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トーキョーN◎VA 2nd Edition

N◎VA補正計画

N◎VAセニット最高評議会第一次中間報告「ヒトが、かわる刻」


  シーン0 《幽玄》

 災厄の街、トーキョーN◎VA。
 そこに集まる英知を結集した象牙の塔。
 新星帝都大学。
 キャンパスの一角、とある研究室。
 少年と青年とが、静かに言葉を交わしている。
「……と、いうわけなんだ。この仕事、引き受けてくれないかな?」
 そう求める少年は、帝都大の教授に支給されるDAK付きデスクに腰かけている。対して、静かに立ちつくしているのは、決して瞳を開く事のない、白髪の剣士だった。
「……確かに、この仕事は成さねばならぬな。あまり気は進まないが」
「気持ちは分かるよ。もとは僕が招いた事だしね。でも、学園に巣くってしまった吸血鬼は、除かねばならない。これ以上彼らの存在を増加させるわけにはいかないからね。そして、彼らを完璧に滅殺できるのは、僕の知る限り、N◎VA中でも貴方しかいない」
「それは、買いかぶり過ぎだ」
 くるりと、白髪の剣士は少年に背を向けて、部屋の扉へと歩を進めた。扉から出る直前に、背中越しに少年へと声を投げる。
「やれるだけの事はしよう。だが、君の周囲にこそ、全ての元凶がいるのではないかな?」
「……どうしてそう思うのさ?」
「単なるカンだ。忘れてくれ」
 そう言い残して、白髪の剣士は去っていった。彼を見送りながら、少年は呟く。
「貴方の〈カン〉が外れた試しも、僕は知らないんだよ……?」

  シーン1 《MAYAKASHI》

RL:では、始めよう。前回の事件から、大体2ヵ月ほどが経過している。
 さて、データ君。
データ:はい。
RL:君は今、N◎VAの北側、木更津湖の湾岸線を走っている。エンタープライズ−Dの集会に向かってるところだね。
データ:了解です。で?
RL:君が走っていると、前方に高級そうなリムジンが走っているのが目に入る。
データ:当然、追い抜こうとします。
RL:するとだ、リムジンの左後ろのドアが突然開き、セーラー服を着た女の子が転がり出てくる! 路面で1回バウンドして、君のほうに飛んで来るけど?
篠懸:迷わず轢いちゃう(笑)。
一同:(笑)。
データ:助けましょう。〈二輪〉と《曲乗り》の組み合せで、15です。
RL:なら、君は飛んできた彼女を上手くキャッチしつつ、どうにか単車の体勢も安定させる事ができた。なかなかの腕だね。……さて、〈N◎VA社会〉で判定してくれるかな?
データ:えーと、8。
RL:なら、知ってる。新星帝都大学附属高校の制服だ。ちなみにセーラー。
データ:いいとこですか?
RL:N◎VAでもハイエンドな高校だよ。
データ:リムジンはどうなりました?
RL:彼女を放ったまま去っていくねえ。だけど、後ろから、
「FREEZE! ブラック・ハウンドよ!  GCI技研第6研究室長令嬢、佐久間純子の誘拐容疑であなたを逮捕します!」
 と、威勢のいい声が聞こえてくるけど?
データ:……(汗)。とりあえず逃げて、IANUSの電話でトレアドールに連絡を取ります。
RL:OK。では、次に行こう。

RL:次は教授。君のラボのDAKに、GCIからメールが入ってる。
教授:ポチっとな。
RL:「辞令依頼。新星帝都大学附属高校に、一ヵ月間非常勤講師として務めて頂きたい」
教授:「まあ、研究も一区切りしたとこだし、行ってやってもいいかな」
RL:ちなみに理由は、客員教諭として派遣していたGCIの研究員が行方不明になったから、だそうだ。要は場つなぎだね。
澪:この人に任せたら、何を教えるか分かったものじゃないですね(笑)。
RL:報酬は、報酬点10点分だよ。
教授:何を教えればいいのかな?
RL:ああ、物理とか科学だ。
澪:私は教授と一緒にいたはずですが……どうしましょう?
教授:うむ、助手として連れていこう。
澪:はいはい。
RL:武装のチェックされて、武器とかは取られると思うけど?
澪:オメガREDが見つからなければ、何とかなるでしょう。

