信越トレイル ガイド
by Biyajima
【斑尾山頂〜万坂峠】2.8km
[概要]
    省略

[詳細]
【万坂峠〜袴岳〜赤池】5.6km
[概要]
 この区間の見所は3つある。青年期ともいえるブナの林とそれをとりまく冬つばきの群落、山頂からのぞむ妙高山群のすばらしさ、三つ目は袴岳南面から林道までの信越トレイル全80kmの中でも特異な微地形と草地である。
[詳細]
 万坂峠から九十九折の登りが始まり、1,2分もすると左手下方にタングラムスキー場の芝生がみえてくる。振り返ると雑木の合間に斑尾山が見える。小山に達し緩やかな直線路70mほど行き湿地を挟む山あいを等高線沿い平坦路を直進すると袴池に至る見ることができる。信越トレイルはこの分岐点登りきって平地の磁北方向の展望が良い。北西には袴岳の前山しばらく平坦路が続きやがてゆるやかな下りとなる。途中左手遠くに野尻湖が見える。登り返しとなり、ブナがぽつぽつと目だってくる。左後方には斑尾が見え隠れする。
万坂峠から約1時間で袴岳前山山頂である。ここから一度下り、鞍部のだけかんばの倒木をくぐり、いよいよ袴岳の最後の登りとなる。ブナ林の中を登山道は続く。小尾根を左に見て登りは続き、あたり一面冬つばきの群生地帯となる。つるりんどうも見ることができる。傾斜も緩くなり広々した道筋になると山頂はまじかである。万坂峠からの所要時間は約1時間15分。山頂一帯は広く妙高山群を望めるように伐採されている。山頂から赤池方面へのトレイルはなだらかなブナ林を進み袴岳北面の急な尾根上にとられている。300mほどで西方にルートは流れZ状に下り、一旦杉林の中に入る。抜けてしばらく進むと左手に一坪半ぐらいの廃屋がある。その先が柏ケ峠と赤池方面への分岐点である。信越トレイルは右手の赤池方面である。ここから、今までの登山道と雰囲気が異なる草木の茂みの中に作られた道となる。袴岳の北斜面の真下をほぼ等高線沿いに進む。楢の巨木の前で道は直角に右へ曲がりさらに細かなアップダウンが続き、細い沢と平行になる。杉林に入ると楢本・斑尾線の林道はすぐそこである。林道の出入り口には信越トレイルの道標がある。赤池は右(東)方向である。林道は未舗装で沢、尾根を無理なくまわりこみゆるやかに作られている。赤池方面へは登りとなる。途中、いくつかの斑尾高原回遊の道標をみかける。約800m進むと正面上方の尾根上に東屋が見える。林道はこの尾根を大きく右にまわりこんでいる。右手に炭焼き体験施設がある。左手は揃っブナ林である。途中で舗装道路にかわりしばらくして、赤池である。ここには広い駐車場と展望ハウス 、トイレがある。周辺に信越トレイルの道標はなく、地図をしっかりみること。
    (たけにぐさ、とちばにんじん)
【赤池〜沼の原湿原〜希望湖3.8km
[概要]
 この区間は赤池周辺の小高い山々の美しさ、わずか200m区間内のブナ林内の心地よいアップダウン、平坦路、階段のある坂道、深い沢の斜面を削って作られた小道と様々である。
ハイキング的な気分で気楽に歩ける山頂周辺の道は、誰もが楽しめる。信越トレイルを凝縮した区間ともいえるのではないだろうか
[詳細]
 赤池ハウスの南側の舗装道路を進み斑尾高原遊歩道の道標を通過し5分、150mほどで、右に信越トレイルの道標あり、右に入り斜面を登り再度、自動車道にでて正面の登山道に入る。登り切ると稜線上を抜けている遊歩道と交わる。周囲のブナは100年を越えるものもあり、みごとである。風雪に耐えて生きるブナの形状は自然がおりなすすばらしさである。信越トレイル中、優しさを感じる森である。広々としたところに遊歩100選の看板とベンチが備えられている。(注:遊歩百選 読売新聞社が選定した国内百の推奨遊歩道)ぶな林をぬけ階段を少し降りると左側に杉もちらほら。深い沢を左側にまいて北方に向かい右回りに沢に入っていく。木橋を渡り右側に沢を見てトレイルは続く。右側はだんだん深い沢となっていく。急坂を降りると巾2mほどの川があり、その縁がトレイルとなっている。川の向こう側は赤池と沼の原を結ぶ自動車道である。トレイルは湿原の北端を通りぬけている。ぬかるみには枕木が設置されており、手入れのいきとどいた歩きやすい歩道である。信越トレイルのシンボルマークのついた道標を確認して、東方に向かいいくつかの道標をみて湿原を抜ける。湿原内にはズミ、トウズミのせつめい標識もある。一段高い所を走る自動車道に出ると信越トレイルの案内板があり、トイレは駐車場の隅にある。
 三叉路の角、駐車場の向かい側が登り口である。ぶな、楢の木々の中九十九折りに登る。
直登の形跡があるが通行止めの木々が置かれている。登山道の両側は背丈ほどの冬つばきでおおわれている。10分ほどで小高な丘の上にでる。生命の森づくり植樹記念H20.10.12の標柱があり植樹帯以外は笹が密集している。この植樹帯と隣接して西側には広いテニスコートがあるが木々にさえぎられみることができない。展望のきく場所にはベンチも用意されている。晴れた日の妙高山の眺望はすばらしい。斑尾高原の奥深さを感じさせる。丘から北斜面をまくようにくだり、山間の沢にはいりこんでいく。両側の笹は人の背丈ほどある。沢を目前にして道は東に直角に折れ、ぬかるみに設置された木道を渡り、左側が沢となる。木橋を渡り対岸に移動する。沢を右手にみて南斜面を登っていき数分で湖の堰堤がみえる。周囲約1kmの希望湖である。平成の初期に沼池から希望湖に改名された。夏場は貸しボートも浮かび、釣り客でにぎわう。湖の縁に広い道があり、東に進むと自動車道にぶつかる。直前にトレイルの入り口である毛無山の登山口がある。

