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トーキョーN◎VA 2nd Edition

N◎VA補正計画

N◎VAセニット最高評議会第二次中間報告「日出ずる国(後編)」


   シーン0 《承前》

RL:……なら、澪ちゃん。
澪:はい?
RL:君に、オメガからコールだ。
「ご苦労だったな。ところで、一連の事件の犯人として、和田正和が自首してきたのだが……」
一同:ええーっ!?
RL/オメガ:「確認したいことがあるので、至急本部まで戻ってくれ」
澪:「了解しました。ところで、今回の事件で協力してくれた人たちもいるのですが、合川組制圧の時に重傷を……」
RL/オメガ:「トレアドール巡査もか?」
澪:「そうです。どうしましょう?」
RL/オメガ:「分かった。レスキューを回そう。話も聞きたいから、参考人として連れて来てくれ」
教授:参考人ですかあ?
RL:「重要」がついてないだけマシでしょ?
澪:まあ、とにかく急いでブラック・ハウンドに戻りましょう。
データ:ところで、僕たちはどうなってるんでしょうか?
RL:ああ、途中で治療を受けたことにして、回復してくれてていい。終わるころに、本部に到着するから。
トレアドール:意識さえ戻れば、その辺の隊員から精気を吸い取れるんだが?
RL:ああ、やっちゃってくれて構わないよ。
「ん? どうも今日は疲れぎみだなあ」(笑)
トレアドール:くくくくく(笑)。

   シーン1 《KAGEMUSYA》

トレアドール:「さて、隊長に会いに行くか」
RL:では、オメガの部屋だ。ミドリちゃんがコーヒーなど出してくれる。
トレアドール:なかなか飲めるもんじゃないよ。ブラック・ハウンドの出すコーヒーは。
篠懸:泥のようなコーヒーってか(笑)。
RL:コホン。あ〜、さて、オメガは、「まずはこれを見てくれたまえ」と言って、モニターに映像を映し出す。そこには独房に閉じ込められた和田正和がいるね。ちなみに、彼はどこにでもいるような容姿の、30代の警官だ。
トレアドール:「おや、彼はまだ生きているのですか?」
RL/オメガ:「もちろん、彼の姿形は和田そのものだ。指紋も声紋も、DNAパターンからも、間違いなく本人との答えが出ている。仮に、それらのデータが正しいものだとすれば、の話だがな」ここで、〈視覚〉の判定をしてくれ。
データ:10ですけど。
その他:わざと失敗(笑)。
RL:では、君は一瞬、画面の中の和田がニタリと笑ったように思えた。
データ:ふ〜む。
RL:で、オメガは続ける。
「そんなわけで、この事件は解決した事になる。10人の行方不明者を残して、だ。……そこで君たちに頼みたい事がある、トレアドール巡査に協力して、事後処理に当たってもらいたい。私の言いたい事は、以上だ」
教授:君たち? わたしも?(笑)
澪:まあ、異存はありませんけど。
データ:う〜ん、ブラック・ハウンドには逆らえそうにないですしね。
篠懸:とにかく僕は、綾瀬睦美を何とかしないと(笑)。
RL:どうやら、みんなOKだね(笑)。
トレアドール:了解です。ところで、彼と面会はできませんかね?
RL:構わんよ。
トレアドール:しかし、本人なのかねえ。教授なら作れそうだぞ。優秀なクローンとか(笑)。
教授:彼はブラック・ハウンドのデータを消去したんだろう? 自分のデータくらい書き換えているのではないかな?
澪:なるほど。
RL:では、去り際にオメガがさりげなく、
「これは別件なのだが、つい先日、綾瀬睦美の偽造IDを使って、何者かがルテチアから重要な企業機密を盗み出したらしい」
篠懸:ぎょえ(笑)。そんなあ。オメガは僕が工作員だと知ってるんだね。
RL:当然。彼に知らない事は何もないよ。

 そんなこんなで、トレアドールたちは本部の地下にある独房に閉じ込められている、和田と面会した。トレアドールの心霊調査(笑)で、案の定、獄中の和田は偽者と判明する。

トレアドール:いわゆる、カゲムシャという奴だね。
教授:つまり、本物を捕まえろと言うことか。
RL:そう。つまり、事件は全く解決してないと言うわけ。
篠懸:僕にとっては、最初っから解決した気もしないよ(笑)。
RL:そうだねえ。まあ、オメガの言う「事後処理」というのは……。
データ:本格的な調査を続行しろ、と言うことですね。
RL:そう。犯人が自首してしまった以上、この事件は表向きには解決してしまったんで、君たちで何とかしてくれ、と言うことだ。
教授:非合法活動というわけですか。
RL:そういう事だね。

 何のかのと相談した結果、トレアドールたちは綾瀬睦美が目撃されたという、南房総地区へ向かうことにした。

トレアドール:おっと、その前にカゲムシャの精神エネルギーを吸い取っておこうか(笑)。
RL:カゲムシャの精神はまずいぞ?
トレアドール:はあ、困ったな。でも、我慢して吸います。
澪:我慢してまで、そんなことしないで下さいよ(笑)。
トレアドール:とりあえず、理性を2点吸収、次の次のシーンまでは維持できるね。
澪:さすがバンパイア(笑)。
RL:では、南房総に着いたでいいかな?
篠懸:道中、ルテチアの上司に、盗まれた企業機密について聞いておきます。
RL:OK。盗み出されたのは、データベースに侵入してデータを改変した後、自己崩壊するプログラムだ。ちなみに、同様のものはたくさんあるけど、このプログラムは綾瀬睦美が自力で開発したもので、まだこれに対するワクチンプログラムは開発されていない。
 それともう一つ、イワサキとの提携で開発中だった、ヴィークルのマルチ管制システムだ。
篠懸:なるほど。
トレアドール:それ、聞いてていいかな?
篠懸:う〜ん、会社の機密事項だからね。話さないよ。

