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第二話「出陣! 九龍大帝!!」へ

 

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  第三話 「侵攻! 卑劣怪人!!」

シーン1

ワーズワース:「・・・・・・」

 ワーズワースはただ黙って目の前の画面を見つめているだけのように見えた。しかし、その画面に次々と現れていく文字列は、コードでつながったワーズワースの脳から紡ぎ出されるものだった。

メアリ:「あまり根を詰めすぎるとお体に毒ですよー」

 傍らからメアリがコーヒーを差し出す。

ワーズワース:「…ああ…。そうだな」

 コードを引き抜いたワーズワースは、深く息をついてカップに口を付ける。
 別にワーズワースはコーヒー党ではなかったが、メアリはたまについうっかり、飲むと巨大化する紅茶を淹れてしまうので油断がならないのだ。それに、酷使した脳にもう一度気合いを入れ直すためにカフェインがほしいところでもあった。
 思わぬ敵の出現。そして連戦連敗。軍師たるワーズワースの頭痛の種が尽きることはなかった。ついにはプライドをかなぐり捨て、インド方面軍…否、今はインド攻略を終え南アフリカ方面軍となったダグダに援軍を要請することを決意したところだ。そのために、突如出現した敵…クーロンレンジャーのデータをまとめているのだが、未知数の部分も多く作業は難航していた。

ワーズワース:「…オスカーは?」
メアリ:「さあ?」
ワーズワース:「相変わらず…いや、今更か」

 オスカーが勝手な行動を取るのは昨日今日に始まったことではない。そもそも、最初に出会ったときだって、どこからともなく姿を現し「力を貸してやろう」などと言い出した、正体不明の怪人物だったのだから。志を同じくさえすれば来る者は拒まぬ真英帝国でなければ、彼を受け入れたりはしなかっただろう。

メアリ:それから、グランドジェントリが勝手に出て行ったようですけれど」
ワーズワース:何だと?」

 グランドジェントリは、一般兵であるジョンブルの1人が力を付け、上位にのし上がったジェントリだ。叩き上げだけあって野心にあふれ、このような独断専行も珍しくはなかった。今まではそれで抜け駆け的に功をなし、それでまた地位を得てきたのだ。

ワーズワース:「…まあ、いいだろう」
メアリ:「また、様子を見ますか?」
ワーズワース:「今は奴になどかまっている暇はない。万一のことがあれば、お前が何とかしてやれ」
メアリ:「わっかりましたー」
ワーズワース:「…私は作業に戻るよ」
メアリ:「はいっ、お疲れ様ですー」
 

シーン2

RL:というわけで、場所はクーロンレンジャーひみつきち。
颯天:いつのまにできたんだ、秘密基地(笑)
RL:いつのまにか(笑)。さて、別に何か事件とかがあったわけじゃなく、なんとなく寄ってみたら他の連中もいた、って感じの状況だ。
颯天:今日の仕事がなかったんだな、きっと(笑)
天藍:じゃあ、九龍娘さんたちと、コレットとお茶をしてようっと☆
RL:と、誘おうと思った天藍はびっくり。コレットが、部屋着でなく、なんと外出着を着てるぞ。その隣でいつもはあまり見かけない九龍の1人がおろおろしてる。
天藍:「コレット……。いつの間に、元気になったの?」
颯天:「身体を鍛えるのは健康になってからのほうがいいぞ。無理をしても余計悪くするだけだ」
ユィン:「む、無理しないで下さいコレットさん。そんな、外に行くだなんて…」
ジァン:「別に、無理ではないでしょう…。私たちも同行すればいいだけのことですから…」
天藍:「……何が、あったの?」
スイヨウ:「どうも、こういうことらしいですよ…」

 九龍の1人スイヨウと、コレット自身からの状況説明によると、今の有様になる前から、コレットは体がかなり弱かったらしい。
 当然、定期的に通院をしていたのだが、彼女のかかりつけの医師がかなり親身な人で、通院を欠かすと、心配して連絡をくれるのだそうだ。
 今回のこの一件で、コレットはだいぶ長いこと医者に行っていない。

