オペラ

16.ベルリーニ オペラ「ノルマ」
セラフィン、スカラ座O EMI 昔のNHKは啓蒙的な役割を充分持っていたと思う。イタリア歌劇団公演はその最たるものだったと思う。最近のNHKはその片鱗すらも見られない。あの時のノルマも素晴らしかった。さて、こちらの方は例によってカラスシリーズ。オペラは昔はそう簡単に手に入れられなかったので、カラスのノルマも3つあるらしいが、ここはセラフィンとのスカラ座盤。


12.ビゼー オペラ「カルメン」
プレートル、パリオペラ座O EMI やはりカルメンはなんといってもカラスに限る。カラスの中でも代表盤ではなかろうか。カルメンと言えば、カラスの声がこびり付いているほど良く聴いた名盤である。
カラヤン、VPO RCA レオンタイン・プライスの圧倒的なカルメン。カラヤン他、メリルのエスカミーリョ、コレルリのドンホセ、フレーニのミカエラなど、カルメン全体を聴くにはこっちの方が良いかも知れない。しかし、まあどうして男というものはカルメンのような女に惚れるのかしらん。


14.ドニゼッティ  オペラ「ランメルムーアのルチア」
セラフィン、フィルハーモニアO EMI カラスのことを記したので、やはりここでカラスのオペラを数点。先ずこのルチアも欠かせないものと思う。NHKのイタリア歌劇団公演のレナータ・スコットも、こちらは元祖。本家本元。カラスが居なければルチアもこれほどには有名にならなかった?


210. フンパーディンク 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」
クリュイタンス、VPO、ウィーン少年cho、ゼーフリート、ローテンベルガー EMI オペラは本来、舞台で見るべきものかも知れない。今ならDVDか。しかし、映像によると見るものが非常に限定されてくるのも確かである。CD・LPならまだまだ想像力によって補う事が出来る。今後どのような名演が生まれようと、それでこそかつての名盤も生きようと言うもの。ここではまさにゴールデンキャストでの演奏である。


153. コダーイ  ジングシュピール 「ハーリー・ヤーノシュ」全曲
フィレンチェク、ハンガリー国立O HUNGAROTON オペラでは無くジングシュピール。「ハーリー・ヤーノシュ」は組曲で聞く人は多くてもこちらのジングシュピールで聞く人は極わずかに限られる。しかしながら、このジングシュピールを聞いて初めて「ハーリー・ヤーノシュ」の全体像が判ったというのも確かだ。組曲だけ聞いていたのではサックスのトリルなどの意味が判らない。それほど、こちらは特にナポレオンの表し方など痛快で面白い。色恋を扱っているイタリアオペラなどよりはこちらの方が遙かに面白い。まさに国民的オペラ。ハンガリーが世界に誇るべきジングシュピールであると思う。是非ご一聴を


213. レオンカバッロ 歌劇「道化師」
モナコ、プラデッリ、ローマ聖チェチーリア音楽院O DECCA イタリア歌劇団の日本公演でもうおなじみのデル・モナコのカニオ。まさに黄金期の美声と気迫の演技に聞き惚れたい。
パヴァロッティ、ムーティ、フィラデルフィアO PHILIPS パヴァロッティもさることながら、ムーティが凄い。ムーティはやはり今一番のカペルマイスターではなかろうか。ムーティのオペラと聴くだけで熱くなるのは私だけなのだろうか。パヴァロッティもまだ油の乗り切っている頃で良い。


216. マスカーニ 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」
モナコ、セラフィン、ローマ聖チェチーリア音楽院O DECCA 上記の「道化師」との2CD盤も出ているようで、これはお得である。このCDでベリズモオペラの総てを名演奏で味わうことが出来るのだから。「カヴァレリア・・・・」はわずかな部分ではあるが「オレンジの花・・・・」を合唱曲で歌ったこともあるので、筆者にとって馴染み深い曲でもある。モナコのトウリッドウだけではなく、シミオナートのサントウッツア、堪らない味わいがある。


30. モーツアルト オペラ「フィガロの結婚」
E・クライバー、VPO DECCA これは誰が何を言おうとこの盤しかない。カルロスのお父さんは凄いのだ。それにしてもこの洒脱さ、この小気味よさはなんだろう。VPOも本当に楽しんでやっている。なかなかこういう境地に到達できうるものではない。


243. モーツアルト 歌劇「ドン・ジョバンニ」K.527
フルトヴェングラー、VPO、シェピ EMI 先ずはやはりフルトヴェングラー盤を挙げておかなければなるまい。指揮者の解釈においても、又Solistにおいても一番満足させてくれるのがこの盤だからである。フルトヴェングラーの演奏を聴いてしまうと他の演奏は全く霞んでしまう。いや、そうじゃない、これはオペラ・ブッファなんだよと見方からすれば又、別であろうが。フルトベングラーの深みのある響きの中でのシェピのタイトル・ロールは圧巻である。シュヴァルツコップのエルヴィラも又良い。


