鏡船
よく晴れた穏やかな波の日だった。
左右から等間隔で並走してくる二つの船に真っ先に気づいたのは、見張り台にいたナギだった。
見張り台にいるから見える、水平線に乗ったスパンカーとも呼ばれる形の帆。
漁船に使われることの多い形の帆だが、漁船であるという保証はない。
まして、右舷にも左舷にも見えるとなると、何らかの意図が伺える。
舵をとっているシンの位置からは、どちらの船も見えないはずだ。
「おいシ…」
見張り台からシンにこの状況を告げようとした矢先、甲板に出てきたリュウガが、真面目な顔で見張り台を見上げ、ナギに言った。
「おい、ナギ、何か見えるか? さっきから、どうも勘が騒いでいけねぇ」
海賊王たるリュウガの勘は、神がかり的ですらある。
さすがだと関心しながら、ナギはリュウガに頷いた。
「今、報告しようと思っていたところです…」
しばらくして、シリウス号は進路を突然右舷へ大きく変えた。
風をうまく帆に捕らえたシリウス号が、そのまま速度を上げてすすむ。
見張り台の上で、水平線を見つめていたナギが、視線を険しくした。
右舷にあった帆は、航路を変えてから、シリウス号の正面にある。
なるほど、近づきつつあるその船は、向きを急速に変えつつあった。
並走していた相手が向きを変えたことにいち早く気付く動きは、常にこちらの動きを探っていた証拠である。
距離を保って逃げようとするかと思いきや、船首をシリウス号に向けて進んでくるあたりは、やはり普通の漁船ではない。
「ふん… 向かってくるか…」
舵を片手に望遠鏡を覗いたシンが、笑みを浮かべた。
シリウス号が今広げているメインマストの帆には、海賊王率いるシリウス海賊団のジョリーロジャーが掲げられている。
こちらが相手の船影を確認できるようになったということは、相手からも見えているはずである。
一番大きな帆いっぱいに描かれている海賊王の印が見えないはずはない。
それでも真正面から向かってくるということは、シリウス海賊団に用のある輩である。
好意的なものか敵対的なものかは分からないが。
船長であるリュウガが、真紅のコートをはためかせて、船首のバウスプリットに片足をかけて立ち、笑みを浮かべた。
「威勢がいいじゃねーか。初めて見る旗だな」
相手の船には、小さいながらに海賊旗が掲げられていた。
帆に大きくその印を染め上げているシリウス号とは違い、ある程度近づかないと確認できないような、小さな旗がマストの先に立っている。
その船首には、羽飾りのついた帽子を被った小柄な人影が見えた。
リュウガの笑みが、より深くなる。
そのまま、前方へ延びたバウスプリットの上を駆けて真紅のコートが跳ぶのを、見張り台のナギと操舵中のシンは黙って見守った。
助走をつけて跳んだ海賊王は、見事な跳躍で向かってくる小さな海賊船の船首に降り立つ。
「ようっ、俺の船に何か用か?」
船首に立っていた小柄な影が、驚いたように船首から飛び退いた。
「…そ、そんな……まだ距離があんなに……」
リュウガの跳躍に狼狽した声は、少年のように高い。
「おいおい、あの旗は飾りモンか? あの旗の意味を知ってるんだろうな?」
呆れたようなリュウガの問いに、羽飾り帽子の下にあった瞳が、キッとリュウガを睨みつけた。
「当たり前だ。お前こそ、ボクの船に何の用だっ!」
「…ボクねぇ…。ってことは、お前が船長というわけだな。一つ忠告してやろうかと思ったが、そんなに俺と遊びてぇか? お嬢ちゃん?」
どこまでが本気でどこまでが冗談なのかよくわからない笑顔を浮かべたリュウガ。
甲板には、相手の船員たちが慌てたように武器を手に集まってきていた。
「あれ? 船長は……」
甲板に出てきたヒロインが、キョロキョロと辺りを見渡す。
