My D-55 の製作 2016.0901
※ 現在工事中です、途中経過としてご覧ください (2016.09.01)
【はじめに】
FE108Solのバックロードの音を聴いて、私はやはりバックロードホーンの音が好きなんだなぁと思いました。
QWTエンクロージャの製作に比べて製作過程がとても複雑で製作が大変になるので、ちょっとためらいがあるのですが、
バックロードホーンの音を聴いてしまうと、やはりいいです。「(低音が)遅れてでる・・・」、「ボンつく・・・」、「音がこもってい
る・・・」、等々いろんなご意見があることは承知ですが、やはりバックロードホーンの音が性に合っているような気がします。
その理由を考えてみました。
1)能率が高い
これは、バックロードホーンの優位性のひとつだと思います。小澤さんもFE108Solを使ってバスレフ・QWT・バックロー
ドホーンといった形式で、エンクロージャを製作されています、そしてそのレポートでバックロードホーンが能率が高い
ことを報告されています。
私のアンプは真空管アンプがメインです。かてて加えてシングルエンドのアンプが好きです。と、なると出力的にはあま
り大きい出力は望めません。したがって、スピーカーシステムの能率の高いことは一つの優位性です。
2)中低域が充実している
高齢者の私には10KHz以上の音は聞こえません。それでも音楽として楽しむことが出来るのは、やはり中低域の充実
している音がスピーカーから出てくるからでしょう。
逆に欠点もあります
1)(低)音が遅れて出てくる
低音域を長いホーン(と、いっても現実的には2mほど)を通って出てきます。厳密にはそれだけ遅れて音が出てくるとい
うことになります。が、かつて3Dといったスピーカーシステムが流行ったことがありましたが低域に関しては鈍感なところ
があって、実際にはあまり気になりません。もちろん、気になる方には気になるのでしょうが・・・
2)工作が複雑
密閉やバスレフに比べるとその工作はとても複雑だといわざるを得ません。工作の精度も要求されますし、材料もたくさ
ん必要になって材料費もバカになりません。バックロードホーンの市販品がかつて一つだけあった記憶がありますが、メ
ーカーが販売しないのもこの辺が理由かもしれません。
3)設計の理論が確立されていません
もちろん、いろいろな方がその理論化に取り組まれてはいますが、未だにこれだ!と確立されたものは無いといったのが
現状だといえるようです。また、今ある設計理論でも、その許容範囲に幅があってきちんとした設計が出来ず、いろいろな
パターンが考え出されてきます。
極論すると、出てくる音は造ってみないとわからない状態です。このことは、故長岡さんも製作時期でよく口にされていま
す。複雑な製作工程や多くの材料費をかけて造ってみたけど出てきた音にはがっかりなんてこともよくあることです。これ
では製作意欲がそがれてしまうのも無理ないことです。私が、一時期QWTの方式にはまったのもこのへんの理由がある
のかもしれません。(QWT方式も密閉やバスレフ複雑ですが、バックロードホーンに比べればさほどで無いと思います)
4)システム自体が大がかりであり、重い
エンクロージャの中に2mほどのホーンがあるわけなのでエンクロージャ自体が大がかりになります。また、長岡流に従う
とすれば、剛性を高めるために厚い材料を使うことになります。さらに、使われる材料が多くなりますので、その分重量も
並大抵ではありません。さらに、デッドスペースが出来ますのでそれをどう扱うかという点で、我流的にはコンクリートで充
填しますのでさらに重いものとなります(吸音材を詰めるという方法もあるようです。ただ、コンクリの充填は重心を下げる
という利点もあると思いますので、私はこの方法を踏襲しています)。
長所と欠点、この両者のせめぎ合いからバックロードホーンの製作に躊躇していましたが、FE108Solのバックロードの音を聴い
てしまうと、20cmユニットのバックロードホーンを造りたいという想いがどんどん自分の中で広がっていきました。
造るつもりは無いのに、長岡さんの製作記事を読み返してみたりいろいろなサイトを見たりしている自分に気づきました。D-50
の製作記事は手元にありますので、眺めているうちに今造るならプロポーション抜群のD-57、いやそれの進化したD-58!?・・・・・
はたまた、FE108Solのバックロードの設計に気をよくして、一から自分で設計してみるか・・・・
とにもかくにも、この悩ましい時間がとても楽しかった。一月以上も時間がたってもその楽しさは消えることは無かった。
最終的に、D-55に自分なりの改良(ほんとに改良となるかは、音出しまではわからない・・・)をして製作することを決意した。自