颯天:善意で言ってくるだけにタチが悪いなぁ。
チェスター:往診はないのか往診は(笑)
RL:来るのか? ひみつきちに(笑)
天藍:「来ないわね、ひみつきちじゃ」(ぼそ)
チェスター:ひみつきちのバカヤロー
天藍:「いっそ、救急車でも呼んで……ってわけにも、いかないか」

 今までに何度も連絡が来て、そのたびごとに鳳大人やコレット自身が誤魔化していたが、、今のコレットは見た目も声も前以上に不健康になっている。死にかけているのだから当然だが。
 鳳大人だけが出ても、コレットが出ても、先生の心配は増すばかり。

天藍:「困ったわね……」

 コレットとしても、お世話になり続けだった先生をずーっと心配させ続けで放っておくのは心苦しいので、無理して行くことにした。
 コレットの延命をしてくれてる3人に相談したところ、人間の医学で調べたら、一応、コレットの体はぜんぶマトモに機能してるように見える、はず、らしい。

颯天:行ったはいいが、そのまま帰って来れなくなるようなことはないというわけか?
コレット:「大丈夫ですよ、きっと」
天藍:「そこら辺は、龍脈のパワーで誤魔化すとして……」
チェスター:「まあ、三人がそう言うのなら大丈夫だろう」
ウォーロン:「でも、心配ねぇ」
リンチュン:「ユィンはともかく、ジァンは人間のことにかなり疎いですし、スイヨウは人間不信ですからねえ」
ウォーロン:「4人だけっていうのは…どうなのかしら?」
天藍:「そういうことなら、お付き合いしても、いいわ」
颯天:「遠まわしに俺たちについていけと言ってるのか、それは。かまわんが」
チェスター:「問題ない」
天藍:「今日はいいお天気だし」(←意味不明)
コレット:「すいません、ご迷惑をおかけします」

シーン3

RL:というわけで病院。みんなは待合室。コレットはVIPだし、先生が最優先の予約を入れてくれてたので、ほとんど待たされない。
 で、検査の方も、ユィンたちがうまくやったらしく、無難に済んだようだね。
コレット:「ありがとうございました」
チェスター:「ま、取り越し苦労でよかったよ」
RL:それでも1時間ほどは待たされたけど、コレットは明るい顔で出てきた。何か血色がいつもよりいいぞ。
天藍:「コレットさえ良かったら、気晴らしに買い物にでも行きたいところなんだけど……」
颯天:「やつらが出てくるかどうか、だな……」まあ、コレットがまっすぐ帰ると言ってくれれば問題ないんだが。
天藍:「行きたいなー。買い物、行きたいなー」(ぼそぼそ)
チェスター:「ハッハッハ。というわけで今日の仕事はお嬢様のエスコートだ」つまり荷物持ちってわけだな。
RL:そんな具合に心配してる君たちをよそに、コレットはなんだか楽しそうだね。
 ついでに言えば、先生、君らがイメージしてたよりだいぶ若いぞ(笑)。
チェスター:え、先生って何歳ぐらいですか?
RL:30に届いたかどうか…くらいかな、見た目は。VIP看るにしては破格に若い。
チェスター:それってあれですか。龍脈の力を上回る恋心ってやつですか。
颯天:邪推すればいろいろ言えそうだが、言わないでおこう(笑)
天藍:「恋は、女の子の精神(こころ)の栄養になるんだよ」(くすくす)
RL:さて、どうだろうね?
 でだ。そんなこといろいろ考えてると、そこに別の人が。先生と同年代くらいの女性だな。小さい子供を連れてる。
天藍:……先生の奥さん?(笑)
女性:「劉くん、この間はありがとう、この子がお礼言いたいって」
RL:先生は劉先生っていうらしいな。
劉先生:「ああ、気にするなよ。医は仁術って言うだろ」
RL:とかなんとか。
コレット:「それじゃあ先生、私はこれで」
RL:別に、コレットに変わった様子は見られないけど。
 …さて、この場で何かしたいことはある?
颯天:別になさそうだな。何か怪しむ必然性もない。
天藍:ないですー。
チェスター:うーん。とりあえずなにもない。
RL:了解。では、その帰り道。聞きもしないのに、コレットはいろいろ話してくれる。

