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かぎがたの縁

首都圏から移住したご夫婦が選んだ土地は、田園集落の中の造成地の端にある、取り残されたような変形した細長い形状の土地ですが、それとひきかえに南と西の方角が広く開けていて、西には北アルプス常念岳を望むことができます。
設計に着手するときにお聞きした、縁側から北アルプスを眺めて暮らしたいという話が印象に残りました。

この場所における気持ちがいい縁側って、どんな縁側だろうか。

先ず、敷地の縁に残っていた枝振りが特徴的な柿の木を頂点のひとつにした、常念岳へ向かう軸線に平行な四角い庭を想定しました。次に、その庭の2辺に沿って、南の日照と北アルプスへの眺望に向いたL字型の縁側を配置しました。そして、縁側に沿って、要求された住まいの機能を配置しました。

柿の木と建物によって生まれた中庭的な場と、それに沿うかぎがたの縁側を介して、安曇野の風土と住まいがつながる、この場所の魅力を享受した家のかたちができあがりました。

外壁の仕上は、外殻は土壁風なモルタル掻き落としの荒壁仕上。縁側廻りは漆喰仕上げとして雰囲気を切り換えました。

北アルプスの眺望に向いた縁側に沿って、リビング〜ダイニング〜キッチンが一列に並びます。

リビングに据えた薪ストーブで、家全体を暖房します。
2階廊下と重なるダイニングの天井の一部をスノコ状に開口して、2階と暖気を循環します。

室内の仕上は、床は安曇野アカマツの床板にリボス自然塗料仕上。壁は珪藻土入り左官壁とサワラ縁甲板。天井は、2階の床組にヒノキの信州型接着重ね梁を採用して構造を現しにしています。

薪ストーブの炉床は土間コンクリートにタイル張り、炉壁はコンクリート小幅板化粧型枠塗装仕上として、防火性と蓄熱性と意匠性をたかめました。

LDKの間口はほんの2間(3.6m)ばかり。縁側の反対側の掃出しのテラス戸の向こうには家庭菜園のスペース。その先には田園風景の先に東山の里山の風景を望みます。


客間や夏の避暑間など他目的に利用できるように、独立した畳敷きの和室を設えました。

北アルプスの山並みを望む1階の手洗

寝室階の2階に洗面所と浴室を設けました。脱衣〜洗濯〜物干〜衣類収納が1ケ所にコンパクトにまとまりました。

北入りとなる玄関ポーチは、北隣のお宅のリビングと真正面に向き合うことになるので、ダイレクトな視線をお互いに回避するために、格子のスクリーンをつくりました。

アプローチ廻りの植栽は、暮らしながら楽しみながら、徐々に育てます。


前庭も自営工事、楽しみながら徐々に育てています。


暮らし始めて2年が過ぎた頃にいただいたメッセージを紹介します。 > こちら

 
施工・建築工房 時遊館
竣工・2020年7月
場所・安曇野市三郷
掲載・信州の建築家とつくる家18集

ブログ・安曇野建築日誌
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