RL:次は篠懸君。君は今、任務遂行中だ。
篠懸:僕はこの間の失敗を反省して、名誉挽回するために頑張ってる(笑)。
RL:今回の任務は、千早と2重スパイをしていた男の暗殺。すでに、ウェットシティの廃棄区画に目標を追い詰めたところだ。
篠懸:なるほど。
RL:まあ、中くらいの教室くらいの部屋で、篠懸君が中央付近に立ってるとすると、目標は部屋の隅でガタガタ震えてる。見た目は、ごく普通のエグゼクだ。
篠懸:はい。
RL:それで、男は、
「ま、待て。金なら幾らでも払う。ルテチアのデータは全て返す。だから頼む、こ、殺さないでくれっ」
 ……と、命乞いを始める。さて、こいつの正体だが、実はエグゼクのトループなんだ(笑)。篠懸:一人のトループ?(笑)。
RL:くらえ、《M&A》買収攻撃!(笑)。
篠懸:どうやって抵抗しようか……? よし、《アンダカヴァ》を使う。
RL:OK。抵抗した。
篠懸:「……」(無言で銃を撃つ)。
RL:はい、目標はオダブツだ。と、入口の方で物音がするけど?
篠懸:「誰だ?」
RL:その人物は、新星帝都大附属高校のセーラー服を着てて、ハンディカメラを持ってるね。 ついに登場の女子高生トーキー、一ノ瀬雛姫だっ!(笑)。
篠懸:うっ!(笑)。そうか……。
RL/雛姫:「別に、私は何も見てないわよ? 企業の秘密工作員が、無抵抗の会社役員を殺すトコなんて、ね」
 そう言って、にっこり微笑んでるけど?
篠懸:僕にどうしろと?
RL/雛姫:「手伝って欲しい事があるの……」
 何でも今、彼女の在籍する高校で、ある事件が起きていて、それを彼女は独自に調査してるんだそうだ。君にやって欲しいのは、その隠蔽技術を活かした監視カメラの設置と、ボディーガードの2つ。
篠懸:うーん、どうするかなあ……。しょうがない。ここは素直に乗ろう。
RL:感謝。では、後で学校に来てね。

RL:次は、トレアドール。いつもの如く、君はオメガ隊長に呼び出しをくらう。
トレアドール:「うっ、アレがバレたのかな。いや、それともこっちか?」(笑)。
一同:(笑)。
篠懸:心当たりがありすぎて(笑)。
トレアドール:ビクビクしつつ、入る。
RL:いつもの様に、オメガがドシッと座っている。
トレアドール:「へへっ、毎度どうも」
RL/オメガ:「仕事だ。新星帝都大附属高校で、近頃猟奇的なヴァンパイア騒ぎが起きている。
 久しぶりの、貴官本来の任務だが、あまり事を荒だてるな。これでも報道管制に骨を折っているんだ」
教授:こいつが犯人なのでわ?(笑)。
トレアドール:い、いや、私は……(笑)。新星帝都大には手を出していない。
RL/オメガ:「一応、君がシロとは確定してあるから、安心して行ってきたまえ」
トレアドール:「……わかりました」
RL:では、データ君に話を戻すか。

  シーン2 《KAZE》

RL:さて、データ君。君は必死に逃走を続けてるわけだが、追って来る奴が手ごわい。N◎VAでも悪名高い〈暴走警官〉こと小鳥遊京だ。でもって、止まりなさいを連呼してる。
データ:助けた彼女は目を覚ましました?
RL:まだ気絶したまま。
データ:〈バーンナウト〉に耐えられないな。殺しちゃう訳にもいかないし。
RL:彼女は、君の無実を証明してくれる唯一の生きた証拠だからねえ。
データ:とりあえず、IANUSの電話でトレアドールを呼び出し続けます。
トレアドール:「はい、もしもし……」
データ:「これこれこういうワケで……」
トレアドール:「何? ああ、わかった。なんとかするから、とりあえず君、捕まりたまえ」
一同:(笑)。
データ:では、捕まる。
RL:ん。では、京は君を逮捕してブラック・ハウンド本部に連行する。
トレアドール:では、説得してあげよう。
「彼は無実なんだよ」
RL:ようやく気絶から回復した少女も口添えしてくれるから、無罪放免だよ。
澪:でも、集会に遅れましたね(笑)。
RL:そうだね。では、ホワイトから、
「どうしたんだ、データぁ?」
 と、電話が入って来る。
データ:「すいません。こういうワケで……」
RL:「しょうがねえなあ。じゃあ、今日はこっちの方に流してるからな」
 とか言って、切れるよ。
データ:はあ。今日はどうしようか……?
RL:と、君の助けた少女、佐久間純子ちゃんが、てってってっと君の方へやって来る。黒髪黒瞳、セミロングの可愛い女の子って感じだ。 ペコリと頭を下げて、お礼を言ってくれる。「助けてくれて、ありがとうございます」
データ:「いやいや(ちょっとドギマギ)。で、何であんな事になったんだい?」
RL:誘拐されそうになったんだそうだ。
データ:相手は?
RL:分からない。どういう状況か整理すると、そもそも新帝大附属校というのは、ウェットな授業が売り物で……。
トレアドール:ウェットな授業?
RL:つまり、通信授業を一切してないんだ。その代わり、セキュリティは非常に良くて校内は絶対安全、が売り物になってる。
 それで、新帝大附高の生徒のほとんどは企業のお偉いさんの子弟だから、当然送迎もあり。データ君の見た高級リムジンは、彼女のうちの車なんだ。
 純子ちゃんが言うには、いつもの様に迎えに来てもらって車に乗ったら、突然クロロホルムの様な物を嗅がされて、そのまま連れ去られたそうだ。目覚めた時は車の中で、男が3人いた事しか覚えてなくて、具体的な事は何一つ思い出せないらしい。
トレアドール:それは、マヤカシの力かな?
RL:君なら多分、そうと推測できる。なお、本来の運転手は惨殺死体で発見された。
データ:誰かに乗っ取られた……?
RL:だろうね。で、データ君。純子ちゃんが君に相談したい事が……って言ってるけど?
データ:「何?」
教授:「運転手の代わりをして欲しい」
RL:冴えてるねえ、教授。その通りだ。それと、ボディーガードも。当然、報酬は弾むよ。
データ:「まあ、車も運転できないコトはないけど……最近小遣いが少ないしなあ」
RL:一日2報酬点でどうでしょう?
データ:なかなかいいバイトかも。OKです。
トレアドール:「実はブラック・ハウンドでもこの事件は調査中なんだが、何か分かったら連絡をくれ」
データ:「分かりました。……ま、ちゃんと送り迎えはしなきゃね」