   シーン2 《KABUKI》

RL:では南房総地区だ。綾瀬睦美の目撃証言があったのは、空港近くの住宅街。すでに壊滅した、合川組の本拠地もある。
トレアドール:ふむ。「ジャックが倒れた後の」合川組は、どうなっているのかな?
RL:音羽南海子が裏から手を回し、完全に潰した上で再建を始めている。いわゆる吸収合併という奴だ。本拠地では音羽組の面々がうろうろしているね。
澪:では、この辺で聞き込みをしてみましょう。
RL:何の?
篠懸:綾瀬睦美についてですね。
RL:なら、〈交渉〉で判定してみて。
トレアドール:14。
RL:14ね。え〜と、ジャック=合川らしい男と、例の謎の剣士らしい男と一緒に、日用品なんかを買い物した後で、合川組の本拠地に戻ってったらしい。
トレアドール:それは、いつ頃の話?
RL:一週間くらい前かなあ。
澪:では、元合川組本部に行ってみましょう。
RL:いかついおっさんが、
「何の用だ?」
 と威圧してくるよ。
教授:うっ。思わず少佐の背中に隠れる(笑)。
RL:少佐?
教授:そう。わ・た・し・の、戦闘用ドロイドの名前ですよ。外見は軍服の美女。 RL:ああ、前回は研究所に忘れた事になってた奴ね。了解したよ(笑)。

 結局、トレアドールの交渉で中に通してもらえた。なお、ここで事情によりデータ君のプレイヤーがしばらく抜けてしまうため、彼だけはバイクを走らせ、別方面へ聞き込みに行く事になる。

RL:では、奥の庭に面した応接間で、南海子さんのそっくりさん、弁天嬢に会える。
トレアドール:「早速本題に入りますが、ここが音羽組の物になる前、合川組の物だった時に、綾瀬睦美という女が出入りしていたらしいのですが、その行方を知りませんかね?」
RL/弁天:「さあ……。その辺に関しては分かりかねますけど、セキリュティのデータは残っていますから。お調べになりたければ、どうぞご自由に」
トレアドール:「それは、ありがたい」
澪:「教授、出番ですよ」
教授:「わたしの専門外だと思うがなあ……」〈エレクトロニクス〉で代用判定。12。
RL:プロテクトなんか掛けてないから、問題なく分かるよ。この合川組の本部には地下道があって、そこからどこぞへと抜け出したらしい。
トレアドール:その地下道って、どこに通じてるの? 出口は一ヵ所だけじゃないの?
RL:ああ、あちこちに通じてるよ。
澪:じゃあ、どこに行ったか分かりませんね。
篠懸:「地下道に入ってみたいんだけど?」
トレアドール:「地図をコピーさせて頂けますか?」
RL/弁天:「ええ、構いませんが。地下道での事故について補償はいたしかねますよ」
澪:「地下に変なものでもいるんですか?」
トレアドール:まあ、地下に行ってみれば分かるだろう。
教授:少佐に運んでもらって行きます。
篠懸:背中に「教授用シート」とか着いてたりして(笑)。
RL:つけてもいいぞ?(笑)では、地下道に入った。真っ暗だけど。
澪:懐中電灯くらい、ありますよ。
RL:では、地下道を進んでいくんだけど、特に変わったものはない。今は整備されていないようだね。
トレアドール:一般論として、N◎VAの下水道に危険なミュータントっているの?
RL:居るかも知れないなあ(笑)。でも、しばらく歩くと裏山の出口に出ちゃうけど。
トレアドール:裏山かあ。手掛りなんか、ありそうにもないな。
RL:(う〜、これ以上うろつきまわられるとやっかいだしな……)ここで、〈知覚〉の判定をしてくれ。
澪:〈霊感〉で12ですけど。
RL:OK。澪ちゃんは、裏山の一角にヘリが離着陸した形跡を発見した。
澪:ヘリコプターですか。
トレアドール:これでは、どこに行ったか分からないなあ。
RL:(これ以上、追われても困るんだ)とりあえず、手がかりはここで断ち切られてるってわけだ。
澪:困りましたねえ。
トレアドール:国外に高飛びされたりしてないだろうな。空港にデータを回して、問い合わせてみよう。
RL:とりあえず、飛行機に乗ったとかの記録はない。
篠懸:これから乗るかも知れない。チェックはしといてもらおう。
教授:整形しとるかも知れんぞ?
トレアドール:そうだな。教授はその手の知り合いが多そうだから、ちょっと当たってみてくれないか。
教授:コネであるのは……臓器屋?(笑)
篠懸:〈タタラ街社会〉ならどうかな?
RL:いいけど、達成値に−5して……、
教授:エース(笑)。
RL:ありゃりゃ(笑)。整形外科医には来てないようだね。
トレアドール:じゃあ、しょうがない。他の人を捜してみようか。
澪:誰を捜すんです?
トレアドール:教授、臓器関係の辺から、行方不明者に関して片っ端から洗って下さいますか?
教授:ふむ。この前臓器屋で脳味噌を手に入れましたよね。そこから記憶を洗い出すとか。
トレアドール:OK、OK。ぼくにならできる。これは旨い食事にありつけそうだな(笑)。
澪:まったく、この人は……。