 途中で出てきた女性もお医者さんで、朱先生という。劉先生とは幼なじみとのこと。
 朱先生は、身寄りがなかったり障害があったりする子供を何人か引き取って、面倒をみているらしい。先程連れていた子供は別に朱先生の子というわけではなくて、そんな子供たちの1人のようだ。
 朱先生も医者だが、専門が整形外科なので、子供たちの具合が悪くなったりすると、劉先生を頼ったりすることもあるという。
 コレットは、劉先生を間に挟んで朱先生と知り合い、彼女のところにも遊びに行ったりしていた。自身が健康に恵まれていないコレットは、経済的・身体的なハンディキャップを持った子供たちを他人事とは思えず、援助もしていたらしい。

RL:とまあ、そんなことを道々話しながら帰る。
 ちなみに買い物はスイヨウにより却下された(笑)
天藍:「がーん!!」(笑)
颯天:コレットには悪いが、余計な心配せずにすんでよかったか。

シーン4

RL:その数日後。各々の生活をしている君たちの所に通信が。
天藍:「……!」
コレット:「みっ、皆さんっ! たたた大変ですっ!!」
RL:こんなにあわてたコレットの、それも大声というのは、君たちは聞いたことがなかった。
颯天:「とりあえず、落ち着いてから説明してくれ」
天藍:「そう。まず、息を大きく吸って、吐いて、深呼吸。……落ち着いた?」
コレット:「先生がっ…朱先生と子供たちがっ…!! ハアッ、ハアッ…ごほっげほっ」
天藍:「だっ、大丈夫?!」
RL:ブレスレットからはゼエゼエという苦しそうな呼吸音がしばらく続く。
コレット:「朱先生の医院は…小龍鎭の…」
RL:なんとか、場所だけは言って、また苦しそうな呼吸音。
チェスター:「よし、いそごう」
天藍:「何かあったのね? わかったわ。……すぐ行くから」

RL:コレットに言われた場所に行ってみると、そこはひどい有様に。一言で言えば「できたて廃墟」だな。
颯天:「こりゃひどい」
RL:残骸の中に医療器具が散見してるから、辛うじて医者だったんだろうなあ…とはわかるが…。
 朱先生の姿も、コレットが言っていた子供たちの姿もないな。
天藍:「攫われたのかしら?」
RL:ただ何人か、周囲に人が倒れている。
チェスター:助け起こしつつ、「なにがあったんだ」と
被害者:「うう…わ、わからねえ…。いきなり、医者がぶっ壊れたんだ…」
颯天:「これは、やつらのしわざ、なのか? 詳しく聞いてないんだが……」
被害者:「その中から、先生と子供たちが、何かにぶら下がってるみてえに、宙に浮いて出てきた…。何かと思って近寄ってみたら、いきなり見えない何かに吹っ飛ばされて…何が何やら…」
天藍:「どっちに行ったか、分かる?」
被害者:「すぐに、気を失っちまって…」
颯天:「事態の異常さからいって、やつらなんだろうが。目的が見えないな。整形外科医と世話になっている子供、さらって何の得が?」
天藍:「……あまり、想像したくないんだけど。整形外科医なら、傷の手当てや変装、サイバーウェア手術に重宝するし、子供だって、いろいろ使い道は、あるでしょ?」
チェスター:「せめて手がかりでもあれば…」
フェイ:「コレットに探してもらうしかないんじゃないの?」
チェスター:「コレット、なにかわからないか?」
コレット:「…はあ…はあ…みなさん…。場所…わかりました…。
 おねがいします…朱先生と子供たちを、助けてあげて下さい…。
 私だって、おじいちゃんの孫でなければ、あの子たちと同じ境遇になっていたかもしれない…。そんなあの子たちを助けてあげていた朱先生を…わたし、尊敬しています…。
 それに、朱先生は…劉先生の、大切な、人なんです…!!」
RL:コレットは、敵の居場所を教えてくれました。
チェスター:「よし、あとはまかせろ」
天藍:「そうね。安心して、コレット」

