尾日向さんに設計していただいた家に住み始めて、もうすぐ3年になります。設計の打ち合わせ時に、まだつかまり立ちだった娘と、家の引き渡しの2か月後に生まれた息子の子育てに日々慌ただしくも、この家で快適に楽しく過ごしております。

我が家で家の建て替えの検討を始めたのはさらに3年前です。大手ハウスメーカーや有名工務店数十社と打ち合わせを重ねましたが、心を惹かれる提案を受けることができず途方に暮れつつも、家の建て替えに向けて、これまで住んでいた築200年以上の古い母屋を自身でコツコツ解体していました。その解体作業中、近くを通った同級生のお婆様から「私が小学生だった時の写生会で、この御屋敷の絵を書いた。花桃がきれいに咲く素敵な御屋敷だった。今でも鮮明に思い出せるよ」と我が家にまつわるエピソードを教えていただきました。

それまで家を建物単体で検討していた私はこの一言で、景観としての家とその景色が人の心にずっと残ることを知り、家の検討視野を大きく広げることができました。そして素敵な景観の家で最初に頭に浮かんだのが近くに建つ平屋の家です。当時は“その家”を設計したのが誰かもわからなかったため、Webで「安曇野 カッコイイ 平屋」で検索したところ、“その家”の画像が表示され、そこから尾日向さんの設計事務所を知りました。

尾日向さんの提案は、家族のライフスタイルや、敷地に残る既存建物、敷地内全体、外からの景観も考慮した理想的な内容で、更に家の中についても住みやすさ・気持ちよさは想像以上でした。初めての家づくりで、ついつい「あれもしたい、これもしたい」と様々な要求をしてしまいましたが、打ち合わせの中でうまくまとめていただきました。(もしもう一度家を建てる機会があれば、尾日向さんに完全にお任せで建てるのもいいなと思っています)

家の建て替えと同時に、家の花桃の木も代替わりして立派な花を咲かせるようになりました。子供たちが学校の帰り道に毎日見るこの家の景観を心のどこかに残し、いつかこの家を継承していきたいと思ってくることを願います。