三瓶山 さんべさん (島根県)

百名山の深田久弥氏にとっては荒島岳
  単独行の加藤文太郎氏は六甲山
  山岳写真家の白旗史朗氏なら北岳
  本多勝一氏なら伊那谷の南駒ヶ岳
と、山をやる人には、必ずそのルーツの山がある。
だから、私にとっては誰が何と言おうと三瓶山なのである。
(偉大な人と私を並列に論じたりしてごめんなさい。)

えっ?、三瓶山ってどこにあんの?
トホホ。
知らない人は知らない、知っている人はよく知っている。
あたりまえだが、三瓶山とは島根県の大田市の南にある独立峰の火山である。この山が島根の我が家からはいつも見えていた。庭からも部屋からも朝も夕も、ときには月明かりの夜も。
高い山を見るとそこに行ってみたくなる習性を、三瓶山が育んでくれたと言ってもいい。

国土地理院の地図はこちらから

三瓶山にはじめて登ったのは小学校の修学旅行だった。だが男三瓶山という主峰に登ったはずだが、記憶がまったくない。記憶があるのは孫三瓶山という火口外輪の山から志学温泉に下る山道だけだ。空が暗くなってきたのに、まだ宿に着かないのはどうしてだろう、などと心配した記憶だ。

写真は西の原から見た男三瓶山。普通ここが表玄関である。堂々とした山容だ。


以来、何度登ったのか数える気もしないが、長野に住むようになってからは正月に帰省するたびに、天気を見ては登っている。山陰の冬は晴れる日が少なくて、あまり登るチャンスがめぐって来ないのだが、ここ14年で、4・5回は登っている。

従って、このレポートは違う年の山行がごちゃごちゃになっている。右の写真は子三瓶山に向かう稜線から男三瓶山をふりかえって撮った。


子三瓶から西の原を見下ろす。
茶色に見えるのはススキの原っぱ。その向こうには浮布の池(うきぬののいけ)が見える。

周囲は低い山ばかりなので、高だか1000mしかない山なのに三瓶山はひときわぬきんでて高い。

30年も昔は雪が多かったのに、今はこの山も雪が少ない。正月だというのに、これじゃあただの秋山だ。


室内池(むろうちのいけ)という火口湖だ。結構広く見えるが、本当はたいしたことはない。レンズのいたずらである。

薄く氷が張っている程度の寒さということは、この年の正月は暖かだったのだろう。湖畔にはなぜか馬糞がたくさんあった。まさか野生の馬がいるわけはないから、おそらく牧場の馬が放牧される時期があるのだろう。


この写真は鳥地獄と呼ばれるところの、噴気孔である。
この奥から二酸化炭素が噴出しているために、この穴に立ち寄った虫さんたちはみな酸欠で死んでしまうのだ。

どれどれ、てなわけで、穴の入口から20cmぐらい奥までに死んでいた虫さんたちを枯れ葉の上に並べてみた。写真でそれがわかるだろうか。

もし室の内の無風状態が1週間ぐらい続いたら、溜まった二酸化炭素で登山客も酸欠?


ある年は山頂に30cmほどの雪が積もっていた。空は青黒いぐらいの快晴だった。その日は撮影に時間がかかり、登山は二の次になった。

低い山だが、雪が積もってくれるとそれなりに絵にはなる。
             (写真クリックで拡大)


雪の写真をもう一つ。
左から下りて来て振り返って撮ったので、自分の足跡が入ってしまった。
失敗作である。


山頂から一段下がったところに避難小屋がある。大きくはないが、雨や風はしのげる。

関西から来たという6、7人のパーティーが北側から登ってきて、小屋で休んでいた。北のルートは雪が多く、みなアイゼンを持っていた。
どうして西の表玄関から登らなかったのだろう。


中心の建物が国立三瓶青年の家である。北のルートはここから登る。

以前、夏に、この北コースを登ったことがあるが、なかなかの急登だったように記憶する。


最後は山頂から眺めた我が家の方角である。この景色の中に、我が家がある。

平野のほぼ中央に白い点が見えるが、あれが出雲ドームで、木造のドームなのに中で野球ができるぐらい大きい。

最近は大学の駅伝が行われるようになったりして、出雲も知名度が増している。



ということで、山行報告にはなりませんが、なかなかおもしろい山ですので、ぜひ一度登ってみて下さい。西の原から主峰の男三瓶山はゆっくりでも2時間で登れます。下山は火口湖の室内池に立ち寄ったとしても2時間ぐらいです。でも島根に行くのがちょっと遠すぎるかな。

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