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さるとくらげのおこたえ


 「さるとくらげ」について、いむちょさんよりお答えを頂きました。

>「さるとくらげ」の話ですが、確か、なぜクラゲが骨無しになったか
>という話だった気がするなあ。うろおぼえだけど。
>そしてクラゲがさるに骨を抜かれると言う残酷な話だった気が。
>さるがクラゲを騙したかそれともその逆で
>くらげがさるに仕返しをされたのか
>忘れちゃいましたがそんな感じのお話。

 とのこと。

 残酷な童話っていうのも流行りましたねえ。正確な話がますます知りたくなった私は、県立図書館まで出かけ、実物を探してみました。
 …が…ない。
 コンピュータで検索してみると閉架だとのこと。ううむ、そんなに珍しい本なのでしょうか。とりあえず司書さんにお願いして、書庫から出してもらいました。すると…。
「おぉっ!?」
 なんと、言文一致成立前のとんでもなく古いシロモノではありませんか。うぅむ、古書読解の経験があってよかった。
 で、読んでみた内容を簡単にまとめると、次のようになります。

 昔々、海の世界を治める竜王がいました。
 あるとき、竜王の妃が重い病にかかってしまいました。竜王は方々手を尽くしましたが、妃の病は一向に良くなりません。
 怒った竜王、主治医の鯛を呼びつけ問いただしました。すると、鯛が答えて曰く、
「特効薬はあるのですがなかなか手に入りません。それは猿の生き肝なのです」
 それを聞いた竜王は家臣の中から陸に上がれる者を探しました。白羽の矢が立ったのは(当時はまだ骨があった)くらげです。
 竜王の命令を受けたくらげは猿のいる島に行き、猿を見つけました。何とか猿を連れて帰りたいくらげは、
「今日こうしてお会いしたのも何かのご縁、貴方を竜宮にご招待したいのです」
 と、猿をだまくらかし、海の上に連れて行きました。
「ときに猿さん、貴方は生き肝はお持ちかね?」
「それはもちろんないことはないが、そんなことを聞いてどうするんだい?」
「実はかくかくしかじかというわけで、猿の生き肝が必要なのだよ」
 生き肝をとられては大変と、猿は一計を案じました。
「渡してあげてもかまわないが、こんなことになるとは思わなかったので置いてきてしまった。取りに帰りたいのだが」
「生き肝がないのでは仕方がない。早く取ってきてくれよ」
 島に戻り猿をおろすくらげ。
「生き肝を置いてこられるわけがないだろう」
 無論、猿が戻ってくるはずはありません。まんまとだまされたと気づいたくらげ、
「おぼえてろ、竜王様に言いつけてやる」
 捨て台詞を残して竜王のもとに戻り、一部始終を話しました。無論竜王様は怒ります。
「ええいこの役立たずめ、貴様などこうしてくれる」
 こうして竜王の怒りを買ったくらげは、罰として全身の骨を抜かれてしまいました。それ以来くらげには骨がないのだそうです。
 めでたし、めでたし。

 …どこがめでたいんじゃあ! というツッコミの声が聞こえてきそうです。事実、私もそう言ってしまいました。だまされてしまったかわいそうなくらげ…そして、以降の安否がまったく触れられていないお妃様…。ちっともめでたくないのですが、事実、本の最後には「めでたしめでたし」と書いてあったのだから仕方ありません。

 …やれやれ。

 いずれにしても、いむちょさん、ありがとうございました。


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