ですが、最速降下線に乗れているかいないかもその一因として見過ごせないと思います。
ターンの開始にテールを振り出して一気に向きを変える方法は雪質や斜面の状態によっては問題があるので、ある程度時間をかけてシュプ−ルの幅が広くならないように回し込んでいく方法が良いのですが、かと言って瞬間的にエッジを切り替えて真円を半分に切ったようなシュプールを繋いで行く様な滑り方(図の赤と緑のライン)も又問題だと思います。

Aの地点でスキーがフォールラインを向いたとすると、赤のラインは半径が一定なので、遠心力(回転を静止のようにみなそうとするために感ずる見かけの力)に加えて重力に対するマイナス加速度が大きく、AからC地点までの間、特にC地点付近では脚に掛かる負担はかなりなものになると想像されます。CからBの間は重力による加速区間なので遠心力は重力加速度によって軽減されるから脚への負担は少なくなります。
斜面に残されたトラック(シュプール)が曲率半径一定の弧を繋ぎ合わせたものであれば、滑走後の疲労はかなり大きいだろうと推測されます(段々畑を滑り降りる様な感じ?)。しかし生身の人間がやることなのでこういったシュプールを残せる斜度には自ずと限界があるとは思います。

一方最速降下線はスキーがフォールラインを向いた地点Aから次第に曲率半径が大きくなって行くので、重力のマイナス加速による荷重増が軽減され、しかも向き換え時点の小径ターンは重力のプラス加速領域(方物運動に近い)で行える為に、脚への負担もそれ程大きくはならないと考えられます。

これ等のことから最速降下線に近いラインが速く滑り降りられ、又脚に掛かる荷重変化も少なく、長距離を滑走しても疲労が少なくて済むというワケなのです。

しかし、抵抗成分を無視するとすれば、どの様なライン取りであっても加速を続け、終いには収拾のつかない速度に達することは容易に想像できますので、このスピードコントロールに関しては又次回に

以下見出しからは逸脱(^^)
スキーがスノースポーツにおいて、今後もマジョリティーとしての位置を維持する為には、ラディアスやフレックスによって作り出されるターンの曲率半径が特定の大きさに制限されるのではなく、自由度の高い性能を持ったスキーが求められます。

このことからも、ついこの間の技○選を見学していて感じたのですが、種目に合わせて4台もの板を履き替えて演技していた指導員もいたそうなので
ゴルフやってんじゃねーんだよッ
と思いました。
それ以前にダウンヒルとスラロームの様に速度レンジや曲率半径がまるっきり異なるアルペンレースでは百分の一秒や四捨五入以前では千分の一秒を競う訳で、使用するスキーはシビアな性能を要求されますし、当然それ専用の板を使うのですが、これを真似たのかどうかは知りませんが、普通の斜面を普通に滑るだけなのにターンの大小で一々板を換えるなんて、トップレベルのアルペンレーサーを気取りたいのは分かるとしても、只の指導員として見たらとても滑稽だし、こういう風潮に疑問すら持たないS○Jのオ○ヌケな普及部も含めて
ドーかしてると思うのは私だけでしょうか?。

この技○選の様子を先日テレビで放映していました。アナウンサーの「演技種目によって板を換えているんですね?」という問いに対して解説者が「大回りと小回りではサイドカーブや長さの異なる板を使い分けている」というような趣旨のコメントをしていました。もし彼(S○J)が普及部に属していながら、何の疑いもなくそれが普通だと思っているのなら、カービングスキー最大の欠点をさらけだした上に、「スキーは技術よりドーグだよ」と言ったに等しい大○カなのです。内容とすればバッジテストと大して変わらないのに、権威付けの為かどうかは知りませんが一般スキーヤーの環境とは随分かけ離れているのがとても心配になってきました。もう
×××でピー×××ピーピーというほかはありません。
折角テレビが放映してくれたのですから、もっとスキーの楽しさを伝えてくれるような解説の内容であってほしかったと思いました。

クレーマーか?
2002/03/17
(03/22修正)
いいたい放題を書い又その内容を振り返った時に、好きなスキーのことを大切に思い、又この醍醐味溢れるスポーツをより幅広い人々に楽しんでもらいたいとう思うあまり、自分こそが配慮や謙虚さや思いやりや向上心を失った只のクレーマーに成り下がってしまったのではないかと「ハッ」としました。

スキーというスポーツとそれを取り巻く環境へ言及する際に、その内容が単に加齢による実体験の多さや非科学的な妄想でも、又は特定の宗教や政治的思想の影響を受けても困るわけで、なるべく自然の摂理との整合性がとれるような形で表現しなくてはならないのに、一向に改善されない現状への焦りからつい感情を抑えることが出来ず、反動的とも取られる表現になっているのかもしれません。

こうした心理状態は全く個人的な問題でありながら、実はそのスキーに対する意識の「構成要素」には、大半が自分の歩んで来た時代を取り巻く様々な環境に影響された結果だと言うことは理解していても、反面その環境的な制約で創ることが出来なかった人との関わりや、あるいはそうした時代との関わりから孤立したために起こるのでしょうか。

スキーのこと、技法のこと、スキー場のこと、その他諸々について他人から理解されないことを悩む時があります。 このことは逆に言えば自分が他人を理解しようとしていないからなのか、 あるいは自分自身を理解していないからなのかはわかりませんが、例えば最近のスキー界がカービング至上になって、新たにスキーを始めようとする人にとっては短いカービングスキーしか選択肢が無い(したがってスキーとはそういうものだと思う)現在、一貫してカービングスキーには否定的な論調を展開してきただけに、カービングスキーって本当は優れた道具なのかもしれないと思ったりする時、とても大きな「無力感」に支配されることがあります。

スキーによってもたらされた感動をはじめとする様々な感情が、自分の人生に与えた影響を推し量る時、今の時代を認識出来ずに、自分の心はもっと手前の時代をさまよっているだけなのかもしれません。そういった隔たりから「無力感」は来るのでしょうか。

以前にも書いたように世の中の何もかもが便利になり、スキーもごたぶんに漏れず短期間で滑れるようになりました。しかし簡単に上達することと心の豊かさや気持ちよさを伴った楽しさとは又別の問題だと思うのです。懐古趣味ではないと確信しながらも、新しい時代との関わりを持てず、振り返ると「自分しかいない」と知ることはとても不安ではありますが、カービングスキーで滑った時の、心に砂混じりの風が吹いた様なザラザラとした気持ちの悪さを我慢してまでそれを使う気にはなれないのです。

私は当分ノーマルスキー(技法)原理主義のクレーマーでいきます。

技○選
2002/03/13

技○選を見ていて感じたこと。
完璧に整備された斜面に、平すぎると面白みに欠けるとでも思ったのか人工ウエーブを作って大小のカービングターンをさせて優劣をつけていました。何枚も斜度の異なる似たようなバーンを用意して、選手達は要求されたターン弧に合う様にスキー数台を履き替えて演技?していました。

スキーヤーだったら誰もが滑りたくなる最良の斜面を、どれだけ高速でハデなカービングをしたところで、速さを競うレースシーンでは通用しない(FISレースレベルという意味)それが技術的に一体どんな意味があるというのでしょうか?
技○選と名がつく以上、やるんだったら
誰もが滑りたくない悪雪斜面でやったら良いのにと思いました。

