飯綱・黒姫登山マラニック
  まず、主催者の岳友会長野の皆様に感謝

 大会が終了したその夜から両足の筋肉がガクガクで、動きはロボット状態。
いや今時のロボットは滑らかに動作するので、ロボットに失礼であろう。
  階段を普通に上がれない、両手を使って4駆であがり、下りはもっとひどく交互に足を降ろせず
1歩1歩右足から着地し体も横向きであった。もちろん、トイレもヨロヨロ・・・・・
 この痛さは4日続いた。過去に参加した大会の中でもっとも、痛さが後にひびいいた。
 大会を知ったのは開催日の3週間ほど前だった。
それまで、Kさんとペアで白馬のアドベンチュアーペアマッチレースに出場する予定でいた。
昨年の記録更新を目指すのも良いが、今回初の地元の大会にも魅力ある。
2人で迷ったすえ、参加料が格段に安いこの大会に軍配が上がった。
 本マラニックは、順位は争わず、楽しみながら完走をめざそうという趣旨である。
途中の自動販売機を利用しても良いとのことだった。・・・・とはいえ制限時間があるからには、
急がないわけにはいかない。それなりに気合が入る。
・・・てなわけで、参戦記を!

[スタート]
  8:02
 当日、スーパーでKさんと待ち合わせしてスタート地点の大座法師池に向かう。
天候はかんばしくない。参加者は5人という情報は得ていたが、スタート時の5人はやはり寂しかった。
平均年齢は40を越えていそうだ。
全員おそろいのNO.入りたすきをかけ会長のホイッスルで元気よくスタート。 
 
[登山口〜飯綱山]
  8:28    9:30
 大座法師池から登山口までは、舗装道路の連続である。
私は走ったり歩いたりして最後尾となる。
 途中、友人が経営するロッジの前で夫妻の声援を受ける。
 登山口には数台の車がとまっていた。
天気が悪いのにもかかわらず、日曜日のためか登山者はいるようだ。
鳥居前で安全祈願、完走祈願をすることなく登山道に突入。
先は長いので、やや早歩き程度の意識で歩をすすめる。
一般登山者を追い越しぎわに「登山競争ですか?」
「はい!野尻湖までです」「う〜!!!」のあきれた問答。
 硯岩付近で水補給用のチュ−ブの吸い口がはずれてしまい、開放された蛇口のように
ジャージャ〜水がこぼれるアクシデントもあり。
 飯綱山は登りなれた山であるので、予想通りの時間で頂上に着いた。
時間が早いので、南峰にも本峰にも人はいなかった。
 本来見えるはずの黒姫も雲の中。
はっきり見えると、その高さと距離にがっくりきたかもしれない。

[飯綱山頂〜大橋]
  9:30    10:45
 山頂から少し下ったところで先行のKさんを捉える。
足元がすべるので、転倒しないようスピードを落とし、Kさんのあとに続く。
Kさんのザックにはストックが2本固定されている。必携品なのであろう。
 瑪瑙への登り返しを行くCW−Xを履いた先行者が小さく見える。
登山道から右のスキーゲレンデに入る際、一瞬このルートでよいのか?と戸惑ったが
冬のコースを思い浮かべ、確信をもち草地を直線的に下る。
スキーゲレンデ中央に十数人のグループがみえる。
自然観察の女性だった。「かっこい〜〜〜い」の声援に気をよくして
走り続け、姿が見えなくなったころ歩いた。
≪何がカッコよかったんだろう?アホも度が過ぎるとカッコよく見える?のか≫
 シューズが濡れるとうっとうしいものである。
水滴のたっぷりついた草地をきらい、道を選び遠回りしてスキー場のPに着く。
そこにはスタッフが先まわりをして我々を迎えてくれた。
ここまでは快調で予定より20分早い。
 スタッフと談笑の後、再スタート。
途中参加の1名を加え、4人でまとまってじゃり道を下る。
 遊歩道に入ったころから雨が激しくなってきたので、ザックからカサをだす。
すでに長袖はかなり湿っている。
この雨ではメーカー歌い文句の吸汗即乾どころではない。
脱水即乾にしてもらわないと・・・・・体が冷える。
 舗装道路に出ると、車が水しぶきをあげ走っている。
平地、舗装の走りはにがてである。傘をさして大橋まで歩いてしまった。
でも、予定より15分早い。
 これからの登り行程に向けて食料補給をする。
バナナとちーかま各1本。
食べている間中、スタッフが傘で覆ってくれた。”感謝”
先頭はかなり早く通過したことを、スタッフが教えてくれた。
<先頭だから早いのだろう。>・・・・・?