RL:ところで篠懸君。君は雛姫にいいように使われる事になったのだが、上司になんて報告するかね?
篠懸:うー、困ったな。
RL:しばらく本来の業務から離れるわけだから、ちゃんと報告しないとマズいでしょ?
篠懸:アフター5で片付けようと思ったのに。
RL:ボディーガードもあるから、無理っぽい。
篠懸:そうだなあ……上司に連絡入れて、
「母が危篤で……」(笑)。
一同:(笑)。
RL/上司:「それはいかんな、君。クグツたる者、たとえ親兄弟が死のうと会社に忠誠を示さねばならんよ。いったい何が起こったのかね?」
篠懸:仕方ない。素直に全部言おう。
RL:じゃあ、それを聞いた上司が、
「……よりによって、あの小娘に目を付けられたのか、君は!?」(笑)。
篠懸:「とりあえずルテチアの事は知られていませんが」
RL:「あの小娘を下手に敵に回すと、放っとくよりヒドい目に会うからな。しょうがない、付き合ってやれ」
 だそうだ。よかったね(笑)。
篠懸:全然、会社のためにはならないけど。
RL:まあね。
篠懸:では、演神の「さらりまん」のカードを使って、清掃員に変装して行きます。達成値は20。
RL:問題なく校内に入れたよ。まあ、普通の警備員じゃあ気づけるわけないね。
教授:大したセキリュティじゃないな。
RL:まあ、キャストにかかっちゃね。こんなもんだ。

  シーン3 《FATE》

RL:そんなわけで、皆この新星帝都大学附属高校のキャンパスに集まって来たのでした。
データ:一応、拳銃を隠し持って行きます。ところで、俺はどこまで入れるんだろう?
RL:建物の中とかはいいけど、授業中の教室とかは遠慮してね。
澪:教授についてここまで来ましたけど、する事ないので、カフェルームでお茶してます。
RL:なら、そこで皆バッタリ会ってしまう。
篠懸:僕は変装してるけど?
RL:なら、篠懸だけは分からないかな。
篠懸:お掃除してま〜す。レレレのレ〜(笑)。監視カメラも、要所要所に仕掛けます。
トレアドール:ところで、猟奇的事件って何なのか、そろそろ具体的に教えてよ。
RL:やっと本題に入ってきたな。詳しい経緯を、担当の教員が説明してくれる。え〜と、今までの所、被害は死亡者のみ5人。

No Name(&Class) Corporate
1st
2nd
3rd
4th
5th
早野 水樹(1−D)
ジェーン=マクスウェル(3−F)
瀬尾 春奈(3−C)
山本 陽子(1−D)
エリス=河原(2−A)
千早
千早
ルテチア
GCI
和光技研

