口から血液を吐くのが吐血。便に血が混じったり、黒いコールタールのような便が出るのが下血です。みぞおちの部分の痛みがあって吐血する場合は胃や十二指腸に潰瘍ができてそこから大量に出血し、吐いてしまうものです。肝臓の障害や、肝硬変と言われている人が大量に血液を吐く場合は、食道にできた食道静脈瘤が破れて出血するものです。胃や十二指腸潰瘍から出血しても吐血せず、消化管を下って便となって出る場合があります。消化管をとおる間に酸化されて、真っ黒になり、コールタールのようになるのでタール便と言います。全身の怠さ、冷や汗がある場合ももちろんですが、症状がなくても貧血は進行しています。必ず病院で治療を受けて下さい。真っ赤な血液が便のように出る場合は、大腸など下部消化管からの出血のことが多いです。もちろん胃十二指腸潰瘍でも出血が大量の場合は、赤い便となって出ることもあります。必ず受診し精密検査を受けて下さい。普通の硬さの便の表面に赤い血液がついている場合は、多くの場合痔です。しかし稀に、直腸の腫瘍から出血している場合がありますので、これも精密検査を受けて下さい。

食道静脈瘤:
肝炎などで肝臓の荒廃が進んだり、アルコールによって肝臓が犯されていくと、やがて肝硬変の状態になります。腸を巡ってきた血液は必ず肝臓を通過するのですが、肝硬変の状態になるとこの血液の流れが悪くなります。そうなると腸を巡った血液は鬱滞し、他の経路から流れますがそのうちの一つに食道があります。食道の中の静脈を血液が多量に流れる状態がおこり、静脈が太く蛇行するようになります。これが食道静脈瘤です。これが破れると大出血になるのです。肝硬変が進んでいますので肝機能も悪くなっており、血液が固まろうとする力も衰えているため、この出血を止めるのは大変なことです。内視鏡などを使って、静脈瘤を固める方法でとめることになります。出血が始まったらできるだけ早く病院で治療せねばなりません。速やかに受診してください。


胃十二指腸潰瘍:
胃液は酸性ですが、この胃液の過剰や胃の壁などの防御機構が減弱したりすると潰瘍ができます。防御機構の低下する空腹時に痛くなるのが胃潰瘍、胃液の産成が増加する食後に痛くなるのが十二指腸潰瘍です。潰瘍から出血が伴っていると便が黒くなったりします。注意が必要です。ストレスや食生活の悪さで潰瘍ができます。基本的には生活の改善ですが、最近は薬も良くなりきちんと治療すれば良くなる病気です。しかしほっておいて潰瘍が深くなり、穴があいてしまうと先ほど説明した汎発性腹膜炎になり大変なことになります。きちんと受診し、胃カメラを受け診断し、治療しましょう。

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