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第五話:遺跡の奥で待つものは…の巻
 
「あ〜、ヒマだヒマだ〜」
 ごろりと床に寝っ転がり、気の抜けた声で言うリラ。
「ぼやくなよリラ。まだ1時間も経ってないんだぜ?」
「そうですわリラさん。ほら、待てば海路の日和あり、と申しますし」
「……私と一緒に居るの、そんなに退屈ですか?」
 あぐらをかいて座る悠也と、きちんと正座した若葉。ちょっち隅の方で、じとっと目だけこっちを向いているウェンディ(体育座り)。
「ちょっとウェンディ! 誰もそんなこと言ってないでしょ!」
 天井の辺りを飛んでいたフィリーが怒鳴るが、いまいち迫力がない。
「ま、仕方ないのは分かってるんだけどね。このまま遺跡の奥に突っ込んでも、悠也にペンダントの魔力が働いている以上、危なっかしくてしょうがないもの」
 そう言って、リラは部屋の奥にすみれ色の瞳を向けた。
 ここは、メイヤーがコスイの村近郊の海岸で発見した遺跡の中。例のペンダントが封印されていた祭壇があった部屋だ。何だかその辺に、電撃で黒焦げになったモンスターどもが転がっていた様な気もするが、まあ、追求しないことにする。
「大方、メイヤー辺りの邪魔でもしたんでしょ。バカな奴」
 少し、そいつらに同情してもいいかな、と思わなくもないリラであった。
 彼女の視線の先に、さらに奥へ続く階段が開けている。
 もう一度ここに戻ったメイヤーが、楊雲とリラの協力を得て、見事に隠し扉を発見したのだ。それ自体には、幸い何の仕掛けもなかったが、やたら重かったので悠也とカイル、アルザにカレン、何故かティナまで駆り出され、やっとの思いで開かれた扉である。
 そして、カイル殺リク部隊と第三王女親衛隊は、さっさと階段を下りて行ったのだ。
 本当は悠也も行こうとしたのだが、珍しくカイルとレミットが結託し、
「悠也は危ないからダメ!」
「呪われた愚か者は引っ込んでいろ!」
 の二言で、あっさり止められてしまったのだった。
 悠也が呪われたのは、この二人が原因のよーな気もするのだが……。
 とにかく。
 そんなわけで、悠也たちは留守番モードに入っているのだ。
「でも、確かに何にもすることがないと、ヒマよね〜」
 リラが感染ったのか、ぼやくフィリー。
 唐突に、ぽんと若葉が手を打った。
「わたしにいい考えがあります。……しりとりでもいたしませんか?」
「しりとり?」
 聞き返す悠也。
 こっくりとうなづく若葉。
「はい。では、わたしから。『こしあん』。さ、悠也さん、どうぞ?」
「どうぞって、若葉……それ、終わってる」
 はぁ、と深く深く悠也はため息をついた。
 
