大切な冬の管理

金魚の飼育管理は、春夏秋冬、四季を通じてみなそれぞれおろそかにしては成らない、重要な関連性を持っている。冬の期間健康な状態で過ごす為には秋の管理がしっかり行なわれていなければなりません。又冬の管理の良し悪しが、春を迎えてから、金魚の育成の上で大きな影響を及ぼす事を忘れてはなりません。人間は気温の移り変わりで四季を感じ季節の移り変わりに対処して、生活上の対策を行い、快適な生活を営んでおります。金魚も、水温の移り変わりで四季を感じ取っています。しかし私たちが寒気を避ける為に暖房すると、その部屋にある水槽の水温は、どんどん上がり25℃に上昇しているとすれば、その水槽内の金魚たちにとっては夏の季節の中で生活している事になります。最悪なのは人間が自分の都合で暖房を入れたり切ったりする事だ。昼間は留守だから切っておき、夜帰ったら入れて、寝る時は又切る。これでは1日のうちに夏から冬と大変化、金魚は着物を着ていません。体がおかしくなってしまいます。

冬を迎える金魚は、しだいに下がっていく水温の低下に順応するように運動動作がににぶくなって行き、やがて大体10℃以下になると食欲をしだいに失い、更に低温になるに従い冬眠に近い状態になり、金魚達は、良い環境の中で静かに希望にあふれた春の訪れを待っていたいのです。

快適な越冬環境

冬の季節を快適にすごす為の環境作りは普通水温が10℃に下がってきた頃、越冬準備としての最後の水替えをします。最後のタタキ池の清掃をする際は、特に池の周りに付いている苔は、黒いもの、長く伸びたものは取り除く。青いビロード状の苔は大切に残します。青い苔は冬の期間中金魚の餌として重要であり、水の調子を整える重要な働きをします。

水温が低下するに従って金魚飼育の水は、植物性プランクトンが適度に繁殖した青い水が最も適しています。生き生きした力のある青水が良いのです。青い水は保温力があり、外部の冷気の影響を受け難いので、冷え込みが少ないようです。青水の濃さの目安は、水深20cmの底にいる金魚の姿が何とか確認できる程度と言われています。

水深は、夏の時期に深いと頭や尾鰭に悪い影響が出ると言いますが、しかし水温が著しく高い時期と、低い時期は少し深めにしてやる必要があります。理由は外気温の影響による極度の水温変化を和らげてやる必要があるからです。冬の間、最低20cm以上の水深を確保したいものです。

春の病気対策

冬の期間中の金魚は、秋の管理が良ければあまり病気にはなりません。しかし来るべき春を元気で迎える為に、春先に出やすいミズカビ、ワタカビ病を予防する為に、青い水を、水温の上昇にしたがって差し水の量、回数を増やして水温に合った環境に直して行く必要があります。このように積極的に調整をして行けば、金魚達は、希望あふれる春を、元気で迎える事が出来るでしょう。(「差し水」に付いては、「金魚日記」のページをご覧ください)

産卵準備と産卵を促進する方法

近年らんちゅう界では、当才魚を極力大きく育てようという傾向が見受けられます。一定の時期までに大きく育成させる手段としては、様々な方法が考えられるが、他の人よりも一日も早く産卵させる事が確実な方法と言えましょう。

産卵時期を促進させる為には、金魚達が水温の移り変わりで四季を感じ取るのだから、早く冬にしてやるか(水温を下げる)冬を短くして春を早く迎えるように水温調節をしてやれば良い訳です。ポイントは、ヒーターで水温を上げてやるだけではなく、いかに早く冬を感じさせる事が出来るかです。しっかりと冬を感じ取っていない金魚は、水温を上げてやっても春の感じ方が鈍く産卵時期が定まらず、産みそこなってお腹の中で卵が腐ってしまうという結果を招きます。

金魚達に十分冬の季節が来た事を知らせ、感じさせる期間は水温の程度によって異なります。5〜6℃の水温で冬を送ったとすると、最低7週間が必要です。約50日という事になります。

冬を十分感じさせた後、水温を21℃近くに上げ。新しい水。産卵用の藻、魚巣を水槽に入れてやる。薄暗い場所では、朝から電灯をつけて明るさを十分与えてやる事も産卵行為を促進するために役立ちます。