無防備に甲板へ出てきたヒロイン。
シリウス号の背後から、先ほどまで左舷で並走していたもう一艘の船が近づいて来るのを目視したナギが、舵場を見る。
が、既にそこにシンの姿は無かった。
「船長なら、あの船に遊びに行ったぜ?」
至極つまらなそうに、甲板で待機していたハヤテが大砲に寄りかかりながらヒロインに答えた。
「え? 遊びにって……」
ハヤテが指さす方向を見て、ヒロインが目を丸くした。
「えーと……お知り合いですか?」
「馬鹿かお前は。そんな呑気な状況じゃないことくらい、いい加減悟れ」
いつのまにか舵場からヒロインの背後までやってきたシンが、険の含んだ声で言う。
「?」
不思議そうに見上げたヒロインの腕をぐいと掴むと、シンは医務室に向かってスタスタと歩きだした。
ハヤテはシンに引きずられるようにして連れて行かれるヒロインを面白そうに見送る。
「あ、あの…シンさん?」
ノックもなくドアを開けたシンは、そのままヒロインを医務室に押し込んだ。
「やあ、ヒロインちゃん」
医務室に居たソウシは別段驚きもせずに、キョトンとしているヒロインを笑顔で迎えた。
「ドクター、コイツを頼みます」
態度で不本意だと告げているシンに、苦笑しつつ、ソウシは頷く。
ヒロインをチラリと睨み、踵を返して医務室を出て行く不機嫌そうなシン。
「あー…もしかして、襲撃…ですか?」
申し訳なさそうに、少し不安そうに、尋ねるヒロイン。
「そうだね。それほど切羽詰まった緊張ではないから、ヒロインちゃんが判らないのも、無理はないね。実際にこの船の上で戦いが始まっているわけでもないから……あ
あ、せっかくだから、ヒロインちゃん、そこの薬草、瓶に詰めるの手伝ってくれるかな?」
どこかのんびりとして答えるソウシ。
ヒロインがあからさまにほっと息をついた。
医務室の外から、トワの声が聞こえてくる。
「ナギさーん、大砲の用意できましたー」
「……大砲…」
途端に、表情が硬くなったヒロインを見遣り、ソウシがのんびりと言う。
「念のための備えはしておかないとね。というわけで、あの血止めの薬草をすぐに使える粉状にして瓶に詰めておきたいんだけどね?」
「あっ、はい。わかりました」
血止めの薬草と聞いた途端にヒロインの表情が真剣なものになる。
「この薬草は、擂って粉末状にしたものを水で練って傷口に塗るとね、瘡蓋のように傷口を覆って、血止めをしてくれるんだよ」
「そうなんですね、じゃあ、ソウシ先生、たくさん作っておきましょう」
薬草を一生懸命擂り潰し始めたヒロインを見て、ソウシはそっと微笑した。
「シンっ」
医務室から出てすぐに見張り台からナギの声が降り、シンは舌打ちした。
「意外と船足が速いな…おい、ハヤテ。後檣から行け」
「やっりぃーっ!」
ハヤテがすかさず後方マストのシュラウドをするすると上り、近づいてくるもう一艘の船を見た。
「あれ? ナギ兄、あれって、同じ旗じゃん?」
「…ああ、船首に立っている奴の格好まで、同じだな」
羽飾りのついた帽子を被った、小柄な影が見える。
「おもしれーじゃん」
ハヤテが不敵な笑みを浮かべた。
その間に、シンがヤードと呼ばれる帆桁の向きを変える。
「ドジって海に落ちるなよ?」
ヤードに立ったハヤテに、シンが言う。
「落ちるかよっ」
答えたハヤテが、帆桁の上を走り、助走をつけた勢いで後方から近づくもう一方の船へ飛び移った。
「フォリーと違って、こんな曲芸で、ボクは驚いたりしないぞ」
すかさず、船首で待ち構えていた小柄で少年のような声がハヤテに剣を突き付ける。
「フォリー?」
自分に向けられた剣を軽く受け流したハヤテが、怪訝そうに相手を見た。
「…っていうか、てめー、女?」
「女の何が悪いっ」