【希望湖〜毛無山〜涌井】7km

[概要]
 里山とため池、そして奥深くまで開拓された農地をめぐるトレイルである。
[詳細]
 希望湖から毛無山への登山口を少し入ると、右側に照明がついたトイレがある。11月20日ごろには閉鎖される。毛無山は涌井以北のトレイルからもみよく見える。その山容は平凡であるがどっしりしている。希望湖北端から入った登山道は杉林の中を九十九折りに標高をかせぎ、10分で唐松林になる。途中段丘的な斜面がある。さらに15分ほど登ると斜度はゆるみ登山道は直線状になる。登山口から40分ほどで小ピーク。雑木の中にりょうぶや冬つばきがわずかながら見ることができる。左手に太い白樺が見えるとそこが山頂である。登山口から45分程である。山頂から南に行くわき道があり、その先がビューポイントであり、丸木のベンチが2箇所備えられている。毛無山東面は絶壁状なので、視界をさえぎるものがなく見晴らしは非常によい。野沢温泉からカヤの平、志賀高原、菅平方面が一望できる。ビューポイントを通過してトレイルに再び戻り尾根を下ること20分で西斜面に一度入る。目の前に小高い山がみえる。等高線間隔10mでは表現できない僅かな小山である。ここで登山道は右へ90度折れ、ゆるやかに東方向に下る。10分ほどで等高線間隔の広い平坦地になり尾根を乗り越す。右側は杉林である。東斜面を南方へ直線的に100mほど下り、2,3回折り返すと道標のたつ分岐点である。山頂から約35分。出発した希望湖から2.2kmの地点の道標には涌井新池まで0.4kmの表示がある。涌井新池には10分もかからないで着く。涌井新池は農業用のため池である。池の東側一帯は緩やかな耕作地が広がる。涌井新池の出入り口に道標があり、森と畑の境界に位置している。ここまでは車が入る。正面遠方には高社山が見える。ここから道の両脇は畑や荒廃地が続く。かつては一面畑であったと思われる。600m15分ほどで右側に畑があり、道がゆるやかな登りになる左側下に湧き水がある。おいしい水を求めて来る人もいるようだ。ここから僅かで行くと右側(東側)一帯に畑が広がっている。直進して十字路にて右90度に折れる。道標あり。畑の中央を抜けるように東方へ行く。涌井から延びる信越トレイルの山なみもよくみえる。涌井まではこの農道を行くことになる。途中、右手に松が数本あり奥まったところにため池がある。涌井新池から1.4km地点である。その後、沢を迂回するように道はくねくねと曲がり、コンクリート舗装区間もある。尾根を貫く切り通しまで来ると200mほどで自動車道である。さらに、300mほどで国道292にでる。


