国立長野病院循環器科
これからカテーテルアブレーションを受ける人のために
最終更新日:平成17年05月08日
 
国立長野病院
 
 
「ギリシャ神話と日本神話」
先日OlympicのSoccer観戦でAthensへ旅立った。せっかくなので、ホメロスのオデッセイでも飛行機の中で読みながら行こうと思ったが、購入が間に合わなかったので、ギリシャ神話に関する本を2冊購入し、読んでみた。読んでいるうちに、その人間臭さ、欲望、享楽や世の中(日本の古典文学では男女の関係をこう称する)の面白さ、どろどろしたものに唖然とした。とても、神様のなせる業ではない!。 それならば、我が国神話はどうなのかという疑問が頭に去来した。外国を旅行する度に、日本を愛しているのかも知れないと感ずる。私の信州大学教養部時代のイタリア人英語教官が、移民は、貧困がなせる業と言った事を思い出す。これだけ世界のGlobalizationが進み、情報が瞬時に得られる現代で、世界の人々が住んでいる自国より、豊かな他国は、たくさんある筈である。言葉、生業を得る、生活習慣を身に就ける、Nationalityを獲得する等移民した場合の困難さは、厳しいものがあろうが、やはり、それらに耐えられる若いうちに行動を実行しないと駄目なのか? 話が横道にずれたが、元に戻すと、日本神話に関する教育は、小生が受けた戦後義務教育ではなかったし、せいぜいアニメーション映画で須佐之男命(すさのおのみこと)や八岐大蛇(やまたのおろち)を見ただけである。日本神話に関する本も2冊購入し、読み比べた。以下の文章は、それらに基づいた、小生の独断と偏見である。

ギリシャ神話は、Chaos(混沌)とその後の神々の天上から地上への移動(日本神話での天孫降臨)から始まる。オリンポスの12神の頂点に君臨する神ゼウスは、浮気ものであったと言う。日本も古代は、一夫多妻制度であったので、天照大御神(あまてらすおおみかみ)も多妻であったろうに、日本神話には、浮気の“う”の字も出てこない。他地域との戦争で勝利し、征服者の家族を妻として迎えたり、政略結婚などで他地域を支配したりしながら、漸次、所謂“王”となっていく過程で、支配者、権力者“王”の周囲には、家来が集まり、子孫を絶やさない、増やす存在としての妻の数も増えていく。これは、人類否動物共通の現象であり、それらの過程を集めた逸話のなかには、面白い、寂しい、浮いた話もあるのは、当然である。それらを権力者が纏めたものが、神話である。ただ、それを端的に、正直に、率直に表現するか否かなのである。民族性―ラテン民族は陽気である。人生を楽しむために、仕事し、毎日を生活している。朝早く起きるものの、シエスタ(要するに昼寝である)し、そのぶん夜晩くまで生活を楽しんでいる。イソップ寓話のアリとキリギリスの話に喩えれば将にキリギリスであるーの差に帰結してしまえばそれまでである。

中国の儒教的倫理観念に影響された日本神話や、世の中や男女関係に抑制的キリスト教的観念では、全く理解不能である事実を、以下、具体的に述べる。ミノスの王女パーシパエが牡牛と交わり牛頭人体の怪物を生んでしまった話、夫殺しの話、近親相姦の結果生まれた不義の息子アドニスの話、エディプス、エレクトラ complexで有名な実の父や母と不倫の関係を結んだり、殺してしまう話、実の血を分けた子供を惨殺してしまう話などとても神様のなせる業ではない。地上の人間もやってはいけない事と考えられるが、それも、倫理観念に縛られた人間の考える故なのか?それとも、それが、人間の性なのか。 それぞれの国の神話を、誰が編集し、体系立てて、文章として記述し、記録に残したかにより、当然のことながら、その内容は正反対の、天と地との違いのある物となる。例えば、日本神話は、古事記、日本書紀での記載が最初であり、もっともこれは、当時の為政者が、日本各地の風土記を集めさせ、その中から、編集者に都合のよいものだけを、記紀に神話として、記載させたという。さらに、関係書物を読んでいくと、天皇や日本の名称にまで突き当たる問題である。それらから、受け売りすると、壬申の乱に勝利したカリスマ的存在であった天武天皇が、記紀の編集任命発端者であるし、天皇?天孫降臨の“天”空上と皇帝の“皇”からの確実な使用者であったらしい。出雲の国風土記に出てくる須佐之男命(すさのおのみこと)や八岐大蛇と記紀でので須佐之男命(すさのおのみこと)や八岐大蛇(やまたのおろち)の記述内容は微妙に、ある面では全く異なる。征服者からの記述と非征服者からの記述の違いである。

医学論文ならば、引用文献を後述するところだが、それは省略させて頂き、筆を置くこととする。

(2004年10月上田医師会誌)
 

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