後編


6月19日(土) 大会3日目、体もだいぶ慣れてきた。今日はもう1体のトンボを彫リ始める。

↑お世話になっている「アンカーベイモーテル」、ライダーやフィッシャーマンなどいろんな人が泊まっている。
ありがたいことに食事は3食とも主催者から用意される。朝はドーナッツにコーヒー!これがうまいのだ!
(特に真ん中にラズベリージャムが付いているやつ)うひひっ↑


今日は土曜日ということでお客さんも多い。ここチェンソー大会のイベントのほかにも
街中ではクラシックカーの集会なども行われていたようである。また競技中、自分が特にパフォーマンスを
せずに彫っていても見に来てくれた人たちのほうが勝手に楽しんでいるようでうれしい。

1体彫り終えた安心感か?作品の全体像が見えてきたせいか?迷いなくガンガン彫りまくる!
リーズポートの競技はサンダーやドリルの使用もOKだが、おいらは敢えてチェンソーオンリーで
頑張る。時間がたっぷりあるので細かい作業もゆっくり出来るのでありがたい。
途中で写真を撮ったり、カーバーと話が出来るのもウエストコーストならでは。

↑リーズポートのおいしい料理の数々、これらを食べに行くだけでも価値があるのではと思ってしまう。

夕方、明日の最終日を残してほとんどが完成する。自分でも納得の出来である。
さっそく何人かの方が「作品を売ってください」と声を掛けてくれた。
しかしながら作品をアメリカで販売したことがないのでいくらつけたらよいのかわからない。
どうせ持って帰れるわけでもなく、逆に売れればリッチになるので売りたいのだが、、、
あまり安く売ってしまってまわりのカーバーに迷惑をかけるのも申し訳ないしねえ。
そこで全然関係ないが隣のカーバーに「あなたがこの作品を売るならいくらつけるか?」と聞いてみた。
相場がわかるかもしれないと思ったから、、、、そしたら「$1.000」というではないか?
「え〜そんな高値じゃ売れないよ」と私。「堂々と自信を持って売れ!お客は欲しいからお前に声をかけているんだ」と彼。
交渉に弱い私は「え〜$1.000でいかがでしょうか?」と低姿勢。はたして売れるのか??

連日飲みに行ったウォーターフロントバー。会場から歩いて15秒!!
今日はマッチョなブライアンさんにおごってもらう。
(MR.ブライアンとは同名ですが違う人です)


6月20日(日) 今日がいよいよ最終日。カービングも午前中までで終わり、午後は表彰式が行われる。
昨日は残念ながら作品の商談を取る事は出来なかったが、今日に期待して残り短い時間の中で最後の仕上げを行う。
まわりのカーバーはチェンソーよりもグラインダーやバーナーを使って最後の仕上げを行っている。
日曜日ということで観客も多く向こうの通路のカーバーが見えなくなるくらいだ。

↑右から昨年優勝者のブラット・シャープ氏。毎年ボブとリッジウェイランデブーに来ているウエストコーストNO1カーバー。
中央がルイジアナ州から来たバートさん。彼とはコインランドリーで会ってマクドナルドでご飯をおごってもらった。
左がケリーさん、いつもニコニコ陽気な人。ウエストコーストには明るい人が多いなあ。


正午に会場内を「フワーーンッ」と大きなホーンが鳴り響き競技が終了した。
同時に体の力が抜けた。疲れたがとても満足で、この瞬間はいつ経験してもいいものだ。

↑左からスティーブさん、ウエストポートの主催者。この後、彼と一緒にシネックスビルの大会に出場する。
パット・マクベイさん一家、ウエストポート以来の再会。子供が出来てました、かわい〜!!
とても元気なエレンさん、「ヘイッONO!私の隣に来てご飯食べなさい」と、いつも席を作ってくれた。
一番右は、東海岸のニュージャージー州から3日かけてやって来たブレット、昨年のシネックスにも出ていた
凄腕カーバー!彼の作る作品もとてもすごい!!