シーン5

RL:コレットに聞いた場所に行ってみると、ジョンブルたちが一斉に君たちの方を振り向いた。
グランドジェントリ:「ようやく来たかクーロンレンジャー」
RL:そしてグランドジェントリの前から、子供の悲鳴。
天藍:「何てひどい事を。……それでも貴方、紳士のつもり、なの?」
グランドジェントリ:「何とでも言うがいい。どのみち貴様らはここで死ぬのだからな」
RL:グランドジェントリがそう言うと、子供たちが君たちにじりじり近づいてきた。
子供たち:「助けて! 助けてえ!」
颯天:「な、操られてるのか?」
RL:見ると。子供たちには蜘蛛を象ったような機械がくっついている。
チェスター:「卑怯者め!!」
グランドジェントリ:「この女は実に役に立ったぞ。義肢の技術に長けていたからな。
 
俺はマドジェントリとは違う。機械で操っていれば、龍脈の力に破られることもない」
RL:朱先生は首のコネクタに何かコードをつながれてる。朱先生を操るのだけ、邪悪な力を使っているようだな。
グランドジェントリ:「ガキどもの体は一切手を付けておらん。助けられるかもしれんぞ? お前らが傷つけなければな」
颯天:子供たちを無理やり突破はできなさそうだしなぁ……
リンチュン:「…気を付けて下さい。ただ、操っているだけではないと思います。
 …子供たちを操っている、あの機械。恐らく、ヘタをすると爆発します」
チェスター:「なんだと!!」
颯天:「それはやっかいな」
天藍:「じゃあ、ヘタをせず壊せばいい、でしょ?」
グランドジェントリ:「できるか? 人間機雷5体を?」
天藍:RL、《天変地異》を使用して、子供たちに付いている機械を、静電気で動作不能にするって可能ですかー?(笑)
颯天:とりあえず、三人までなら失敗してもおっけー。……いや、じょーだんですよ、あくまでも(笑)
RL:…それそのものは可能だけれど、操られている朱先生の《タイムリー》が飛んでくる。
天藍:なんと(笑)
チェスター:「ここはやはり朱先生をなんとかするしかない」
颯天:場所的にはどんなところですかね。何とか子供たちを避けて、先生とかジェントリとかに接敵できないですか?
RL:先生やジェントリに接敵するなら、移動系の判定で15以上なら囲みをかいくぐれるよ。
颯天:それで先生を何とか助けるしかなさそうだな。
チェスター:「ジェントリをなんとかできれば、先生も元に戻るだろう」
リンチュン:「彼女を操っているのは、あのコードですっ!」
天藍:「分かったわ、ありがとリンチュン」
RL:ああ、そうそう。18以上の達成値なら、囲みを破らなくても狙撃でコードぶち抜けるよ。
天藍:「……ここは、任せて! クーロン・チェンジ!!」
チェスター:「援護は任せろ クーロンチェンジ!」
颯天:「とにかく、人質を取るような卑怯なやつには負けん! クーロン・チェンジッ!」
RL:判定どうぞ。
天藍:では、クーロンガンを盲撃ちしまーす(笑)。
「雷雲が無くても……、雨は降るわ」
 達成値25で、後で上から銃弾が落ちてきて、朱先生のコードをこう、ぶちッと(笑)。
「……駄目、やっぱり、撃てない」 と、うそぶいてみよう(笑)。
グランドジェントリ:「ふっはっは。甘い、甘いな」
RL:この際なんで、降ってくるところまでいっぺんにやっちゃって下さいな。
天藍:じゃあ、悦に入ってるグランドジェントリの耳元を弾丸が落ちていって、ついでに朱先生のコードも、ぶちっと(笑)。
朱先生:「あうッ…」
RL:先生気を失って倒れる。
グランドジェントリ:「な…なあっ!?」
RL:もう《タイムリー》はこないよ。
天藍:わぁい☆ では、すかさず《天変地異》で、子供たちについている機械も破壊しよう。
「フェイ! リンチュン! あたしに龍脈の力を貸して!
 風水符術、静・電・壊!!」ずばばばばばーん!!