「…ちぇっ。つまんねー。女相手じゃ、やる気でねぇしっ」
不服そうに言いながら、繰りだされる剣をハヤテは軽く受け流していく。
「フォリーはやられたけど、ボクはやられないからなっ」
「さっきから、フォリーって、何だよっ。ワケわかんねーっ」
甲板の上を、巧みに剣を受け流しながらハヤテが動き回る。
武器を持っている乗組員たちが、その動きの素早さに、手を出しあぐねている様子が、伺える。
「何? 他の奴ら、見物かよ? つまんねーな。この程度ってこと?」
ハヤテがわざと足を止めて、今まで受け流していた剣を受け止めた。
今だとばかりに、ハヤテの背後から襲撃した数人の武器が、ハヤテのもう一方の剣によって軽々と弾き飛ばされる。
「弱っえー。お前ら、こんな弱くて俺らの船に手ぇ出そうとしたわけ?」
呆れた声で、ハヤテは受け止めていた剣ごと、対峙していた相手を突き飛ばした。
「きゃあぁっ」
数メートル突き飛ばされて尻もちついた女の帽子が落ち、帽子の中に収まっていたらしき鳶色のツインテールがその肩に揺れた。
「あ…わりぃ……」
その可愛らしさに、つい、反射的にハヤテが詫びる。
「くそぉっ、絶対に、海賊王にツインテール海賊団を認めさせるんだっ!」
そんなハヤテを睨んで立ち上がった女が、再び剣を構えた。
「ツインテール海賊団?」
繰り出される剣を再び余裕のある動きで受け流しながら、ハヤテが不思議そうに問い返す。
「フォリーの船とボクの船、二つで一つの海賊団だっ」
「…さっきから、フォリー、フォリーって、ワケわかんねーしっ」
いい加減相手をするのが面倒くさいと言いたげに、ハヤテが立ち止まって女の剣を弾き飛ばした。
周りの乗組員たちが動く間も与えずに、武器を失った女の喉元へ切っ先を向ける。
「ったく。お前、ぜってー、トワよりガキだろ? フォリーって何だか、オレに分かるように話せよ」
ハヤテの立つ船の甲板が一斉に静まり返った。
両手を挙げて降参したまだ若い女船長の話を聞いて、リュウガは目を丸くした。
「んなこと吹き込んだのは、どこの誰だ?」
「ちがうのか? 南の海で海賊をやりたければ、海賊王に認められた証が必要だと、リルとボクは聞いたんだ」
「…南の海でねぇ……。リルってのが、あっちの船長か?」
リュウガが、シリウス号の向こう側に見えるもう一つの船を見遣った。
「そうだ。ボク達は二つで一つの海賊団だ。狙った船を左右から気付かれないように近づき、挟み撃ちにする」
「ほう? しかし、よくまあ、離れた距離で連携がとれるな? カモメ便ってわけでもなさそうだが、あれだけの距離を置いてたら、お互いに連絡のとりようがないだろ
う?」
面白そうに大きさも帆の形も同じもう一艘を眺めたリュウガが言う。
「…大丈夫だ。離れていても、ボクにはリルのことが分かる。リルにも、ボクのことが分かる……」
リュウガがわずかに目を眇めた。
「……あぁ、お前ら、双子か? それも、時に、実の親でも見間違えるほどによく似た双子なんじゃねーか?」
女船長が、びっくりした表情で、リュウガを見た。
「確かに…入れ替わっても、友達も気づかないくらいボクたちはよく似ているが、なんでそんなことまで判った?」
「いや、昔、そういう奴等を知ってたからな…。なるほど、それでツインテール海賊団というわけか。おもしれぇな…」
感慨深そうに掲げられている海賊旗を見上げたリュウガが、しかし、と言葉を厳しくした。
「わかってんだろうな? あの海賊旗は警告信号だ。抵抗する者には容赦なく死を与えると警告する以上、その逆もある。今、ここで、お前ら全員返り討ちにされて殺さ
れても文句は言えねぇってことだな?」
「そんな…ボク達は南の海での海賊稼業を認めてほしいだけなのに…」