 カツン、カツン、カツン……。
 薄暗い遺跡の通路を、カイル殺リク部隊は進んでいた。
 前衛がカイルとカレン、後衛が楊雲とメイヤーである。
 普通なら、常に全員が各々危険を回避するために、それなりに気を配るものなのだが、今回に限っては、それも徒労に終わっていた。その理由は、ランプを掲げているため、影が落ちて表情がえらく不気味に見えるメイヤーである。
 彼女の口もとは、先刻からずっと呪詛を唱えているかの如く、ブツブツと言葉をこぼし続けているのだ。
「ああっ、すごい……。これはまさに古代の神秘……。ねえ皆さん、どうして現代のような魔法機械文明も発達していなかった、いにしえの時代に、これほど立派な、壁に継ぎ目もなく、通路はしっかり東西南北を考えて作られた建築物が存在できたのでしょうか?
 やはり、人類の歴史は隠された未知なる要素に満ちているとしか言い様がありません。さらに先程の祭壇に彫られていた彫刻は、古代トロメア文明に端を発するコキュートスの様式的特徴が幾つか見受けられました。とすると、この遺跡は……」
「ねえメイヤー?」
 背中から怒気のオーラを立ちのぼらせつつ、振り返らずにカレンが言う。
 傍に入るカイルの背が、脅えた猫よろしく丸くなっているほどだ。
 だが、メイヤーの瞳は、松明の光に反射する丸眼鏡に遮られてでもいるのか、全く彼女の様子に気づいた風もない。
「コキュートス王国後期、魔王と呼ばれたシバブー王統治時代に建造された、王の墓所の可能性も高いのですが、トロメア文明全般の分布図からしまして、それよりは、何らかの目的で建築されたラビリンス的な物であることも考えられ……」
「いい加減、黙ってくれないかしら?!」
 聞こえなかったのだろうと、かろうじて好意的解釈により自分を落ち着けたカレンは、およそ遺跡の中では非常識ギリギリの声量で、もう一度呼びかけた。
 だが、メイヤーの方と言えば、相変わらずブツブツと呪詛のよーに何事かを呟き続けている。
 キラーン! と丸眼鏡がひときわ輝きを発した。
「そもそもラビリンスというものは、古代ミノア文明期に王権の象徴として建造されたと言うのが通説ですが、実のところは伝染病に感染したり、重い罪を犯した者が投獄される場所だったのではないかという説もあります。それに鑑みるならば、この遺跡にさも大事そうに呪いのアイテムが封印されていたという現象を解説するにもいくばくかの説得力を持たせることが……」
「…なにか、壁に装置のようなものが…」
 ぽつりと、囁く楊雲。
「どこですか楊雲さん!?」
 ばばっ、と彼女の方に向き直るメイヤー。
「…………」
 あきれて、何も言えなくなっているカレン。
 さて、もう一方の前衛たるカイルの方はと言えば……。
「ほう、何か見つけたのか?」
 キュポンと、ちゃっかりはめていた耳栓をおもむろに取り外した。
 こーいうセコいところには、妙に頭の回る男だったりする。
「…あれです…」
 す……、ときれいな指を、壁際の一点に向ける楊雲。
 その先には、壁からわざとらしく突き出たレバーがあった。マッチ棒の様に、軸の上に赤い球形部分がついており、それが誇らしげに天井へと向いている。いかにも押し下げてくれと言わんばかりの様子だ。
「ねえメイヤー、貴女まさかこのレバー」
「当然、押し下げます!」
 ぐわしっ、と両手を球形部分に重ねるメイヤー。
「後生だからそれだけは止めてっ!」
 ぐわしっ、と両手を脇から入れて、必死に彼女を止めようとするカレン。
「止めないで下さいカレンさん! この様な物がこの様な場所にある事こそ、まさに古代の人々の文化や哲学に触れる、またと無い機会なのです! ああ、なぜ古代さんはこの様なレバーを、この様な遺跡に造りたもうたのか……? それを知るためにも、まずは作動させてみねば始まりませんっ!」