トレアドール:「ほほう」
教授:「ずいぶん死んでますな」
RL:解決にSSSやNIKが乗り出したらしいんだけど、ことごとく失敗。その間にも殺人事件は連続するばかり。それでブラック・ハウンドに泣きついたんだ。
教授:「死因は?」
RL:説明しよう。殺されたのは全員が女生徒ね。それでどんな殺され方かと言うと、まず、ある日突然、行方不明になる。
 翌日も登校しない。これで騒ぎになる。すると、その次の日の朝、誰よりも早く自分の席に座っているわけ。で、友達がそれを見つけて、「おはよう、どこに行ってたの?」
 とか言って肩に手をかけると……。
篠懸:ぐら、バタン(笑)。
教授:ドカーン!!(笑)。
RL:いや、倒れるんでも爆発するんでもなく(笑)。首、上半身、下半身。3つのパーツに分解して、ゴロゴロと。ちなみに全身の血液が抜き取られていた。
澪:「猟奇ですねえ……」(汗)
RL:だから、ヴァンパイア騒ぎになったんだ。
データ:「純子ちゃんも危ない所だったのか」
トレアドール:「だが、せっかく見つけた同胞が犯罪者とは……」
澪:「吸血ヴァンパイアが、犯罪者にならずに生きていくのは難しそうですけどね」
RL:事件は全て冬休み前だったけど、現在は冬休み明けだ。被害者のリストはこれ。
トレアドール:「ふむ、何か共通点は……?」
RL:別に殺される原因になりそうな共通項はない。ただ、5人とも新体操同好会のメンバーなのが目につくかな。
トレアドール:新体操同好会?
RL:そう。あとは皆よいトコのお嬢さま。親の企業もバラバラで、関連性は見えないけど。
データ:純子ちゃんも新体操同好会?
RL:うん。
トレアドール:「6番、佐久間純子、と」
澪:番号つけないで下さい(笑)。
篠懸:死ぬことを期待してんのか?
教授:いや、被害者ということで(笑)。
トレアドール:「用心に越した事はないよ」。5人の被害者が、事件の直前に様子が変だったとかは?
RL:それもない。
データ:とりあえず、同好会の部室に聞き込みしたいんですが?
RL:OK。部室は体育館の第2格技場に併設されてるよ。行ってみると、ガランとした部屋で、女の子が一人、片付けをしている。
篠懸:では、近くで掃除してます(笑)。
データ:この娘が次に狙われる……?
トレアドール:「えー、ブラック・ハウンドの者だけど、例の事件の事で」
RL/女の子:「何でしょうか?」
 ちなみに、彼女の名前は木下瞳子。同好会の会長さんだ。
トレアドール:「事件の前後に、怪しい人物を見なかったかな? どんなヤツでもいいんだが」
RL/瞳子:「そういうヒトは、見てませんけど……」
トレアドール:「では、部員の中に、最近怪しい言動をしてる奴とかいないかな?」
RL/瞳子:「いえ、いっつも怪しい3人組がいます」
トレアドール:「何だそれは?」(笑)。
RL:木下さんによると、常に3人一組で、顔の見分けもつかなくなりそうなホド似ている変な奴らだ。もちろん、他人同士だよ。
 所属は全員2−Aで、男子生徒。
トレアドール:男ぉ?
RL:そう。名前は、三島九郎に、馬場結人、鹿須賀希。3人合わせて三バカトリオと呼ばれていて、いっつも怪しい事してる。
澪:怪しすぎます(笑)。
RL:怪しいのとなると、それ位だそうだ。
トレアドール:「なるほど。ああ、それから、君も狙われる可能性があるから、気を付けた方がいいよ」
データ:「実は、佐久間さんもさらわれかけたんだけど」
RL:「えっ!?」とか言ってる。
データ:「君も危ないかも知れない」
RL:「お願いです、守って下さい」ってさ。
澪:「私がついてましょうか? 他の人が狙われる可能性は低そうですし」
トレアドール:「お願いする」
RL/瞳子:「よろしくお願いします(ペコリ)」
データ:あと、どうして佐久間さんだけ、途中で放り出されたのか分からないかな?
RL:分かんないそうだ。
データ:では、本人に聞いてみようか。
RL:いいよ。純子ちゃんは、ちょっと頬を染めたりしつつ、君の質問に答えてくれる。
データ:「君さ、連れ去られて、途中で放り出されたけど、どうしてだと思う?」
RL/純子:「放り出されたんじゃなくて、逃げ出したんです」
データ:「なんだ、そうなの」
RL/純子:「あの時は本当に無我夢中で、あんなに速く走ってる車から飛び出したら、どうなるかなんて考えられなくって……」
 医者も、あの状況で怪我一つも無かったのは実に不思議だと言ってた。
データ:「俺の腕がいいからさ」(笑)。
RL:(これ、重要な伏線なんですが……)
トレアドール:そうだ、この娘の潜在意識に潜れば、犯人が割り出せないかな?
RL:不可能ではないだろうね。
トレアドール:〈霊的知覚:追憶〉で13。
RL:何が知りたい?
トレアドール:車の中で、何が起こったか。
RL:では。純子ちゃんが目覚めて、
「ここはどこ?!」
 とか言おうとしたら、猿ぐつわされていて、ついでに手足も縛られていた。車の中には、運転席と助手席、後部座席に1人ずつ男がいた。
トレアドール:ほう。
RL:それを見てパニック状態に陥った彼女は、慌ててドアロックを後ろ手で解除して、転がる様に車外に飛び出したわけだ。ちなみに、彼女を縛っていたロープは、路面にぶつかった時にちぎれ飛んだ。
篠懸:目隠しはなかったんだ。
RL:そう。でも、彼女は犯人の顔も直視しているハズなのに、記憶が消去されている。トレアドールの霊的捜査でも復元はムリだね。
トレアドール:男たちは、車内で何か話してなかったかな?
RL:してた。でも、内容は消されている。