分の年齢を考えると、たぶんこれがエンクロージャーの製作の最後になるだろうなぁと思ったりもした。
D-55に決定した理由は、D-57やD-58に比べて大きさがコンパクト(それでも十分大きいが・・・)であることだった。
そして、自分なりの改良点のポイントを上げると
1)材料は12mmの合板と9mmの合板を貼り合わせて使う
材料は21mm厚の合板であるが、12mmのコンパネ+9mmのベニア合板を貼り合わせることにした。こうすることによって接合
につかった木ねじの頭を隠すことも出来るし・・・ 最終的には5mmのシナ板ベニア仕上げとなったので、板厚は都合25mmと
なった。
2)サイト巡りをしていて発見した音道の折り曲げ部最終部近くのの180mmの補強材
詳しいことはそのサイトを見てもらいたいが、これにより30Hzまで音として出てくるという。試してみる価値はあると思った。組
み上げず図を載せてあるので、詳しくはそちらをご覧ください。
3)底板の開口部への音道はFE108Solのバックロードのように音道を造り、コンクリートで充填
D-55のオリジナルでは底板に板をつけ、それを利用して砂利などを詰めて音道とするやり方をしている。見栄えと重心を下げ
るという意味合いから、FE108Solのバックロードで使った方法でいくことにした。
4)開口部は板材で造る
D-55のオリジナルでは、開口部はウレタン樹脂を使っている。この点は長岡さんも改良のヒントを残している。今回は板材で造
り、できたデッドスペースはコンクリで充填した
こうした改良(のつもり!!・・・)を元に、組み上げ図を作りました。
こちらです・・・・・例によってエクセルで作ってありますので、あくまでイメージとして見てください。
また、今回は板取図はありません。定尺の合板4枚とちょっとを使いました。
図中の赤色の補強材が改良点のポイントの2)のところです。また、図中の灰色の部分がコンクリ充填部です。
組み上げ図・・・・現在未掲載です
【製作過程】
年中日曜日の身分ですが、他の仕事もありますし乾燥といった時間も必要でしたので、製作に使える時間を確保しながら製作し
ました。都合、約一ヶ月かけました。
一台分の切り出しパーツ ここで問題!! 購入したJASコンパネ定尺は、なんと900×1800mm
オリジナルD-55は910mm これを補うために角材を接着した
パーツを組み上げほぼ形になってきた 空気室下のデッドスペースのコンクリ充填部
軽量化のため発泡スチロールと生コンの互層構造にした
音道の塗装 ・・・側板 音道の塗装
5mmのシナ板ベニア仕上げ・・・開口部 シナ板ベニア仕上げ最終
この後、クリアラッカーで塗装をして仕上げました。
FE108Solのバックロードではシナ板ベニア仕上げにオイルステインで着色してみましたが、見栄えが悪くなったという
経験から、着色はせず、直接クリアラッカーで塗装しました。
刷毛塗り3回、その後#240のサンドペーパーで研磨し、最後はクリアラッカースプレーで仕上げました。
【リスニングルームに設置】
MyD-55設置以前のSP群 MyD-55設置後のSP群
両端の白っぽいのがMyD-55、上にある白っぽいのがF200Aのバスレフ
その重量たるや、とても一人では持ち上げてリスニングルームに設置することは不可能だと悟りました。息子に手伝ってもらい、
ようやく運び上げルことが出来ました。
さらに、その大きさからリスニングルームに設置すると、今まで製作したQWTFE166EnとQWTF200Aは設置が出来なくなります。
やむなく、この二つは片付けて設置することにしました。と、なるとF200Aが浮いてしまいます。せっかく購入したF200A、気に入っ
ていたユニットだけに惜しい気がします。F200Aをつかったバックロードも市販されているようですし、アルニコの強力な磁石でな
んとかなるだろうと試験的にMyD-55にも取り付けてみましたが、それなりの音は出してくれますが、どこかのサイトにもあったよう
にちょっと違う音のような気がします。FE-206Enも有だとは思いますが、現段階ではFE-208EΣを使うしか無いのかなぁと思って
しまいます。まだ手に入っていませんので、なんとかゲットしないといけません。それまでMyD-55の音の確認はお預けです。
ただ、F200Aの音も捨てがたいです。そこでF200Aを使ってバスレフエンクロージャを作ることにしました。ほぼFostexの標準エン
クロージャを踏襲して製作しましたので、ちょっとしたリファレンススピーカーとしてリスニングルームで使おうと思っています。
このF200Aのバスレフエンクロージャの製作については別ページです。