種の作り方(未完成)
(嵐からの…『種』レビュー)



この世界からあふれ出すメッセージを受け止めて
シンプルだけど新しい
新しいけど懐かしい
懐かしいけど見たこともない
てのひらに乗る宝石のような物語を紡ぎ出す
そしてその物語と一緒に、また旅に出る

これは、デビュー20周年企画盤「Operetta Of Ghosts」3部作の
「Part3 Tokyo」(2003年2月)の詩小説の中にある1節。

人は誰も、
日常生活や仕事や…ライフスタイルのポリシーみたいなものを持っているだろう。
自分にもある… でもそれは漠然としたもので言葉や文章にしたことはなかった。
そしてこの1節を読んだ時、ハッとした…
「これだ…!」

  シンプルだけど新しい
  新しいけど懐かしい
  懐かしいけど見たこともない

飾り立てるのは得意ではないし
人と同じことはしたくないけど、決して奇抜なことをするわけではなく、
ただ既成概念にとらわれずに、気付いてみれば物事の本質に立ちかえってるだけ…

自分が漠然と思っていたことを、ものの見事に言葉にしてくれた。
『宝石』を手にしたような気がした。
ちょっと大げさだけど…
この言葉だけで、自分にとってはアルバム1枚分くらいの価値がある。


同じ詩小説の中に、こうもある

俺は俺の物語を描き続ける
それが誰かの物語になることを真っ向から信じて

そうだな…
どうせ「のたれ死に覚悟の自由業!」(爆)(未発表曲「38スペシャル」)
最後の最後まで見届けてやるよ!!



そして、2003年6月25日
待望の小山卓治オリジナル10thアルバム『種』がリリースされた。
1995年の『Rocks』以来、実に8年ぶりだ。

そこに収録された10篇の物語…
まずは、ライブでの演奏経歴から分析してみるとしよう。

未発表曲 年度別演奏回数
曲 名
92年
93年
96年
97年
98年
99年
00年
01年
02年
03年
合計
丘の上の風景
ある夜の電話
10
38 Special
ナチュラル・ウーマン
手首 *
リリー
おまえはゴージャス
これでチャラだぜ
Bara-Bara
夢の国へ
美しい沈黙
夕陽に泣きたい
 このままじゃいけない
(2)
(2)
今夜のアリバイ
13
青空とダイヤモンド *
リリー
どうしたんだジュニア
最初の奇跡
吠えろ
汚れたバスケットシュ
ーズ
光のオルガン *
リリー
靖国通り、月曜の午後
Looking For A
Soulmate
ユリエ
種の歌
ジオラマ

( * 印の3曲は、マキシシングル「手首」に収録)

《収録曲の概要》
収録曲のうち、最も古い時期に作られた(演奏された)曲は、『ある夜の電話』
音楽ライター角野恵津子さんのインタビュー(*注)の中で、卓治は、
「これは意外に古いですね。6年、もっと前かな?」などと語ってますが、
実際は10年前、の’93年。
収録曲のうち『ある夜の電話』だけが『Rocks』リリース前に作られた曲で、
『Rocks』への収録を見送られた曲である。

次に古いのが『今夜のアリバイ』で、「Rocks」リリース翌年の’96年に演奏されてお
り、過去のライブでの演奏回数13回は最多。(次いで『ある夜の電話』の10回)

『夕陽に泣きたい』の原曲『このままじゃいけない』も、同じ時期に演奏されている。
上記インタビューの中では、「ライヴでも1〜2度歌ったことがあったんですよ」
と語ってますが、残念でした… 正しくは4回!

以後、’97年に『最初の奇跡』
’98年のロンドン滞在中に作ったという『吠えろ』『汚れたバスケットシューズ』

’00〜01年と久々に積極的なライブ活動を行った中で作られたのが、
『Looking For A Soulmate』『ユリエ』

『種の歌』『ジオラマ』は、(構想は別として)アルバム『種』レコーディングの直前に
作った曲。


こうして見てみると、やはり『靖国通り、月曜の午後』が収録されなかったのは、
不思議… ということになる。

’96年以前に演奏され『種』に収録されなかった曲は、このままお蔵入りとなるのだろう
か? だとしたら、個人的には非常に残念な曲がいくつか…
アルバム『種』の中で、優れたアレンジ&演奏を聴かせてくれている現在のバンドで、
これらの曲をよみがえらせてほしいものだ。
もちろん、「何を言ってる、それ以上の曲を!」と言うのなら、許す!!
(いやっ… でもなぁ…    あ〜ぁ…)


*注) 『恵津子の部屋』 http://www.bekkoame.ne.jp/i/gc4272/
     「最近の主なMY WORK」→「2003年」→「小山卓治インタビュー その2」





1曲ごとの解説を、
「未発表曲を楽しもう!」のコーナーの解説に加筆修正して作成する予定です。
が… しばしお待ちを。




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