写真山行記
大山(だいせん) 2007,8,17
信州に移住して以来,夏休みに島根の生まれ故郷に帰ることはめったになかったのだが,今年はたまたまそういう機会に恵まれたので,おとなり鳥取県の伯耆大山に約30年ぶりに訪ねた。

早朝は天気がよく,出雲から山陰自動車道を東走している間は,山頂から裾野まですっきりと見えていたのだが,登るに従ってガスが山腹を覆い,とうとう山頂からの展望にはありつけなかった。登山ルートは,元谷(もとだに)ルートから登って夏山登山道を下る半周回コースだ。

お盆休みとあって,この日の登山者は大変多く,特に夏山登山道はほこりっぽかった。かつての静かなお花畑の中の小道は失われ,広くてまっすぐな階段道に作り変えられていた。山頂部に至っては人工的な木道と木製舞台の上しか歩けないありさまで,30年ぶりの感慨にひたるどころか,ただただ残念で悲しい思いばかりがこみ上げた。次に登る機会があれば,残雪期がいいと感じた。

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大山寺の街に着いたら道路左の大駐車場(無料)に車を置く。雲行きがあやしいので,急いで準備を整えて,正面参道を直進して大山寺をめざす。早朝の参道は人影もまばらで静かだ。
大山寺の前から左折して,大神山神社奥宮へ続く石畳の参道を行く。少し前には夫婦づれと思われる2人の登山者がいた。
元谷から北壁全景
大神山神社奥宮から本格的な山道となり,まもなく元谷に着く。懐かしい場所だ。心配していた雲がかかってきた。
元谷避難小屋
30年前の小屋の記憶はほとんどないのだが,樹林に囲まれたたたずまいはよく似ていると思った。念のためにネットで調べてみると,1988年に建て直したものらしい。
小屋の中に入るとガラス窓がたくさんあって明るい。以前は土間が広くて非常に暗かった覚えがあるので,これはまったく違う小屋になっている。
ブナ林内の木道
元谷コースの登山道もつけかえられたようで,写真のような木道が延々と続いていた。土の上を歩かないと,どうも登山という感じがしない。
夏山登山道と合流
6合目下で合流する。夏山登山道はバツグンにいい道に変わっていた。
6合目避難小屋
小さな小さなコンクリート小屋で,荒天時や積雪期にはありがたい小屋となるだろう。
6合目から上は薄い雲がかかってしまって展望は期待できなくなった。
7合目あたり
このあたりのようすがまったく変わってしまっていた。昔は人ひとりしか歩けないような小道がジグザグに登っていたと記憶するが,今は幅3mもあるような直進道になっている。道端に咲くシモツケソウの花も砂埃をかぶって薄汚く見えた。
8合目から上は完全な木道
ダイセンキャラボクなどの植生保護のため,8合目から上の夏山登山道はずっと木道だ。景観的には決してうれしくはないのだが,こうでもしないと守れないのだろうから仕方がない。
山頂も板の上
中国地方最高の山に登っても,山頂が木で作った階段状の舞台の上というのは,どうしても違和感がぬぐえない。土か石ころの上に腰を下ろして道端の花を愛でたかった。

「山には人工物はいらない」と改めて思った。
夏山登山道を下る
こちらもよく整備された広い階段が延々と作られていた。これはもう登山道というよりも,神社仏閣の参道に等しい。「深田百名山参道」とでもいえるかもしれない。

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