邂逅2ナギと剣士



少年は、木の上で器用に寝転がっていた。
「おい、そこのガキ、ちょっと道を教えてくれねぇか?」
若い男の声がして、少年はちらり、と足元を見る。
枝の隙間から見えたのは、腰に剣を帯びた男の胸元、鍛えられていそうな体格、足元。
あいにくと、顔は枝に隠れている。
ただ、きっと自分より強い奴だという判断はついた。
真下に来るまで、少年は気付かなかったのだから。
「………」
「この近くの一番でかい町は、どっちにある? 都があれば、最高なんだけどな…」
「……南」
「南、ね。そりゃ、どっちだ?」
「………」
少年は、黙ったまま、枝から垂らしていたつま先を南に向けた。
「ん? ああ、わかった。無口なガキだな」
剣士が苦笑するのがわかる。
特に少年に対する殺意は感じられない。
少年は、あまり期待せずに片手を差し出した。
「…礼」
「ちゃっかりしてるな、ほらよ」
差し出した手の上に、市場で売っている様な上等な果実が一つ、乗せられた。
少年は、ちょっとびっくりして、剣士を見る。
頭からフードをかぶっている剣士は、木の上から見ても笑っている口許しか見えなかった。
「なんだ、不満か?」
「…べつに……」
「どうせ、カネ渡しても、お前みたいなガキ、取り上げられて終わりだろ?」
剣士は、少年が山賊の一味だと判っているらしい。
「じゃな」
指し示した方向へ歩きだした剣士に、少年が言う。
「…行けば、崖がある。右が回り道…」
「おう。ありがとよ」
背中を向けた剣士は、手を振って去っていく。
隣の隣くらい遠い街の山賊が、若い剣士に手出しして全滅した、という噂があった。
なんとなく、あの剣士かもしれない、と思いつつ。
少年は黙って、果実を噛った。





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邂逅5剣士とロイ家族と海賊王へ