 教授が前回の臓器屋で入手していたパーツは、ラヒトー、ボブ、エドワードの三体分で、残りは既に売約済みだった。
このうち、トーキーであるエドワードの記憶を探るのが良いだろうと、トレアドールがさっそく霊査を開始する。

RL:じゃあ、〈追憶〉技能で判定して。
トレアドール:22。
RL:なら、何でも分かっていい。
トレアドール:とりあえず、彼の身に起こった事を粗筋にして教えて欲しいんだけど?

 ……生粋のトーキーたる俺、エドワード=ギャバは、ブラック・ハウンドのある刑事と、合川組とが、必要以上に癒着しているというネタを追いかけていた。
 調べていくうちに、奴らは日本侵入の容疑で終身刑になっている「人的資源」の利用を考えついたらしいと分かった。久しぶりのどでかいネタに、俺は思わず身震いしていた。ニューロとしても腕に自信のあった俺は、例の刑事を割り出そうと試みたが、相手には俺以上の
電脳神がいたらしい。結局、入手できたのは合川組と刑事の契約書類の……ジャンクだけだった。
 だが、そのジャンクでも幾つかの情報を入手できた。まず、合川組と刑事の目的がズレている事。合川組のトップ、ジャック=合川はカネもうけしか眼中になかったが、刑事の方はそれ以外の目的があるらしい。
 また、人身売買のリストには、売却マークと純血マークが押されていた。これが何を意味するのかは分からない。俺に分かったのは、俺にも「売却」マークが付けられていた事だけだ。
 そして俺は何者かにハメられ、日本侵入未遂容疑でブラック・ハウンドに逮捕された……。

 獄中で2週間を過ごした頃、俺を逮捕した刑事、和田正和が、俺を逃がしてくれると言った。俺たちはヤツの手引きでブラック・ハウンドを脱走し、木更津湖の北岸にある、ヤツの屋敷にかくまわれた。
 しかし、俺は例の売却マークと純血マークが引っかかっていた。
NIKに入れておいた俺の仕事用のメモリから、例のジャンクデータを引き出して、改めて事件を洗い直すうちに、売買リストの人物と脱走者が一致する事と、国籍とマークが対応している事が分かった。
 そして、ふと見回すと、俺の周りには「売却」マークのついている連中しかいなかった……。

表2<「売却」リスト>

NAME 年齢 性別 職業 国籍
エドワード=ギャバ

ティエン=イールン

ボブ=マクスウェル

ミド=ゴルスキー

ラヒトー=ナーティス

リジェ=リーシア

 《ブレードクイーン》

31

33

44

45

22

27

 女

 女

トーキー(報道関係者)

マヤカシ(幻術/魔法使い)

カブト(ボディガード)

カブトワリ(銃器のプロ)

カリスマ(政治家/扇動家)

ニューロ(電能ハッカー)

カタナ(武器のプロ)

N◎VA

旧中国

旧ヨーロッパ

ミトラス(南極)

旧ヨーロッパ

旧アメリカ

ミトラス(南極)

表4<「純血」リスト>

NAME 年齢 性別 職業 国籍
 《空牙》

綾瀬 睦美

管崎 有人

如月 小夜

真田 幸隆

慈覚

24

34

35

27

37

49

 女

 女

 女

チャクラ(格闘家)

タタラ(技術者)

クグツ(企業のエージェント)

イヌ(警察官/警備員)

フェイト(探偵)

バサラ(超能力/精霊使い)

旧日本

旧日本

旧日本

旧日本

旧日本

旧日本

 

RL:彼の記憶は、この後のSMGの銃声で、途切れているね。
篠懸:で、純血マークが付いているのは?
RL:国籍が、旧日本になっている人たちだ。
トレアドール:それ以外は、みんな売却?
RL:そう。
トレアドール:撃たれた彼らの、その後の行方なんかは分からないかな?
RL:辛うじて逃げのびた人もいた様だけど、これ以降は分からないな。
澪:大体分かりました。データ君にもポケットロンで連絡を入れておきます。
教授:じゃあ、その屋敷を当たってみますかな。