レースとは異なる方向性を見出せない関係者がバ○ズラに見えてきました。

最速降下線
2002/03/11


図はスラローム等で、ゲートA、B、C、Dを最小の時間で通過する為の理想的なライン取りを考えてみたものです。
青線は半径rの弧を繋いだもの、緑線はゲート間を最短で繋ぐ直線。黒太線は一見テキトーに書いたように見えるもの。
この3っつの中でターニングポイントである赤点での加速度による身体や板に対する影響を無視すれば(^^;←ゴーイン、黒太線が最速ラインになる。図がうまく描けないし、ゲートのオフセットやインターバルにも因るので、イメージとしてはこんな感じかなーというところです。
ドーしてか?
最速のラインは緑の直線ではないかと思うのが普通なのですが、実は点Aからそれより低いところにある点Bに結ぶ空間曲線に沿って、質点が重力の作用によって摩擦をうけることなく滑り落ちるという運動を考える時、降下に要する時間が最小となるような線は、ABを含む鉛直面内(面が傾いていても)で点Aを通る水平線を底線とするサイクロイド(黒太線)なのです。BからC、CからDも同様。

サイクロイドとは最速降下線とも呼ばれ、平面上で円が直線に接しながらその上を滑らずに転がる時、円の周上の任意の点の描く図形塲のことをいうのですが、詳しくは関係書物を参考にして下さい。

斜面の上方Aから、下方Bに移動するにはこの面上で無数のラインを選ぶことができますが、その中で最速ラインはどういったものなんだろうという疑問からでした。
これは技術選の解説者が再三、ズレの無いカービングが速く斜面を滑り降りるには必要で、ズレを少なくする為には次のターンに切り換えした瞬間からエッジを捉えてカービングに入って行かなくてはならないというような内容の解説をしていたからです。つまり理想的なラインは図の青線のように弧と弧を無理なく繋げるというもの。これだと他の2種類に比べ加速度の大きな変化は少ないと思われ、ズレ(抵抗成分)が無いから解説者のおっしゃるヨーに一般的な印象ではその通りかもしれません。しかし速く滑り降りるとなると話は別なのです。

一見的を射ているこの解説に??と思ったのが今回のテーマ。
そんなに速く降りたければ「チョッカリが一番」などと揚げ足を取るのは大人気ないので、サイクロイドとは何か、それが何故最速降下線となるのかを簡単に説明してみます。

先ず極端なラインを二つ・・・。
1:点Aから浅い角度で向かって右に斜滑降し、「UP」の文字辺りから点Bに向かって行くライン。
2:点Aから真下に直下降の後、ある曲率で向きを変え、殆ど水平にBに向かうライン。

AB間の位置エネルギーはどのようなラインを通っても同じなので、摩擦(迎え角によるブレーキ成分も含む)や空気抵抗を無視すれば、点Bの通過速度は同じということを踏まえて・・・・。
1:は滑り出してから殆ど加速しない区間が長く、その後点Bに向かって直滑降したとしても、とても時間が掛かりそうなのはすぐに解る

2:は立ち上がり加速は一番だが、距離が長くなるのでこれも最速とは言えない。

このことから最速のラインは大体真ん中辺りという凡その見当がつく。そこで緑色の直線が一番速いのでは?と思いがちだが、スタート直後から斜めに進む為、立ち上がり加速が速い(スタート直後真下に向かう分)黒太線のサイクロイドが最速のヨーな気がしてくるのだ。ということで、解説者お勧めの弧と弧をなめらかに結ぶラインは残念ながら最速ではないということになる。

図のようなライン取りは実際は不可能なので、現実的にはターニングポイント付近での向き変えは弧を描かざるを得ませんが、この半径を力の許す限り小さくすることが出来れば理想の最速降下線に乗ることが出来ます。
斜面にベッタリ貼り付いたようなエッジからエッジへ切り換えす今流行りの技法はゲートのオフセットが小さい場合にのみ可能でしょうが、鋭く曲がる場合はやはり板を振る必要があるでしょう。
速く滑るためにはターン後半の板のヌケ(荷重が減る)を利用して次の最速降下線に乗れるように素早く向き変えを済ませることだと思います。

正確に言えばトラック(シュプール)ではなく、質点のラインということです。

バッジテスト2002/03/08

云いたい放題を書くキッカケは家主の言いたい放題Tの「最近スキーは下火・・・」にも書いたように、スキーヤー特にビギナーの減少はヒエラルヒー(ヒエラルキー)がその原因のいくらかを占めているのではないかとの疑問からでした。勿論こんな憶測は見当違いなのかもしれませんが、例え僅かであっても影響しているとすれば、これは深刻な問題なのです。
初めてスキーをする人にとって、最初に接する機会の多いスキースクールの初心者コースのレッスンが激減している昨今、スキーの楽しさを発信する方法に問題があるのではないかと思ってしまいます。
技術の向上はスキーの楽しさをより大きなものにするにしても、他人(例えばS○J)のお墨付きに左右されるものではないでしょう。スクール関係者からはバッジ取得が目的の受講が多いと聞きますが、昨今のスキー関係の書物やスクールの営業面でもバッジ取得を煽るような内容ばかりなので無理もないかもしれません。ドーしても肩書きが欲しい向きの為に、この欲求がいかにナンセンスで見当違いかをあえて書きます。

このバッジテスト(級別テスト)は階級社会に仲間入りする為の最初の入り口なので、先ずこのヒエラルヒーを大雑把に紹介しておきます。順序等は不正確かもしれないので、大体こんな感じということで・・・・。

級別テスト:
技術的には5→4→3→2→1→テクニカル→クラウンの7階級。他に技術選手権
それとは別に準指導員→指導員→技術員→肩書きを言われてもどっちがエライのか解らないほど複雑怪奇な世界
準指導員の受験資格と技術選出場資格は1級以上、指導員の受験資格は準指導員保持者
デモ選参加資格は準指導員以上。

ある程度滑れないと1級以上は難しいので準指導員の資格取得までは相当の練習が必要でしょう。準指導員さえ取ってしまえばその先は技術的なスキルより
ヨイショッ の徹底具合が明暗を分けます(^^)。
本来ヒエラルヒーとはピラミッド型階級社会を指すのですが、今のスキー界はここ数年ビギナーが激減して逆ピラミッド型になりつつあるのに、スキーの楽しさを普及発展させるべき義務を忘れた「日本のスキー界を統括する唯一の団体」は足元がぐらついているのにも気が付かないように思えます。

今日から○術選が始まって、各地の予選を勝ち抜いた選手達でゲレンデは賑っています。晴れの舞台を目指して練習に励んできた選手には自分の持てる力を余すところ無く発揮して納得のいく演技をして頂きたい・・・・んが・・・・、
この監督とかコーチの脳味噌の構造は一体ドーなっているのか疑ってしまう光景をここ数日目にしてきました。

選手達が会場となるゲレンデで練習するのは当然としても、それを見ている監督やコーチが一般スキーヤーやボーダーの滑るゲレンデのど真ん中にナント!ディレクターチェアーを置いてふんぞり返っているのです。その周りにはオフィシャルサプライヤーらしき人達がいてとても邪魔だったし、滑り終える度にふんぞり返った監督やコーチに、コメツキバッタのようにペコペコしている選手達を見ていてとても不愉快になりました。