主催者から用意されたスペシャルな昼食をいただき、しばしアメリカカーバーと談笑をする。
気の早い人から「来年も来るのか?」と聞かれる。
まだ全然考えられなかったが、気持ちはうれしい。「もちろん来るよ!他の日本人カーバーも連れてね。」と言っておいた。
観客の1人から「明日私の家に来てもう少し小さい作品を彫ってくれないか?」とお願いされたが、
明日にはポートランドに移動しなくてはいけないので残念だがお断りした。
もっと時間に余裕を持ってくれば事前に作品を作って販売する事も可能であろう。

午後1時、全員で記念撮影をした後に表彰式が始まる。
優勝は昨年同様ブラッド・シャープ氏に決定した。オーストラリアから来たアンジ−が3位に入った。
彼女は信じられないという顔をしていたが、確かにいい作品を彫っていた。
私といえば入賞できませんでした。残念ですが楽しかったし、シチュエーションも最高!
いい経験が出来たからとても満足。
むしろ来年に向けてやってやるという闘志も湧いてきた。

すべてのカテゴリーが終了し、片付けをしながら見に来てくれた方々とお話を
していると日本人に声を掛けられた。フローレンスという北へ20マイルほど走ったところの町に
住んでいるという。やはりラジオを聞いてやってきてくれた。
その彼が来年は通訳をかってでてくれるというのだ。
なんとうれしい話でしょう。
また昨日作品を譲って欲しいと声を掛けてくれた人もやってきた。
その中でひときわ目をキラキラさせて私の作品を見てくれている女性がいた、
彼女の名前はエイプリル、私の彫ったトンボを庭に置きたいと何度も何度も説明してくれた。
そんな彼女に私は作品を譲った、大事にしてくれると思ったからだ。
作品を手にした彼女はうれしさのあまり、泣いていた。
そんな姿を見た私も思わず嬉し涙が、、、

↑私の左に写っているのがエイプリルさん

チェーンソーアートをしていてこれほどまでに良かったと感じたことは初めてでした。

6月21日(月) 昨日までの賑やかさはどこへ行ってしまったのかと思うほど静かな朝だ。
カーバー達は来年の再会を約束してそれぞれの家路に出発していく。
私もチェンソーを掃除して次の競技会場のペンシルバニアに送る準備をし、ボブに
UPSの事務所に連れて行ってもらう。
戻ってきた時、ボブが私に「リザルトを見るか?」と言ってきた。はて?本当は見せないらしいが
見れるのならば自分がどのように評価されたのか?知ることは次へのステップにつながると思ったので見せてもらう。
採点表は5つのカテゴリーに分かれており、5ポイント制で評価されていた。
要は成績表と一緒である。
カテゴリーは@テーマ性 A難易度 B芸術性 Cデザインとインパクト D総合バランス である。
私の採点はAとCで5段階評価の5が連発していた。
反面@が1を連発していた。
???????????なぜ?
雰囲気を察したボブが質問する。
「テーマは知ってたか?」
私は答える。
「ワイルドライフでしょ?」
.........
「ノ−....サーカスだよ」
「えっ???」
しばらく意味がわからなかったが、考えてみれば
ワイルドライフで他のカーバーが人間を彫るのもおかしいよな。
ってことはトンボは違うよな?
そうなのである完全なテーマミス!
次の競技大会のテーマをこの大会に勘違いしていた。
わははは〜やっちまったー。大笑いである。
ボブに謝って来年は絶対勘違いしないと約束する。
ボブももちろん笑っていた、教えてくれて良かった。
すっきりしてオレゴンを出発することが出来るよ。
待ってろよリーズポート!!来年はリベンジだぜー!!
(自分が勝手に間違えたんだろ!!)

終わり

↑左からオーストラリアンのアンジー、3位入賞。陽気で素敵な女性だ。
主催者のボブ・キング氏と奥さんのシンディーさん、また来年お邪魔しまーす。


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