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浅川の家

敷地は長野市の中心部から車で10分程の住宅地の中に新しく造成された分譲地で、北入りの57坪。
南は道路から1.8m高く、先は児童公園に面して開けているために見晴らしが良く、市街地越しに遠く菅平高原が望めます。

施主は若い共働きの夫妻と幼い子供2人。
毎日が勤めに追われて忙しい夫妻のために、家族4人で居られる毎朝のほんのわずかな時間を大切にしました。
開けた南面からたっぷりの朝の光が洗面所〜台所〜食卓に差し込みます。
冬の出勤前の苦労を解消するためにビルトインガレージにして、ガレージの上部を利用したスキップフロアの楽しい空間構成にしました。
(06.11.30)
>>  計画案


雪の多い寒冷地では、冬の出勤前の毎朝のクルマのガラスの霜取りや雪かきから解放されるために、屋根付きの駐車スペースは必須です。
そこで、建物と一体化したビルトインガレージとしました。

ガレージと玄関へのアプローチの部分は、前面道路にほぼいっぱいまでフラットルーフを架け、大屋根からの落雪やツララを受け止めます。

ガレージの上は、スキップフロアの中二階で、子供部屋になります。
向き合う隣家との視線を外すためにコーナー窓にしたので、遠くまで視線が抜けて爽快です。

解放性の高いピロティ形式にすることで、ピロティー部分には板張りの仕上げが可能になりました。
彫りの深めの水平リブや板張りの天井の組み合わせで、スタイリッシュな仕上がりになりました。

玄関からアプローチ方向を見ます。
土間は恒例のコンクリートの洗い出し仕上げ、施主の自営工事です。

玄関。
手前の壁の向こう側に手洗いがあります。

内装は、
床暖房を設置した床はカエデの床暖房用フローリングにリボスオイルの自然塗装。

壁と天井は中霧島壁。
これは、ご主人の出身地である宮崎県で産出されるシラスを材料にした左官塗壁で、同郷の素材で仕上げたいとの希望から採用しました。

食堂の吹抜と、向こうに対面式のキッチン。
暮らしの中心の場となるスペースです。

構造現しの梁は、奥さんの出身地の安曇野で伐採された赤松材です。
お互いの出身地の材料がアンサンブルしています。

ダイニングテーブルは安曇野の 家具工房クラポ にオーダーしました。
ペンダントの照明はポール・ヘニングセン。定番の器具ですが、ウチでは初めての採用でした。

対面キッチンから食堂、その先に畳敷きの居間と続きます。

南面は約2メートルの擁壁で、道路から高くなっているため、近隣の視線を気にせずに大きく解放することができました。

冬の太陽が部屋の奥まで差し込みます。

11段の階段でガレージの上の中2階の子供部屋に繋がる、スキップフロアの構成です。

持ち出した階段の下は、ご主人の書斎コーナー。
ダイニングの一角に、穴蔵っぽい雰囲気をつくりました。

2部屋の子供部屋は真ん中を本棚と洋服掛けを備えた収納家具で仕切りました。
建具の内法から上は壁が無く、吹抜に解放されていて、引き込みの戸を開け放てば一体の空間になり、とても清々します。

2階の主寝室は、畳敷きです。
南はキャットウォークを挟んでバルコニーに繋がり、障子窓は吹抜に繋がります。

スキップフロアから3段上がると2階のレベル。
ルーバー状のキャットウォークを介して、ぐるっと一周できる回遊動線です。
キャットウォークには室内物干竿を設置したので、冬の洗濯物に威力を発揮します。

向こうに延びる通路の先の左手が洗面所とバスルーム。
寝室階の2階に浴室を設置することで、洗面所を陽当たりやロケーションの条件のいい方角に配置でき、洗濯物などの動線も効率よくまとまりました。

バルコニーに面した明るい洗面所からは、遠く菅平が見渡せます。
2階は外からの視線がほとんど気にならないので、ブラインドなどの目隠しの必要がありません。
毎日、気持ちのいい朝を迎え、気持ちのいい晩を送ることができます。

南側の遠景。

外壁は骨材入り着色モルタルの掻き落とし。
左官は、いつも頼りの壁匠TOWAです。
秩序無く様々なスタイルがひしめく分譲地の家並みの中に埋没してしまわないように、ちょっと強めの色を出してもらいました。

引っ越しの前日、施主から届いたメールの一部を紹介します。
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いよいよ引越しです(準備はしていませんが)。
新しい家に住むことができる喜びよりも、満足できる家を作ることができた充実感の方が勝っている気がします。
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浅川の家ができあがる様子を、施主自身がブログで紹介しています。
>> 浅川プロジェクト

□施工・ながでん建設
□竣工・2006年12月
□場所・長野市浅川
□掲載・KURA2007.4

□ブログ・安曇野建築日誌
 >> 浅川の家