   シーン3 《TALKIE》

RL:では、屋敷だ。ちなみに木更津湖北岸のこの地域は、いわゆる貸し別荘街みたいなもので、申し込めば誰でも一定期間貸し出しを受けられるようになっている。
 でも、和田が借りていた屋敷は、今は誰も借りていないらしい。
教授:では、管理人が居るのでは?
RL:ああ、いるよ。聞き込みに行くと、人の良さそうな婆さんが出てくる。
トレアドール:では、婆さんを威圧するようにブラック・ハウンドの手帳を出す。
RL/婆さん:「ひい、わしは何も悪いことはしとりませんです」(笑)
トレアドール:「くくく。さあ、神妙にしな」
澪:後ろから殴りたくなりますね(笑)。
篠懸:二人の間に入って、まあまあと取りなす。
RL/婆さん:「ありがとうごぜえます」(笑)
 で、何を聞くの?
トレアドール:「最近、この屋敷を借りた奴が居るだろう?」
RL/婆さん:「はい、おかげさまで商売繁盛しております」
トレアドール:「誰が借りたか聞きたいんだが」
RL:「記録なら残っておりますよ」と、パソコンを出してくる。
教授:では、読みましょう。
RL:とりあえず、和田が半年前から一昨日まで借りている。
トレアドール:「この人について、何か分からないかな?」
RL/婆さん:「はあ、お客様のプライベートは聞かない事になっとりまして」
だから、隠れ家にはもってこいなんだ。
澪:多分、証拠は残してないでしょうね。
RL:その時、屋敷のDAKから面白いニュースが流れてくる。アナウンサー曰く、
「……提携していたルテチア社から機密プログラムが盗み出され、また、
イワサキ社自体からも新型のパワーローダー6台が紛失したことが判明しました。両社の発表によりますと、今回の不祥事についてコメントは一切……」
教授:ほう、新型のパワーローダーとな?
RL:そう。ちなみに商品名は、〈超衆力〉。
一同:(笑)
トレアドール:どうしてイワサキのネーミングセンスって、こう悪趣味なんだ?(笑)
RL:知るか、そんな事(笑)。え〜と、この〈超衆力〉は、軍用に開発されてたそうだ。
トレアドール:(篠懸に)そうだ、ルテチアに問い合わせてみてよ。
篠懸:その前に、どうして情報が漏れたんだ?
RL:多分、誰かがすっぱ抜いたんだろう。
篠懸:くう、トーキーはなめてかかれないなあ。では、「綾瀬睦美の偽造IDで機密プログラムが盗まれた情報が漏れていますが、どういう事なんでしょうか?」
RL/篠懸の上司:「どうもこうもない」
篠懸:「こっちも動きにくくなったんですが」
RL/篠懸の上司:「仕方がないんだ。いきなり広報部に女子高生風のトーキーが乗り込んで来て、あらいざらい聞き出されたらしいからな……」
篠懸:ギク。ちきしょー!(笑) 感情がないからキャラクターは別に悔しくないけど、プレイヤーは非常に悔しい!(笑)
RL:で、どうするの?
篠懸:そうですね、イワサキとの提携について確認しておきます。
RL:OK。君の上司によると、
「今回イワサキとの提携で開発されたパワーローダーは、警察力への導入を目的にしたものだ。専門的に技能訓練せずとも、一定以上の性能を発揮できるよう、ヴィークルをマルチに管制できるプログラムを我が社が研究していた」
トレアドール:紛失した機数が、純血の人たちと同じ数ってのが引っかかるけど?
篠懸:それはあるなあ。「どう思います?」
RL:さあ、上司は答える立場じゃないから、分からないけど、
「今回の件に関しては、開発責任者の久保田という男が詳しいから、そいつに聞いてくれ」
 だとさ。
篠懸:「久保田は、今どこに居るんです?」
RL/篠懸の上司:「情報漏れの責任を取らされて、ミトラス支社に飛ばされる事になったから、今頃空港じゃないか?」
トレアドール:じゃあ、空港に行こうか。

   シーン4 《KABUTOWARI》

RL:では、南房総国際空港だ。
データ:(戻って来てた)では、俺も合流して行きましょう。
篠懸:「久保田には、僕一人で会いますから、何か聞きたい事があれば、IANUSで伝えて下さい。社の機密に関わる事ですので」
トレアドール:私は家にいて、魂だけ飛ばして霊体だけで行きますから。
RL:了解。で、君たちは空港のロビーに入って行ったんだけど。
篠懸:さて、久保田はどこに居るかな?
RL:そうやって捜しているとだね……適当な〈知覚〉と組み合わせて、この(手札を出す)エース攻撃をかわしてくれ(笑)。
篠懸:きつぅ、かわせない。達成値は7。
RL:よーし。では、〈ガン〉と〈荒事〉と、《威圧》を組み合わせた、AP40フルオート射撃じゃあ!
トレアドール:問題ない。通り抜ける(笑)。
澪:私も防具で完全に止まります。
データ:〈視覚〉と〈アクロバット〉の組合せで、エースです。
教授:少佐に受けさせる。達成値20で、報酬点を1点追加して、21にする。
RL:では、篠懸には5発来るから。
篠懸:ううっ、感情の防護マトリクスなんか0に決まってるし(泣)。このままだと、前回の2人の二の舞だし……しょうがないな、最後の手段だ。《バンザイ》。達成値17でダメージを2カット先送りにする。
RL:2カットなんて、すぐに経つよ?
篠懸:会社に助けを求める(笑)。
RL:まあいいや。じゃあ、戦闘に入ろう。

 ここで篠懸たちを襲ったのは、合川組の残党とおぼしき10人のレッガートループだった。彼らはSMGのフルオート射撃で派手にロビーの人々を撃ち倒すものの、キャストたちには、1発も命中させられない。
 結局、「少佐」の正確なライフル射撃の前に、あっけなく全滅の憂き目を見たのだった。

