2Wayチャンネルデバイバーの製作

<2015年2月10日 追記しました・・・これでやっと本来の動きをしてくれました>


SPクラフトのコーナーにあるように、ホーンドライバーの取り付けアダプターを製作して本格的に2Wayマルチシステムを組んでみようと思っていた。そのためにコイルとコンデンサーを組み合わせてCRネットワークも組み上げた。

                
    コイルとコンデンサーによる2WayCRネットワーク クロス周波数は950Hzに設定・・・暫定的なので固定はまだしてない

そんな折、友人の口からさかんに聞こえてきた「マルチだよ、マルチ!」の声。折しものぞいていたフロービスさんのHPにチャンネルデバイダーの記事があった。そういえば、上杉さんの「管球式STアンプ80選下」にも製作記事があったことを思い出した。作ってみよう!と思うに時間は必要なかった。手持ちのシャーシとアルミ板を使ってケースをつくり、パーツを取り付けた。

                
             パーツを取り付け                 配線完了 ただ、PTのところは空いている


                            
                   クロス周波数用のコンデンサーを格納するためにオムロンのリレーを使う
   ・・・このアイデアはフロービスさんによるものだ。昨年の19th真空管オーディオフェアに出かけた折、偶然見つけたもの。
          AC200Vタイプのものだったが1個420円と格安、リレーとしてよりもケースを使うのでこれで十分。

そして配線。実はこの時PTの手持ちがなかった。いずれ入手して完成させようと考えていた。当初、ノグチトランスのPMC-45Mを想定してい
た。」 180-150-0-150-180V 45mA と15V−1.5Aのヒーター巻き線がある。ちょっとB電圧が低いかなとも思ったが何とかなるだろうとこのPT
でいくことにしていた。ちょうど1月に所用で上京する機会があったのでノグチトランスさんで購入してくればいいのかと考えていたのだが、上京
する数日前から店舗が休業するとの告知、何があったのだろうと思ってもみたが上京するときになっても開店の見込みはなさそう、そこで急遽
代替え品として春日無線さんのKmB60F(0-230V 60mA、6.3V 1.5A×2)をチョイスすることにした。
上京して、春日無線さんで目的のPTを購入、他にも購入予定があったので東京ラジオデパートまで足を運んだ。一通りの買い物をしてからそ
れでもと思って地下のノグチトランスさんをのぞいてみると、なんだ、開店してるじゃん。でも、いつものあのおっちゃんではなく若いお兄ちゃん
がいる。変だなと思いながらもPTは購入してしまったので、ちょっと話しづらい雰囲気も感じてその場を離れた。

   <後日談>
     帰宅して、ノグチトランスさんのHPのトップをみて納得(いつもは真空管用オーディオトランスにリンクしてある)。ノグチトランスさんの社長さんが急逝された
     ことを知ってこの間の事情が飲み込めた。ラジオストアーの閉店などちょっと寂しいことがあったが、また一つ寂しさを感じさせる出来事であった。<合掌>

購入してきた春日無線のKmB60Fを取り付けて一応配線完了。ちょっとしたトラブルもあったが、何とか組み上げた。B電源のπフィルターも初
段は470μFを使ったが、2段、3段は手持ちの関係で22μFだったのでハムも心配したがアンプに接続してもノーハムで一安心。
早速、フィルター効果を測定してみると狙い通りに約1040Hzでクロス、ゲイン降下もほぼ狙い通りになった。ただ、肩は本来はもう少しきつくな
るのかも知れません。

回路図はこちら
・・・何時ののようにクリックすると大きな図になります。もどるにはブラウザのもどるです。

 ※後段の追記を見て頂くとおわかりのように、このままの回路では不都合が生じます。追試などの時は後述する2ndバージョンで
   ないとうまく動きません。

                      
                    クロス周波数レスポンス ※確かめのために測定精度は荒くなりましたが傾向はつかめると思います


ただ、ドライバーのFostex D1405のマニュアルをみて850Hz以上でクロスとあるので1000Hzを想定したが、これでもちょっときついかなと思
える。もう少しクロス周波数をあげてやらないといけないかも知れない。フィルター効果の追い込みも必要だろうが、幸いクロス周波数はプラ
グインで変更できるのでいくつかセットをつくって実際の音出しで最適なクロス周波数を決めていければいいのかと考えている。

