私のバイブル
私のバイブルその1・・・全日本真空管マニュアル(1974) ラジオ技術社
高校生の時に、長野の本屋さんで偶然見付けた。定価は2800円。当時の高校にとって2800円は、
安い買い物ではなかったはず。お小遣いの範疇からは大きくはみ出ていたはず。おぼろげな記憶でも、
購入までに約一時間近く迷っていたことを覚えている。
まさに「清水の舞台から飛び降りる」つもりで購入した。
そして、6BQ5、2A3、300Bといった真空管の動作例をひもといては、いつかはこんなアンプを作って
みたいものだと夢見ていた。
初めて作ったアンプが、ラジオの終段をそのまま使ったものだった。6AR5とラジオのOPT。それでも、
音が出たときにはえらく感激したことを覚えている。そして、それに飽きたらず購入した6R-P15sのキット。
倍電圧整流という回路を初めて知った。OPTもナショナルのFi-Hiが銘打たれたものだった。そこから出
てくる音をラジオの音と全く別次元の音として聞くことが出来た。
で、そのキットはその後解体の運命となる。それは、サンスイのHS-5といったOPT、6BQ5といった
出力管・・・雑誌で紹介されるものが何かしら、ワンランク上の様な気がしてならなかったからだ。
キット・・・、それはすべての部品がそろっている。自分で部品を集めることは必要ない。とにかく組み立
てれば音が出る。・・・・・ でも、チョイ違和感がある。一つは、自分で部品を集める努力をしてないこと、
二つめは一応のスペックを満たしてはいるが、それが本当に自分の求めているものなのかどうかとを考
えと100%OKとは言えないことだ。
つまり、部品集めで楽をしている事(これは、集めることも楽しみということの裏面性かも知れない)、出来
上がりを人任せにしていることへの自分との整合性だ。これは多分私の何事も自分流でないと気が済ま
ない、あまんじゃくな私の性格によるものかも知れない。
ただ、この点についてはキット屋さんのHPの中で「キット屋さんのキットの完成度は90%ですね・・・」とい
う記述を見た記憶がある。つまり、キットの完成は組み上げてそのまま完成としてもいいが、キット屋さん
の記述にあるように90%として、残りの10%を自分流にアレンジすることで完成とする自由は残されて
いることを知って、少し独りよがりかなとは思えるようになった。
おりしも、トランジスターそして、ICの全盛時代へと突入していく。真空管はもはや時代遅れのオーディオ
デバイス化していった。ディスクリート4CH、Lカセット、どんどん技術的には進歩していく。そうしたものが、
最新のものとしてもてはやされた。某メーカーの試聴会にも参加した。でも、シンバルのなぜか金属的過
ぎる音に嫌気がさした。でも、それはそのメーカーの音としてとらえていた。他のメーカーならもっと優しい
音作りをしているだろう・・・、そんな考え方をしていた。
石というデバイスを追求しながらも、何か知らん好きになれない。そんな折、時々ペラペラとめくりながら見
ていた。その中に、どうしても気になる動作例があった。6GA4 A1PPの動作例だ。
出力は6.8Wだがひずみ率が0.92%どうしても気になる・・・
私のバイブルその2・・・管球式ステレオアンプ制作80選(上巻)
上杉佳郎 昭和50年 誠文堂新光社
お金がなくてとても無理だが、いつかは
作ってみたいと思った。
これも、当時の定価で1800円。高い!!
でも、購入。何度も何度も見ているうちに
背表紙はボロボロ・・・
この本の中の製作記にも気になる作例が
あった。
※その当時の私の判断での気になるで
あって、その意図については特にコ メ
ントはしないことにします。
下巻もあるが、買えなかった。でも、この
中に気になる制作記事が3編・・・
私のバイブルその3・・・初歩のラジオ
いつかはつくりたいと思っているうちに、初歩のラジオに掲載された6BQ5s直結アンプ。
6R-P15シングルを解体させた主原因・・・
配線チェックのため汚くなっているが、回路図
クリアな音質が気に入った。6GW8直結を作りたいと思わせた。ロフチンホワイト回路に代表される、直結回路
への想いを強くさせてくれた。
ほかにも気になった制作記事の何編かは保存してあります。
こんな事をしているうちに、世の中「石」の時代に。S社ESシリーズを追い求めた。そして、興味の主体は「長岡
式バックロードホーン」へ。 何がって・・・製品化されてないのが気に入った。「なきゃ作る!!」の世界だ。
2014年0202 追記
改めて読み返すと、乱文などあるし想いと違っている表記になってたりする。訂正してみた。
<2015年12月15日追記> 新しい「わたしのバイブル」の追加です
MJ誌を購入しようと立ち寄った本屋さんで偶然目にした。【2】とあるから、前編もあったの
だろう。 残念ながらそれは買いそびれてしまった。
おそらく上杉さんが「上杉研究所」を開設された頃からの製作記事だろうと思う。以前の管
球アンプ 製作集に比べるとずいぶん洗練されたデザインや製作技法が盛り込まれている。
配線や回路の設 計上とても参考になると思う、新しい私のバイブルになった。
案の定、何回も読み返しているので表紙は少しあれてきてしまってはいるが、大切にしたいと思う。