一般スキーヤーの迷惑にはお構いなしのこの思い上がりも甚だしいバ○共が今のS○Jを象徴していますし、何より何のための○術選かも忘れているように感じました。参加選手の大半が「指導員」の肩書きをつけていることからも、あなた方の技術は一般スキーヤーにこそ還元されるべきものでしょう。それを何を勘違いしたか知りませんが1級のコドモは仕方ないとしても、指導者でさえスター気取りのバ○ばっかりに見えてしまいました。

指導員であってもデ○であってもジャストスキーヤーという謙虚さを忘れると、その内(既にと言った方が正解か)ソッポをむかれて、「スキーって何?」って云われるのがオチになりそうで心配です。

昨日から始まった予選の人工ウエーブのカービング中回り?をちょっと観てきました。この種目にどんな意味があるのか分からなかったので、幸い?解説者付きだし、ハスに観るより素直に理解しようと耳を傾けたのですが、この解説が又意味不明で大笑いで、「あなたはスキーやったことあるんですか?」と聞いてみたい位でした。
ジャッジの採点も「ウマイナー」と感心した選手の得点は他の平均より数点良いだけで、知名度のある選手は失敗しても、又それ程上手でなくても高得点が出ていました。が、大又開きのゴキブリスタイルという点では大した違いは無いようjに見えました。

減少したとはいえ相変わらずウインタースポーツではスキーの愛好者が最も多いと思います。その頂点であるアルペン競技が、オリンピック報道では殆ど無視され、スケートは人気競技だから仕方ないとしても、競技人口数人の隙間種目(選手の皆さんゴメンナサイ)のス○ルトンが度々とりあげられていました。
この報道のバランス感覚には???だし、何よりS○Jの無策ぶりには呆れました。
勝ち目がないから報道にも取り上げられないオリンピックのアルペン種目に、莫大な強化費を使ってもムダなことが分かった筈ですから、来シーズンに向けては、この費用と殆ど効果の無い全国のスキー場の宣伝費を使って、柳の下に二匹目のドジョウを狙うというのはどうでしょう(^^;。とりあえずトレンディー俳優を使った「私をスキーに連れてってU」なんて面白いかも。

スキーの楽しさとは殆ど関係の無い社会に「自分の技術レベルを確認したい」とか「練習の目標や励みの為」とかの口実で、ステップアップの度に法外な検定料や登録料、その他諸々料をシコタマふんだくられてまで「肩書き」が欲しいですか?
合格率5%程度しかない1級検定に、その都度6500円も支払う神経を私には理解出来ません。

以前にも再三書いて来たように、肩書きなんか無くたってスキーは
サイコーにおもしろい
そういうお前はドーなんだ?と言われそうなので白状しますが、随分以前に銅のバッジも銀のバッジもドブに捨てました・・・。でも銀のバッジは後で
銀無垢だと知って少なからずショックでした・・・シクシク。

このバッジテストや検定制度が本来の趣旨を取り戻し、受検料もせいぜい1500円程度で、受付係りでさえ説明に窮するような複雑怪奇な理解し難い種目や名称はやめて、子供でも解るように単純明快にしてくれたら大いに賛成です。それこそ励みにもなりますし(^^)。


カービングとヒザ擦り2002/03/04

先日従弟の息子が全中のスラロームで優勝した。その時のレースの模様をビデオに収めて持って来たので、それを観ながら滑走感覚を聞いた。

<<中学生なのであくまで感覚デス>>
ターンの開始はやはり早い時期からエッジを捉えて側圧を得、スキーをたわませてターンするというもの。ゲートの曲率の大小によってターンの大きさを変えなければならないので、小さく曲がる時は圧を高め、大きく曲がる時は圧を少なくして弧の大きさを調整し、回す(捻る)感覚は無いと言っていた。勿論客観的に検証すればこれだけで事足りているとは思わない。

圧の強弱は脚の伸縮(伸ばすと高く、縮めると低く)によって行う以外方法は無いと思うが、弧を小さくしようとして圧を高める為に脚を伸ばすと、弧が小さくなる訳だから加えた圧にプラスして圧が高まるので、それに耐えるにはハンパな筋力ではもたないことは容易に想像出来る。
ビデオで見る限り、緩斜面のストレートゲートでは殆ど教科書通りのカービングで滑っているものの、急斜面のタイトゲートではあきらかに捻ってズラしで回しているように見えた。この時も回す力は無いということなので、きっと抗力中心から僅か後ろに加重点(ベクトルの指す位置)を持って行ってモーメントの発生を利用しているものと思う。

今日も例の友人と滑りに行ったのだが、技術選が近いこともあり参加するらしい人々が練習していた。昨年同様皆ハンコをついたようなカービングっぷりは健在だった(^^)。
この人達の滑り(フリースキー)と、ゲートで規制されたコースを滑るスラローム競技の選手達とでは、カービング状態のフリースキーの方が窮屈そうで、ゲートに規制された方がイキイキとスキーをしているように見えたのは何故なんだろう。

自分の意識はと云えば、ターンしている間は常に行きたい方向に捻り続けていて、切り替えの時は捻られた力を解放する(捩れが戻る)だけで自動的に次のターンの側圧が得られるし、カービングでは無いけど、100パーセント自分がコントロールしている実感があって、シュプールの幅も狭いのでバカボンのオヤジじゃないけど

「これでいいのだー」
と思っています。
勿論サイドカーブの恩恵に与っているのは云うまでも無いが、それが無ければ曲がれないわけではないので、便利に利用させてもらっているといった程度の認識。

「カービング」と「ずらし付き」ターンの違いは、バイクに例えればさしずめ「ハングオフのヒザ擦り」と「リーンウイズ」といった所だろうか。
サーキットではコーナリング速度を高める為に「リーンイン+ハングオフ」で必然的にヒザが擦れてしまう場面が多いが、これを真似して摩擦係数の低い一般道路の峠道等でやろうとすると、いわゆる「無理ヒザ」(速度が遅く、バイクは寝ていないのにヒザだけ擦ろうとする)でとても笑える走り方になる。今から15、6年程前だったろうか、レプリカバイクが全盛の頃、人気のワインディング道路ではこんなライダーが多かったなー。
バイクにぶら下がって必死でヒザを擦っている人の横をリーンウイズのオッサンバイクが軽く抜き去る場面を想像してしまった。

カービングを楽しむのを否定はしないが、もっと普通?の滑り(こんなことを云ったら「時代じゃないよ」と笑われるのが落ちカモね)のスキルを高めていった方がスキーイングの幅は広がると思うけどなー。

カービング講習
2002/02/28

いつもアルピーヌをご利用頂いているお客様のグループに乱入してプライベートレッスンを受けた。
カービングスキーの滑り方と、一般的なスキーイングのレベルアップをレッスンにあたっての希望とした。
勿論私がスクールの教師である(あったと言うべきか)ことは了解済み。

カービングスキーの形状から購入当初はかなり用心深く滑っていたが、普通に流して滑っている限り只のショートスキーに乗っているのと同じ感触だったし、これ用の乗り方があるとすれば、正しい乗り方を知りたかったので今回は願っても無い機会だった。

