8月の日記]

8月2日[孵化後115日]

8月に入り金魚はいよいよ本格的な成長時期に入り、その成長ぶりは目を見張るものが有る。
食欲は益々旺盛で池の水がすぐ緑に成ってしまう。
飼育数を減らし15〜20匹とする。
魚の色や柄が決まり中には大変柄で損をした魚も有る。また成長とともに魚体の狂いも出てくるのでそれらを除く。

写真説明

  1. 写真の魚は左の腹に比べ右側の腹の出が足りない。片腹である。
  2. 片腹はまず治る事はない。
  3. また左の尾肩が白く、右は赤で大変不利な色柄である。

 

片腹(左右の腹の大きさが違う)

魚の重さを計る

魚の重さを計る時は魚を容器に入れて水ごと計ります。
その後容器と水の重さを差し引く方法で行う。

 

 

8月8日(立秋)

今日は立秋。長野の「日の出時刻」は4時54分と新聞に記載されているが、山陰から太陽が顔を出すのは五時をかなり回ってからになる。
朝起きる時間も以前に比べると1時間近く遅くなり、寝坊が出来るようになった。

そして秋の品評会まであと2ヶ月。
ここらで今年の金魚の世話も峠となり、人間の方は傍観者の立場に置かれる。
彼らの今後の発展は、各々天授の特長を伸ばして行く事に成る。

体に狂いが出たもの、尾に狂いが生じたものを撥ね、池当たりの飼育数は10〜15匹。
発育は益々旺盛である。

8月の水替えは新水となり、水替えが早いと体形を崩して腹が遠くななる。そして、「尾がすぼけ」たり「引けてくる」。
良魚作出の為に、水替えはなるべく押さえるように心がける。

鶏卵と大きさを比較してみました。[H10.8.8]

尾をしっかり張ていた魚も、8月の成長期に成ると尾先を下し、しなやかな尾さばきを見せる。
中には「尾肩が少し弱い」、「少し開きが足りない」と感じるものも出てくる。
この様な魚も尾付け、尾皿がしっかりしていれば秋に「張り戻し」が来る。
九月中・下旬になり「私の池に、こんなに良い魚がいたの?」と目を疑う事に成るのが、こうした魚である。

 

8月13日(迎え盆)

8月に入り餌食いが一段と盛んになった。池に付いた藻を全部取り除いた事も餌食いを良くしているようだ。最近、餌を沢山与えるので、水面に泡が出て消えない。あまり好ましい事ではないが、泡は「こき棒」で水面をなでる様にして隅に寄せて取り除く。
水質の悪変はエアーを強くして防止する。高い水温と給量が多いので、水が緑化するのも早い。
5〜6日毎に水替え。

水替え時期の目安:水が古くなると金魚は午後4時、5時頃になると、池の端に集まり動かなくなる。 これが水替え時期の目安である。
これ以上水替えを伸ばすと尾焼けをおこし、健康を損なうので翌朝水替えをする。

8月16日

魚は既に何回も選別を重ねた末に残ったもの達だが、成長と伴に体形の狂いを見せる。体を捻ったもの、伸びたもの、詰ったものを水替え時に淘汰する。
飼育数13匹。

体を捻った魚

捻りの原因は、曲がって付いたカジ鰭と片腹?

 

峰高

矢印の部分は急所。重大な欠点となる。

 

腰が深い

腰の下がりが深い為に泳ぎが悪い。(矢印の位置は急所)

8月20日

8月中旬を過ぎると昼間の暑さも、朝方はぐんと涼しくなる。朝は水温が低下して、1日の水温差が大きくなってくる。
水替えの時に「餌切り」をしないと鰓病になるので注意。これからは、割り水が必要になる。青水を使い、飼い過ぎ(成育を早める)のない様に注意する。そして魚体全体がバランス良く成育するよう心がける。腹が遠くなってきた魚(腹がかえの悪い魚)は青水にして泳ぎを抑えると元に戻ってくる。

水替え:5〜6日毎、割り水洗面器1杯、水深15cm
飼育数:8〜12匹

 

腹と尾肩の間が離れた魚を腹が遠いと言う。
腹が遠いと品評会審査で大きく減点される。

 

8月25日

朝池に行くと、研究会に出品した魚の様子がおかしい。池の隅で魚が2、3匹静かにしている。良く見ると片鰓を閉じている。エラ病である。ただちに0、5%の塩水の中に魚を移し治療をする事にした。病気が治るまで病魚は絶食。(完全に餌を止める)

先週の日曜日に研究会が行なわれた。その時、研究会に出品した魚を家に持ち帰り、そのまま元の池に放してしまった事が原因である。研究会に出品した魚は必ず塩水やエルバージュを溶かした水の中で(普通洗面器のなかで行う)1日養生してから池に戻すのが常識だからだ。
エラ病の詳細