様々な原因で意識障害は起こります。またその程度も全く痛みに反応しないものから、呼びかけには答えるけどすぐ眠ったような状態になるものまでまちまちです。また精神的ショックでおこり、寝かせておけばやがて自然に回復するものから、すぐ救急蘇生法を行わないとそのまま死亡してしまうものまであります。
 運動麻痺や手足のしびれを伴ったようなものは、脳の血液の流れに問題がある場合です。
 一過性におこって数分から数時間で回復するものを、一過性脳虚血発作と言います。
 麻痺や神経障害が回復しないものは、脳出血や脳梗塞が考えられます。
 糖尿病でインシュリンなどを使用している人が、冷や汗をかいてやがて意識をなくす状態は、低血糖発作と思われます。
 心臓に重症な不整脈がおこって、脳に血が行かなくなった状態でも意識がなくなります。しかしこの場合は脈を触れませんし、呼吸も止まってしまい大変危険な状態です。すぐ救急隊を呼ばねばなりませんし、救急蘇生法を開始しなくてはなりません。

一過性脳虚血発作;
 一時的に脳の一部に血液が循環していかない状態ができたときに起きます。脳梗塞のように手足の麻痺やしびれがおきたり痙攣を伴ったりします。しかし症状は一過性で、数分から数時間で元に戻ります。しかしこれは本当の脳梗塞の前触れということもありますから、治ったからといってそのままにせず、必ず受診し診断と治療を受けるようにして下さい。
脳梗塞、脳出血;
 これらは脳卒中といわれるものです。脳の血管がつまったり、血管が破れて出血したりして、脳細胞が一部死んでしまう状態です。起こった場所や範囲によって症状はまちまちです。代表的な症状は、手足の麻痺です。わかりにくい症状としては、失語(相手のいっていることが分からない。話したくても言葉が分からない)やめまい(小脳出血)があります。また場所によっては何となくとろとろ寝ている、反応が鈍いなどがあります。ひどい場合は意識が全くなくなったり、呼吸がやがて止まったりします。病院に行って集中的に治療をする必要があります。治療によって被害の拡大を防ぎ、早期にリハビリも必要となります。
低血糖発作;
 糖尿病が進行していくとインシュリンを使用した治療が必要になります。インシュリンや経口糖尿病薬は一日に摂取するカロリーに見合った量が医師から処方されます。しかし何らかの理由でカロリーの摂取が少なかったりしても(風邪で食欲がない)通常と変わらぬインシュリンを使うと相対的にインシュリンの量が多くなり、低血糖となるのです。程度が軽いと冷や汗程度で自覚できるのですが、ひどいと痙攣発作や意識消失発作を起こしたりします。
不整脈:
心臓におこる不整脈も様々なものがあります。加齢でおこり放置していても心配ないものから、大変危険で生命の危機に立たされるものまであります。まず手首のところで動脈を触れてみてください。たいていの場合しっかりと脈が触れ、しかも規則正しいものです。意識をなくした人がいたらまずここのところで脈を診てください。脈が触れればまず不整脈が原因ではありません。もちろん非常にゆっくり(一分間に40以下)した脈の時はこれが原因かもしれません。すぐに病院にかかりましょう。もし脈が触れなかったら、首ののど仏のよこのところで脈を触れてください。ここでも脈が触れなければ不整脈の可能性があります。このままではやがて呼吸も止まりますので、急いで救急隊を呼ぶと同時に、救急蘇生法を始めて下さい。

救急科 | 救急でよく見られる病気の概説 | 家庭でできる救急処置

お問合せ先:

電話  026-292-2261
Fax  026-293-0025
Email  shinogaf@grn.janis.or.jp