  シ−ン4 《KUGUTSU》

教授:ところで三バカって、いま学校にいるんですか?
RL:いるよ。どこかに呼び出す?
教授:うーむ、非常勤講師控室に……他の講師がいるか。使ってない特別教室に呼び出す。
篠懸:それを聞いた時点で、その部屋にも監視カメラを仕掛けておく。
RL:雛姫が接触してくるが?
篠懸:今までの経緯を話しましょう。
RL:おーけー。
「なるほど、流石ね。ふふふ、燃えてきたわ!」 とか言って、走り去っていく(笑)。
篠懸:人の役に立つって幸せだなあ(笑)。
RL:三バカで呼び出す? それとも個別に?
トレアドール:個別で呼び出そう。まずは三島。
RL/三島:「何の御用でしょ〜か?」ぼ〜っ。
教授:「この成績は何だね、君?」
一同:(笑)。
RL/三島:「勉強はちゃんとしてますよ。でも先生が難しい問題を出すからじゃないですか〜」
教授:(トレアドールに)何か聞きたい事は?
トレアドール:そうだな、事件について一通り聞いてくれ。
教授:「そういえば君、新体操同好会に入ってるんだって? こんな成績で部活やろうなんて、百万年早いよ」
篠懸:百万年!(笑)。
RL/三島:「いや、先生! 新体操同好会は、我が青春なのです!」ず〜ん!
教授:「ほお。聞いたところによると女目当てとか言うじゃないか?」
一同:(笑)。
RL/三島:「それは誤解です! 我々はただ、芸術的なまでに美しい女性のレオタード姿を鑑賞するために……」(笑)。
篠懸:自分で白状してどうする(笑)。
教授:「残念だねえ、もう5人もいなくなって」
RL/三島:「そうなんですよ。シクシクシク」
トレアドール:「教授、その調子です」
教授:アリバイでも聞くかな。
「そういえば、彼女たちがいなくなった時、君はどこで何をしたたんだね?」
RL/三島:「はへ? 普通に生活してましたが?」
教授:「そうか。だが、こんな成績では、君の進級はねえ……」
RL/三島:「そ、そうなんですか? 我々は最低限、単位を落とさないよう手抜きして……」(笑)。
教授:うーん、他に何かあるかな?
トレアドール:もういいよ。
教授:では、残りの二人にも同じような事を。
RL:同じような答えが。
教授:まあ、そうでしょうね。アリバイは?
RL:完全には証明できないけど、あるね。

 その後、トレアドールはSSSに手配して、被害者の死体から犯人像を割り出そうとするが、分かったのは死因が吸血である事、死体の切断に《水鏡師》の能力が使われたらしい事、さらに切断時に全く血痕が制服に残らなかった事の3つだけだった。

