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ひさりな食堂(おおぶろしき)

安曇野の、西に常念岳を望む、ひっきりなしに車の行き交う街道端の見過ごしてしまいそうな小さな敷地に建つ、店舗面積13.5坪、住居面積13.6坪の小さな併用住宅です。

古い屋敷の民家と土蔵と道祖神に囲まれた抜群に和風な環境に敬意をはらいつつも、その色彩が無い廃れた雰囲気の中に埋没してしまうことなく、街道端の商業施設として、折り合いを付けました。

建築の軸線は一直線に、安曇野のシンボルの常念岳に向かいます。

敷地の北側には、安曇野の田園風景が広がり、遠く白馬連峰まで眺められます。

客席からは風景を楽しめるように、街道からは店内の雰囲気がうかがえるように、街道に面して客席を並べて大きな窓で北の風景に開きました。

商売の吉方位である辰巳方向に配置した入口に、コーナーフィックスの窓が導きます。

客席の窓のレイアウトがデザインのポイント。
強調した連続する縦のラインに、イタリアンなファサードのお洒落なイメージと、日本の民家の縦格子の力強いイメージを重ね、同時に街道を時速60キロで通過する人々の視線を止めます。

白い左官仕上げの大壁は周囲の漆喰壁の民家や土蔵と呼応し、小豆色の板壁は、商業施設らしい賑やかな気分をつくります。

大きな看板が化けたような建物には、したくありませんでした。
看板を掲げなくても、建築そのものが看板となります。


住宅の生活感を外に漏らさないように、間取りとスケールを巧みにコントロールしているため、併用住宅であることを感じさせません。

建築前の敷地の様子。

この場所に馴染みながらも、街道端の商業施設とし明確に主張できるスタイルを求めました。


店内は左手にテーブル席16席、右手にカウンター3席。

夜はシースルーのブラインドを透かして店内の気配が街道に漏れます。
店内から、ブラインドに映る街道を行き交う車のヘッドライトの流れを見ていると、まるでお台場にいるような錯覚を覚えます・・
「おびなたさん、お台場に行ったこと無いでしょ」
 << 店主

カウンターの向こうが喫茶用の厨房。その奥がメインの厨房。

客席の主な内装は、パイン無垢板フローリング、珪藻土入り左官壁、天井は木毛セメント板。

開業当初の夜景。
冬季なので植栽ができない代わりに電飾を施しました。
春になったら植栽を行う計画です。一段と雰囲気が良くなることでしょう。

勝負の『中華めん』650円。
丁寧にキチンとつくられた旨みの濃いあっさりスープが、かんすいの匂う縮れた細麺に絡み、優しくて懐かしい味わい。
トッピングは、ほうれん草、柔らかくてもしっかり肉の味が残るチャーシュー、こだわりのフ。
激化するラーメンブームとは一線を画す、力のこもった直球です。

安曇野市堀金、ベイシアの交差点を東に1キロばかり下った場所です。

TEL(0263)50-6008
AM10:30〜PM8:00
月曜日、第三火曜日定休。

ひさりな食堂のホームページ
 >> こちら

住居部分は13.6坪。
そこに家族4人が暮らす、究極の狭小住宅です。

暮らしの中心になる2階は、3間×3.5間(10.5坪)のワンルーム。ここに玄関と洗面所と浴室以外の住宅の全てが納まります。

木製のパーティションで仕切られた寝室スペース。
子供の成長に合わせて仕切り方を変化させながら暮らします。

コストを抑えながらも、構造材は県産材100%、内装は唐松無垢板のフローリング、珪藻土入り左官壁で仕上げるなど、本物仕様です。

>> 計画案
施工・建築工房時遊館
竣工・2007年12月
場所・安曇野市堀金
掲載・信州の建築家とつくる家5

ブログ・安曇野建築日誌
 >> おおぶろしき

増築・2015年7月
 >> ひさりな食堂の増築