                     
                     完成した本機 4つのボリュームはレベルセットの微調整用として設置

<2015年2月10日追記>

実は、これには以下の顛末がある。

組み上げて、工房でチェックしたところまではいいのだが、実際にリスニングルームにセットして動かしてみると、なんか変だ。とりあえずは動いては
いるようなのだが、ボリュームを動かすと変、特に低域のボリュームがいけない。最大の時は問題がないのだが絞っていくと、盛大なノイズが発
生する、アンプの入力最大にしてあればスピーカーユニットを壊しかねないほどの音量だ。。さらに悪いことには、セレクターとして使用している
SV-353の他の入力位置でもノイズが載ってしまうのだ・・・・。

何がいけないのだろう・・・?!
現象として、

 1)低域のボリュームの位置が問題だろうこと・・・高域のボリュームでは問題がない
 2)低域のボリュームが最大の時には問題がない

そういえば、ともかくも音が出ている時に、低域のレベルが妙に低く感じた。接続するアンプを取り替えてみても同じ傾向だ。これは、デバイダー
を接続することによりロスが発生した? とも考えてもう一段なくてはだめかなとも考えた。

特に未だ本格的にリスニングルームでの運用をしているわけではないことや6BQ5(T)PPの製作もあって、しばらく放っておくことになった。

そして、他のことも一段落したので、もう一度、デバイダーについて調べなおしてみた。

「真空管アンプ製作24選:柳沢正史著」や「手作りアンプ工房Valves' World」さんといったサイト、もちろんこの出発の契機になった「フロービス」
さんのサイトにも足を運んだ。で、とにかく関連したことを最初から考え直してみた。

もちろん、デバイダーの配線チェックや、はたまたSV−353の入力部のチェックまでしてみた。が、結果は変わらず・・・・

悶々とした日々が続いたが、あるとき「手作りアンプ工房Valves’ World」さんの作品例をみていて閃いたことがある。

    「低域用のボリューム!!」

 そういえば、出発の契機になった「フロービス」さんの製作例では高域のボリュームはついていたが、低域のそれはなく、抵抗で終端されてい
た。ボリュームを追加したのは、実に私の個人的な趣味(微調整したい願望)からである。
と、なると低域のボリュームを外してしまえばいいのだが、ケースはそのための穴空け済み、見てくれが何とも悪い。何とかボリュームを付けた
状態で、できないか・・・

 そこで、「手作りアンプ工房Valves’ World」さんの作例から低域にももう一段を付けることにした。12AX7を1本追加するのだ、右左のチャ
ンネルが1本の真空管で扱うことになるが、低域なので何とかなるだろうと思った。さらに、「真空管アンプ製作24選:柳沢正史著」によると、接
続するアンプのインピーダンスにより、送り出しのコンデンサーの容量が変わってくるということも分かった。低域には1μFを使うことにした。以
上の点を踏まえて、再度回路図をおこしてみた。

 <修正した回路図>
   ・・・クリックして大きくなります

 ケースのスペースからもちょっとぎりぎりだったが何とか組み上げることができた。
        
          上の3本の真空管のうち真ん中の1本が今回増設した低域用の真空管

結果・・・・   OK!!!である。

ノイズもなく、レベルも柳沢さんの記述にあるように1、2dBへったかな?というくらいである。何より、リスニングルームの2Wayシステムが、
その本領を発揮した音を聴かせてくれたのである。以上一件落着。

その後、少し聞き込んでいくといくつか分かったことがある。

 ○クロス周波数・・・当初、1KHzあたりでクロスするように下が、2KHzの方が音が自然である
 ○低域のボリュームはフルボリュームで、高域のボリュームは半分ほどからに絞ったくらいが自然である。
  <・・・おいおい、それじゃ低域のボリュームを付けた意味がないじゃないの?! ・・・いいの!自己満足です、ハイ・・・>

 このために製作した10EW7SEPPも量感たっぷりの低音を届けてくれている。何よりうれしかったのは、実はウーファーはFostexのユニッ
トを使っているのだが、それはMW−401という、一昔のユニットだ。今まで鳴らしてみて、やはり一昔のユニットなのかなぁと思ってしまう音だ
った。.本気になってユニットの取り替えを検討したくらいだ。それが、何の苦もなく私が要求している音を届けてくれている。それが一番うれしか
った。確かに、それなりの投資をすれば、それに見合った音を届けてけてくれるのだろうが、一昔のユニット、それもさほど高額のユニットでなく
てもそれなりの音を届けてけてくれることを実感したのだ。それが収穫だった。

 ここまでにいろいろなトラブルに遭遇してはきたが、フルレンジユニットにはないスケール感、それが2wayCHdividerによって得られたような気
がする。

QWT_F200Aの音も気に入っているが、やはり40cmのウーファーの音は別格だ。カット周波数など追い込みが必要だとは思うが、とにもかくに
もひとまずKP(完パケ・・・放送用語)だ。