QWT_F200Aの制作           

    2014年の夏、製作完了!!


しばらくパラシングルアンプの制作に明け暮れていたが、工房で有効振動面積等倍のQWT_FE103の音を聞いているうちに、エージン
グが進んだのか結構聞ける音になってきていることに気づいた。折しも友人が来訪し、「低音が出すぎている・・・・」との指摘。
等倍に設定したので、低音は期待していなかったのに「そうか、やっぱりQWTが効いているのかぁ・・・」と再認識した次第。


その友人、ジャズなど聴いているそうだがメインはJBL、そして友人とオーディオ談義していると他に「20cm、20cm・・・」とやけに耳に
残る。スピーカー作りは『ロクハンに始まってロクハンに終わる』と、ロクハン(16cmSP)にはまっている私としては、ちょっと気になってき
た。そういえば、キット屋さんのMIDも8インチだし、ユニットも8インチが主だ。妙高オーディオクラブでのSPクラフトのLE-8Tの音を聞い
てみたし・・・ また、QWTシステムに惚れ込むきっかけとなった小澤さんのシステムも8インチだった・・・・ かの長岡さんのメインシステ
ムも8インチ・・・・・  ウ〜〜〜ン。

そうなると、耳元で「8インチ・・・・、毛嫌いしてないで8インチ・・・・、8インチの音を確かめてみたら!?・・・・」と、ささやく声をぬぐいきれ
なくなってきた。最終的な決め手は、「まだ8インチの音(自作)を聴いてないでしょ?!」だった。

そう思い始めると、即実行!!
まず、構想を練ってみるとFE-208EΣが思いつくが、そうなると小澤さんの発表例がある。そのままデッドコピーでももちろんよかったが、
そこは「あまんじゃく」の私のこと、それで満足するわけがない。で、思いついたのがフォステクスの【F200A】というユニットだ。
メーカー発表のデータを見ても、とても魅力的なユニットであることには間違いないと思う。

                   メーカー発表のSPLグラフ
        
      こちらがFE-208EΣ                    こちらがF200A

FE-208EΣやFE206Enなど、最近のフォステクスのユニットはSPLは高い(98dB)が、広域にシフトしている傾向がある。QWT_FE166Enでも
その音の傾向は確認済みだ。それに対してF200AはSPLは90dBだが、全域にフラットである。いかにも私好みの音が期待できる。

ただ、欠点は高額なこと。1ユニットで40K円以上は、年金生活者にとっておいそれとは手が出せない。そこで、また悪魔の囁き・・・
「システムは組んでも1年以上しないと狂いを解消できないでしょう!!・・・・時間をかけて作るべきですよ!・・・・」 負けた・・・この囁きに。

F200Aというユニット、本来ならバスレフでゆったりならすべきなのだろうが、それじゃおもしろくない。折しもQWTシステムのすっきりとし
た広がりの魅力にふれたことで、QWTで組んでみようと決心するのに時間はかからなかった。以前の経験を元に設計・・・
すぐに設計は決まった。

まず、F200AでQWTとしてシステムを組むに当たって基本的な要素を考えた。

メーカーの発表値から必要なデータを列挙する

 ユニット取り付け寸法     182mmφ
 F0 (最低共振周波数)     30Hz
 有効振動面積          0.020096u

  これらの値からQWTシステムとしての数値を決め込んでく。
  ○ まず、バッフルの内径は、音場の定位を優先して最小の値とする・・・・・・・・・・・・192mm(ユニット取り付け寸法+10mm)
  ○ 次に音道の奥行き
     F200Aの周波数特性から有効振動面積の1.2倍とする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.024u(0.02×1.2)
     バッフル面が192mmと決めたので、その奥行きは少なめにみて・・・・・・・・・・・・・125mm(0.024÷0.192)
  ○ 最後に基本周波数だが・・・ F200Aを生かすためにあまり低域増強は望まない
     そこで、えいや!と決めたのが                           35Hz
  ○ これで、音道長が決まってくる
      音道長(m)=85/35=2.428m
      後面開放なので3回折り曲げる → 一つの音道長・・・0.809m(2.428÷3)・・・・0.78m(最終決定値)              

図面をいつものようにエクセルで作成。

        組み立て図       板取図

        <耳の高さを考えて高さ899mmです、木目を考えなければ定尺の900mmを使うとロスが少ないかもしれません。>

     ※ いつものように、エクセルで作成してあります。イメージとしてみてください。
       図をクリックすると大きな図面になります。戻るにはブラウザの<戻る>で戻ってください。

     たぶん、間違いは修正してあるはずですが完全でないかもしれません。追試される場合は(無いかぁ・・・)確認してください。

近くのホームセンターでコンパネを購入、裁断、そして組み立て。もちろん、慌て者の私のこと、間違いもあったが組み立てるのさほど時
間はかからなかった。

     
     いつものこだわり<音道のコーナー・音道の塗装>をしてくみ上げたQWT_F200A
       ※最初、側板は2枚重ねだったが、音道による補強を考えて1枚でくみ上げてある。後はデッドスペースのコンクリ充填だ。

