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<長野県弁護士会所属>
    弁護士  轟 道弘

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担保とは

 一般に、「土地が抵当に入っている」とか、「担保がなきゃお金は貸せない」とかいう言葉を聞きます。ではその「担保」とはなんでしょう? そして担保の種類としてはどんなものがあるのでしょう?
 担保とは、主に金銭債務について、当初の約定通りに履行がなされないときに、その履行に代えて、債権者が担保として提供を受けた物について一方的に換価し、債務の弁済に充当する権利もしくはその目的物を意味します。前者を担保物権、後者を担保目的物(担保物件)といいます。 また、債務について、連帯保証人をつけることも広い意味での担保と言えます。債務者が履行しない場合に、保証人に請求できるのですから、債務の実現を確実にする目的という点では同じことです。

 たとえば、AさんがBさんに100万円の融資を申し入れたとします。しかしBさんとしては、Aさんが確実にその返済をしてくれるかどうか心配です。そんなときには、Aさんが自己の所有する不動産などについて、Bさんに抵当権などの担保物権を設定して、それを担保とします。そうすると、Bさんとしては、もしもAさんが約束どおりの返済をしない場合でも、その担保目的物である不動産を換価することにより、優先的に債務の弁済に充てることができることになり、確実な貸し金とすることができるのです。
 担保物権のない場合でも、債権者は債務者が履行しない場合には、判決を得て、債務者の財産に強制執行できることに変わりはありません。しかしその場合には、Aさんに対する債権者が他にあり、Aさんの唯一の財産である不動産の価額のみでは全ての債権の弁済に足りない場合には、目的物の換価による金銭は、各債権者の有する債権額の割合に応じて按分して配当を受けるに過ぎないことになります。しかし、抵当権などの担保物件を得ていれば、その債権者は、自分が優先的に弁済を受けることができます。ここに担保物権の大きな価値があるのです。また、担保物権のない場合には、債権者に知らない間に債務者が目的物を勝手に処分することもあります。もちろん債権者はその物件について強制執行することはできなくなります。しかし担保物権を設定していれば、たとえ目的物が第三者の所有となっても、なお債権者は目的物を換価し、優先的に弁済を受けることができます。
担保の種類

 一般的には質権、抵当権、根抵当権、仮登記担保などがあります。

 
1.質権 動産(不動産以外の有形財産)において多く用いられます。少額の借金をする場合に、債務者の動産を債権者に交付し、もしも債務者が約束通りの履行をしない場合には、その動産を債権者が売却し、もしくはそれを債権者固有の財産とすることにより債権の満足を得ることのできる権利です。なお、この権利を設定する場合には、必ず目的物を債権者に現実に交付することが必要です。
 質権は、不動産にも設定することができます。後述する抵当権とは異なり、不動産質権の場合には、債務者は原則として債務の完済されるまで、目的物の使用をすることができなくなります。債権者は債務の弁済あるまでは目的不動産を使用・収益できます。その不動産を他人に貸している場合には、その賃料は質権者が受領することになります。
 質権の特色として、債権を目的とすることができます(債権質)。後述の抵当権などは債権を目的とすることはできませんので、実社会では質権の利用はこの債権質が多いかもしれません。テナントの有する大家さんへの保証金返還請求権などに質権を設定する場合、賃借権を目的とする場合などがその代表例です。
2.抵当権  一般的には不動産を目的として設定します。その土地の使用・収益は債務者(所有者)が継続して行い、債権者は債務者が約束通りの履行をしない場合にはその不動産を換価し、その金銭より優先して弁済を受けるものです。上記の質権とは異なり、債務者は不動産の使用収益を継続できる点が特色です。住宅ローンなどにおいて多く用いられます。なお、抵当権は登記しなければ大きな効力はありません。他の債権者、物権者に優先する効力が弱くなるからです。
3.根抵当権  抵当権の一種ですが、特定の債権を担保するものではなく、限度額を定め、一定の範囲にある複数の債権を担保することができるのが特色です。反復して同種の取引をする金融機関と顧客との間などで多く用いられます。その運用・管理には専門的知識が要求されます。
4.仮登記担保  金銭消費貸借契約を締結するにあたり、債務者が約束通りに履行しない場合には、金銭の支払いに代えてその不動産を債権者に所有権移転する契約を締結します(条件付代物弁済契約)。その契約をもとに債務者である不動産所有者から債権者への条件付所有権移転仮登記をするものです。債権者にしてみれば、債務の履行のない場合には、面倒な裁判手続きを経ることなく代物弁済を得ることができますし、仮登記することにより、担保権の存在とその優先権を公示できる点で最も確実な担保と言えるでしょう。仮に他の債権者が強制執行の申し立てをした場合でも、仮登記の優先性により他の債権者に優先して弁済を受けることになります。抵当権の場合でもこの点は変わりません。
第三者との関係
 
 抵当権が設定されている不動産を購入したいと考えている場合には注意が必要です。所有者が変わっても、その不動産上の抵当権などの担保物権は消滅しません。もしも購入後に債務者が弁済せず、担保権が実行された場合には自分の所有権が消滅することになります。
 賃借権や地上権の設定を受ける場合でも同じことになります。
保証人

 債務について保証人をつけるというのも担保の一種です。これは上記の様な物を目的とした物的担保に対して人的担保といいます。保証の効果は物的担保の場合と似ていて、債務者(保証人に対して特に「主たる債務者」と呼ばれます)が約束通りの弁済をしない場合に、債権者は保証人に対して債務者に対するのと同じ内容の履行を求めることができます。もちろん保証人がその弁済を履行しない場合には保証人の財産に強制執行することもできます。言い換えると、保証人をつけるということは、保証人の有する総財産を担保に取ることだと言うこともできます。とは言え、債権者が保証人の財産より弁済を得るには、裁判所の関与による換価手続が必要となります。
 なお、世の中の保証のほとんどは連帯保証です。連帯保証とは、保証人が主たる債務者と並んで、ほとんど債務者と同じ義務を負担するものです。債権者は通常主たる債務者に請求するでしょうが、別に主たる債務者に請求することなく、随意に保証人に債務の履行を求めることもできます。とても強力な担保ということができるでしょう。
 言うまでもなく、軽率に保証人となることは慎みましょう。保証とは「つきあい」の問題ではなく、自己が「義務」を負担するか否かの問題なのです。。
 身に覚えのない保証債務の履行を求められた場合には、迷わずに専門家に相談しましょう。当事務所でもこのような相談は多く扱っています。