「だからって、こんな如何にも怪しげなレバーなんか触らなくてもいいじゃない!」
 キラキラと丸眼鏡を輝かせるメイヤーと、滂沱の涙を流しながらも、それを止めようと孤軍奮闘するカレン。元冒険者としては、充分に調べもせず、こんなヤバげなものを作動させるわけにはいかないのだ。
「…また、始まりましたね…」
 じーっ、と二人を見守る楊雲は、どこからともなく小さな餡饅を取り出し、しばし眺めてからおもむろに、ぱくっとそれを頬ばった。
「いつもの事だ。つき合ってられるか!」
 一方のカイルは、あっちの方を向いて、長い耳をホジホジしている。
 その間にも、メイヤーとカレンの押し合いへし合いは続いていた。単純な腕力だけならカレンの方が圧倒的に強いはずなのだが、こと遺跡の中であるならば、メイヤーの戦闘力は通常の3倍にも跳ね上がるのだ。まさに古代の神秘!
「お願いだからっ、メイヤー!」
「止めないで下さい、カレンさん! でないと、私、私っ……!」
 ぎゃあぎゃあと、戦い(?)続ける二人。
 はふう、とカイルは大きくため息をついた。
「まったく、俺様を誰だと思っているのだ? 例えヤバい罠の作動装置だろーと、遺跡を崩壊させる自爆装置だろうと、キングオブ魔族たる俺に通用するはずもあるまいに……」
「え?」
 不意に、メイヤーがカイルの方に向き直る。ちょうど良いタイミングで力の向きが変化したせいか、振り解かれたカレンが尻もちをついた。
 それを良いことに、メイヤーはちょっとだけ手に力を込める。
 ガチャ。
「カイルさん、いま何かおっしゃいました? 自爆装置がどうとか……」
「いや、別に俺は……」
「ああ……レバーが……」
 よよよ、と泣き崩れるカレン。
 ゴンゴンゴンゴンゴン……。
「…カイルさん…」
 不気味な機械音を聞きつけたのか、楊雲がカイルの傍に近づく。
 すっ……、と差し出された両手には、先ほど彼女がぱくついていた餡饅と同じものが、可愛らしくちょこんと乗っていた。
「何だ楊雲、これを俺に食えとでも言いたいのか?」
 とか言いつつ、ちゃっかりと受け取るカイル。
 ぱくっと頬ばり、ごっくんと飲み込む。
「…はい…」
 こくりと、楊雲はうなづいた。
「…手向け、です…」
「何だと?」
 思わずカイルが聞き返したその瞬間!
 ゴンゴンゴン……ガコンッ!
 彼を支えるべき遺跡の床(だけ)が、きれいさっぱり消失していた。
「お、おいちょっと待て! 何だコレは!」
「どうやら、遺跡に不法侵入した者を排除するためのトラップのようですね」
「冷静に解説しないでメイヤー」
 今や空中となってしまった空間で、必死に手足をじたばたさせるカイル。
 端から見ると、えらく滑稽な情景ではある。
 そう、まるで溺れかけている様だった。最も、今の彼に必要なのは空気ではなく、自分にかかる重力を支えてくれる床なのだが。
「み、認めん! 俺は認めんぞ! 何故にトラップを作動させたメイヤーではなく、近くに居ただけの俺が引っかからねばならんのだ!?」
「つまりこれは侵入した者を、遺跡の管理人が自ら動かして撃退するために仕掛けてあるトラップということですね! ありがとうございましたカイルさん! おかげでまた一つ、古代の神秘が解明されました!」
「過去形で話すな、過去形で!」
「カイルクン……おねーさん、キミのこと忘れないわ」
「自己犠牲で仲間を救った奴にかけるよーな言葉を吐くなっ!」
「…さようなら…」
「それは貴様のやられ台詞だろーがぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
 ひゅーぅぅぅうぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅぅうぅぅん……。
 あわれカイルは、ぱっくりと開いた落とし穴の中に、消えていったのだった。
 合掌。
 