トレアドール:うーむ。
データ:手がかりが途切れたな。
澪:三バカが怪しいですけど、証拠は何もないですしねえ。
RL:その頃、データ君。三バカの一人の馬場が純子ちゃんに近寄ってくるよ。で、
「今回の事件について、相談したい事があるんですけど〜?」
データ:む?
RL:純子ちゃんは、困ったような顔をして君を見上げてるが。
データ:とりあえず、
「今日はまだ危険かも知れないから。話は明日にしてくれ」
RL/馬場:「ははあ、仕方ないですね。では、また明日に〜」。サササササ……(笑)。
澪:何なんだか(笑)。
RL:そこで澪ちゃん。木下さんの所にも、三バカの一人、鹿須賀が来る。
「会長、今度の件で、ちょっと相談したい事があるんですけど〜」
澪:怪しいですね。
RL:木下さんは、「困ったわねえ」とか言いつつ、ついて行こうとしてるが?
澪:もちろん一緒に行きます。オメガREDの準備も抜かりなく。
RL:では、カフェルームにて。
「会員が少なくなって大変じゃないですか。新しい女子を勧誘しましょうよ〜」
篠懸:女子って限定してるあたりがなあ(笑)。
RL/鹿須賀:「ここは、やはり我々三人の魅力で!」キラーン!!
篠懸:「キラーン!!」じゃねえ!(笑)。
RL:そうして討議(?)が続くわけだが、何かする?
トレアドール:何もできないな。
澪:こうなったら、次の事件が起こるまで待ちますか? もちろん、狙われたヒトの命は絶対に守らねばなりませんけど。
RL:(どうしようかな。別に三バカは手近にいたから同好会員を襲っただけで、警備されてりゃ他の女生徒を狙うんだよなあ……。
 放っといた場合の被害者は……1−Bの近藤あずさ、2−Fの桐山高子、3−Aの沢口香、それから……ああっ、そんなのイチイチやってる時間なんかないぞ!?
 仕方ない、ちょいと強引だけど、
ゲストに働いてもらうか……)

  シーン5 《KATANA》

RL:えーと、篠懸君?
篠懸:何でしょう?
RL:雛姫からコールだ。
「今回の事件、大体証拠も揃ったし、犯人の目星もついたわ。あとは尋問して自白をとりたい所なんだけど、犯人の3人組が、厄介な能力を持ってるらしいのよね」
トレアドール:やっぱりそうか。
RL:トレアドールにも同じくコールが入るよ。それで、犯人が抵抗した場合、どうにかして欲しいってさ。
澪:やっぱり犯人は三バカなんですね。尋問をゲストがやるのは、ちょっと不本意ですけど。
RL:状況証拠はあるけど、物的証拠は一切残してないからね。あとは誘導尋問くらいしか手がないのよ。少し厳しかったかな。ごめん。
トレアドール:とりあえず、お膳立てしよう。
RL:では、例の特別教室に再び三バカが呼び出される。通り一遍の質問の後に、
「そう言えば、彼女たちは首と腰を切られて死んでたのよね?」
「ええ、そうですが〜」
「だから、着せてあった制服に、血がべっとりだったのよね」
「おや、血は付いてないはずですが?」
トレアドール:バカだね、こいつら(笑)。
篠懸:三バカと言われるだけの事はある(笑)。
トレアドール:三バカのオーラの色は?
RL:明らかに人外のそれに変わるねえ。
「ここまで知られた以上、仕方ないですねえ〜」 とか言って、3人でふっふっふと笑い、牙を剥いて襲いかかって来る!

 RL、アクセス・カードを配る。

澪:一番です。まず、オーヴァードライヴ起動&生命ブースト+3点。
 まずは小手調べ……三島に、〈スラッシュ〉、《斬栽剣》、《修羅》、《雷帝》で15!
 『いくわよ、雷刃斬!!』
RL:うーん、避けられない。失敗。
澪:あれ? では、斬りの23点に電撃が15点いきますけど?
篠懸:消し飛ぶぞ、それ(笑)。
RL:ああ、昏睡。その直前に、神業の《天変地異》で攻撃だあ! 
 『水のカッターで切り刻まれなさい〜』
澪:こちらも《天変地異》で防御。渦巻く乱気流で水を拡散します。
RL:……次はこっちか。鹿須賀が《火炎魔人》で、ファイアーボールを新体操のボールの要領で澪ちゃんに投げつける。17。
 (ダミ声で→)『そおれっ★』
澪:……(汗)。〈スラッシュ〉、〈ラン〉、《修羅》、《雷帝》、《障壁》の組み合せで、避けつつ攻撃します。21、22で。
 『うざったいっ!!』
RL:やだねえ、この剣豪娘は(笑)。避ける努力が、14。
澪:では、斬りが15点&16点。電撃が7点です。ついでに、防護点が10点上がります。
RL:鹿須賀も昏睡。死に際に神業で澪ちゃんを燃やす。
 『焼け死になさい〜』
澪:これは防げません……。
トレアドール:ぼくが助けてあげよう。《守護神》で、召喚した魔神が炎を食べる(笑)。
RL:OK。次は?
トレアドール:馬場に幻覚攻撃。〈カウンセリング〉、《幻影》の組み合せ。達成値は21。自分の身体が3つにちぎれて、周りでは自分が殺してきた人たちがオホホホホと(笑)。
 『ククク、君の犯した罪に裁かれたまえ』
RL:何だ、そのオホホホホというのわ(笑)。
トレアドール:感情の能力値にダメージを。
RL:抵抗……できねえよ!(笑)。
トレアドール:こういうのは基本的に差分値がダメージだから、21点かな。
RL:では、死に際に神業で反撃だ。《守護神》でトレアドールの霊体を消去にかかる。
 『おにょれ〜、未練だ〜』
トレアドール:では、こちらも《守護神》で、霊体をガードします。
 『アスタロトの印もて、我が魂は不動なり!』
RL:では、三バカはバタバタと倒れた。これで終わりか。弱いぞこいつら(笑)。
トレアドール:「ふう。苦しい戦いだった」
澪:どこがですか(笑)。
データ:順番すら回ってこなかった。
教授:では、ドアを開けて、
「おう、終わったか?」
澪:「ええ、終わりましたよ」(笑)。

