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松原すきっぷ

敷地は、南と東が接道している丁字路の角地で、南北に約1mの高低差がある北傾斜の土地です。
そこで、北側の低い部分に東の道路からアクセスする駐車スペースを配置し、駐車スペースの上に2階を重ねて中間階をつくり、スキップフロアの構成にしました。
そのことで、南側に広い前庭を確保して北に寄せた配置としながら、北の軒の高さを低く抑え、北隣のお宅へのインパクトを軽減することもできました。

東側の立面。
土地の傾斜とスキップフロアの構成が見て取れます。

建築前の敷地の様子。
傾斜のある土地を平らに造成することなく、土地の高低差をそのまま利用しています。


玄関。
正面の引戸を開けると、家の中心であるダイニングです。

内部は、吹抜を介して3つの床レベルがつながる、スキップフロアならではの楽しい空間です。

1階は吹抜のダイニングを中心にしたパブリックなスペースです。
掃き出しのテラス戸で、南の前庭につながります。

ダイニングからリビング方向を見たところ。
縦格子が大好きな施主へのサービスで、内部に外部に、さまざまな納まりの縦格子を展開しています。

キッチンは既製品のシステムキッチンを利用して、大工工事で機能的に設えました。

家の中心に据えた薪ストーブで暖房します。
緩く焚くだけで、家全体が十分に暖まります。

中間階は、家族共有のワークスペースです。

おもちゃを散らかしっ放しでも気にならないおもちゃ箱のようなコーナーが欲しいとの要望から、スキップしたワークスペースの発想が生まれました。

手前はご主人のホビースペース、コレクションのフィギュアを展示するショーケース付きです。二人のお子さんの勉強スペース、奥さんの仕事スペースと、一列に並びます。

遠く北アルプスが望める北西のコーナーに視線を誘う窓を設けました。本棚と窓が同じ高さでワークスペースをぐるっと巡ります。

2階は寝室を配置したプライベートなスペースです。
吹抜を挟んで、子供室と夫婦寝室をバルコニーに面したブリッヂでつなぎます。

それぞれのフロアのそれぞれのスペースが、ほどよい距離感でゆるやかにつながります。

寝室。

室内の出入口は全て引戸です。
必要に応じて、閉じたり開けはなったりしながら暮らします。

1階には、将来に親の同居を想定した和室を、縁側でつながる離れのようにL字型にくっつけました。

1階はデッキ、2階はバルコニーを介して、室内と南の前庭がつながります。このデッキとバルコニーを凹ませて設けることで、内と外を穏やかにつなぐ中間領域をつくり、その分大きな開口部を設けて開放的な居住空間をつくることができました。

冬は大きな開口部から低い陽ざしをいっぱいに取りこみ、家の真ん中に設置した薪ストーブで家全体を暖めます。夏は深い軒で日射を遮り、北からの涼風を導いて、爽やかな室内環境をつくります。合わせて断熱性能を高めることで、機械設備に頼らない、松本の自然の恵みを享受した快適な暮らしを実現しました。


奥さんの実家が瓦工事店であり、瓦屋根の似合う外観を望まれました。せっかくなので、切妻、寄棟、片流れの3種類の納まりを取り入れました。

>>  計画案

施工・直営
竣工・2012年12月
場所・松本市松原
掲載・信州の建築家とつくる家13
受賞・第13回長野県建築文化賞奨励賞

ブログ・安曇野建築日誌
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