「あ〜、ヒマだヒマだ〜」
 ごろりと床に寝っ転がり、気の抜けた声で言うリラ。
「ぼやくなよリラ。まだ2時間も経ってないんだぜ?」
「そうですわリラさん。ほら、待てば海路の日和あり、と申しますし」
「……私と一緒に居るの、そんなに退屈ですか?」
 あぐらをかいて座る悠也と、きちんと正座した若葉。ちょっち隅の方で、じとっと目だけこっちを向いているウェンディ(体育座り)。
「ちょっとウェンディ! 誰もそんなこと言ってないでしょ!」
 天井の辺りを飛んでいたフィリーが怒鳴るが、いまいち迫力がない。
「にしても、やっぱちょっとヒマ過ぎると思わない、悠也?」
「ん、ま、まあ、そりゃそうだけど、仕方ないだろ」
「そーよリラ。こー見えても悠也はピンチなんだからね!」
「分かってるわよ、そんなコト〜」
 寝っ転がったまま、ひらひらとフィリーに手を振るリラ。
「あたしが言いたいのはね、要するに何かして退屈しのぎしないかってコト」
「まあ、では……」
 唐突に、ぽんと若葉が手を打った。
「若葉、しりとりはもうヤメな」
「そうですか……」
 悠也に突っ込まれ、しゅんとする彼女。
「編み物……」
 不意に、ぼそっとウェンディが呟いた。
 思わず、びくっと身体を震わせる他4名。
「私、編み物、してますね……」
「あ、ああ……」
 荷物の中から、がさごそと編み棒&毛糸を取り出すウェンディ。
 どうやら、セーターか何かを編んでいるらしい。
 器用に、すっすっすっと指を動かし、毛糸を編んで行く。
「へえ……大したもんだな、ウェンディ」
「好きなんです、編み物」
 ちょっとだけそっぽを向いて、一心に編み棒を動かす彼女。
 ひょっとしたら、ちょっとだけ照れているのかも知れない。
「編み物ねぇ……。あたしにゃ、とても無理だな〜」
「リラはキーピックの扱い上手いから、案外できるんじゃない?」
「何よフィリー、人をドロボーみたいに」
「あれ、ホメたつもりだったんだけど?」
「う……」
 怒鳴ろうと口を開きかけていたリラが、言葉に詰まる。
 ぱたぱたと、フィリーが彼女の肩あたりに降りてきた。
「いい加減疲れたから、休ませてね」
「どーぞどーぞ」
 ごろっ、と寝返りをして、うつ伏せになるリラ。
「じゃ、やっぱあたし寝てるから。何か変わったコトあったら起こしてね、悠也」
「あ、私もね」
 そのまま、フィリーも一緒になってすーすーと寝息を立て始めた。
 確かに、どこに居ても睡眠可能というのは、盗賊/冒険者としてのリラが持つ、隠れた才能である。しかし、こーいう場でそれを使われると、残された方は手持ちぶさたたる事この上ない。
 一方で、せっせせっせと編み物を続けるウェンディ。
 とりあえず、悠也はリラに毛布を掛けてやったが、それが終わると、取り立ててする事もなくなってしまった。
 ふと、延々2時間以上も正座を保つ若葉を見やる。
「……なあ、若葉」
「はい、悠也さん」
「しりとりでもしてようか?」
「はい! では、わたしから……。『つぶあん』。さ、悠也さん、どうぞ?」
「若葉……それも、終わってる」
 はぁ、と深く深く悠也はため息をついた。
 
