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白毛餅について
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私たちが守り育てている「白毛もち米」は古くから伊那谷に伝わるもち米の一種です.上伊那農民組合では、白毛もち米からついたもちを、「白毛餅(もち)」と名づけて販売しています.ここでは、「白毛もち米」の由来をご紹介します.


山深く、谷険しい信州伊那谷に、いつのころからか「白毛もち米」と呼ばれるもち米がひっそり栽培されていました.農家はこれでお餅を作り、そのおいしい味を千年余の時代を絶やすことなく、貴重な稲の種子をその家の宝として代々守ってきました.
しかし「白毛もち米」はおいしいけれど、稲丈が高くて倒れやすく、その上収量も他品種より上がらない、農家泣かせの手間のかかるもち米なのです.このため農家はどんなにおいしくても決して販売用には作ることはありませんでした.ですから「白毛もち米」は、知る人ぞ知るまぼろしのもち米だったのです.
農村に機械化と効率化の波が押し寄せている今、「白毛もち米」は「まぼろしのもち米」から「絶滅寸前のもち米」になろうとしています.私たち上伊那農民組合は先人が守り抜いてきた「白毛もち米」の種子を絶やさず、歴史と伝統の上伊那の味として全国に紹介しようと考えています.


素焼きの白毛餅を食べていただければすぐにわかります.コクのある旨味とよい香りは、「白毛もち米」だけの特徴です.なぜこのようなおいしさがでるのか、まだくわしく分析されていません.また餅のキメと粘りが良いのも特徴です.これは「白毛もち米」の粒子がたいへん細かいからであると考えられます.
長野県南信農業試験場の「白毛もち米」の調査結果は「品質・収量・耐病性とも劣るので打ち切り」というものでした.「白毛もち米」はお世辞にも外見も経済性も良いとはいえません.しかし米のおいしさは命です.米の外見や経済性ではありません.白毛もち米の中に秘められた旨味こそが、時代の荒波を乗り越えて生き抜いてきた原点です.粳米(うるち米)を品種改良した一般のもち米からは、すでに失われてしまった旨味が「白毛もち米」の中には残っているのではないでしょうか?


イネが人類によって作り始められたのは、今からおおよそ6千年前と言われています.わが国へ米が伝わったのは、今からおよそ2千3百年前、縄文時代から弥生時代の初期に大陸から伝わったといわれています.「白毛もち米」は、その長芒・長い丈の形態と生態から、品種改良の手がいっさい入っていない原種に近い古代米と考えられます.
「白毛もち米」のルーツを明らかにするような文献として定かなものはあまり残っていません.しかし、国立民俗博物館の平河南教授の研究(日本農業新聞99/07/27)によると「奈良時代の木簡」に「白稲」「白和世」という品種名が書かれていたとあります.白毛もち米の別名が「白糯」「白稲」であることから注目されます.
また渡部忠世・深澤小百合著「もち」(法政大学出版局発行)に「17世紀末の尾張国の農書『百姓伝記』には次のような記載がある.『近年もろこし(中国)より渡りたる岡部(陸稲)に、もち米のひけ(髭)なかく(長く)、米たけ(丈)なかき(長き)あり、田につくりたるもち米より風味よし(p.84)』あるいは、『このように(中国)四川盆地には・・・稲田にたわわに実っているのは、ほとんどが草丈の低い成育のたいへんよく揃った近代品種であるが、よく見るとあちこちにやや丈の高い稲田が見うけられた.在来のモチイネ品種なのである.(p.104)』とあります.
長野県南信農業試験場の松村幸夫主任研究員による、白毛糯の出目についての調査結果によっても、「農林水産省農業生物資源研究所生殖質保存管理室の種子保存目録にあたってみましたが、該当するものは見あたらず『白毛糯』は在来種であると思われます.」とのことでした.
私たち上伊那農民組合の全国組織、農民運動全国連合会においても、「冷害に強く赤い毛のある「赤毛もち米」は全国にもほんの少しあるが、白い毛のある「白毛もち米」は上伊那にしか栽培されていない」という情報をいただいております.まさに上伊那だけにしかない旨味です.


「最近のお餅はおいしくない.昔食べたおいしいお餅をもう一度味わいたい」という声を聞きます.しかし「上伊那にはおいしいもち米がある」といっても、それだけでは振り向いていただくことはできません.それなら私たち自らでおいしい餅を作り、消費者の皆様までお届けしようと決意しました.1998年、上伊那農民組合の仲間16名は、有機減農薬栽培で、2.7ヘクタールに白毛もち米を作付けし、170俵の収穫を得ることができました.餅の加工をJA餅加工センターに委託し、「白毛餅」と名づけて発売したものです.
近年のわが国では、米を輸入しながら減反政策を強行したり、主食用米を餌米にしてたたき売りをしたりと逆立ちした農政が続いています.私たちは、消費者の皆様においしい安全な商品をお届けしながら、日本の食料と農業を守ってゆきたいと考えています.

 上伊那農民組合産直センター白毛もち部会


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