石鎚山  2003,2,25
リフレッシュ休暇という制度を利用して、四国と九州の山を単独ではしごしてきた。2月の下旬という時期を考えて、暖かい地方なら万が一雪が降ってもなんとかなるだろうと思ったからだ。でも、念のため12本アイゼンだけは持参した。ピッケルはストックがあるからやめた。2日に一度は宿に泊まるが、中の一日は車で寝るという節約トレッキングである。

何かの参考になればと思い、行程の概要を載せておく。
     2月22日  長野発  淡路野島断層博物館見学  剣山の見ノ越で車中泊
     2月23日  
剣山往復  石鎚神社白石旅館で宿泊
     2月24日  
石鎚山往復  フェリーで大分県臼杵市に渡る  車中泊
     2月25日  
久住山往復  阿蘇内牧温泉山王閣で宿泊
     2月26日  
阿蘇高岳往復  九州自動車道〜中国縦貫道 宮島PAで車中泊
     2月27日  
伊吹山往復  民宿みかどや宿泊
     2月28日  琵琶湖散策  長野着

これも何かの参考になればと思い、経費を載せておく。
     交通費   70,043円  (ガソリン代、高速料金、フェリー代)
     宿泊費   26,724円  (旅館に3泊)
     食費     10,194円
     見学その他 1,600円  
     合計    108,561円

単独なので交通費がかさんでしまった。これを例えば4人で周るとすると交通費は一人20,000円で済むだろう。
国土地理院の地図はこちら石鎚山(南東)

計画では、剣山に登ってきたその日のうちに、石鎚山の登山口にあたる石鎚神社成就社まで行かなければならない。従って使える乗り物は何でも使ってしまうことにする。
往復900円の登山ロープウェーで標高をかせいだあと、スキー場の脇を一人とぼとぼと登っていくと、やがて石鎚神社の境内に入っていく。
ご承知の通り、信仰の山である石鎚山は登山口にたくさんの旅館が建っている。その中の白石旅館さんに泊めてもらったが、宿泊客は私一人だった。
宿のご主人いわく、「こんなに雪が多い年もめったにない。この時期に平日に登山に来る人なんておらんよ。」

昨日の剣山で雪が多いことはわかっていたが、問題は最後の天狗岳が登れるか心配ではあった。ピッケルを長野に置いてきたことを少し後悔した。四国の山とはいえ、年によってはあなどれないことがわかった。
宿は大部屋がいくつもある造りで、いかにもお参り団体さん専用旅館という感じだったが、私は比較的小さな一室でぬくぬくと眠った。

夕食は写真のような食堂でテレビを一人占めしてたらふく食べた。おかみさんがタヌキのえさだといってパンくずを外にまいてやったら、本当に10匹ぐらいのタヌキが集まってきた。
四国の山、ポンポコタヌキ、なぜかイメージが合致して納得した。
さて翌朝の登山道。
昨夜も少し雪が積もって、出だしで20cmぐらいか。
空は明るいので晴れるのを期待してとにかく登る。
路は大変いい。あたりまえだ。長野の藪山とは知名度が違うのだから。

下の2枚写真は夜明峠から撮ったもので、左は作品的に切り取った。右はこれから登る弥山正面岸壁を見上げたもの。
小屋が見えるが、二の鎖の下の小屋である。

今日の足跡が一つ見えるが、先行していたのは九州からきたという青年だった。ここまでは私はアイゼンはつけていない。天候も良くなってきて写真をたくさん撮る。
弥山山頂に建っている白石小屋は立派な建物だったが閉鎖していた。

実はここに至るルートは、雪で鎖が埋まってしまっている鎖コースをあきらめて、西側の巻き道コースをとったのだが、少し危険なトラバースが数箇所あってさすがにアイゼンをはめた。先行していた青年は簡易アイゼンしかもっておらず、怖くて引き返してきたが、私が12本をつけて先行するならと思い返して、後ろについて登ってきた。

最後の急な直登をラッセルすると明るい山頂部に飛び出した。そこは四国の山という感じのしない雪景色だった。
小屋があって奥社が建っているところが一応の山頂だが、私ははなっから天狗岳に登ろうと思っていたので、なんのためらいもなく、狭い痩せ尾根を進む。
振り返ってみると、さっきの青年はあきらめたようだ。

だが、天狗岳へのルートは見かけほど難しいところはなく、まもなく小さなほこらが乗っている絶頂に着いた。

まさしく、四国の最高峰。天気が良ければ鳥取の大山や九州の阿蘇も見えるという。今日は雪雲が流れていてだめだ。
雲海の上に少しだけ姿を見せた瓶ヶ森。
四国にもいい山がたくさんある。
いつかまた四国に来て静かな瓶ヶ森を散策してみたい。
雲が動いて、もう少し山が見えてこないかと待ったりしたが北の方角はどうも雲がとぎれそうにないので写真はあきらめた。
これが天狗岳。
弥山から見ると北側がすぱっときれ落ちて不安定に感じるが、岩盤は硬くしまっている。ルートは右側についているので思うほど難しくない。

コースタイムはまったく参考にならないので載せないことにする。途中で何度も写真を撮ったり、流れる雲をやり過ごしたりしていて、ろくなスピードではない。

こんなに雪が多い年はめったにないだろうが、いざというときのためには、やはりしっかりした冬装備が必要だということがよくわかった。アイゼンはあってもストックがなかったら、行けなかったかもしれない。