 だっだっだっだっだっだっだっだっ……。
 薄暗い遺跡の通路を、第三王女親衛隊は必死に走っていた。
 前衛がレミット、キャラット、アルザ。後衛がティナとアイリスさんである。
 普通なら、常に全員が各々危険を回避するために、それなりに気を配るものなのだが、今回に限っては、そんな余裕は無かった。その理由は、後ろからゴロンゴロンと派手な音を立てて追跡してくるインディートラップ! 要するに通路一杯の巨岩である。
「何よぉ! あたしたち、何にも悪いことしてないじゃない!」
 わめきながらも、自分の足で必死に逃げるレミット。
 普通なら姫さまの小さすぎる歩幅ゆえ、こういう場合スピードが足りないと思われる。だが、こと逃げ足に関しては、姫さまは天才的な資質をお持ちなのだ! そうは言っても、せいぜい普通の大人と同じ程度のスピードなのだが。どちらかと言うと、持久力を褒めるべきかも知れない。
「ウチもなーんも悪いコトしてへん! アレはぜーったいにカイルはんたちのせいや!」
「わーいっ、でも、追いかけっこも楽しいねっ」
「はぁ、はぁ……。キャラットさん、そんなことを言っている場合では……」
 他のメンバーも、大方は必死である。
「あの……レミットさん?」
 そんな中、何故か息一つ切らしていないティナ。
 彼女は身体が弱いと言っていたが、絶対ウソだ。そう心に刻むレミットである。
「何よ、ティナ? 何か、いい考えでもあるのっ?」
「そうじゃないんですケド……。ここって、上り坂、ですよね?」
「へ……?」
 はたと立ち止まるレミット。確かに、言われてみればちょっち勾配のある上り坂だ。
「なーんだ、じゃ、大丈夫だねっ」
「まったく、人騒がせなトラップやなあ……」
「はぁ、はぁ、はぁ……。だ、大丈夫ですか、姫さま?」
 安心して立ち止まる、アルザ&キャラット。
 肩で息をしつつ、アイリスさんが言う。
「私は大丈夫よ、アイリス。でも、じゃあ、アレ、何……?」
「ええ。だから、変だなって」
 レミットとティナの視線の先。
 ゴロンゴロンと、インディートラップが坂を駆け上がって来るではないか!
「ウ、ウソやろ……?」
「ああっ、そう言えば私、聞いたことがあります」
「何、アイリス?」
「はい、姫さま。確か、本当は地形的に下り坂なんですけど、目の錯覚で上り坂に見えるという坂のある遺跡が、伝説上にあるそうです」
「じゃあ、ここが……?」
 うげげ、という感じに拳を口もとに寄せるレミット。
 どうしよう? と言いたげに、キャラットが耳をぴこぴこと動かす。
「ほな、試してみればええんや」
 言うや、アルザがビー玉を取り出して放った。ちなみに、とある町の縁日で売っていた飲み物のオマケである。
 そのビー玉は、ころころと見かけ通り坂の下へと転がって行き……ぐしゃっ、と巨岩に踏み潰されてしまった。
「……」
 さーっ、と一同の顔に、青いタテ線が入る。
「ヘン! ヘンよぉ! あの岩!」
「マ、マジでヤバいで姫さん!」
「きっと魔法の岩なんだよレミット!」
「物理法則を無視してますね……」
「ど、どうしましょう、姫さま?」
 ゴロンゴロンゴロン……と、巨岩が迫って来る。
 今から逃げ出したのでは、もう間に合わないだろう。
 姫さま、ぴーんち!
 ぷちん。暗転。
「…………なわけないでしょっ! 勝手なオチつけないでよね、ナレーターっ!」
 こ、これは失礼いたしました、姫さま。
「こんなところで終わるわけには行かないわ。みんな、覚悟はいいわね!?」
「はいっ(×4)」
「アルザ、ティナ、キャラットはインディートラップを腕力で迎撃して! あたしは魔法を使ってみる!」
「姫さま……」
「アイリスは爆弾を用意! 悠也やバカイルに仕掛けてやるトラップの分が、まだ随分残ってたわよね?」
「わ、分かりましたっ」
 ざっ、と毅然とした表情で、レミットは巨岩に向き直った。
 その直前を固める、三人の少女たち。後方で、マッチをするアイリスさん。
 いまや開き直った姫さまの指揮の下、第三王女親衛隊は、持てる真の力を発揮しようとしていたっ!
「容赦せえへんで〜っ」
「ボクだって!」
「こっちに来ないで下さいっ」
 アルザのスペシャルコークスクリュー!
 キャラットのホワイトラビットキック!
 ティナのメイス攻撃!
「天を貫くいかづちよ、我が掌に集いて万物を砕く槍になれっ!」
「皆さん、伏せて下さいっ」
 姫さまの<ライトニング・ジャベリン>!
 アイリスさんの、爆弾攻撃!
 ちゅど−ん!
 ちゅどーん!
 ちゅどど−んっ!
 果たせるかな、第三王女親衛隊の総攻撃の前に、見事インディートラップ氏(享年3054歳、稼働時間5分32秒)はバラバラに砕かれ、名誉の戦死を遂げたのであった。
 