  シーン6 《KABUTO》

トレアドール:結局、三バカはどうなったの?
RL:倒れてピクピクしてる。
トレアドール:とりあえず、手錠をかける。
RL:他には?
澪:何故、こんな事をしたか聞きたいですね。
RL:ふむ。聞こうとして君たちが近づくと、「フフフフフ、我々は、不死身、なのだ〜」
 とか言って、消えようとするけど?
トレアドール:誰か何かやってくれ(笑)。
澪:《死の舞踏》!
データ:《止めの一撃》!
RL:では、2人止まった。あと1人は?
篠懸:《タイムリー》だろう(笑)。
澪:〈火星大王〉ですか?(笑)。
RL:いや〜っっ!!(笑)。
教授:「いでよ、火星大王!」。火星大王は無数のナノロボットが合体して出来ているのだ。巨大な手の形になって、3人目を押さえる。
一同:(笑)。
RL:「我々は〜、不死身〜、なのだ〜」
 でも、言ってるだけ(笑)。
トレアドール:「では、動機でも拝聴しようか」
RL:そりゃあ、吸血鬼ですから。自分たちの生命を維持しつつ、快楽を得るためだな。
篠懸:趣味と実益、だね。
澪:「今まではどうしてたんです?」
RL:こいつらの話を総合すると、何だかある日突然、ヴァンパイア化したらしい。で、3人で額つき合わせて相談して、結局こんなバカな方法に訴えたんだ。
トレアドール:「何故こんな事になったんだ?」
RL:彼らには見当もつかないみたいだね。と、そこで部屋に一人の男が入って来る。
「その質問には、私が答えよう……」
 サクリファイス、だね。
トレアドール:「むう」
RL/サクリファイス:「こいつらは……言うなれば、人造吸血鬼だ。あるウイルス実験の結果による、な」
データ:「どういう事なんです?」
RL/サクリファイス:「……ある科学者が、人体をDNAレベルで制御/強化する研究をしていた、と思いたまえ。その実験台として選ばれ、ウイルス投与を受けたのが、ここ、新星帝都大学附属高校の生徒たちだ。
 ウイルスの目的は、人の潜在能力を少しだけ引き出すというものだったが、ある種のDNA因子を持つ者を吸血鬼化してしまう、副作用の存在が発見された。
 私が受けた依頼は、その吸血鬼化した者たちの完全なる滅殺。方法さえ理解すれば、奴らは血族を増やす事も可能という話だからな……」
教授:う〜む、実に興味深い。もう一発《タイムリー》を使って、三バカの血液サンプルを採取しておきます。
RL:OK。では、邪魔もないようだし、サクリファイスは三バカをみんな〈スラッシュ〉、《環滅》の組み合せで消し飛ばした。
篠懸:どうやら終わったかな?
教授:う−ん、私の前任者が怪しいなあ。
RL:(実の所、三バカに殺られたんだけど) さて、サクリファイスは、
「まだ……終わりではない」
 とか言って、部屋から出て行くよ。
データ:じゃあ、純子ちゃんに(事件解決を)言ってこようか。
RL:純子ちゃんなら、カフェルームにいるよ。

  シーン7 《KABUTOWARI》

RL:では、データ君が純子ちゃんのところに来ると、その前にサクリファイスがいる。で、刀を振り上げて……。
データ:キー効果! サクリファイスの刀を銃で撃ち飛ばす!
RL:では、彼の手から刀が飛ぶ。振り向いて、「……邪魔をするな」
データ:「何故、彼女を殺そうとする!?」
RL/サクリファイス:「まだ気づいていないのか? この少女も、吸血鬼だ……」
データ:「何を根拠に?!」
RL/サクリファイス:私の知覚が、そう告げている。それに、普通の人間ならば、高速で走るリムジンから飛び出して、無傷で済むはずがあるまい……」
データ:「なっ……」
RL/サクリファイス:「この娘は、まだ吸血鬼として覚醒はしていない。恐らくあの時は、自己保存本能が働いて、一時的に肉体が強化されたのだろう……」
澪:なるほど、自己保存本能……って、ちょっと待って下さい! それって……?!
RL:察しが良いね。その通りだよ。先刻からサクリファイスに圧倒されて一歩も動けなかった純子ちゃんのオーラが、例の三バカと同じく変貌してゆく。