篠懸:僕はどうなるの?
RL:入院だな。舞台裏に引っ込んでなさい。
篠懸:さようなら〜。2シーンの間、入院だ。
RL:そのうちSSSがやって来て、死亡者や負傷者を片付け始める。
データ:久保田はいませんか?
教授:死んでそうだなあ。
RL:後のSSSの発表によると、死亡者2名、重傷者4名、軽傷者16名、かすり傷256名。
トレアドール:なんだそりゃ。
RL:当たり所が悪かったのは、運良く2人しかいなかったんだ。ちなみに、その2人の中に久保田が入っている。
澪:あらら、運が悪いですねえ。
RL:周りの人によると、久保田はあえて流れ弾に身をさらしていたらしい。今はまだ虫の息らしいけど。
トレアドール:会いに行ってみよう。
RL:では、担架で運びかけの久保田を発見できた。
トレアドール:こいつもカゲムシャかな。
RL:そうだね。和田と同じ顔してる。
トレアドール:ほお、和田と同じか。
RL:ちょうどその時、飛行機が一機飛び立っていく。C−301輸送機といって、主に軍用に使われている輸送機だ。
澪:どこ行きなんでしょう?
RL:アナウンスがかかる。
「ただ今の発進は、正規の発進ではありません。次のオーストラリア行き551便の発進は今しばらくお待ち下さい」
 さらに、
「警察関係の方がいらっしゃいましたら、管制塔までお越し下さい」
 とか言ってるけど。
澪:「ほら、行きましょう」と、霊体のトレアドールに話しかけます。
トレアドール:「分かったよ」。他の2人もついて来て。
データ:了解です。
教授:後ろにあるサンプルに、後ろ髪を引かれる思いで(笑)。
RL:ああ、その時、救急班の一人が話しかけてくる。
「おや、松戸教授じゃないですかぁ」
 臓器屋さんだ(笑)。
教授:「おお、君か(笑)」
篠懸:何でこんなとこに居るんだ(笑)。
RL/臓器屋:「新鮮な臓器が手に入りそうなんで、後で寄って下さいねぇ」
教授:「よろしいよろしい(笑)」
篠懸:どこにでも現れるな。この臓器屋、なかなか侮れない。
澪:でも、どうしましょう。ここに霊体がいると言っても、見えないんじゃあ……。
トレアドール:なら、《幻覚》で姿を出そう。
RL:はいはい。では、管制塔に来たという事で。係官の人が、
「ああ、ブラック・ハウンドの人ですか。ちょうど良かった〜」
 と泣きついてくるぞ。
澪:止めますよ。触ってはいけません(笑)。
トレアドール:「何でぼくを呼んだんです?」
RL/管制官:「今発進したC−301輸送機はですね、あれは実は、ハイジャックされたんですよ」
トレアドール:「ほお」
RL/管制官:「しかも新型パワーローダー〈超衆力〉に、30mmライフルを装備したテロリストにですぅ〜」(笑)
トレアドール:「犯人の要求は?」
RL/管制官:「ないです。かっぱらわれたんですぅ」
データ:レーダーを確認するけど、どこを飛んでる?
RL:現在は海上だけど、ぐるっと回ってN◎VA中心部に向かおうとしている。
データ:この辺で着陸可能な場所は?
RL:この空港だけ。
データ:パラシュートかなんかで降りるのかな?
教授:サリンまくんですよ(笑)。
澪:やめなさい(笑)。
データ:昔、そんな事件もありましたね(笑)。
篠懸:ハザード前の、日本のテロ事件(笑)。
トレアドール:みんな、物知りだねえ(笑)。
RL:さて、データ君。航路計算してみる?
データ:〈エンジニアリング〉の代用判定で、16を−5して、11です。
RL:まあ、分かるかな。どうやら日本突入のコースをとっている。
澪:問答無用で撃墜されるんじゃあ?
トレアドール:我々が手を下すまでもない。
RL:そうはいかないんだな。
「実は、ブラック・ハウンドのオメガ隊長から連絡が入っているんですが……。それでお呼びした次第でして」
トレアドール:なにっ。すぐ繋いでくれ。
RL:オメガいわく、
「うかつだった。こうも大胆かつ堂々と日本侵入を謀られた例はかつて無い。しかも、それを辛うじて阻止可能な位置にいる人間が、君たちしかいないとは……」
トレアドール:「はあ。でも、日本の連中にしてみれば、高射砲でも何でも撃って、墜とせば済む事なのでは?」
RL/オメガ:「もちろん、撃墜する事は可能だ。しかし、中に乗っているパワーローダーで離脱して着陸する事も、充分に可能なのだ」
トレアドール:パワーローダーって、そんなに頑丈なんですか?
RL:軍用の〈超衆力〉はね。
教授:それって、どのくらいの強さなんです?
RL:そうだな、少佐くらいかな。
教授:じゃあ、大したことないな(笑)。
RL:一般人が乗っても、そうなんだぞ?
教授:(ころっと)そ、それは強い。
RL:さて、さらにオメガは続けるよ。
「……しかもだ、そんな前例を作ってしまうと非常にやっかいなので、何としてでも阻止してもらいたい」
トレアドール:「分かりました」
澪:「でも、どうします? 撃墜しますか?」
RL/オメガ:「今回のC−301輸送機は、超低空を飛行しているので、うかつに撃墜すると非常に危険だ。もちろん、N◎VAに数兆単位の被害を与える気でいるなら、やっても構わんが」
教授:よし!(笑)
澪:やめなさい(笑)
RL/オメガ:「まあ、そこでだ。今から超高速の飛行機を用意するから、それに人員を乗せて輸送機を制圧するという作戦を取る。ついては君たちに、それをやってもらいたい」
トレアドール:「ええっ! しょうがないな。みんな、行ってくれるね?」(笑)
澪:「自分が安全だからって……例え霊体でも、ついて来てもらいますよ」(笑)
データ:バイクを持っていきます。
トレアドール:「せっかくだから、教授も」
篠懸:るる〜(泣)。
一同:(笑)。
RL:じゃあ、篠懸には少佐を扱ってもらおう。
篠懸:うぅ、僕このシナリオが終ったら、ルテチアにレイオフされるぅ(笑)。
RL:そうかもねえ(笑)。