講習の内容は簡単に言ってしまえば
1:ターンの始動は膝の傾けから
2:スタンスは広く保つ
3:姿勢は様式便器に座るつもり
4:上体を腰から深く折り曲げて遠心力に耐える?
といったようなものだった。

イロンナ意味でとても勉強になった(^^”。

講習を受けたことによって、はたして正しいカービングターンが出来たのか出来なかったのかはイントラのコメントが無く分からず仕舞い。カービング状態での進路変更の方法についての問いに対しても納得のいく説明はなかった。
何より何故カービングなのか、一体何の為にカービングが必要なのか、カービングターンの優位性といった本当に知りたい部分に関しては収穫は無かった。もし「検定がカービング要素を要求しているから」なんて答えだったら泣けるね。

私に関しての指摘は
1:姿勢が高い
2:ターン開始時に上体が先行する
3:スタンスが狭い

それがカービングをする上でどういった弊害があるのか。又カービングではないターンでも問題があるのかどうか。改善するには何処に注意するべきか。知りたかったなー。

新しい技法を学ぶのは新鮮だったし、何より5人でワイワイ軽口をたたきながらのスキーはとても楽しかった。
しかし講習を通じて感じたことは「ターン始動期に曲がって行こうとする側のエッジを立て、サイドカーブのみによってキッカケを掴みカービングに入る」という方法によって、果たしてスキーイングという楽しみにより大きな可能性を与えられるものなのだろうかという疑問だった。
やって出来ないことはないが、そこには「この位曲がりたい」と言う人間の意志とは無関係に曲がってしまう板に乗せられて、あるいは落っこちないように乗っている自分がいるだけで何の感動もないのだ。確かにズレなく曲がってはいくが、それが一体どーした・・・・・?。

こんな滑り方は積極的に板をリードし操作するから楽しいと思っていた今までの技法が否定されたようで、わがままな私としてはとても複雑な心境なのだ。
スキーはズラさないと曲がらない、だから強引であっても脚を捻ってズラす、あるいはテールを押し出して(これも捻りの一種)向きを変えることは自分の意志をスキーに伝える唯一の方法だと思っている。その量や方向、力の入れ具合、捻りの速さ等々・・・・。それに伴う重心への外力の影響に効率よく対処する為に構えがあり、微妙な動作があるのだ。

アクションを起こすことより、それによってもたらされるその後の変化に間尺を合わせる能力がスキー技術の大半を占めていると思っているので、ターンのキッカケをズラシて作ろうとサイドカーブを利用しようと、そんなことは些細事なのだ。
自分が希望する良い状態からの狂いを検出(ネガティブフィードバックをかけるとでも言おうか)してその程度に応じて的確な補正を加えられるようになると「上達した」ということになる。

このフィードバックは「ある力」の目標値と等しくするために制御量を目標値側にもどし、両者の差が0になるように制御対象に働きかけるものなので、当然 スキーの場合も「ある力」が必要になる。
この「ある力」とは少々乱暴に言ってしまえばずり落ちないようにエッジを立てて踏ん張る力とか、回す力かな〜。
斜面に立てばいやでもずり落ちないように踏ん張るので、この力は実感も出来るしフィードバック系も機能するが、もし今回受けた講習内容のように、只エッジを押さえるように乗っていくだけなら回す力(左右に捻る力)は0なのでフィードバックは得られない。
勿論相手はエッジを立てれば凹む柔らかい雪(アイスバーンでも)なので、どんなに完璧にカーブしていると思っていてもじつは僅かにズレているかもしれない。だから厳密には0ではないとは思うが、この回す力が殆ど無い状態、従ってフィードバックも無い滑り方はやはり特殊な滑り方だと思う。様々なシチュエーションで自由自在に振舞えるスキーイングを目指すのであればこの技法は疑問なのだ。

上達するにしたがい、この補正量が大きな振幅から次第に周期も振幅も小さくなっていくものと思われるが、とはいっても短時間のうちに加速度が変わる場合にはフィードバック系の情報にもとずいて対策をとるという方法では間に合わない。練習を積むことによって大脳運動領に運動性記憶を形成し、意識下に蓄えられた無数の要素を最良のタイミングと組み合わせで取り出せるようになったとしてもだ。
ではどうするか・・・・。
そこでメンタル面も同時にトレーニングすることが必要になってくる。それはあらゆる場面で筋肉を適当にリラックスさせておいて短周期振動を吸収してしまえるだけの精神的余裕を確保すること。これは技術以上に困難かもしれない。

オリンピックのスラローム競技を見ていて、その滑りには圧倒されたと同時に何故かホッとした。スキーは短いカービングを使用していたが、技法は違和感の無いものだったからだ。

綺麗にグルーミングされた斜面では大股開きのゴキブリのような格好で二本のトラックを残すことが出来ても、外乱の多いコブや悪雪斜面ではサッパリな、いわゆる今はやりの「カービングの滑り方」と、しっかりしたコーチング理論にうらずけられたトレーニングによって鍛えられたトップアスリートの滑りとでは、一般スキーヤー(指導員やデ○含む)が外観だけ真似してみても、その本質とは似ても似つかないのだ。

ただの物理的現象で向きが変わるような滑り方は金輪際御免こーむりたいが、一度はドブに捨てようと思ったカービングスキーが勿体無いので、ずるずるとズラしながら使うのだ。アハハ・・・。


カービングスキー購入その後
2002/02/13

いくらなんでも6マンエンドブに捨てるのも忍びないので、もう一度使ってみることにした。
TokのHPにも書かれてしまったけど、腰を痛めた原因は「普通に曲がろうとしたら曲がり過ぎた」訳では無く、自分の滑走ラインに進入して来たスキーヤーを避ける為に無意識にエッジングを強め、回避しようとしたら所謂「正しいカービング状態(^^;」に入ったと言う訳。
自分の想定した必要十分なクリアランス以上に勝手に回り込んでしまったので、いきなり強まったGに潰されないように頑張ったら腰が痛くなったと言う「トホホ」な話。

技量の100%で滑っているときは、道具が何であれコントロール不能になることは珍しくないし、その結果はだいたい転倒ということになる。が、問題は50とか80%とかで滑っているにもかかわらず、ある状態になった時だけスキーが勝手な挙動を示すこと。
カービングでも古い板でもなんでもいいんだけど、スキーは自分の行きたい所に行け、回りたいように回れるから楽しいのであって、雪上を自由に翔る為の道具にすぎないと思っている。
上手に滑るには「スキーの性能を生かして云々」などと言う人もいるが、それはそれで上達への一つのアプローチの方法だろう。しかし我々一般スキーヤーにとって好ましいスキーの性能とは一体何なのかを考えた時、そういった考え方はややもすると道具偏重に陥る危険性があるのではないか。

スキーを操る為のスキルをおざなりにして、乗る位置ばかり探っているようなスキーイングだったら電車に乗って倒れないように立っているのと大して変わらないのだ。カービングスキーによって手っ取り早くターンが出来るようになったのはヨシとしても、あまりにも簡単でホンダの二足歩行ロボットの方がうまく滑れたりしたら笑えるね。
個人的には「スキーヤーの性能を生かせるスキー」つまりスキーヤーの意志に忠実な板が良いと思うのだ。