「そもそも、その間違った情報で動いちまうってのが、海賊としては命取りだな。まあ…」
リュウガがシリウス号を見て苦笑した。
パン、パン、とシリウス号から銃声がする。
「わぁぁ、ま、待て、は、話せばわかるっ!!」
聞き覚えのある慌てたような大声が、シリウス号の甲板を右往左往している様子がうかがえた。
「ナギ、ソレをこっちへ投げてよこせ」
リュウガの声が届いたとも思えない距離だったが、見張り台にいたナギは鎖鎌を振り子のように使って帆桁へ移動し、シンの銃弾から逃げている男の足を鎖で絡め取る
と、そのまま男の身体を投げた。
「うわ、わ、わ、わ、わぁぁ」
黒衣の男の身体が弧を描いて海の上を飛び、リュウガと女船長の目の前に落ちる。
女船長が目を丸くした。
「ロイ…。どうして海賊王の船に…」
「いててて…。や、やあ、リデル」
「……ボクはリデルじゃない。フォリアだ」
「あ、あれ? フォリアだった? あははは…ほーんと、そっくりだねぇ……」
あはは、とワザとらしく笑うロイを指さして、リュウガが言う。
「コイツが南の海を統括している海賊だ。無理に俺のところまで来なくても、コイツさえお前らのことを知っていれば、南の海で稼ぐには支障ないはずだが?」
「知っているも何も、海賊王に認められた証が必要だと言ったのは、ロイだ」
その言葉に、リュウガがにやりとした。
「なるほどな。なら仕方ねぇな。まだ駆け出し海賊のお前らに非はねぇや。そうだな…どうせなら、ロイの目の前で証をやろう」
「!っ」
前触れもなくすっと近づき、一瞬で離れていったリュウガを、女海賊フォリアは呆然と見た。
「な、な、な、なっ。こらっ、リュウガ! こ、子供相手に、な、なんてことをしてやがるっ」
「前途有望な女海賊に、海賊王自ら祝福のキスを贈ってやったんだろうが」
「しゅ、祝福? リュウガ、お前、いつからロリコンになったっ」
「おいロイ、額にキス程度でうるせぇぞ?」
リュウガが、にやりと笑って、フォリアを見下ろした。
「南の海で、お前らが、ロイも手を焼くような女海賊になったら、ちゃんと相手してやる」
「……わかった」
フォリアが挑むように頷いてリュウガを見た。
「確かに、まるで鏡合わせのように左右から同じ顔、同じ恰好の人間が同時に襲撃してきたら、混乱する者も多いでしょうね。襲撃する手法としては、悪くない」
リュウガの話を聞いて、シンが頷いた。
「それにしてもすごいね。その、フォリアちゃんとリデルちゃん、船の乗組員を全員双子で揃えたんだ?」
感心したようにソウシがリュウガに確認する。
「ああ、らしいな。港で、トムとコリンをスカウトしようとして、ロイにつまらん嘘を吹き込まれたらしいぞ」
「あ、そっか。トムさんとコリンさんて、同じ服を着たら、そっくりで区別つきませんよね」
ようやく納得した、といった様子のヒロイン。
「そういえば、ハヤテさんはリデルさんとどんな話をしたんですか?」
トワが尋ねる。
「話って……海賊王に認められねぇと、海賊ができないとかワケわかんねーコト言ってたぜ?」
「え? それだけですか? ハヤテさんも結構長くリデルさんと話していたように見えましたけど…」
意外そうなトワに、ハヤテが言葉を濁した。
「あ、いや…他にも……船長に相手してもらえる女って、どういう女なのかって聞かれたから、教えてやったけど…」
「それは……大きな誤解していそうだね、リデルちゃん」
ソウシがくすくすと笑う。
「まあ、ハヤテに訊いたのがそもそもの間違いだな」
シンも笑みを浮かべる。
「あのー、それって、船長が港で逢う女の人のことですよね?」
ヒロインがシンに確認するのを聞いて、リュウガが苦笑する。
「おいおい、港のネエチャンたちの相手も確かにするが、ヒロインも含め、一人前の女海賊ならいつでも相手してやるんだがな?」