   シーン5 《KAZE》

RL:君たちは小型高速輸送機、〈クラフト〉に乗り込んで発進した。問題のC−301輸送機に接触できたのが、ちょうどN◎VAの中心地あたりだ。で、まるでコバンザメの様に輸送機の上にドッキングして、そこから直接乗り込んでもらう。
トレアドール:なるほど。
RL:では、今から上手くランデブーできるかを判定してもらう。判定するのはエキストラのパイロットだけど、〈ヴィークル:固定翼機〉の技能だけは、幸いなことに4レベルで取ってある。ベテランだからね。でも、目標値は21だ。
澪:能力値は幾つです?
RL:8扱い。誰か代理で判定してくれ。もしエースがないなら、報酬点で……。
教授:(事もなげに)ほい。
RL:参りました(笑)。今ので、接触した。
澪:とりあえず、中に入らないと……。
RL:中に入るためには、C−301輸送機のドッキングハッチを破らなければならない。
澪:私がやりましょう。〈スラッシュ〉2つと《斬栽剣》の組合せで、13と14。
RL:ん、破れた。
澪:じゃあ、乗り込みます。
データ:次に、俺がバイクで。
少佐:次に少佐が行こう。
トレアドール:次はぼくが。
教授:最後はわたしだ。
RL:では、先頭の澪ちゃん。〈知覚〉で判定して。
澪:〈聴覚〉で15。
RL:待ち伏せされてたんだが。気づいたので避けていいよ。BOMBピストル6発が、16、17、18の3点バーストで飛んでくる。
澪:うーん、(ハートのQを出して)これで、18です。同時に思考トリガーでオーバードライブと理性ブーストを3点入れます
RL:いいよ。なら、辛うじて全弾回避できた。
じゃあ、アクセス・カードを配って、と。

RL、アクセス・カードを配る。

澪:私から……。〈超衆力〉、何台います?
RL:6台全部いるよ。
澪:〈スラッシュ〉と《斬栽剣》、《雷帝》、《カマイタチ》、《障壁》を組み合わせまして、(スペードのKを出して)20です。
 『奥義、飛電斬!』
RL:すごいねえ。避けようとして、8。
澪:では、斬りの8点に、《雷帝》の差分値が12点です。それから、組み合わせた《障壁》で防護点が10点上がります。
RL:澪ちゃんが攻撃したのを、仮に1号機とすると、ボロボロになってしまった(笑)。教授:誰が操縦してるんです?
RL:ああ、外からは見えないよ。
教授:そうですか。
トレアドール:次はぼくか。何もする事がないな(笑)。機体をすり抜けて、操縦者の顔でも確認しよう。
 『どれ、愚か者の顔でも拝むとするか』
RL:何号機の?
トレアドール:壊れかけの1号機。
RL:ん〜、リストの「純血」、空牙だね。
少佐:次は少佐だ。何もしないでカード交換。
RL:では、それにリアクション。1号機が銃を撃つ。BOMBピストル3点バースト。目標はデータで、18〜20。
 『……』
データ:避けよう。達成値15に、報酬点5点追加です。
RL:OK。次は2号機が、少佐に3点バースト。16〜18。
 『……』
少佐:うっ、2発当たり。
RL:では、殴りでダメージ9点が2発。
少佐:止まらないなあ。2点抜けた。
澪:それにリアクションです。〈スラッシュ〉2つ、《斬栽剣》、《雷帝》で、3号機に。
 『いくわよ、雷刃斬!』
RL:なら、〈アームズ〉で受けて、〈ガン〉で攻撃。(ハートのJを出して)20。
 『……』
澪:しょうがないですね。〈スラッシュ〉と、《斬栽剣》、《雷帝》の組合せで、エース反撃です。どーせBOMBピストルなんか、《障壁》で止まりますから。
 『やるけど……まだまだっ!』
RL:避けようとして、失敗。
澪:斬りの8点と、電撃が差分値の21点です。
RL:では、3号機が全損だ。中から、リストにある管崎有人の死体がゴロッと……。
篠懸:うわあ、ここで綾瀬睦美を他人に処分されたりしたら、僕は完全にレイオフだ(笑)。
教授:次は私か。神業でも使うかな。
篠懸:火星大王ですか?
澪:火星大王は止めましょうよ(笑)。
教授:ふむ。では、実はわたしもパワーローダーを持っていたという事で。《タイムリー》だ。
RL:では、小型輸送機のパイロットが、
 『松戸教授、これを使って下さい』
 と、出してきたと(笑)。
教授:瞬着!!(笑)
RL:まあ、乗るだけなら、どうぞ。
少佐:これで教授守らなくていい?
教授:いいよ。
RL:では、教授にリアクションして、4号機が澪ちゃんに攻撃を、12で。
 『……』
澪:効きません(笑)。
RL:そうか、《障壁》があったっけ。
澪:なくっても、殴りの9点ダメージなんて、通りませんよ(笑)。
RL:仕方ないな。FL30機関砲を出すかな。
澪:えーと、そのダメージも殴りで14点ですから、今は効きません(笑)。
RL:そうなんだ。なら、無視だ(笑)。いや、4号機が押さえ込みにかかろう。〈アームズ〉で、〈セメント〉の代用判定だけど、エースが出るから、21(笑)。
 『……』
澪:押さえ込まれたら、パワーローダー相手に脱出は無理そうですね。アクションランクも切れてるし、仕方ありません。神業の《死の舞踏》を使います。
 『秘奥義、〈閃雷〉!!』
RL:なら、4号機は完全に破壊された。出てきたのは、如月小夜ちゃんだね。
篠懸:壊れるたびに、心臓に悪い(笑)。
RL:他に行動できる人いないね? じゃあ、残った6号機が、データ君に10で射撃。
 『……』
データ:11で、回避です。