ということでヘッド「CYBER XP 100 170cm」の二度目の今度はかなり冷静な分析。
ターンの大小にかかわらず、浅いエッジングで滑っている時はフラフラと落ち着きが無いのでスピードを出すのが怖い。
深雪の荒れた斜面(斜度20°程度)のショートターンでは板の形状よりも、その短さが前後方向の安定感を損なっている。これはコブの斜面でも同じ。克服するにはこの短い板に慣れるしかないだろう。

RADIUS12mという板はスクールの同僚に言わせればエキストリームカーブだそうで、サイドカーブが特にきつい。
外観の印象通り中速程度のカーブ専用のようだ。カービングにはいたって簡単に入れ、しかも体軸をストレートに保つと、普通に滑っている時と違い手も頭の位置もかなり雪面に近ずく。これが異次元感覚のカービングなのだろう。
その時の速度により、ターン初期の一瞬でその後の進路の見当がついてしまうのは新発見だったが、後はスキーの曲がるがままに乗って行くだけなので途中の針路変更は難しい(行動を起こしてから変るまでのタイムラグがある)カモ。
この状態だとブレは皆無で安定しており、しっかり雪面をホールドしているので、私のようなひ弱な中年ではなく、脚力のある鍛えられたスキーヤーであればもっと高速で高加重のターンでカーブを楽しめると思う。

結論:
整備された斜面で「カービングターンをする為の板」として見ればとても完成度が高い。がッ・・・その他は好みかなー

コントロールしている実感が希薄なのは私にはピンとこないのだ。

オリンピックのモーグル競技を見ていて本当に「スゴイ!」と思った。スキーを操る真髄を見たような気がしたから。
かつてのモーグル競技では単にスキーをワイパーのように振るだけだったので見るべきものは無かったのだが、今では切れ味鋭いターンになっている。それも想像を絶する速さで。特に男子で3位になった選手の滑りには感動した。カービングスキーではこういう滑りはまず無理だろうなー。
今度スキーを買う時はもっと慎重になろうとおもいました。

カービングスキー購入
2002/02/06
とうとうカービングスキーを買ってしまった。
書いてることとやってることが違うじゃねーかッ!
と思われるのは仕方がないので、以下弁明。

長いスキーの優位性を述べるなら、まず借り物でなく自分のスキーを持つことが必要と感じたからで、これは借り物だったら見方が否定的になるし、自分で買ったものなら「良いと思いたい」心理が働いて肯定的になるという理屈。
シーズン前にいくつかのショップを見てまわった。当然とはいえコンベンショナルタイプは全く置いてなかった。製造していないのであろうはずもないのだが、もう既にカービングがスタンダードなのだという事実を受け入れざるをえない現実に接して、妙に淋しい気分になった。

スクールのモニター用スキーも何台か乗ってみたが、短時間にとっかえひっかえだったのでそれぞれ性格が異なるのは旧タイプ同様判るとしても、今までのスキーに較べればどれも不良品に感じた。できるならばこういうスキーには乗りたくないと思ったのが正直なところ。

考えてみればここ30年近くスキーの道具は単一メーカーの限られたモデルしか知らなかったし、ヤマハチームが解散した後はフォルクルやヘッド等の提供を受けたものの、モデルは自分の意志で選んだ訳ではなかったので、いざ購入となると最近の用具については全く無知だったことに気が付いて愕然としたのだ。
購入にあたってはなるべく評判の良い板にしたいのは当然だし、それにはスクールの同僚に聞くのが一番手っ取り早いとは思ったが、それぞれが自分の使用している道具しか知らない訳で、しかもその道具に馴染んでいるとなるとあまり参考にはならないのだ。

そこで知人の紹介してくれた商品知識の豊富そうなオヤジのいるで購入することにした。そこは長年スキーとバドミントンしか売らないこだわりの店。今時マイナーなスキーとバドミントンのみで商売が出来るなんて常識的にはかなり怪しい。

店主とその息子さんだけでやっているみたいで二人とも余計な口出しはしないが、豊富な商品知識を持っているのは雰囲気からも感じられる。
用具の知識は無くても知人のヘッド「CYBER XP 60」を見たときにカッコイイと思っていたので一応それを本命にしてはいたが、フォルクルP−50もよさそうな感じがしたので、いよいよオヤジの出番。

ヘッドに限らず、他メーカーの多機種の板についての詳しい商品説明を受けた後、結局ヘッドの「CYBER XP 100 170cm」を購入することにした(XP 60は売り切れ)。

帰って早速滑りに行った。
約3時間滑っての感想は30年ぶりに買ったカービングスキーは一言で言って私には全く合わなかった。
カービングなんてちょっとこつさえ分ればサルでも滑れる位簡単なので感心したというかビックリしたけど、逆にかなりアブナイない雰囲気(速度が速い時不用意にエッジングを強めると強烈に回り込んで脚も腰もダメージを受けそうな不安)で、実際腰を痛めてしまった。速度が遅かったので軽傷で済んだが、もっと速ければそれなりの状態になっていたと思う。もう2度と使わないカモ。
これは何もヘッドの「CYBER XP 100 170cm」に限ったことではなく、カービングスキー全般に言えることだと思う。6万円 ドブに捨てたよーなもんです。

予想はしていたけど、その短さが斜面の不整をピッチングとして敏感に伝えてくるので非常に乗り心地が悪いのと、何より疲労に直結している。これはカービング云々以前の決定的な短所。
ちなみにディメンションは121−66−106、RADIUSが12mと、見るからにエキセントリックな形状をしているが、滑った印象ではこのRADIUS12mとシナリによって作られる回転半径が例え数メートルになったとしても、これよりおとなしいディメンションを持つカービングと五十歩百歩ではないかと思う。何故なら板の持つ固有の「ハマッタ」曲率半径を使うスキーイングはそれを意識しない限り殆ど現実的ではないからだ。

言いたい放題で書いて来たように、カービングスキーの長所は「CYBER XP 100 170cm」でも同様、ズレを伴う低中速での操作性は抜群に良好だし、こういう板がスキー入門者にとって練習初期の困難や苦痛を和らげてくれることは認める。しかしあまりにも自己主張の強い板は、思うがまま自由自在に醍醐味溢れるスキーを満喫したい向きにはきっと鼻についてくることだろう。

従来の板にももちろんサイドカーブはあり、その曲率も様々だった。しかしそのどれもがスキーヤーの意思を滑りに反映し易くする為の節度あるものだったし、ターンを支配するなどということはなかった筈だ。それが道具に文字通り振り回され、挙句の果てに道具に起因する怪我や事故が発生するなんて一体ドーなっているんだろう。
カービングは板の形状や特性に頼った極めてトリッキーで特殊なターンと言わざるを得ないのだ。同一のスキーを大小様々な曲率半径で回せるということは、必ずズレを伴っている訳で「キレる」ターンとカービングは別と考えた方が良いと思う。

なぜか・・・・ちょっと難しくなるよ〜ん。(実はツッコまれても困る内容なのだ)
ターンの開始は先ず慣性による直線速度を持っている重心に、板に迎え角を作る(スキーヤーの意思)ことによって、雪の抗力や重力の分力で横からの力が発生するとその方向への速度が生じ、両方の合成速度の方に重心位置は移動するところからターンは始まる。つまり重心の公転(重心の曲線運動)が始まると言う訳。同時に重心からのベクトルが指す位置が、板に掛かる雪の抗力中心を外れていれば(板上且つ前後方向)自転が起きる。この重心の自転と公転が、ある関係を保って(保つのは勿論スキーヤーの仕事)進行することによってターンが成り立つ。

