5687PP600Ωトランス出力ラインアンプ
【きっかけ】
征矢さんのクウォードUタイプのEQアンプを追試したくていたのですが、偶然にも参加した妙高オーディオクラブの発表会で
MJ誌2000年12月号をゲットすることができました。そして、それを製作し終わってから再度何気に読み返していたとき、
柳沢正史さんの製作記事が目にとまりました。それまでも何回か見直してはいたのですが、特に気に止めることもなくきた
のに、なぜでしょう?
改めて、そのモチベーションの高揚を考えてみると、いくつかの要因があったと思います。
1)#22で製作した自室用ラインアンプに使用した東京光音のアッテネーターの音質のすばらしさがあったこと、そしてでき
れば自作したいと思ったこと(購入すると7万円以上します・・・)
2)リスニングルームの構成から、どうしてもセンターディスクからアンプ群へ約5mほどのラインを伸ばさなくてはならず、インピー
ダンスが気になっていたこと
3)今までトランス群は使うことをしてなかったが、ここへ来て製作記事を参考にしていると一度は使ってみたいと思ったこと、
さらにTANGO=ISOが廃業して入手が困難になる現在、同等のトランスがタムラなら何とか入手可能なこと
4)何よりも、今まで耳にしてこなかったトランス出力の音を確かめたかったこと
そんなこんなから、製作したいと思ったら、突っ走ります。まずは、根幹のトランスの入手です。入手先は、今までずっとタムラ
一筋のサン/オーディオさんにお願いしました。サン・オーディオさんといえば、今まで通い詰めた真空管オーディオフェアでい
つもブースを構えておられましたし、ここ1,2年はQWTの関係から小澤さんとの共同出展されたことで馴染みを感じさせて頂
いていました。
早速、HP上からお願いして、A−8713というアウトプットトランスをゲットしました。後は、製作に向かってゴー!!です。
【アッテネーターの製作】
今回のキーパーツにはOPTともう一つ、アッテネーターがあります。アッテネーターの実力は、何回も繰り返しになりますが、
そのすごさは実感済みです。ただ、購入するとなればかなりの出費を覚悟しなければなりません。現状からはとてもその出
費には耐えられませんが、柳沢さんの記事には、自作という項目が掲載されていました。
そこで、アッテネーターを学ぶことも含めて、今回の製作が始まったのです。
【アッテネーター】
音量調整には、普通ボリュームと呼ばれるパーツが使われますが、経年変化で俗に言う「ガリオーム」に変化することもたび
たびです。また、インピーダンスの変化に対応することができません。その対策として「疑似定インピーダンス」としての4連ボ
リュームにもトライしてきました。ですが、アッテネーターの音を聴いてしまうと、どんなボリュームよりもそのすごさを実感して
しまいました。
「なきゃ、つくる!」の精神です。まず、アッテネーターについてネットを中心に調べてみました。そして、アッテネーターといえど
も、いくつかの種類があることも分かってきました。
今回、製作する主なもののは「T型アッテネーター」と呼ばれるものです。そして、メインとバランス用のサブ、さらにレベルセッ
ト用の3種類のアッテネーターを製作します。
【レベルセット用アッテネーター】
単に抵抗の分圧比を使ったアッテネーターです。
入力レベルセット用アッテネーター<第1作目>
セレクターに抵抗を直付けして作りました。これにより−6dB、−12dBとレベルセットができます。ただ、実際に組み込んでみ
るとそのレベルの問題で作り直しとなりました。
【バランスコントロール用アッテネーター】
レベルがきちんとした場合、バランスコントロールは必要ないのかも知れませんが私のように「柔道耳」では細かなところでどうし
てもバランスコントロールが必要になってきてしまいます。当初、ここだけはボリュームを使用せざるを得ないのかなぁと考えてい
ましたが、あるHPの記事をみてメインのアッテネーターにサブのアッテネーターを追加する構造を知りました。これなら600Ωの
アッテネーターを作ればインピーダンス的には問題ないはずです。
レベルセット用に使用するロータリースイッチ 2回路23接点 使用する抵抗 抵抗を取り付け完了
【メインアッテーネーター】
メインとなるアッテネーターです。T型となると4連23接点のロータリースイッチが必要になります。
ロータリースイッチ 必要な抵抗を付け終わって
この辺の技術的なことは、ここではふれません。いくつかのサイトで解説されてますので、それらを参考にしてみてください。
【ラインアンプ本体の製作】
ハンダ付けの箇所も多く、時間のかかったアッテネーターが完成したことでいよいよラインアンプ本体の製作になります。
アンプ部の配置 電源部の配置
レベルセット用アッテネータの改造 改造後の内部 アンプ部上面のようす
レベルセット用アッテネータの効き具合が思い通りではなかったので、改造して-12dBと−18dBになるようにしました。これで、
メインのアッテネーターでも絞りきれなかったが、これらの組み合わせで何とか絞りきれるようになりました。アッテネーターでは
-65dBくらいまで絞りきれないといけないことが分かりました。
【完成した本体】
前面 後面 600Ωに対応しての出力端子
キャノンコネクタ
【諸特性の測定】
周波数特性では柳沢さんのデータのようにTAMRAのA-8713では40KHzにディップがあるようです。
【試聴】
大きな破綻もなく聴けています。むしろ中低域が充実して私好みの音かも知れません。多分TANGOならもっとクリアに聞こえるのでは?
とも思いますが、今となってはTANGOの入手ができません。これはこれとして一つの音として使えると思います。印象もリスニングルームでの
使い込みで変わってくるかも知れません。
ちょっとトランス出力にはまりそうです!! ・・・ いや、はまりました!!
【2015年10月4日 本文修正】・・・A-731→A-8713、文字数の定形化