“領群龍”リンチュンです! これから皆さんと一緒に戦うことになります。よろしくお願いしますね!
さて。 そうは言っても皆さんにしてみれば、先日の戦いに突然巻き込まれたようなもの。何が何だかわからないと思います。 そこでっ! この私が、今までに何があったのか、皆さんにご説明致しましょう!
ことの始まりは数日前でした。 それまで、私たちにとってこの香港は、大きな騒動もない住みやすい場所だったのです。もとより人間が地上で何をしたところで私たち龍脈にとっては大したことではありませんし(ああ、人間が、自分たちのしたことのために、私たちの力の恩恵を受けられなくなることはあります。けれど、それは私たちにとって大した問題ではないのです)、人間が「災厄」と呼ぶ一連の出来事さえも、龍脈である私たちには分かり切っていた出来事だったのですから。 ところが、「彼ら」は違いました。「彼ら」つまり、「真英帝国国土奪回軍香港方面隊クラウ=ソナス」は、人間でありながら、我々と同じく意志を持つエネルギー体である「邪悪な存在」の力を得ていたのです。こうなると、ただの人間とは違って、私たち自身の存在そのものを脅かしうるようになります。 そのような連中が入り込んでくるのは看過できない出来事でしたので、私たちは彼らの進入を阻むべく戦うことになりました。しかし、私たちは一応の意志を持つとはいえ、結局はエネルギー体であり、それを差し向ける方向性がはっきりと定まらなければ効率の悪い行動しかできません(ちなみに人間が「風水」と呼んでいる方法は、私たちの力に、人間にとって都合のいい方向性を与えるためのものです。普通の人間にはそれほど強い「方向付け」はできませんので、結局おまじないの域を大きく出るほどの効果が出ることはあまりないのですが)。香港征服の野望という、善悪はさておき明確な方向性を持つクラウ=ソナスに比べその点で大きく劣っていた私たちは苦戦を余儀なくされ、戦いを続ければ消滅の危険があるほどの窮地に追い込まれました。 ところで、今回の戦いで気づいているとは思いますが、私たちやクラウ=ソナスの構成員たちは、普通の人間には知覚できません。ですが、皆さんがそうであったように、ごくごくまれに我々と普通に接することができる人間もいます。コレット鳳さんも、そんな人間の一人でした。彼女はクラウ=ソナスの侵入を感じ取り、様子を見に来て、そして…彼らと私たちの戦いに巻き込まれてしまいました。 それに気づいた私たちは、同時に、私たちも人間と協力する、ということを思いつきました。そうすれば彼らとも対等以上に戦うことができる、と(エネルギーとしての強さでは、彼らに劣らないという自負はありました)。悔しいことではありましたが、そう決めた私たちは、その場は這々の体で逃げ出したのです。 放置しておけば死に至るであろう傷を負ってしまったコレットさんの延命のために、九龍のうち“降龍”ジァン、“出洋龍”スイヨウ、“隠龍”ユィンの三人は彼女に力を貸すことになりました。同時に、経緯をすべて知った鳳大人(彼も、私たちと接することができる人間でした。ただ、私たちと一緒に戦ってもらうには、年を取りすぎていました)も、私たちと私たちが選ぶ戦士たちに全面的に協力することを約束してくれました。そして、私たち六人が、私たちに協力してくれる人間を探すことになったのです。 私たちは普通の人間と接することはできませんから、特別な資質のない人間には事情の説明さえもできません。その資質があったとしても、クラウ=ソナスとの戦いに尻込みする人間では、私たちの力に方向性を与えることはできません。適格者はなかなか見つかりませんでしたが…あの場で、あの奇怪な連中を「見て」「ひるまずに」向かっていく皆さんに、私たちは出会うことができました。 その後のことは、皆さんがその目で見て、その耳で聞いた…その通りです。 |