実際大半径のスカッとした切れの良いターンでは自転は限りなく少なくなるので実感するのは難しいが、重心の公転とそのベクトルが指す位置の自転の合成差によって、大小様々な曲率のターンが可能になるのだ。
となると正しい?カービングターンは重心からのベクトルが指し示す線と、板に掛かる雪の抗力の作用線とが合致した時にのみ成り立つと思われ、つまりそれは自転が公転と同期した時なのだ。これが何を意味するかというと、スキーヤーのコントロールが効かなくなるということ。でなければ高度な技術を持ったスキーヤーにもかかわらず滑走ラインの変更が出来なかったり(非常に危険)、転倒もしないのに脚や腰に深刻なダメージを受けるような馬鹿げた現象は起きようがないのだ。

転倒が原因で怪我をするのが普通だと思っていたら、最近は怪我をしたから転倒だって。
これがホントの
本末転倒!なんちゃって(^^;

公転=重心がある半径を持った点を中心にして移動運動
自転=重心の周りの回転運動
ということにしておきます

勿論スキーイングがこんな単純な原理によって成り立つものではないし、その100%近くがスキーヤーの意思の介入(技術)によって行われているのは言うまでもない。だからこそ楽しい。
もし本格的な力学や物理学的検証となると、WWWサイズが10メガしかない私のHPではとても無理だし何より無意味なのでこの程度でお茶を濁してしまうのだ(^^;
今回はドブに捨てた6マンエンが悔しくて思わず重箱の隅をつついてしまった。シクシク

誤解のないように書いておきますがけっして「CYBER XP 100 170cm」が不調という訳ではないので、使用している人はご安心ください。ツボにハマりさえしなければ良い板だと思います。

ということで近い将来スキー界はもっとマシなスキーに戻るよーな気がする。っていうか、もっとマシなスキーを期待しています。ホントは私が知らないだけなのカモ。

吉田拓郎の「イメージの唄」じゃないけど、とりあえず古い水夫は古い船に乗るのが一番みたいだな〜 でもP−20のヘタリも気になるしな〜


遭難
2002/02/01

過日2件スノーボーダーの遭難騒ぎがあった。どちらもコースを外れて滑走し、途中で深雪の為に身動きが出来なくなって携帯電話で救助を求めたというもの。どちらも無事救出された。

2件目はテレビのインタビューに答えて「滑走禁止区域と知りながら進入した」と素直に認めていたが、その進入現場の映像には立ち入り禁止のロープをかいくぐって次々とコース外に滑り出すボーダーの姿が映し出されていた。

救助された1件目のボーダーも同じくインタビューに答えていたが、その内容は「視界が悪くてコースを見失った」というもの。実際は救助関係者の話によると場所の特定が出来、短時間で救出できたのは「○○リフトのどこそこの立ち入り禁止標識の脇から入った」という本人から直接情報だったのだ。そうでなければ2人は凍死していたかもしれない。

マスコミが好む「安全管理上の不備があったのでは?」というような問いに対して、パトロール隊長は「そのうち檻の中でやるようになるかもね」と自嘲気味に答えていた。救助されたボーダーの事実と異なるインタビュー内容と、礼も言わずに帰ったことに対して隊長の本音は
「テメーいいかげんにしろよッ」ってところでしょう

言いたい放題Tの「雪崩事故」でも触れたように、スキーもボードも危険なスポーツである以上、誰かが安全を保障してくれることなどあり得ないし、スキー場の整備や様々な設備も危険性を減らすことは出来ても無くすことは出来ないのだ。「自己の責任において行動する」という思考はこの国ではもはや望めないのだろうか。つい数日前のNGO問題が象徴的だ。

深雪のオフピステを滑るならスキーはともかく、ボーダーは「カンジキ」持参でドーゾ。エッ「カンジキ」って何だって?オイオイ・・・・(・・;

ビンディングそのU 
M4 FDR&コンパクトローターマート
2002/01/08



マーカーM4トーピース
これがM4だー。

そしてこれが左右のアームに渡されたバネ(奥に見える部分)。2コのマイナスねじはトーの高さ調整用。
前にも書いたように解放値はバネレート調整(バネの位置を移動する)によって行うと同時に、ピボットは左右独立しているのでブーツに対してアームの動きを理想的な軌跡に設定出来る。簡単に言えばピボットが2コある洗濯バサミみたいな構造。
もう一つのメリットはバネにはコバ押さえがガタつかない程度の僅かなプリロードしか掛かっていないのでヘタらないのだ。それに最近のトーピースに較べ、とてもコンパクトで軽量。材質はステンレスなので雪面硬化剤が撒かれたゲレンデでも錆びない。写真でサビのように見える部分はグリースが劣化したもの。



FDRヒールピース

ステップインのヒールピースに較べるとこんなにシンプル。トーピース同様軽量で、持ち運び時の軽さは勿論、スキーのムービングマスに与える影響も少ない。ステップイン式に交換した時のヒール部分の「ドタッ」とした重さは当時とても気になったものだ。

ヒールを押さえる部分はMARKERロゴの前の赤いローラーで、ステップイン式と違いブーツのヒールセンターになる。
これが何を意味するかというと、スキーのネジレがブーツやビンディングの影響を受けにくくなるので、スキーの本来持っている性能をスポイルしないということ。じゃーエッジングが曖昧になるかというと、そんなことは無い訳で、そこはM4の調整式コバ押さえがガッチリトーをホールドしているのだ。
つまりスキーはトーを中心に自由にネジレ、しかもカチッとした一体感が得られると言う訳。メデタシメデタシ。

勿論短所もある。それはFDRのセフティーシステムが正常に作動した時なのだ。
前方へ転倒しそうになった時にはヒールが上方に移動し、それに伴い左右のバネが縮んで設定値を超える力が掛かると片方のバネが本体から外れる仕組みになっているのだ。
転倒による解放はその多くが脚部が捻られることによるもなので、役割はトーピースが圧倒的に多い。M4+FDRもトーピースの解放ではリセットの必要は無く再装着はいたって簡単だし、特に深雪や足場の悪い場所ではステップイン式をはるかに凌ぐ。
ところが稀にヒールが解放すると、これを始めて経験するスキーヤーの多くが
コワレタ!とパニクるのだ。
この状態を見れば無理もないが、ゲレンデをスキーを担いで降りてくるスキーヤーを目にすると、一応スクールのインチキラクターだった私はお節介にも事情を聞きに行く訳で、その殆どがヒールピースの解放によるものだった。

「買ったばかりなのに!」と怒りと悲しみに泣き出しそうな女の子もいたっけ。
リセットには多少コツと力がいるが、方法は実に簡単。初中級者向けのものはバネも弱く、それ程困難な作業ではないのだが、こればかりはステップイン式に数歩譲る。
リリースの仕組みとリセットの方法が理解出来るとスイッチで切り替えたように笑顔になったなー。


解放した状態

・・・・・・という訳でマーカーもこの問題を解決するために、FDRの長所はそのままに、新たにヒール押さえが解放するコンパクトロータマートというシステムを開発した。
設定値を超える前圧が掛かるとヒール押さえのロックが外れるというもの。これだと再装着も簡単だし、何より「コワレタ!」とパニクらなくて済む。
しかしロックシステムに強度が必要になるのでFDRに較べとても重く、私の好みではなかったのだ。


