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渡部邸_旗の台個典音楽研究所

渡部邸は、音楽家である渡部力也の、アトリエ兼住居兼ギター教室として計画されましたが、その計画は、何回もの増築を繰り返し成り行きで建っている建物の一部を取り壊して再び増築するという難儀なものでした。

意匠の上では、架構をデザインとして捉え、柱や梁を現して見せることで木造在来工法ならではの魅力を強調しました。
部屋の中を移動するごとに柱や梁や壁や天井がさまざまに重なり合い、イメージの豊かな空間です。
(00.11.03)
>>  計画案


市街地の裏通りに面し、三角形の鳥小屋のような独特の外観が目を引きます。
敷地には、中庭を挟んでご両親の暮らす住宅が建っています。そこで3階部分を小屋裏風にすることで、中庭への圧迫感を抑えました。

1階は通りに面した鉄骨造の月極駐車場。
2階〜3階が木造の住居部分。2階は隣の建物の2階とつなげています。

竣工時の、ギター教室と作曲や執筆のためのスタジオ部分。
発表会やミニコンサートが開催できるくらいのスペースを求められたので、2階〜3階を吹抜でつなげて、全体で40帖の広さの大空間をつくりました。

暮らし始めると、プライベートの荷物がどんどん増え、寝具まで持ち込まれ、パブリックとプライベートが一体化した空間になりました。

風通しがよく、断熱者熱がしっかりしているので、夏も快適です。
写真/リビング信州


あふれかえる蔵書の収納も考えなければいけませんでした。
道路側は比較的交通量が多く飲食街が近いので、夜間の騒音が気になります。
そこで道路側の壁面いっぱいに本棚をつくり、窓を二重に設けて、収納、遮音、採光、通風を一挙に解決しました。
写真/リビング信州


専門的な音響設計は行いませんでしたが、ギターの響きがすごくいい空間になりました。
写真/リビング信州


さんざん増改築を繰り返した建物を、さらに改築しました。
できあがった姿は、混沌としたアジアのバラック風でもあります。


工事着手前の状況
「奥の2階建てを残して2階のフロアをつなげて下さい」とのこと。
「全部壊してやり直しましょうよ」との提案は、受け入れてもらえず…
既存2階部分
手前の下に見えるのが解体する車庫の屋根です。
ここへ増築して、残した奥の部分とつなげるわけです。
そんなことが出きるのかなあ…
解体後の状況
残った部分は昔のいい加減な構造のため、工事中に倒壊しないかと、心配でした。
竣工
無事完成。接続部分の雨仕舞いも巧く納まりました。できてしまえば、全て計算どおりです。

玄関前のテラスで昼食をとる、とても仲の良い施主ご夫妻。
ご主人の渡部力也さんは作・編曲家であり、ギタリストとして活躍しています。

また、楽譜、教本等の公刊著書は60点を超え、内外に好評を得ています。
□施工・さみぞ工務店
□竣工・1997年9月
□場所・南安曇郡豊科町(安曇野市豊科)
□掲載・リビング信州2000