[大橋〜黒姫山]
10:45   13:20
 全コース、頭に入っているので地図は見ず。
大橋から山頂までは昨年の4月、クロカンスキーで登ったのでどんなルートか想像はつく。
その際はエッジ無しのスキーのため外輪山からの急傾斜で悪戦苦闘した。
雪のない登山道はどうだろうか?かなりきついだろうな。
歩いたことのない区間は黒姫山頂からスキー場である。
その先の黒姫スキー場・野尻湖区間も歩いたことはないが車で走ったことがあるので、
全コースの9割以上知っているといえるだろう。
 大橋で、熊よけの鈴をザックから出し腰につけた。
一直線の林道は早足で20分かかり、単純なだけに辛かった。
途中、下山中の登山者3人に会う。
雨の中、これから登る我々を怪訝に思ったであろう。
 今大会も新道分岐あたりから足がつりだした。
予防策として塩を時々なめていたのだが・・・
一揆に高いステップを登ろうと踏ん張ると必ずピーンとはり、息が止まるぐらいの激痛がはしる。
それをかばうと、他方の足もつる。くせになっているようだ。略して”筋つり”だ。
ここまで同じペースできたKさんは膝が痛むという。
ここしばらく仕事が忙しくトレーニングをしてなかったそうだ。
人生いろいろ、あんよも色々である。
 2人お互い「お先にどうぞ!」と言うものの先に行ける状況ではなかった。
このペースでは、山頂到着時刻がお昼をだいぶまわってしまうので、大きなブナの下で
いっしょに昼食をとることにした。
 ぶなは大雨から我々を守ってくれたがあたりは薄暗く、寒さも感じた。
Kさんはここでレインウエアを着る。
 足をいたわり急登を一歩一歩小刻みに登り、しらたま平を過ぎたころ何と人の声。
それは、飯綱のロッジ前で応援してくれた友人夫妻だった。
手には皮をむいた梨と私の好きならっきょうを持っていた。
 雨だから登山を中止にしようと思ったが、私が頑張って出場しているのだから・・・と
先回りして登り、待っていてくれたのである。
   ≪持つべきものは友とらっきょ。≫
大橋までの約15分の貯金を黒姫山頂までに使い果たし、当初の予定の13:20に
山頂にかろうじて到達した。
”筋つり”病をもちながら、”かろうじて”・・・である。

[黒姫山頂〜黒姫スキー場]
13:20      15:10
 20代のころ、表登山道を登り大きな岩かげに光苔を見た記憶がある。
それ以外の様子は忘れ、ここからは初ルートに等しい。
表登山道の分岐を過ぎ、乗り越しまでの区間は根がむきだし障害物レースのようであった。
傘を何度も持ち替え、木につかまり降りたり登ったりである。
下り気味になってようやく、”筋つり”もおさまり普通に歩けるようになった。
 Kさんは、痛みが増すばかりで両ストックを使うも遅れ気味となる。
2人の間が離れると笛を吹きあって無事を確認した。
Kさんの笛はザックのチェストのバックルがその機能をもつ。
私の笛は昔ながらの縦長の審判笛。
オクターブ低く「ぴょーぴょー」これに応えて、甲高く「ピッピピー・ピピッー」
これを訳すと「お〜い!だいじょうぶか〜〜?」「うんにゃー、なんとか・・・」・・てな具合である。
 スタート前に頭にたたきこんだはずのルートは、乗り越しから急下降が意外に長く感じた。
標高差150mはあったのではないだろうか。
左廃道の曲がり角で、Kさんに「後はスキー場まで分岐がないから大丈夫だよ!」
と伝え、無常にも先を行くことにした。
 等高線沿いにくねくね続く道を小走りで進み、スキー場にでる。
スキーやボードならあっというまに下れる斜面を、足ブレーキをかけつつ駆け下りる。
スピードが出すぎ、曲がり切れず、あわや藪に突っ込みそうにもなった。
シバを刈る除草機を遠巻きにみて、リフトの脇を下る。
ふもとが霧で見えないので鉄柱の番号をみて、残り長さを推測するが、リフト乗り場につくと
その先には更ににリフトがかっかていた。
・・・・・・・「スキー場ってホントに長いですね!」・・・・・・
 リフト乗り場で、1分間の予定で座り足をだらりとさせ休憩をする。
疲れがす〜〜〜っと引いていき、ずっと座っていたかった。
リフトにイスがついている・・・ということは一番下のリフトかもしれない・・・・もうすぐだ!
斜面がゆるやかになるころ霧が薄くなり、建物が見えてきた。
観光客もチラホラ見える。
スタッフとおぼしき2,3人が有料敷地内にいるように見えたので、
ぐるりと廻って、ガードマンに断り入れてもらう。
顔をあわせ、kさんのことを話し野尻湖を目指す。

[黒姫スキー場〜野尻湖ゴール]
    15:15      16:12
 ここで既に制限時間内の到達はあきらめていたが、反面もしかしたら・・・・という
”野望”もあった。・・・・・
舗装道路の連続である。
山道ではグリップ力があり調子の良かったシューズも舗装道路では、靴底が硬く
振動がもろに伝わってくる。
 景色を見渡せば野尻湖方面とは反対の方向にルートは向かっている。
旧道を指定してくれれば近いのにな〜と思いつつ、2kmほど走って歩きだした。
もう走れない。
スキー場につながる立派な道は通る車も数少なく、歩いている人は全く無し。
 対向の車が徐行してきた。スタッフの車らしい。
折り返してきて、「ここから登りが続くけど頑張ってください!」と激励してくれる。
その直後だけ、走りだすが100mも続かない。
 道の駅の脇にようやく到達したときには既に残り時間10分少々であった。
荷物なして走れば間に合うかもしれない・・・なんて希望的観測をするが、
それも思うだけ。走る体力がない。
 スタッフが車を降り一緒に歩いてくれた。こんなこたーオラ初めてだ。
16時02分。制限の8時間である。
これまでだと思って、スタッフに礼を言うと
「あと少しですから完走しましょう」と返事が返ってきた。
「えっ?いいんですか?」
 私がゴールするまでの間、スタッフと既にゴールした人を待たせることになるので
すまないと思った。しかし、やらせてくれるのなら、ゴールまで行きたい。
 野尻湖畔が見えた。「もうすぐゴールだ!やっとついた」と思ったら、
「ゴールはあの山の突き出た先でまだ700mあります」という。
 黒姫山頂から乗り越しまでの悪路と、この湖畔からゴールまでの距離が誤算であった。
ゴール直前の50mのみ走った。

疲れを忘れ、さわやかさでいっぱいであった。
迎えてくれた拍手と熱いコーヒーがうれしかった。

 さ〜〜来年も実施すると言うが・・・・・どうする?
 来年のことを言うと ≪膝が笑う≫ ^^/
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