「え? 私ですか?」
不思議そうなヒロインに、リュウガが言う。
「相手してやってるだろ? 話聞いたり、他にも色々と」
「あー、言われてみればそうかも…」
途端にヒロインの隣にいるシンが、不機嫌になる。
「…それは、聞き捨てならないな。いったい、船長に『他に色々と』何をしてもらっている? そういえばお前、昼間、襲撃の最中に船長を探してノコノコと甲板に出て
きたな? 船長に何の用だった?」
「ああ、あの時は、皆さんのベッドのシーツを洗おうと思っていて、船長のシーツが洗い場に無かったので、洗うのか洗わないのか確認したくて船長を探していたんで
す」
真面目な顔で説明するヒロインを見て、リュウガは至極面白そうに笑っていた。
「リュウガっ!!!あの二人をなんとかしろぉぉぉぉっ」
衣服のあちこちに焦げ跡や煤をつけたロイが、酒場に駆け込んできた。
「お? ロイ。お前も飲むか?」
既に、酒瓶を数本空けたリュウガは、上機嫌でロイに笑いかける。
「あいつら、リュウガの言葉を本気にして、リカー号に火を付けたんだぞっ」
「そーかそーか、あったまりてぇなら、やっぱり、酒が一番だな」
「……聞いてるか? リュウガ?」
グラスに並々と注いだ酒を差し出されて、ロイが訝しげにリュウガを見る。
「おう。聞いてるぞ。まあ、お前も一杯、飲め」
「……お、おう…」
目の前のグラスを受け取って、飲もうとしたとき、酒場の扉が再び開いて、二人の女海賊が入ってきた。
「お? お前ら。どうした?」
女海賊たちを見つけたリュウガが、気軽に声をかける。
と、二人は、ロイに向かってツカツカと歩み寄り、左右からロイと腕を組んだ。
「みつけた。ロイ」
「つかまえた。ロイ」
「…リ、リデルちゃんと…フォリアちゃん?」
途端に、ロイの表情が蒼白になる。
「なんだ、ロイ。おまえ、いつから二人とそーいう仲になった?」
リュウガが面白そうに、ロイと、彼を左右から抱え込む双子海賊に尋ねる。
「?」
「?」
双子の女海賊は、それぞれに不思議そうな顔をした。
「リ、リュウガっ!! こいつらに、ちゃんと説明しろぉ」
焦った様子のロイが、リュウガに訴える。
「説明?」
意味が分からず、リュウガも怪訝そうに三人を見比べた。
「海賊王リュウガ。残念だが、ボク達はまだ、貴方の相手はできない」
至極真面目な顔で、女海賊の一人、リデアが告げる。
「俺の相手?」
「ああ。ボク達はまだ、このロイの手を焼いていないんだ。昨日、焼こうと頑張ったが、船を焼くことしかできなくて、ロイには、まんまと逃げられてしまった」
もう一方の女海賊、フォリアが悔しそうに告げる。
「…ああ、リカー号がぁぁぁ。リュウガ、さっさとコイツらの相手しろ」
ロイが、責めるようにリュウガに言う。
「ボク達は、このロイの手を焼かないと、相手にしてもらえない」
「ボク達は、ロイの手を焼く海賊になれと言われた」
二人…いや、三人それぞれの解説に、リュウガは自分が言ったセリフを思い出した。
「そういや、そんなことお前らに言ったな。おう。じゃあ、頑張って、ロイの手を焼け」
「ああ。今度こそ、逃げられないように頑張る」
「そしたら、相手をしてもらうぞ、海賊王」
「おう。愉しみに待ってるぞ。そんなんでも、ロイは南を統括する四海の船長だからな」
「こらぁー。リュウガ、ふざけるなぁぁぁぁ。ひっ、リ、リデルちゃんとフォリアちゃん? ど、どこへ行くのかな?」
二人の女海賊が、ロイを引きずるように酒場から連れ出していく。
リュウガは、そんな三人を、笑って見送った。
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18歳以上の大人です