その名の通り、日の暮れるのを待って咲く花で黄昏時にぽっと咲く黄色くて大きな花が情緒に訴えるらしく、竹久夢路も”宵待草”と詩に歌った。
この一夜限りの花が夜に咲くのは、昼間、他の花との虫の誘致作戦の過当競争を避けて、夜に活動する蛾に受粉してもらうためだ。
蛾は粘り気のある芳香と蜜に誘われてオオマツヨイグサにやってくる。花粉は細い糸で繋がれ、蛾の体に粘りついて運ばれる。
この妖しい蜜月の後で、花は朝には萎れてしまう。

月見草は、鉄媒染で藤鼠色から紫鼠色を染める。
ひそかに妖しさを潜めた色は花の生き方を連想させて止まない。