シーン6

 天藍の声とともに、一斉に動きを止める子供たちの拘束機雷。

グランドジェントリ:「おのれ! かくなる上は!」

 子供たちを操れなくなったと知ったグランドジェントリは、倒れ込んだ子供の1人に跳びかかった。

グランドジェントリ:「抵抗するな! さもなくば…」
颯天:「とことん腐ったやつだな!」

 しかし次の瞬間、その場に新たな声がする。

声:「見苦しい真似も大概にしろ愚か者!」
天藍:「誰?!」

 声がした次の瞬間、グランドジェントリは金縛りにあったかのように動きを止めた。
 そこに、声の主が姿を現す。彼はグランドジェントリに捕らわれていた子供を抱えると、傍らにおろした。

声:「真英帝国の威信に傷を付けおって…」

 姿を現したのは、紫の法衣をまとった男だった。

グランドジェントリ:「ワーズワース…様…なぜ…」
ワーズワース:「貴様も誇り高き真英帝国のジェントリであるなら、自分の力で勝利を勝ち取ることだ。
 いや…。貴様などにジェントリの称号を与えた、私の不覚ということか…。
 せめて堂々と戦い、汚名をすすいで見せろ」
天藍:「……紳士的なのね。こっちの人とは違って」

 ワーズワースは天藍には一瞥をくれただけで、言葉を返しはしなかった。そしてそのままグランドジェントリにはもう目も向けようとせず、きびすを返す。

グランドジェントリ:「う…うおお!!」

 そんなワーズワースの態度に半狂乱になり、彼に跳びかかるグランドジェントリ。しかし…。

ワーズワース:「私との力の差もわからぬほど愚かか」

 グランドジェントリはワーズワースの無防備な背中に襲いかかったにもかかわらず、彼に触れることもできず、何かに阻まれたかのようにはじき飛ばされる。

ワーズワース:「せいぜい、クーロンレンジャーを倒してでも見せるのだな。さもなくば…貴様など不要」
天藍:「!」

 言い残し、ワーズワースは姿を消した。

颯天:「あれが敵の大将か。やってくれるぜ……」

シーン7

チェスター:「見捨てられたようだな。せめて一刀でカタをつけてやる」で、《死の舞踏》
RL:わ(笑)。ではいきなり《耐久》の影響下に(笑)。
颯天:早っ!(笑)
グランドジェントリ:「ぬう…う…」

チェスター:「いでよ、クーロン・ドライヴァー!」
颯天:「クーロン・ドライヴァー!」
天藍:「クーロン・ドライヴァー!!」
チェスター:ところで今日はだれが撃つ?
RL:のんきだなー(笑)
天藍:うーん、私はまだ狙い定めでいいし。ここは、主人公くんに(笑)。
RL:では発射どうぞ。
チェスター:了解。それでは「クーロン・ドライヴァー 発射!!」
グランドジェントリ:「ぐあああ!!」どかああぁぁん!!

 クーロン・ドライヴァーの直撃を受け、その場に崩れ落ちたグランドジェントリは、最後の力を振り絞り、息も絶え絶えに最後のチャンスにすがりつこうとしていた。

グランドジェントリ:「メ…メアリ…様…」

 声に答え、姿を現すメアリ。

天藍:「む。この前の紅茶娘」

 しかしメアリは姿を現したきり、グランドジェントリには近寄ろうともしなかった。先日、戦場のまっただ中に出てきたにも関わらずにこやかな明るい笑顔を満面にたたえていた彼女とはまったく別人であるかのような冷ややかな視線でグランドジェントリを見下すと、視線同様の冷たい声で、メアリは言った。

