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たったった

季節や日々の暮らしに応じた居心地のいい場所があっちこっちにあって、それが穏やかに連なった住まいです。

大きな屋根の下の縁側、子供達が自由に工作や調べものができる場所、子供達の絵を飾る場所、金魚や虫を飼育する場所、ちょっとした家事机、こもれる場所、秘密基地、ごろごろする場所、身体を鍛える場所、テレビを見る場所、家族で囲む薪ストーブ、冬の乾燥に備えて室内干しできる場所、遠方の両親が泊まる部屋、夜空を見る場所、昼間は太陽の光で明るく過ごしたい、エアコンは苦手、地元の木でつくりたい、畑もしっかり楽しみたい、採れた野菜を置いておく場所、泥んこで遊ぶ庭、いっぱい遊べるお家、思い出になるお家。

そんな要望に、ご夫婦好みの本棟造りや民家のテイストを織り込んで、吹抜を貫き棟木を支える太い大黒柱が印象的な田の字形プランの住まいができあがりました。

岡田に建つN田さん家族の田の字形プランの家ということで、『たったった』と名付けました。

吹抜の広間の廻りに、いろいろなスペースが広がっています。
薪ストーブの炎を楽しみながらごろごろする小上がり。
奥にワークスペース。

吹抜の廻りの梁はヒノキの接着重ね梁、その梁には身体を鍛える懸垂用の鉄棒を取り付けました。


ウォールナットのダイニングテーブルとチェアーは家具工房クラポです。

2階の図書室。

右手の壁の開口は客間の壁床の切り欠き天井につながり、薪ストーブの暖気を家中に循環します。

図書室。
廊下の片隅にあるコーナー風な、天井高を抑えた居心地のいいスペースです。
テレビは図書室に置きました。

寝室。
バルコニーへ続きます。

室内の仕上は、天井は安曇野産のサワラ板、床は安曇野産のアカマツフローリングが主体、建具枠などの造作材もオール県産材です。
壁仕上げは珪藻土塗りの左官壁を主体に、一部サワラ板とOSB合板張りです。
左官壁が床に接する部分に巾木を付けて壁の仕上を保護ています。(細かいことですが)巾木はホコリが溜まらないように入巾木にして、ダイソンの掃除機のヘッドよりも高い65ミリの成に設定しています。

2階の吹抜からバルコニー側を見た様子。
吹抜の南側には室内側にもバルコニー状の廊下を設けました。回遊動線をつくります。

バルコニー側からの見返し。
子供室がフルオープンの引込戸でつながります。

室内の出入り口は全て引戸です。暮らしに応じて、開け放ったり閉め切ったりして暮らします。

ワークスペース。
いろんなものをいっぱい広げておける大きな机と、何でもどこにでも貼り付けられるOSBの壁。

脇の出入り口は家族全員の衣類を収納するクローゼット。
小上りの床下は引出式の収納になっています。

洗面所から脱衣所、浴室側。
薪ストーブ背面の炉壁は、杉化粧型枠コンクリート打放し仕上げの炉壁です。蓄えた熱を炉壁の裏側の脱衣所へ伝えます。

脱衣所&洗濯室からの見返し。
洗面所の向こうのトイレには小便機を設けました。

台所。
奥の右手に勝手口へつながる土間収納。

大黒柱はヒノキの24センチ角×6メートルの通し柱です。根羽村森林組合から出荷してもらいました。
構造材は、県産材のヒノキ、根羽杉が主体で、一部に米松を、適材適所で使い分けています。

玄関を入ると土間収納が奥まで続き、台所と勝手口につながります。

右手の先に、広縁を介して、離れのように少し距離をおいた和室の客間が続きます。

客間は、気分を切り換えて別の時間を楽しめるように、ご夫婦の両親が気持ちよく気兼ねなく過ごしていただけるように、日当たりよく広間から少し離れた配置にしました。

部屋の面積は広縁の分小さくなりますが、空間に奥行きが生まれて広がりを感じます。

客間の障子を閉め切った様子。
素通しのランマで広縁とつながる天井。

敷地は南北に高低差が1.3mある傾斜地のまま分譲されたことを逆手に活かし、0.9mの高さを建物の建つ地盤面に設定、基礎工事で生じた大量の残土を敷地の低い側に盛って、田舎の地形をイメージした大きな土手を造りました。

建物の正面に特徴的な独立壁を立てました。独立壁は、建物の輪郭を強調し、アプローチ側から室内への視線をブロックして室内のプライバシー感をたかめ、深い軒を支えて奥行きのある表情をつくります。
深い軒は夏場の日中の日差しをさえぎり、冬の低い日差しを取りこみます。合わせて断熱性能を高め、冬は薪ストーブで暖を採り、夏は夜間の涼風を取りこみ、自然の恵みを享受したエアコンの要らない生活を実現しています。

土手には雑草が茂り、さまざまな虫が集まりました。
区画された分譲地とは思えない、自然な風景をつくっています。

(写真の大きい子供は、うちの事務所のクルーです)

2m近い深い軒の下に、バルコニーと縁側が納まります。

暮らし始めて半年が過ぎた頃にいただいたメールを紹介します。 >> こちら

 
施工・建築工房 時遊館
竣工・2019年3月
場所・松本市岡田
掲載・信州の建築家とつくる家 15集

ブログ・安曇野建築日誌
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