お 寺 の 建 物 (索引)

なまえ 本文 代表的寺院
がらん
伽藍
もともとは寺院や僧院の意味だが後に建物も指すようになった。中国では、金堂、講堂、塔、
鐘楼、経蔵、僧坊、食堂を完備した寺を、七堂伽藍と呼んだが、日本では、どの建物を七堂
伽藍とするかは、宗派によって異なる。
法隆寺(奈良)
薬師寺(奈良)
しちどうがらん
七堂伽藍
寺院の中でより重要とされる七つの伽藍のこと。宗派によって異なるが、通常
   @塔(とう) A金堂  B講堂 C鐘楼(しょうろう) D経蔵(きょうぞう) E食堂(じきどう) F僧房(そうぼう)の七つ。
禅宗の場合は
   @三門   A仏殿  B法堂(はつとう) C僧堂  D庫院(くいん)  E東司(とうす) F浴室 の七つ。
法隆寺(奈良)
永平寺(福井)
三門
山門
禅宗の寺院の正面の門のこと。三門とは、三解脱門(さんげだつもん)(空門 ・無相門 ・無願門)で、仏
国土に入るにはこれを通らなければならない。このことから俗人が仏門に入ることを、三門に入
るともいう。また、貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)の三煩を解脱する境界の門ともいう。山門とは三門の異称。
他宗派寺院では中門に当たる門。また、禅宗で言う総門とは、他宗派の南大門に該当する。
但し、京都知恩院(浄土宗)の三門のような例外もある。
南禅寺(京都)
  石川五右衛門で有名
ろうもん
楼門
二重門
どちらも二階建ての門だが、初層が縁になっているものを楼門、屋根になっているものを二重
門と言う。
楼門 東大寺中門
二重門 東大寺南大門
やつあしもん
八脚門
よつあしもん
四脚門
八脚門とは、4本の親柱の前後に4本ずつ合計8本(親柱を除く)の側柱がある門。門の両脇に仁
王像や二天像を安置することが多い。また、2本の親柱の前後に2本ずつ合計4本(親柱を除く)の
側柱のあるのが、四脚門。八脚門よりやや格が落ちる。
八脚門 東大寺転害門
法隆寺東大門
四脚門 東大寺法華堂門
新薬師寺南門
梵語のstupaを音訳した「卒塔婆」を略したもの。仏舎利(仏の遺骨)を安置する為の建物。インド
で土饅頭の上に相輪(五重塔の一番上)を建てた形が、中国で木造や石造の多層塔になり、日
本もそれを踏襲した。
法隆寺(奈良)
薬師寺(奈良)
多層塔 三重塔や五重塔のように、屋根が何層にも重なっている塔。層の数は奇数と決まっている。
十三重塔は、殆どが石塔だが、木造では唯一多武峰(とうのみね)談山(たんざん)神社にある。また、木造
の七重塔、九重塔、十一重塔も有ったが、現存していない。
談山神社(奈良)
法隆寺(奈良)
薬師寺(奈良)
東寺(京都)
般若寺(奈良) 石造十三重塔
多宝塔 多宝如来を安置した塔。三間四方の方形の下層と円形の上層からなる二重塔のこと。下層が五
間四方からなるものは、大塔と呼んで区別する。釈迦が法華経を説法中に多宝塔が現れ、中に
いた多宝如来が半座を開け、釈迦に譲ったと言われることに由来している。
吉田寺(奈良)
石山寺(滋賀)
相輪塔 多層塔や多宝塔の屋根の上に建てる相輪に柱をつけ、地上に立てた塔。下に法華経や大日経
などが納められている。
延暦寺(京都)
輪王寺(日光)
こんどう
金堂
本堂
仏殿
中堂
そのお寺の本尊をまつるお堂。古くは金堂と言ったが、平安時代後期からは本堂が一般的にな
った。禅宗では仏殿、天台宗では中堂という。
法隆寺(奈良)
薬師寺(奈良)
講堂
はっとう
法堂
仏法の講義や法会(ほうえ)を行うお堂。金堂に次いで重要な建物。禅宗では法堂(はっとう)とよばれ
る。
法隆寺(奈良)
永平寺(福井)
僧堂

禅宗で僧侶の育成機関。修行者(雲水)が朝昼の食事や夜の睡眠など集団生活を行いながら
修行する場。雲堂とも呼ばれている。

 
しょうろう
鐘楼
時刻を告げるための鐘を吊るす建物。古くは楼造りが多かったが後、柱に屋根を載せた物へと
変わっていった。
法隆寺(奈良)
唐招提寺(奈良)
きょうぞう
経蔵
経典を収納する建物。古くは楼造りが多かったが、唐招提寺のように、校倉造もある。
また、内部に経本を収めた八角形の回転する輪蔵の経蔵もある。昔の民衆は文字を読めない
人が殆どだったので、念仏を唱えながら輪蔵を回転させることで収められた一切経を全部読ん
だものと同じ功徳が得られるという。
唐招提寺(奈良)
安国寺(岐阜)
庫院
くり
庫裏
本来は禅寺の台所をさし、寺務所と客殿を備えたものを大庫裏、台所だけのものを小庫裏と呼
んで区別する。現在は、お寺の台所又は住職とその家族が住む建物の事を言う。
永平寺では二百名以上の雲水がいる上、全国から宿泊に来る多数の参拝者の為に、僧堂に
出される正式な食事や仏さまにお供えする食事を作る「大庫院」と、修行僧や参拝者むけの精
進料理を作る「小庫院」にわかれている。守護として韋駄天が祀られている。
妙法院(京都)
永平寺(福井)
じきどう
食堂
斎堂
僧侶たちが食事を採る堂舎。多くは本堂の東廊に続き、堂内に賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)または
文殊菩薩を安置する。禅宗では斎堂という。これも塔頭(たっちゅう)の成立に伴い造られなくなった。
万福寺(京都)
  一度に300人が
  食事出来る広さ
そうぼう
僧房
僧侶が住む建物。僧坊とも書く。子院や塔頭(たっちゅう)の成立に伴い姿を消した。 唐招提寺(奈良)
とうす
東司
お寺の便所のこと。西浄ともいわれる。禅宗では、重要な修行の場と言われる。烏蒭沙摩明王
を祀る。
酬恩庵一休寺(京都)
浴室 室町時代の浴室は、今日のようなお風呂ではなく、蒸し風呂(サウナ)です。禅宗では入浴も修
行で、厳しい作法が決められていたようです。
東福寺(京都)
方丈 禅寺の住職が住む建物。維摩経の主人公である維摩居士(ゆいまこじ)が一丈四方(畳四畳半の広
さ)の部屋に住んだ。というのが名前の由来。
南禅寺(京都)
  小堀遠州作の庭園
開山堂 その寺の開山や宗派の開祖の像、位牌を安置する建物。祖師堂、御影堂、大師堂と呼ばれるこ
ともある。
東大寺(奈良)
  良弁を祀る
たっちゅう
塔頭
大寺の内に有る小院、子院。脇寺。禅宗で、祖師高僧の死後に、その弟子が、師の墓塔のほ
とり(頭)、やその敷地内に建てた小院で、その徳を慕ったのが本来の意。
大仙院(京都)
  大徳寺の塔頭