28. モーツアルト オペラ「魔笛」
ショルティ、VPO DECCA これほど筋の訳の分からないものは無いが音楽の素晴らしさで聞かせてしまうのはモーツアルトの天才。ショルティ盤は配役も素晴らしく十分に堪能させてくれる。
ベーム、BPO DG 今聞くと何か堅苦しい感じがしないでもないが、ブンダーリヒのタミーノはじめなかなか楽しませてくれる。ベームは相変わらず、格調高い。ベーム=ドイツ音楽=モーツアルトをどう捉えるか、課題である。


24. プッチーニ オペラ「トスカ」
サバータ、ミラノ・スカラ座O EMI これもやはりカラスに尽きるだろう。サバータの指揮も、カラスの歌もどちらも良い。今時ならDVDでも見れたであろうに実に残念である。私はウィーン国立歌劇場でクライバー指揮、カバリエのタイトルロールで見たのだが、歌は実に良いのだが、視覚的にカバリエではどうもという感じがしていただけなかった。なかなかオペラも難しいものです。


248. プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」
カラヤン、ミラノ・スカラ座<55> EMI カラスである。蝶々さんは日本人のものを選びたいが、今手元に無い。カラスと清純無垢な蝶々さんはなんとなく合わないような気がしないでもないが、聞いてみるとさすがカラスである。最後のアリアなど凄絶。ピンカートンのニコライ・ゲッダも良い。


162. J・シュトラウス 喜歌劇「こうもり」
C・クライバー、バイエルン国立O、バイエルン国立歌劇場Cho DG クライバーの造り出す音が見事に弾け弾んでいる。「蝙蝠」の持つ実に楽しい雰囲気いっぱいの名盤である。こういうのを聞いているとC・クライバーはお父さん譲り、天下一品だと思う。オルロフスキー役のロシア人俳優レプロフの奇妙な音色も実にマッチしていて名演技。決して名歌手を揃えている訳ではないが、実に軽妙洒脱。生きている楽しさを満喫できる。


171. R・シュトラウス 楽劇「サロメ」
カラヤン、VPO、ベーレンス EMI 爛熟の極み、退廃の極み。19世紀、世紀末直後に作曲されたこの曲を、そのままに見事に表現したのがこのカラヤン盤であった。カラヤン・VPOもさることながら、ベーレンスのサロメも圧倒的であり、息詰まるものがあった。その後これを上回る盤はまだ出ていない。


172. R・シュトラウス 歌劇「ばらの騎士」
カラヤン、フィルハーモニアO、シュヴァルツコップ EMI R・シュトラウスはどうしてもモーツアルトの跡を継ぐものを作りたかったのだろう。「不道徳きわまりない内容」ながらもワルツを初めとする音楽の良さがそれを救い、以来劇場におけるドル箱の演目となった。シュヴァルツコップの伯爵夫人、カラヤン・フィルハーモニア管と文字通りレッグ・EMIの金字塔となった録音でもあった。


18.ヴェルディ オペラ「椿姫」
C・クライバー、バイエルンSOO EMI カラスで始めたオペラシリーズだったが、絶品の「椿姫」はセラフィンがステッラを起用したため、カラスのスカラ座との録音が無い。非常に惜しまれる。そこでここではピンチヒッター。カルロス・クライバーの「椿姫」。コトルバスの「椿姫」では無く、クライバーの「椿姫」というところが、みそ。


173. ヴェルディ 歌劇「アイーダ」
ムーティ、NPO、カバリエ、ドミンゴ、コッソット EMI 弾むムーティ、歌手陣もこれ以上はないと言えるドリーム・キャスト。ムーティのオペラ・デビュー盤ではあるが、これが出た時、カラヤン盤とどちらにしようかと迷った。しかし正解だったと言える。あまりの素晴らしさに友達にも紹介したら、そのままそのLPは戻ってこなかった。で、今所有しているのはCD盤。祝祭的雰囲気に満ちた豪華絢爛の若々しくも華やかな「アイーダ」の超名盤。


298. ヴェルディ 歌劇「ファルスタッフ」
トスカニーニ、NBCso、Rショウcho、ネッリ(S)、マダーシ(T)、ヴァルデンコ、グアレラ(Br)他<50> RCA ヴェルディ最後のオペラにかけるトスカニーニの情熱も並々ならぬものがあり、ここではオーケストラも、歌い手も全く一つとなって演奏している。先ずはその意志、迫力といったものに圧倒されてしまうだろう。やがてそののちこの演奏がまさに完璧な演奏であることに気付かされることになるのだ。