コンパクトロータマートヒールピース


ビンディングと板の関係
2001/12/30
ビンディングはブーツとスキーを固定し、スキーヤーが危険な状況になった時には直ちに解放して安全を確保するする装置なのだが、実はその設計思想や出来の良し悪しによってスキーの性能を左右するほどの影響力を持っている。
理想はビンディングをスキーに取り付け、それにブーツをセットしても板の持つフレックスや剛性バランスに影響を与えないもの。
ブーツを確実に拘束し、且つ板に影響を与えないビンディング、これはメーカーの技術者にとっては非常に難しい課題だろう。
普通スキーメーカーは使われるビンディングを想定して設計したりはしない訳で、実際雪上で使用される環境では当初の設計意図とは異なったフレックスや剛性バランスになり易い。

ビンディングは何本かのビスによって板に固定するのだが、普通のステップイン式ビンディングは板が撓んでもベースプレートがスライドして曲げ方向には影響が少ない構造になっている。しかし安物の中にはベースプレートをガッチリ板に固定してしまうものもあり、こういうビンディングだとフレキシビリティーは当然損なわれてしまう。

ブーツをガタの無いようにセットする為には、まー大なり小なりトーピースに対して前圧を掛けるので、どんなに優れたビンディングでも板のフレックスに対してある程度の影響を与えてしまうのは避けられない。
でも最近はそれに気が付いたかどうかは知らないが、スキー、ビンディング、ブーツの3つをセットにして性能を出せるようにしたインテグレーテッドタイプもあるみたいだ。用具の選択肢は制限されるが、これはこれでとてもお利口な方法だと思う。

しかーし、スキーの性能に大きく影響を与えるのは曲げ方向のフレックスばかりではなく、実はネジレ剛性が大いに関係しているのだ。
スキーの真ん中を押して硬いから曲がりにくいとか、柔らかいから曲がりやすそうだとか言っている人がいるが、この行為はナンセンス。意味があるとすればシナリの形状を見ることで大雑把な性格が解るかもしれない程度。

ステップイン式ヒールピースとトーピースの写真で解るように、ブーツのヒールとトーを「コバ押さえ」が板の幅に匹敵する長さで「ガッチリ」押さえ込んでしまう。これはFDRの様にヒールの上下左右の位置決めがロータリープレートの形状とコバ押さえによってそれぞれ単独で行われるシステムと異なり、コバ押さえがヒールの左右の位置決めも兼ねるために、いきおいヒールをガタの無い様に板に密着させてしまう訳。
これが何を意味するかというと、ブーツの長さ+αの範囲が剛体に近くなってしまい(勿論ブーツの剛性に左右される)、板のネジレがトーから前とヒールから後ろに2分割され、ネジレの範囲がとても狭くなってしまう。本来なら板の全長に亘って自由にネジレるのが自然なのであって、板の中心付近数十センチの範囲が固まってしまうのは非常に具合が悪い。
滑走中多少雪質の変化や荒れがあってもシュプールは大抵なめらかな弧を描く。これはネジレの発生によるスタビリティーと大いに関係がある。簡単にいえばネジレて外乱を吸収するということ。
勿論ビンディングメーカーもバカじゃないから、そんなことは先刻承知で(知らないかも)今のモデルはそういった影響の少ない製品を製造しているとは思う。
ブーツとビンディングがDIN(ISO)に統一され、ビンディングの「コバ押さえ」の高さ調整が廃止されたことからも、多少の厚みの違い(雪が付いたり)は吸収するだけのラティチュードを持っている筈だ。となればネジレに対しての影響も少なくなるだろう。
板とブーツの一体感(剛性感)を保ちながら、且つネジレのフレキシビリティーを損なわないビンディングがいいのだ。

その昔ステップインは安物で初心者向けだった頃、マーカーが初めて本格的なステップインを出した時に、FDRからそれに交換したことがある。
屈まずに脱着出来るので絶好調!と思ったのだが、スキーの性格は一変した(勿論同じスキー)。それも悪い方向へ。板はGPX。当時のヤマハとしては珍しく素直な性格で、今思えばこの板がヤマハが作った中で最もマトモなスキーだったと思う。それがヒールピースだけの交換にも拘らず、いきなり神経質な挙動を示すようになった。具体的にはヒール付近の引っ掛かり感の増大と、それに伴う方向安定性の低下。それに雪質の変化に対する順応性の低下。特に粉雪が僅かに湿り気を帯びて圧雪された状況では最悪だった。すぐにFDRに戻したのは言うまでも無い。


余談:PCを替えたらディスプレイの表示がとても小さくなって乱視+老眼では非常に具合が悪い。プレビューすると誤字脱字が目立つが全部チェックする気力がないので、好意的に読んでください。

ワンタッチ式FDR+M4が如何に優れたビンディングだったかについては又次回。

ビンディングその1
2001/12/29

今使っているビンディング(バインディング)はヒールピースがステップイン式のもの。
ビンディングについて書き出すと、30年も40年も遡らないとならないので、その話は又別の機会にするとして、ここではちょっと前のワンタッチ式とステップイン式のビンディングについて書いてみる。

現在ビンディングと云えばステップインという位当たり前になって、ワンタッチ式は目にすることが無くなった。
ステップイン式のブーツ装着はブーツのヒールをヒールピースの「トリガー」に引っ掛けて押し下げるだけの簡単なもの。まだセフティービンディングが考案される以前のラグリーメンの固定方法など、それこそ気が遠くなるほどの時間が掛かったものだ。



現在ではブーツの脱着が簡単で安全性の高い優れた製品が多くなってきた。少し前まではメーカーによる長所や短所が特徴としてあったが、一番大切なブーツの拘束力や安全性の相違は殆ど無くなったと言っても良いだろう。

セフティービンディングの黎明期は解放値をそれぞれの体格や技術レベルに適合するようにセットしていても、特にボールラッチ式(扉のストッパーの様なもの)ではElasticityが不足して脚部に傷害が発生しないレベルの衝撃(アイスバーンでの振動等)でも簡単に誤開放してしまったり、又傷害が発生する程の力が掛かっても、それがゆっくりとしたものであれば解放せずに痛い思いをすることも多かった。

単純にプリロードの増減で解放値をセットするものは作動開始荷重に達するまで殆ど動かず、それを超えたら瞬間的に解放してしまうものだった。
それがマーカーM4というビンディングの出現でそれまでの不具合は一気に解決した。これはトーピースの解放値設定をプリロードに依るのではなく、2本の支点を持つ「コバ押さえ」のアームに渡したバネの位置を変えることにより行うもの。これによってElasticityは飛躍的に増大し、脚を捻るだけで簡単に解放してしまう程弱いセッティングでも誤解放は激減した。ヒールピースも同様に前圧のみプリロードを掛けるだけで、解放値の設定はバネの縮む長さによって行うもの。名称は”FDR”。
プリロード調整から、云ってみればバネレート調整に発想の転換をしたマーカーは
エライ
現在では余程出鱈目なセッティングでないかぎり、ビンディングが原因の障害は少ないだろう。
ところで写真のチロリアとマーカーの「コバ押さえ」の構造は両方共リンク式と思われる。これは「コバ押さえ」のストロークをリンク比によって自由に設定できるので理想のElasticityが得られるという訳。トーピースも同様。リンク式の他にはLOOK(ルックネバダ)の様なカム式もある。


