天藍色オマケ



グラスに注がれた酒を口に含んだリュウガが、手を止め、目を眇めた。
「…船長?」
ナギが、動きを止めたリュウガを訝しむ。一応味見はした。毒や混じり物のない、美味い酒のはずだ。
ただし、出処が、死者の澪と呼ばれる海流の狭間だったので、多少の怪しさはある。
リュウガは、改めて琥珀色の酒の匂いを嗅ぎ、口に含む。
「死者の澪で拾った? これを?」
リュウガの反応に、ソウシやシンが自分のグラスを傾けた。
「あれ? 見た目に反して、結構強いお酒だね」
「飲んだ最後に、不思議な香りが残りますね」
樽で何年も熟成されたのであろう蒸留酒。
「…なんでこんな懐かしいモン、樽であるんだか…。死者の酒は、幻の酒ってことだな」
リュウガが、グラスを一気に煽る。
「船長、この酒、知ってんですか?」
ハヤテの言葉に、空のグラスを置いたリュウガが答えた。
「今じゃ作られていねぇことは、確かだな。10年ほど昔は、まだ港によっちゃ、飲めることもあったが…」
苦笑混じりのリュウガに、シリウスの海賊たちは、それぞれに想像する。
おそらくは、港と酒と女性にまつわる思い出があるのだろうと。
リュウガは、否定も肯定もせずに、二杯目を傾ける。
剣士と呼ばれていた頃に馴染んだ酒を。かつて兄弟で最後に交わした酒を。


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