174. ヴェルディ 歌劇「オテロ」
トスカニーニ、NBC、ネッリ、ヴィナイ、ヴァルデンゴ RCA オペラを聴く場合、どうしても迷ってしまうのが歌手優先か、指揮者優先かということ。歌手優先でということになれば、デル・モナコのカラヤン盤かエレーデ盤ということになるのであろうが、ここではトスカニーニを聴く。イタリア・オペラの頂点でもあるこの曲を、歌に満ちた、いかにもトスカニーニ流の推進力でぐいぐい引っ張っていく。まさにこれはヴェルディ、イタリアオペラの華であると納得。


20.ワーグナー 楽劇「タンホイザー」
ショルティ、VPO DECCA カラスからイタリアオペラでベルディときたら、ワーグナーに移ってしまった。もっと整合性を持たせなければと思いつつ、場当たり的にやっている。録音でワーグナーとなるとやっぱりショルティかなと思う。やはりディレクターのカルショウが凄かったのだと思う。VPO相手にこれだけのしかも素晴らしい録音を仕上げてしまうなんて。パリ盤。官能的


180. ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」
フルトヴェングラー、フィルハーモニアO、フラグスタート、ズートハウス、グラインドル EMI トリスタンを語る場合にこれ抜きで語ることはできない1枚。所謂トリスタン和声にせよ、半音階的無限転調・無限旋律といったものは確かにフルトベングラーの得意とするものであり、又、他の誰でもないフルトヴェングラーによって初めて有機的な生きた和声、音楽となってくる。これは一種独特なものであり、確かにロマン的表現の極致と言えるものであるのだが、これは生きた時代というものもあって、恐らくは他の誰にもなしえないものであろう。超絶的名盤。
ベーム、バイロイト音楽祭O DG 筆者が最初に触れた盤がこのベーム盤であった。ベームというよりもまさに「トリスタンとイゾルデ」を聴いて、その音の豊饒性というか、(神聖なものから、官能的なものまでをも含む)豊かさに圧倒された記憶を持つ。音そのものに哲学を内包する、ワーグナーにとっても記念碑的な作品であっただろうトリスタンを、ベームはなんと素っ気なく提示することか。その語られた内容の大きさよ。


26.ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指輪」
ショルティ、VPO DECCA これはもう歴史的事件といっていいだろう。ディレクター、カルショウーの名声は永遠に残ると言える。若きショルティを使ってウィーンフィル相手に徹底的にドライブさせての名録音。今っだたらこんな事は絶対できないのでは。音楽的な内容からいってもこれ以上のものは出てこないだろう。
ブーレーズ、バイロイトO PHILIPS これは今ではLDで出ているが筆者は年末に行われたNHK・FMを必死になってエアーチェック録音した。勿論オープンリールデッキで無ければできない。シェローの演出。ブーレーズは最初のシーズンこそ苦労したらしいがやがて完全に自分のスタイルを確立した。内容的にも良い。BSをVT化もした。
レバイン、メトロポリタン歌劇場O DG スペース・オペラ。もうこれは完全に現代の指輪だろう。アメリカだからこそ、その普遍性を勝ち得るのかも知れない。でも結構面白かった。筆者はLD持っていないので、BSをヴィデオテーピング。


181. ワーグナー 舞台神聖祝典劇「パルジファル」
クナッパーツブッシュ、バイロイト音楽祭O PHILIPS これはまさに秘蹟であり、宗教的な体験である。クナにとって、ブルックナーやワーグナーは大学時代以来、特別な意味を持っていたに違いないが、バイロイトで毎年振る彼にとってもパルジファルはその中でも又特別な位地を占めていたのではないかと思う。その上での経験の蓄積である。我々はパルジファルの中の一言一句が意味を持っているのを感じ、その異次元の聖域を彷徨うのである。まさにこれが滔々たる人生そのものであることを感じながら。


22. ウェバー オペラ「魔弾の射手」
C・クライバードレスデンSO DG カルロス・クライバーに初めて出会ったのはウィーン・シュターツオパーであったというのは幸いだったかも知れない。あの時は確か「トスカ」だったが。クライバーはウィーンフィルの指揮者というよりもシュターツオパーの人という気がするからだ。そんな意味でもこの「魔弾の射手」は良い。ホントに若々しく生き生きしているのだ。ドイツの森が見事に現代に蘇っている。合唱の若々しさも特筆に値する。
カイルベルト、BPO EMI ドイツ国民オペラの創始者ウェバーの魔弾の射手をこれほどドイツ味濃厚に示してくれた人はいないのではないだろうか?特にザミエルの森の場面など最高である。これほどの盤は今後現れないと思われる。いやー、昔の職人は実に凄かった。カイルベルトっていい指揮者ですね。