用具
2001/12/27


ここ数年愛用しているスキーの道具を紹介してみようと思います。ただし今主流のカービングではありません。上からストック  : ヤマハID777 125cmスキー  : HEAD CYBER 24X  190cm + チロリア レーシング FF      : ミズノ D−mode      195cm + マーカー レーシング M51      : Volkl P20 SL      200cm + マーカー レーシング M51スキーの形さえしていればメーカー不詳の怪しげな物や、ボロボロの貸しスキーだって勿論カービングだって滑れないことはない。ただ、どうせやるならちゃんとした道具を使った方がより快適に楽しめるよーな気がする訳。だからといって3台も持つ必要なんか全然ないんだけど、気が付いたらこの3台が波長が合うというか、しっくりくるので使っている。
メーカーも違い、長さも設計意図も異なるので当然滑走感覚も違うが、エキセントリックなカービングに較べれば違いは微々たるもの。どれに乗ってもそれぞれが押さえるべきツボを心得て真面目に作られているので、本当は1台で十分なのだ。

この中に長年使ってきたヤマハが無いのは寂しいが(資料としては一応25台保管)、最終モデルの一般向けプロトTTでさえ一昔前のレーシングモデルのような、時代錯誤も甚だしい
エッジさえ効きゃーいいじゃねーか式の引っ掛かりまくる板なのでとても使う気にはならないのだ。
まあテストスタッフとしての責任もあるけど、設計者が我々のアドバイスに聞く耳を持たなかったのか、スキーをしないから理解出来なかったのか、ヤマハがスキー製造から撤退した今となっては分からない。
ということで、この3台の「強いて言えば」という程度の違いを・・・・・。

最近のスキーは短め(170cm前後)でサイドカーブのきついものが殆どなので、時代遅れと思われている道具のゴタクを並べるのは無意味かもしれない。それに悲しいことに今こういったタイプの入手は困難だろう。長い板は取り回しが大変だから短くすれば簡単に上達出来るだろうと短くした結果、当然ながら軽くなりすぎてフラつくので、最近は怪しげな仕掛けが満載で短いくせにやけに重くてタマゲルようなスキーが流行っている。レースシーンではともかく(鍛えられたレーサーでさえ回りすぎて下肢の損傷が増えたという)、回り易さと引き換えに一般スキーヤーにとっては失うものも多いのではないか?。










スキーはスケートじゃねーんだよという私みたいなおバカなオヤジの声は今や完全に黙殺されるのだ。・・・でストックから。ストックの材質はアルミ合金7075をT6熱処理したものでスタティック、ダイナミック共に非常に軽量。石突の部分はタングステン合金(写真右)で鋭く尖っている。これはレースでの使用を前提に作られた特殊なもので、このようないかにも良く刺さりそうなアブナイ雰囲気のものは市販品では無いと思う。どのメーカーも十字形に溝を刻んだもの(写真左)や王冠形等、人体に刺さりにくく、且つアイスバーンでグリップの良さそうなものが主流。とはいってもやはり尖った形状が一番具合が良い。急斜面でコブコブのアイスバーンをけっこうなスピードで降りる時など、エッジの効きは勿論、このストックのグリップ力が大いに役にたつ。突いたときに滑ったりしたらズッコケルしね。







HEAD CYBER 24X 
いわゆるキャップスキーで、コンベンショナルタイプよりサイドカーブがきつく、長さを除けばカービングスキーに近い形状。コンベンショナルタイプからいきなりカービングタイプに移行すると、一般的に習熟度が高い人程違和感を覚えるだろうが、こういったカービング初期のものはそれが少なくて済む。変なクセや引っ掛かりも無く、ある程度は素直に従うので操作性は良い方。ただ強めにエッジングしたときは勝手に回り込もうとしたりするので、「余計なお世話だなー」と思う時がある。奥での踏ん張りもそれ程しっかりしてはいないので、飛ばさずにエッジに乗ってスキー任せで滑るときに使う。ミズノ D−modeHEADより5cm長いオールラウンドタイプ。構造はベーシックなタイプで、木芯にCFRPをラミネートしたもの。トップエッジにはアルミ合金が使われていて、今となってはとてもコストの掛かる製法。先端付近にチタンの薄板を埋め込んでスタビライザーとしての機能を持たそうとしているが、どういったメリットがあるのかは不明。乗り味は全てがマイルドで全く特徴の無い穏やかなもの。でも明確に曲がろうとする意志を板に伝えないと自動的には曲がってくれないので、カービングに慣れた人には合わないだろうなー。
旧き佳き時代を思い出させる滑走感覚は泣かせる。気負わずに景色でも眺めながら「のほほーん」としたスキーを楽しめる。
芯材がFRPのボックスチューブだったりウレタン系のキャップスキーだったりすると、品質にバラツキが少なく、低コストで経年変化にも強いスキーが出来て良いのだが、それだけにスキーヤーの技量や体格に合わせたカスタムメイドはまず無理だろう。その点ではこういうベーシックな構造の板は狙った性能が出しやすい。Volkl P20 SL構造はミズノ同様ベーシックタイプで、同じく木芯にFRPをラミネートしたもの。トップエッジはプラスチック製。現在のレースシーンの様にカービングタイプが主流になる以前のスラローム用レースモデル。サイドカーブはHEAD CYBER 24X より緩く、ミズノ D−mode より僅かにきつい。曲げ剛性、捻り剛性共に強めでレーシングモデルを感じさせる。しっかりした信頼感のある乗り味は斜面や雪質を選ばないし、秀逸なのはエッジングの強弱に対するホールド感の増減がとてもリニアリティーに富んでいることだ。
これは人間の感性にシンクロして時々スキー板の存在を忘れさせる程従順。こういうスキーでないと下地がコブコブのシュカブラの斜面なんか滑る気にはならないのだ。
ということでこれはちょっと真面目にすべる時に使う。

10年以上前だと思うけど、これと良く似たと言うか、はるかに凌ぐスキーに乗ったことがある。それは ロシニョール 7X−K(ケブラー) 200cm GSモデル。これはヤマハがまだスキーを製造していた頃 ”プロトTT(ツインチューブ)” というキャップモデルのプロトタイプをテストしていた時比較試乗用に乗った物。
ロシの他にも数社のトップエンドモデルを比較用に用意していたのだが、どれもどんぐりの背競べ。ロシ7X−Kはその中ではずば抜けて好印象だった。もし今でもこの”7X−K”を持っている人がいたら大切にした方がいいですよ。カービングスキーもある程度普及し、「これが普通のスキー」と言われても違和感が薄れてきたのに、グダグダと長いスキーの優位性を説くのは疲れる。
こういう時代だから何を使っても大いに結構だが、忘れてほしくないのは道具は変化しても「カービング」なんてかつてのテレマークからアールベルグへの画期的エボリューションに較べれば、とても「進化」と呼べるようなしろものじゃないということ。このことははゲレンデのスキーヤーを見れば一目瞭然。
古い道具でも良いものは今でも良いのだ。











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