メアリ:「…あなたなんかに、わたし、お茶を淹れてあげたくありません」

 そうとだけ言い残すと、メアリもまたワーズワースと同じように、それ以上グランドジェントリを顧みようともせず、再び姿を消してしまった。

グランドジェントリ:「ああ…あ…」

 力無く延ばした手には、誰の手もさしのべられることはなく。
 グランドジェントリはそのまま力尽き、潔く散華することも許されず、無様に崩れ、朽ち果てていった。

颯天:「卑怯者にはふさわしい末路、だな」

シーン8

コレット:「ありがとう、みなさん」
RL:再び、ひみつきち。
コレット:「子供たちも、先生も、無事助かりました」
天藍:「ほんと、良かった、わ」
コレット:「…劉先生も、安心したと思います」
RL:コレットが、少し、複雑な表情を見せた…ような気がしたのは…三人の気のせい…だったのか。
 その本心は、コレット自身しか、知らない。

シーン9

 オスカーが戻ってきてみると、ワーズワースはかなりいらだっているようだった。
 メアリも、どことなく元気がない。

オスカー:何かあったのかな?ワーズワース卿。

 オスカーはどことなく楽しげだ。

ワーズワース:…どこに行っていた?
オスカー:なに、ちょっと探し物があってな。
ワーズワース:貴公の実力は認めるが…我々は幹部なのだ。無秩序な行動をとられては部下に示しがつかん。

 苛立ったままそう言うワーズワースだったが、そこにメアリが口を挟む。

メアリ:ワーズワースさま、今度のことは、オスカーさまのせいというわけじゃありませんし…。
ワーズワース:…わかってはいるが…。
メアリ:オスカーさまも。ジェントリの直接の指揮を執れるのは、オスカーさまだけなのですから…。オスカーさまなしでは香港攻略に支障を来すということを、わかって下さい。
オスカー:ああそうだったな・・・。楽しみができたから忘れてたよ。すまんな。

 そこまでは(珍しくも)真面目な顔をしていたメアリだったが、言うべきことを言ってしまうと、本来の性格が首をもたげてきたようだ。

メアリ:それで、「楽しみ」って何ですか?
オスカー:フッ、じきにわかるさ。

 オスカーの顔には不気味な笑みが浮かんでいる。

ワーズワース:あんなことがあった後だからな…。念のために言っておくが…。グランドジェントリのように、目的を見失うなよ。
 我々の目的は、あくまで征服。
 前にも言ったが…支配するべき対象を殲滅し、廃墟に凱旋しても、何の意味もないのだからな。
オスカー:わかっているさ、ワーズワース卿…。

 オスカーの笑みは消えてはいない。

ワーズワース:なら、いいが…。これ以上、閣下にご心配をかけるわけにはいかんのだ…。

ワーズワースは、自分たちを見下ろす位置にある壇の上に目をやった。

???:…!

そこにいた誰かが、身動きをしたように見える。

オスカー:フッ。
ワーズワース:(オスカーに視線を戻し)これ以上の失態は…殿下の落ち度になってしまう…。
 ダグダに援軍は頼んだが、我らクラウ=ソナスの手で香港を攻略できればそれにこしたことはない。
 卿に負うところは大きいのだ。
 力を尽くしてくれ、帝国と、クラウ=ソナスと、殿下のために…!
オスカー:ああ、クーロンレンジャーは俺が倒してやるよ。それと・・・・もな。

 言葉の最後の部分は、ワーズワースにもメアリにも聞き取れなかった。
 オスカーはそのままきびすを返し、その場を立ち去る。
 些細なことだったのかもしれないが…ワーズワースは、そのことがなぜか気になって仕方がなかった。

ワーズワース:殿下…。
???:ワーズワース…あの…。
ワーズワース:殿下、ご心配には及びません。このワーズワースにお任せ下さい。
 オスカーも、ああは言っても実力は折り紙付き。頼りになりましょう。

 ワーズワースは、自分に言い聞かせるように言う。
 壇上の何者かはなにか言いたげであったが、ワーズワースのその様子に、言葉を失ったようだった。

ワーズワース:(…もはや、これ以上の猶予はならぬか…)

【つづく】

コレット:「そんな! クーロン・ドライヴァーが!?」
???:「負けはせぬ! 帝国と我がジェントリの誇りにかけてッ!!」
オスカー:「フン…」
???:「つまらないな…この程度なのかい…クーロンレンジャーっていうのは…?」
ワーズワース:「奴は何を考えているっ!?」

次回「魔槍! 紫電一閃!!」お楽しみにっ!

   

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