「しまった、時間を取られ過ぎたか……」
 と、サクリファイス。
「……助けて」
 と、純子。

教授:ああ、研究材料にしたい。
澪:何てコト言うんですか!(殴る)。
教授:ぶっ(突っ伏す)。
RL:あんたらええコンビやなあ。さてデータ君、どうする?

 虚ろになっていく瞳に涙を浮かべて、もう一度、純子が言う。
「……助けて」
「放っておけば、いずれ吸血鬼化して生徒たちを襲うだろう。今のうちに殺しておくべきだ」
 とは、サクリファイスの言葉。

データ:「彼女を助ける方法はないのか!?」
RL:「ない」
 きっぱりと、サクリファイスが言う。でも、一つだけチャンスがある。〈感情〉で純子ちゃんとの〈コネ〉をあげるから、それで判定して良い値が出れば……。
データ:カードがない! ……山引きもダメ。
RL:では、純子ちゃんは完全に吸血鬼化してしまう。理性を失い、喉の乾きを癒すために、目の前にいるデータに襲いかかろうと……。
データ:……ごめん。銃で撃ちます。〈ガン〉、《必殺の矢》でエース。21。
RL:回避に失敗。銃弾は狙い過たず、彼女の眉間を貫いた。その身体が、少しづつ灰燼に帰してゆくね。
「どうして……?」
 そう言って、彼女は消滅する。
データ:「…………」

  シーン8 《INU》

◇ルテチア社、N◎VAアーコロジー内。
   営業部、企画7課のオフィス。

「……はい、篠懸君。お茶よ」
「ああ、ありがとう」
 無気質にそう言って、レミーから熱い紅茶を受け取った篠懸は、ふと物思いに沈む。
 五月蝿い小娘に利用される結果に終わった、今回の事件。唯一の気晴らしと言えば、彼女を会長しか残らなかった「新体操同好会」に放りこんだ事だろうか……。
「おーい、篠懸ぇ。この書類だがな……」
 何はともあれ、今は日常の勤務に浸っていよう。せいぜい、血みどろの企業間戦争に戻る前に、だが……。

◇ブラック・ハウンド本部、隊長室。

「……以上が、今回の事件の概要です」
「ふむ、ご苦労だったな。では、任務に戻ってくれたまえ」
 だるそうに敬礼し、トレアドールが退室する。それを見送るでもなく、オメガは再び報告書に目を落とした。
「人体強化ウイルスか。これ以上、人間の能力を拡張して、我々はどこへ行くのだ……?」
 隊長室に差し込む夕日が、〈接続された男〉の異様なシルエットを、浮かび上がらせる。

◇新星帝都大学付属高校、2−A教室。

「この、人間の脳が持つ業(カルマ)の計測のために使用されうる方程式は……」
 熱心に〈授業〉を施す松戸教授。だが、生徒の誰一人として、その突飛な理論についていける者はいない。
「しかる後に、大脳新皮質の塩基反応を検出する事によって解明されうる……」
 それでも、松戸教授は任期を力一杯、講義に費やしたという。

「でも、生徒の立場から言わせてもらえれば、とてもメイワクな先生ですよね」
 そう言ってカフェルームで微笑んだのは、女子高生ながら優秀なトーキーとしても知られる少女、一ノ瀬雛姫だった。
 2−A所属の彼女は、松戸教授の授業をサボタージュして、今回の事件のルポをまとめている最中である。
「そうねえ……。別にワルい人じゃないとは、思うんだけど……」
 取材されているのは、同じく女性ながら凄腕の剣士として名が売れ始めた、鈴奈澪。今回の事件でも、大いに活躍した一人だ。
 だが、後に澪は、この発言を大いに悔やむ事になる……。

◇トーキョーN◎VA、湾岸フリーウェイ。

 夕暮の高速を、一台のバイクが駆け抜ける。 深紅の車体が、日没の光でより深く染まる。 カワタナ社〈A−Killer〉のカスタム。
 それを駆るル・ド・データの心の中に。
 彼自身が咲かせた、鮮血の華が一輪。
 静かに沈みこんでゆく……。
 どこまでも。どこまでも。

〈第弐話:「ヒトが、かわる刻」 了〉


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