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第二話「出陣! 九龍大帝!!」へ |
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シーン1
ワーズワース:「・・・・・・」 ワーズワースはただ黙って目の前の画面を見つめているだけのように見えた。しかし、その画面に次々と現れていく文字列は、コードでつながったワーズワースの脳から紡ぎ出されるものだった。 メアリ:「あまり根を詰めすぎるとお体に毒ですよー」 傍らからメアリがコーヒーを差し出す。 ワーズワース:「…ああ…。そうだな」 コードを引き抜いたワーズワースは、深く息をついてカップに口を付ける。 ワーズワース:「…オスカーは?」 オスカーが勝手な行動を取るのは昨日今日に始まったことではない。そもそも、最初に出会ったときだって、どこからともなく姿を現し「力を貸してやろう」などと言い出した、正体不明の怪人物だったのだから。志を同じくさえすれば来る者は拒まぬ真英帝国でなければ、彼を受け入れたりはしなかっただろう。 メアリ:それから、グランドジェントリが勝手に出て行ったようですけれど」 グランドジェントリは、一般兵であるジョンブルの1人が力を付け、上位にのし上がったジェントリだ。叩き上げだけあって野心にあふれ、このような独断専行も珍しくはなかった。今まではそれで抜け駆け的に功をなし、それでまた地位を得てきたのだ。 ワーズワース:「…まあ、いいだろう」 |
シーン2 RL:というわけで、場所はクーロンレンジャーひみつきち。 九龍の1人スイヨウと、コレット自身からの状況説明によると、今の有様になる前から、コレットは体がかなり弱かったらしい。 颯天:善意で言ってくるだけにタチが悪いなぁ。 今までに何度も連絡が来て、そのたびごとに鳳大人やコレット自身が誤魔化していたが、、今のコレットは見た目も声も前以上に不健康になっている。死にかけているのだから当然だが。 天藍:「困ったわね……」 コレットとしても、お世話になり続けだった先生をずーっと心配させ続けで放っておくのは心苦しいので、無理して行くことにした。 颯天:行ったはいいが、そのまま帰って来れなくなるようなことはないというわけか? |
シーン3 RL:というわけで病院。みんなは待合室。コレットはVIPだし、先生が最優先の予約を入れてくれてたので、ほとんど待たされない。 途中で出てきた女性もお医者さんで、朱先生という。劉先生とは幼なじみとのこと。 RL:とまあ、そんなことを道々話しながら帰る。 |
シーン4 RL:その数日後。各々の生活をしている君たちの所に通信が。 RL:コレットに言われた場所に行ってみると、そこはひどい有様に。一言で言えば「できたて廃墟」だな。 |
シーン5 RL:コレットに聞いた場所に行ってみると、ジョンブルたちが一斉に君たちの方を振り向いた。 |
シーン6 天藍の声とともに、一斉に動きを止める子供たちの拘束機雷。 グランドジェントリ:「おのれ! かくなる上は!」 子供たちを操れなくなったと知ったグランドジェントリは、倒れ込んだ子供の1人に跳びかかった。 グランドジェントリ:「抵抗するな! さもなくば…」 しかし次の瞬間、その場に新たな声がする。 声:「見苦しい真似も大概にしろ愚か者!」 声がした次の瞬間、グランドジェントリは金縛りにあったかのように動きを止めた。 声:「真英帝国の威信に傷を付けおって…」 姿を現したのは、紫の法衣をまとった男だった。 グランドジェントリ:「ワーズワース…様…なぜ…」 ワーズワースは天藍には一瞥をくれただけで、言葉を返しはしなかった。そしてそのままグランドジェントリにはもう目も向けようとせず、きびすを返す。 グランドジェントリ:「う…うおお!!」 そんなワーズワースの態度に半狂乱になり、彼に跳びかかるグランドジェントリ。しかし…。 ワーズワース:「私との力の差もわからぬほど愚かか」 グランドジェントリはワーズワースの無防備な背中に襲いかかったにもかかわらず、彼に触れることもできず、何かに阻まれたかのようにはじき飛ばされる。 ワーズワース:「せいぜい、クーロンレンジャーを倒してでも見せるのだな。さもなくば…貴様など不要」 言い残し、ワーズワースは姿を消した。 颯天:「あれが敵の大将か。やってくれるぜ……」 |
シーン7 チェスター:「見捨てられたようだな。せめて一刀でカタをつけてやる」で、《死の舞踏》 クーロン・ドライヴァーの直撃を受け、その場に崩れ落ちたグランドジェントリは、最後の力を振り絞り、息も絶え絶えに最後のチャンスにすがりつこうとしていた。 グランドジェントリ:「メ…メアリ…様…」 声に答え、姿を現すメアリ。 天藍:「む。この前の紅茶娘」 しかしメアリは姿を現したきり、グランドジェントリには近寄ろうともしなかった。先日、戦場のまっただ中に出てきたにも関わらずにこやかな明るい笑顔を満面にたたえていた彼女とはまったく別人であるかのような冷ややかな視線でグランドジェントリを見下すと、視線同様の冷たい声で、メアリは言った。 メアリ:「…あなたなんかに、わたし、お茶を淹れてあげたくありません」 そうとだけ言い残すと、メアリもまたワーズワースと同じように、それ以上グランドジェントリを顧みようともせず、再び姿を消してしまった。 グランドジェントリ:「ああ…あ…」 力無く延ばした手には、誰の手もさしのべられることはなく。 颯天:「卑怯者にはふさわしい末路、だな」 |
シーン8 コレット:「ありがとう、みなさん」 |
シーン9 オスカーが戻ってきてみると、ワーズワースはかなりいらだっているようだった。 オスカー:何かあったのかな?ワーズワース卿。 オスカーはどことなく楽しげだ。 ワーズワース:…どこに行っていた? 苛立ったままそう言うワーズワースだったが、そこにメアリが口を挟む。 メアリ:ワーズワースさま、今度のことは、オスカーさまのせいというわけじゃありませんし…。 そこまでは(珍しくも)真面目な顔をしていたメアリだったが、言うべきことを言ってしまうと、本来の性格が首をもたげてきたようだ。 メアリ:それで、「楽しみ」って何ですか? オスカーの顔には不気味な笑みが浮かんでいる。 ワーズワース:あんなことがあった後だからな…。念のために言っておくが…。グランドジェントリのように、目的を見失うなよ。 オスカーの笑みは消えてはいない。 ワーズワース:なら、いいが…。これ以上、閣下にご心配をかけるわけにはいかんのだ…。 ワーズワースは、自分たちを見下ろす位置にある壇の上に目をやった。 ???:…! そこにいた誰かが、身動きをしたように見える。 オスカー:フッ。 言葉の最後の部分は、ワーズワースにもメアリにも聞き取れなかった。 ワーズワース:殿下…。 ワーズワースは、自分に言い聞かせるように言う。 ワーズワース:(…もはや、これ以上の猶予はならぬか…) 【つづく】 |
コレット:「そんな! クーロン・ドライヴァーが!?」 次回「魔槍! 紫電一閃!!」お楽しみにっ! |