「 無類の低域安定性 」 という、上杉さんのキャッチフレーズに惹かれ制作した

           6L6SE の制作

         
         PT・OPT以外のほとんどのパーツを取り付け終えました

         
             完成した外観                              シャーシ内部

火入れ式を終えて、しばしエージング後音を聞いてみました。なかなか、いい音です。私好みの中低域に厚みがあって、それでいて高域もしっかり聞けています。

ただ、今回はいつもは気にならないハム音が気になります。音楽を聴いていると気にならないのですが、それでも曲間にはハム音が・・・

配置のせいもあるかもしれません。やはりハム音はいやです。そこで、電源回路のCを増量するという手段にしました。

まず、整流直後のCHにかませる電解コンデンサーは、100+100μFから 220μF+68μFに変更しました。

                                        
                                         上の制作開始時と比較するとわかりやすい


さらに、初段への電源回路の電解コンデンサーも増量しました。

                
           最初の初段の電解コンデンサー                33μFをパラって

この対応の成果で、静寂の中から突然音が飛びだしてくるという状況まで追い込むことができました。

さて、気になる「比類なき低域安定性」・・・ですが、
オシロで方形波を観察してみました。カットオフするのが早すぎます。多分バイオスの調整がうまくいってないのかなぁと思い、い
ろいろ調整背手見ました。最終的には6SJ7を6AU6Wに変更したり、6L6Gのバイアス抵抗を1KΩ→820Ωにしたり、6AU6W
のバイアスを代えたり、NFB抵抗値を代えたりして、何とか形にしました。


<2014年9月 追記

以上までが、前回までの報告です。

しかし、いくつか課題が残っていました。
それは、次の点です。

 1)ハムはまだ、若干取り切れていません・・・気にならない程度までは押さえ込みましたが
 2)しばらくならしているとPTからかなり発熱します。大きなことにならない程度ですが、トランス類の発熱はさせたくないものです。
 3)直結回路故の電圧配分ですが、どうしてもうまく調整できずに初段を6AU6Wに代えて調整しました。オシロで見るとゲインを
   あげるとカットオフするのが早いことも気になります。

これらの課題についていくつかの対策を施してみました。

まず、ハムについて征矢さんの製作記事にハムが取り切れない場合、初段の直流点火は有効であるとの記載を思い出し、初段を
直流点火にしてみました。それなりの効果があったのですが、スピーカーに耳を付けてみるとハム音を感じます。多分大型のSPで
は気になってしまうのではないかと思います。
また、特性を測定したり波形をオシロを見ながら試行錯誤の末にようやくこれかなという段階まで追い込むことができていました。音
もそれなりの音が出ており、しばらく工房のアンプとして使っても見ました。

ただ、どうしてもPTの発熱と、思ったほどの出力が出ていないような気がしていて、何となく気にはなっていました。

そんな折、柳沢さんの製作記事を観ていて、ふと思いついたことがありました。それは、B電源の整流用のダイオードを直接PTには
接続せずに、ラグ板を使って配線してある記事でした。そういえば、ダイオードは発熱するのでリード線はカットせずそのまま使うよう
に・・・といった内容の製作記事を見たことがあります。
これだ!!と閃いて、まず同じように気になっていた6005WPPのPT(PMC-190Mを使用)のダイオードをPT直づけから間接付けにし
てみました。その効果ははっきりとわかりました。こうすることでPTはほんのり暖かくなるだけで済んでいます。

ダイオードの発熱、一つ学びました。これ以降、ダイオード整流では基本的に直づけは避けるようにしています。


早速、この6L6GSEでも、ダイオードのPTへの間接付けをしてみました。そのために内部を改めてみると配線があまり美しくありませ
ん。上杉さんに言わせたら、音も多分汚い!!といわれそうです。
そこで、このダイオードの配線し直しを機に、全面的な配線のし直しをすることにしました。併せて、上杉さんの記事にあるように6SJ7を
再度起用することにしました。


                       
    PTから引き出してダイオードを接続                           配線し直した内部
                                            まだ、きれいとは言えませんが、L型ラグ板を使ってすっきりと
                                            配線できました。初段の直流点火はそのまま残しました。


初段の電解コンデンサーは33μFにしてあります(前はここに100μFを使っていました)、これで十分ハムも押さえ込めています。岩村さん
の言うように必要以上の容量はいらないのかも知れませんね。


早速音出し、ハムもありません。出力も初期の想定出力5Wは出ているようです。簡単に電圧を測定してみましたが、ほぼ初期の値になっ
ているようです。音も問題ありません。PTの発熱も以前よりずっと低くなりました。多分、上杉さんの設計通りの動作をしてくれていると思い
ます。

今回の報告はここまでですが、いずれ時間を見つけて測定してみます。出て来た音からすると、多分いい結果になっていると思います。