 閑話休題。
 その頃、祭壇の間……。
 相変わらず、きちんと正座した若葉。その隣で、悠也は滂沱の涙を流していた。
 せっせせっせと編み物を続けるウェンディと、すーすー寝ているリラにフィリー。
 助けてくれる者は、誰も居ない。
「ではもう一度、わたしから……。『たくあん』。さ、悠也さん、どうぞ?」
「若葉……。ひょっとしてお前、俺のこと、キラいなのか? そうなのか?」
 拷問にも等しい待ち時間を過ごす、悠也であった。
 
 そして、レミットたちは幾多のトラップとモンスターたちをくぐり抜け、遺跡の最深部と思われる、重厚な観音開きの扉の前に立っていた。
 メイヤーが見れば、小躍りして3日間はテコでも動きそうにないくらい、複雑で難解、かつ流麗な紋様と文字とが刻まれている。ちなみに、例の『カイル文書』と同じ体系上の文字であったため、彼女なら、扉に大きく書かれた警告が読めたかも知れない。
「シバブー王、ここに眠る。何者もこれを妨げることなかれ」
 と。
「……いよいよね。これだけ苦労したんだもん。何にもなかったりしたらタダじゃおかないんだから!」
「何にもなかったら、収支計算は赤字やで、姫さん?」
「う、うるさいわねアルザ! ものの例えよ、例え!」
 わあわあ漫才する元気が余っているところを見ると、意外に余裕だったらしい。
「と、とにかく。行くわよみんな!」
 言いつつ、扉を押すレミット。
 開かない。
「な、何よこれー?」
「姫さま。この扉は、引いて開ける様ですわ」
 がちゃ、と扉を開くアイリスさん。
「む〜」
 不満そうにしながら、中に入る姫さま。その後にアルザ、キャラット、ティナと続く。アイリスさんは、一番最後に入り、丁寧に扉を閉め直した。
 カチャリ。
「ねえアイリス?」
「何でしょう、姫さま?」
「いまの、鍵の閉まる音じゃない〜?」
「あ、は、はい。でも、どこにも鍵穴は見当たりませんが……?」
 おろおろと扉を探るアイリスさん。一応、もう一度開けようとするが、お約束通りに、固く閉ざされた扉は、開こうとはしなかった。
 きょろきょろと、部屋を見回すティナ。
 奥に段があり、玉座を思わせるしつらえのある他には、出入り口の様なものは、この扉しか見受けられない。
「……つまり、閉じ込められたってコトじゃないでしょうか?」
 恐る恐る、そうレミットに言ってみる。
『その通りだ……』
 不意に、部屋中に響き渡るような重々しい声。
「だ、誰よアンタは? 隠れてないで出て来なさいよ!」
 姫さま、それ、禁句……。
『よかろう。我が名はシバブー。この遺跡に眠る者だ……。余の眠りを妨げる不届き者よ、覚悟は出来ているだろうな……?』
 ゆらり、と玉座の方で、影が動いた。
 姫さま、ぴーんち!
 ぷちん。暗転。
「じょ、冗談は止めてよおーっっっっっ?!」
 だめ。次回に続くから、暗転でいいの!
 

 
・ちょっち遅れた中書きその5
 
 すみません。随分と遅れてしまいました。
 実を言うと、このリレー小説を載せるためのホームページ製作などにかまけていたので、一週間も余分に使ってしまったわけですね。
 リレー小説というものは、ノリと勢いが大事なので、今後はもっと早く出したいと思います。つーことで、次は早く回してきてね(爆)。
 
 今回もオールスターキャスト(ロクサーヌ除く)になりました。
 やっぱり、全キャラに最低一つは台詞があるはずです。
 全員登場と言っても、同じ場所にはパーティごとで出ているので、書き分けは楽でしたが……。クレセント氏と同じ症状が、私の場合メイヤーと楊雲に対して起こってしまったのです(あとウェンディもそうかな)。
 まあ、ノリと勢いで何とかしましたが。
 んじゃあ、各パーティの傾向など。
 
 
・主人公パーティ
 はい。何もしてません。
 本当は、リラがどこからともなく麻雀を持ち出して……、って展開も考えたのですが、そうすると脱ぎ麻雀に暴走する可能性があったので、止めました(爆)。
 その代わりに出たのが、若葉のしりとり。
 一応、彼女は各種『〜ん』シリーズに悪気を持ってはいません。多分。
 
・カイル殺リク部隊
 はい、不幸です。カイルだけ。
 メイヤー女史に引きずられて、カレンさんが少し壊れてますが、ちっちゃいちっちゃい。 気にしちゃダメです(笑)。
 個人的には、もーら氏の『点心楊雲』を参考にした、餡饅をすっ……と差し出す楊雲がお気に入りです。私も楊雲に餡饅プレゼントされた〜い!
 
・第三王女親衛隊
 はい、活躍してます。
 これは、私のごひいきキャラが二人も入っているせいです。
 レミットもそーだし、ティナもそう。ダークティナは出せなんだが……。
 しかぁし! 彼女たちには、次回で魔王シバブーと対決するという、とんでもない展開が待ち受けているのです!
 これでシバブーがヨワヨワだったら笑えるかも。
 つーことで、次は任せた!(爆)
 
 
 なお、HPのタイトルは「永遠の旋律・久遠の音色」です。
 これは、「とわのせんりつ・くおんのねいろ」と読んで下さい。
 このリレー小説シリーズの他には、私の煩悩が爆走した部屋もあります。
 今のところ、自己満足的ファン活動のため(だけ)に作っているのですが、何かこれがあれば面白いじゃん、というネタがあったら教えて下さい。
 アドレスは、
 
http://village.inofweb.ne.jp/^fwig7825/ETERNAL/top.htm
 
 です。よろしく。
 

 
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