音を確認するために、唯一手持ちの8インチユニットの<PW-20B>のエッジの張り替えをさせたのも、元はといえばこれ。仮組をしたユ
ニットからの音を確認している。出てきた音を聴いて、ほぼ狙い通りを確認できた。それにしても、QWTシステムの最初の音はなんだ!!
まるでおもちゃのスピーカーのような音がする。それが数分して音がしっとりとしてくる。エージングが進めば進むほど音はよくなってくる。
それだけに、吸音材の入れ方は悩ましいところだ。ただ、今までの経験からコツがつかめているのでたぶん大丈夫だと思う。


8インチの音かな? と、思うのは音圧のすごさだけでなく、音の厚みがあることだろうか。それと、中低域のいわゆる
   「ズド〜〜〜〜ン」という音が違う。
          ↑この部分がしっかり残るのだ

あとは、ユニットを入手して最終的な仕上げだ。ゆっくりやろうと思っている。
音が出たら、また報告します。

                      

F200Aのユニットゲット!!              2014年2月2日追記

突然、1月に上京することになった。となると、のどから手が出るほど欲しいF200A。コイズミ無線さんに確保のお願いをして、上京した折にF200Aをゲットしました。ちょっと金銭的にはきついのですが、せっかくのチャンスですので無理をしてしまいました。

早速、仮付けをして音出し・ ・ ・  おや、QWTにありがちな最初のギスギスした音ではなく結構まともな音が出て来ました。しかし、かといってF200Aに期待していた音でもない平凡な音です。ちょっとがっかりはしましたが、背面の開口部からは低音がしっかり出ており、まぁこんなものかなと思っていました。
                        

いっしょに購入したFT28D(音圧的にはF200Aと同じなので、コンデンサー1本で接続)というドームツイータをスーパーツイータ的に使うつもりでスタンドを製作して聴いています。

半月ほどして、久しぶりにMJ誌のオーディオチェックCDを聴いてびっくり。和太鼓の大鼓が聞こえてきました。空恐ろしい、恐怖感さえ感じてしまう音です。ただ、吸音材の調整のために仮付けなのであちこちからビリビリと振動音が漏れてきます。側板は1枚と計画したのですが、もしかしたら2枚重ねが必要になるかも知れないと思わせてくれています。
押しつけがましくない上品な音に、開放的な音色はQWTならではの音です。アンプも選ばないのかも知れません。最終的な仕上げが楽しみになってきました。
春までには、吸音材の調整をして最終的な仕上げをしようと思っています。


2014年春から塗装開始・・・最終仕上げへ < 2014年 9月追記 >

        
                塗装するために開口部をマスキング
            背面のスピーカー端子穴と鬼童開口部も同様にマスキング



          
            グレーの水性ペイントで下塗装・・・・実はこれが悪戦苦闘の始まりだった
                使用したペイントは近くのホームセンターで購入した。下地であるのでとりあえずということでしたが
               これが、大失敗。そう、乾燥しても堅くならないタイプだったのです。おかげでサンディングができず
               に大変な苦労をしました。小澤さんの記事をみてアサヒペイントのシリコン系ペイントだとわかった
               のは後の祭り・・・一つ学習しました。


    
       
                      黒のつや消しで荒仕上げ塗装

          

               サンディングと塗装の繰り返し・・・少し面ができあがってきました

  
      
           完成してリスニングルームに運び込み

                      
    背面のスピーカー端子の取り付け            F200Aの取り付け               取り付け完了!!


設置しました

          
                設置のようす                       ツィータを載せて 隣はQWTFE166Enとスワ

 早速音出し・・・

   エージングはさほど必要ない(エンクロージャーの完成以来工房で約半年間鳴らし続けてきましたので)と思い、
   早速聞いてみました。やはり、エージングは必要のようです。

   エージング不足ですので、それなりの評価ですが、やはり、隣のQWTFE166Enに比べると六半と八インチの違い
   というか、音の厚みはやはり違います。コンデンサー一発のツィータを加えるとさらに音場の広がりやクリア感が
   増すのがわかります。

   エージングや設置の微調整をして本格的に追い込みが必要になりますが、それをさせるだけの音が出て来てい
   ます。

   それにつけても、隣のスワンはやっぱり凄いなぁと改めて感じました。そのスゴサを教えてくれたのがQWTF200A
   でした。

   < 以上、完 >

 2016年 08.30 追記

バックロードホーン MyD-55設置に伴い設置場所が確保できないことからリスニングルームから搬出。F200Aは、新し
く標準バスレフエンクロージャーに組み込んで新しくバスレフシステムとして設置。
それはそれでよかったのだが、この浮いたエンクロージャはどうしよう?!・・・結構大型で重いだけに苦慮する。

詳しいことは こちら