 次のカット。まずは教授がパワーローダーに付いていた(と主張する)、FL30機関砲を景気よくぶっぱなすが、〈超衆力〉の厚い装甲に阻まれて、通らない。
 次に澪が〈雷刃斬〉を放つが、避けられる。
 それを見て、並みの火力では通用しないと悟ったデータは、バイクに搭載していた
エンジェル60mmランチャー(爆:19点ダメージ)を撃つが、これも避けられてしまう。 しかもその爆風で、骨格強化されてない者はこのカットで以降行動不能になってしまった。
 ここぞとばかりに、4台の〈超衆力〉は少佐とデータを集中攻撃する(理由は、ダメージが通るため)。おかげで少佐はボロボロになるが、(教授:むう、これはもっと装甲を強化せねば)データは神業の《脱出》で回避を、《とどめの一撃》で6号機を破壊する活躍を見せた。

RL:では、次のカットだ。
トレアドール:ところで、今どこ飛んでるの?
RL:もうちょっとで、日本上空(笑)。
トレアドール:そろそろやばくない?
澪:いざとなれば《天変地異》で……撃墜しちゃだめでしたっけ。
データ:俺は《脱出》する(笑)。
教授:わたしもパワーローダーに乗ってるから、大丈夫だろう。
トレアドール:ぼくは霊体だし、死ぬのは……。
澪:もしかして、私? まあ、《天変地異》で落下速度を落とせば、何とかなるでしょ。教授:さて、次はわたしからかな?
RL:そうだね。
教授:では、残った3台は無視して、コクピットに向かいます。
 『まずは、頭を押さえんとな』
トレアドール:それ、いいなあ。ぼくもついていこう。ついでに、5号機に《守護神》。
 『ゲヘナの炎よ、全てを灰燼に帰せよ』
篠懸:やべっ(笑)。
RL:じゃあ、5号機は音もなく原子分解だ。でもリアクションして、BOMBピストルの3点バーストが20〜22で、データに。
データ:ダメだ。2発食らって、生命の制御値が辛うじて1点残っただけ。
RL:では、スタン判定だ。
データ:失敗で、麻痺します。
RL:次はこっちか。2号機が澪ちゃんに再び〈セメント〉。エース(笑)。
 『……』
澪:なら、《死の舞踏》で破壊します。
RL:ん。壊れた。中から出てきたのは、お待ちかね、綾瀬睦美だよ。5号機に乗ってなくて良かったね(笑)。
篠懸:あ〜あ、病院で辞表を書こう(笑)。次は少佐だけど、壊れそうなので、後退します。
RL:となると、あと戦えるのは……1号機と澪ちゃんだけか。さあ、一騎打ちだ(笑)。
澪:でも、次は私の番ですよ。〈スラッシュ〉と《斬栽剣》、《雷帝》で17です。
 『これで終わりよっ!』
RL:避けられないなあ。反撃が14〜16でいくけど……。
澪:全然通りません(笑)。こちらのダメージは斬りの8点に、電撃が差分値の17点です。
RL:ああ、1号機も全損だあ。
澪:じゃあデータ君に肩を貸して、教授とトレアドールの後を追いますね。

   シーン6 《NEURO》

RL:さて、コクピットだ。教授、パワーローダーでは通れないけど?
教授:めきっと広げて入る(笑)。
澪:教授なら、やると思ってました(笑)。
RL:では、教授に続いて残りの人たちも入ると。コクピットには、コードをたくさん接続した女の子がいる。
トレアドール:見覚えは?
RL:ない。それから、その隣に君たちの方を向いて、椅子に座っている和田正和が。
トレアドール:ほお。
RL:和田が言うには、
「よくここまでいらっしゃった。まずはお勤めご苦労さま、と申し上げておこう」ちなみに、和田は
個人用のフライトシステムという奴を装備している。外見は、まあ普通の30代の男なんだが、その瞳の奥には狂気じみた光が見て取れるね。
教授:ほほう……(興味深げ)。
RL:和田は言葉を続ける。
「私もここまで来るのに、20年もかかってしまいましたよ……。本当に長かった。ですが、もうすぐフィナーレです。ついに、悪夢にまで見た祖国、日本に私は足を踏み入れるのですよ」
 で、輸送機は日本上空に入ってしまう。
トレアドール:地上の反応は?
RL:ここからは見えない。さらに和田が言う。
「さて、取り引きをしようではありませんか。時間もありませんし、1度しか言いませんから、よく聞いて下さいね。……私を逮捕して、貴方がたも死ぬか。それとも私を見逃して、貴方がたも生き残るか。2つに1つです。迷うこともない選択でしょう?」
澪:心情的には、見逃したくないですけどね。
教授:「何故、君を逮捕すれば我々も死ぬと、断言できるのかね?」
RL/和田:「もし、貴方がたが我々に危害を加えようとするなら、(隣の少女に指を向けて)美崎が、この機体を自爆させます」
教授:「むむっ」
RL:で、和田は手元のコンソールを操作する。するとモニターに、宇宙空間に浮かぶ人工衛星が映し出されるね。
「美崎によると、この機を一瞬にして蒸発させるべく、軌道レーザーが照準のチェックに入っています」
データ:「な……何っ!?」
RL/和田:「多分、この機も数分もすればおしまいでしょう。ですから、私を見逃して帰っても、おそらくオメガ隊長なら、貴方がたを処罰しようとはしないでしょうね。でも、我々に危害を加えるなら、美崎がこの機を爆破するだけです」
トレアドール:「自爆などして、貴様らは平気なのか?」
RL/和田:「さあ?」
澪:「どうします?」
トレアドール:「やむを得ない。見逃すしかあるまい」
教授:「帰ろうか」。がちゃん、がちゃん。
RL:では、小型高速輸送機〈クラフト〉に、全員が乗り込んでから、脱出した。
 そして、機がN◎VAの上空に入ったところで、天空からひとすじの光が降りて来て、C−301輸送機を撃ち抜き、爆発させる。
トレアドール:「乗っていた2人はどうなったんだろうか」
澪:「生き残られていたら、ブラック・ハウンドの面目丸つぶれですね……」

RL:では、君たちは空港に戻ってきた。当然、オメガから呼び出しがかかるけど。
トレアドール:う、行くのが怖い(笑)。でも、行かないわけにもなあ。
RL:では、オメガの前だ。一通り事件の流れを説明した後で、報告書を提出するように。
トレアドール:「了解です」
RL:では、オメガは君たちの報告を聞いて、
「……なるほど、そういう事か。まあ、今回の件は君たちの英雄的行動により、搭乗していたテロリストは全員死亡、とでも発表しておこう。よくやってくれたな。
 それと、日本領空侵犯については、特例的に不問としておくから、安心するように」
 と言う。言外に曰く、これで君たちはブラック・ハウンドに逆らえなくなった、と(笑)。
篠懸:まだ入院中。一体何があったんでしょうか(笑)。
RL:まあ、確かに篠懸は関係ないな。でも、君はルテチアの上司から怒られるだろう?
篠懸:だろうねえ(笑)。
RL:それからオメガが、
「これは尽力を尽くしてくれた君たちへの謝礼だ。受け取ってくれたまえ」
 と、12報酬点分のカードをくれる。
篠懸:そして僕は、同じだけルテチアから減棒される、と(笑)。
RL:さて、今回の事件は、これで本当におしまいとなる。君たちはこの後、どうするかな?
教授:密かに撮影しておいた、日本本土の写真を分析します(笑)。
RL:まあ、いいよ。
澪:家に帰っても暇ですし……。面白そうだから、教授の所に遊びに行きましょう(笑)。
篠懸:僕は上司に土下座かなあ。
トレアドール:報告書を書く振りをして、マインスイーパで遊ぶ(笑)。
澪:この時代にあるんですか?
篠懸:復刻ゲームだろ(笑)。
データ:仲間のところに帰りましょう。
RL:すると集まってきて、
「レッドの兄貴は、どうなったんだ?」
データ:「司法取引で、お咎めなしです」
RL/データの仲間:「おお、よくやった、データ!」
 とか言って、胴上げが始まったりとか(笑)。
澪:でも、レッドは記憶が戻ってないのでは?
RL:そのうち何とかなるでしょ。まあ、そんなこんなで、君たちはそれぞれ日常生活に戻っていたんだけど……。

〈第壱話:「日出ずる国」 了〉


〈AFTER−NEWS〉

 常春の都、N◎VA。だが、降る雨までもが常に温かいとは限らない。そんな冷たい雨に身を濡らしながら街頭を歩く、一人の女。
 手にクリスタル・ウォール・シールドを携えている事からすると、カブトなのだろう。ただ、普通のそれと違う所は、彼女のシールドはひび割れている、ということ……。
 通り過ぎたTV画面が、ニュース映像を流している。軍用輸送機C−301の超望遠映像。その機体を、天からの槍が貫く瞬間を。
 その時、カメラがズームアップする。解像度が荒く、不鮮明な映像。爆発の瞬間。再び巻き戻る。再生。巻き戻る。再生。巻き戻る……。
 見るべき者が見れば、その爆発から飛び出てくる人影のようなものが見えたかも知れない。だが、それに興味を示すこともなく、女はその歩みを早めた。
 いつの間にか、閑静な住宅街にたどり着いていた。あらかじめ仕入れておいたデータから、目的地を割り出して、その前に座り込む。
「キミが悪いんだからね……。私のかえる所、もう他に思いつけないんだから……」
 雨に濡れた髪が、彼女の微笑を覆い隠す。


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