5【涌井〜富倉峠〜大将陣跡〜ソブの池】3.9km

[概要]
 全区間、林道歩きとなる。仲間と並んで歩くことも良いだろう。
[詳細]
 上越市の火力発電所からの送電線が敷設されたため、開通当初とは別なところにトレイル入口が移された。開設当初の上り口はR292坂道の上手であった。
R292から民家へ通じるコンクリート道に入り、20mほどで右折し道標の脇から山に入る。里山道を偲ばす狭い道をジグザグに登り林道にでる。しばらく林道を歩き道標が立っている所から再度、左手の山林内に入っていく。トレイルは林道から北に離れ、ほぼ等高線沿いに沢、尾根をめぐっていく。私的にはこの迂回はあまり意味がないように思うのだが・・・。10分ほどで再び林道に出て、東方に800mほど行くと里山道との分岐点になる。分岐点にてトレイルは直角に左に折れる。このあたりからしばらく巾の広い稜線の西寄りを林道は続く。杉林をみながら平坦路を歩き、やや南(右側)に回りこんで、折り返すようなルートどりですぐに富倉峠に着く。きわめて狭い間道である。ここから東方に谷間に沿って下りると飯山市上新田に至る。西方は関屋である。富倉峠は越後と信州をつなぐ軍事上の要所であり、峠の側面に残る石積みは戦国時代を連想させる。トレイルは急登を避け稜線の西側にまわりこんでから尾根を越し東斜面にでる。ルートはほぼ直線的北方に向かう。軽トラが通るほどの巾の広い林道を20分もすると大将陣跡の説明板が立つ場所に着く。大将陣跡はトレイルから斜面を少し登った稜線上にある。馬頭観音が1体新潟県側を向いて設置されている。大将陣跡をみてそのまま丘を越えると林道(トレイル)に戻ることができる。折り返し状の道に出てしばらくして左側に大きなくぼ地が見える。ソブの池につながる沢である。数分で林道の分岐となる。トレイルは左に折れソブの池を左下に見る。池に突き出た半島状の丘に数本の杉があり中央にほこらが安置されている。水神さんだろうか・池の北端から50mはなれたところで再び分岐となる。ここが北峠。涌井集落と黒岩山のほぼ中間点である。ちょっと足を延ばすとソブの池の堰堤があり一帯は広々としている。


6【ソブの池〜黒岩山〜桂池】5.5km

[概要]
 ソブの池から黒岩山まで95%が林道歩きであり、横並びでゆったりとウオーキングを楽し める区間でもある。また、直線状の信越トレイルにおいて黒岩山裏手にて山脈を乗り換える区 間でもある。
[詳細]
 ソブの池北端の十字路にて一路黒岩山方面に向かう。単調な林道は大きく右に左にカーブしており2.5kmで200m上昇の勾配である。冬季は進路選択に難しいエリアでもある。黒岩山が右手前方に見えるころルートはヤセ尾根の登りとなり西側には時折り妙高山方面が望める。また、トレイルは黒岩山とは深く大きな沢を隔てており、その間隔は狭まることなく続く。どこでどのように向こうの山並みにトレイルが移るのか不思議に思うであろう。登り途上で一休み入れたいころ右折道標がある。ここが黒岩山への入り口である。深い谷に向かってトレイルは落ち込むように下っている。獣道とは異なる形跡もあり、それは直登をさけた道つくりの名残である。狭い谷あいには木橋がかかっている。左手上流が分水嶺であり、その反対側は熊ノ巣池に流れ込んでいる。木橋を渡り樹齢150〜200年のブナ林を登り切り左に折れると東屋がある。3年ほど前まではノロシ山の標柱もあった。黒岩山の東斜面は絶壁であり、信濃平一帯に広がる田園や長峰丘陵が一望でき、もちろん大きく蛇行する日本一長い千曲川も望める。ギフ蝶が生息するこの黒岩山は天然記念物となっている。山頂を再スタートして山稜のトレイルはゆるやかな下りで右には雪崩防止の鉄柵をみることができる。山頂から約500mの地点左側に道標があるので見落とさないようにする。ここから、左手に戻るように雑木林?の中を南西に下る。10分ほどで右下の谷間に小さな池がみえる。熊ノ巣池である。池の縁でUターンして正面の尾根に沿ってルートはとられている。桂池に通じる取水路も右側にあり、秋口には地元民による泥上げも行われている。沢筋には水芭蕉の群落もある。このルートはかつての自然遊歩道を利用しており偽木の階段も残っている。沢から左斜面を登りブナ林の小尾根を越すと自動車道にでる。ここには太郎清水と呼ばれる清水が湧き出ている。自動車道を右方に歩き100mで桂池である。周囲1kmほどの大きな農業用ため池である。桂池に沿って歩き、道が右カーブした上方と正面の小高いところの2箇所にトイレがある。
トレイルは自動車道からそれ、桂池から流れ出る水路沿いに北東に進む。


7【桂池〜仏ケ峰登山口】3.3km

[概要]
 この区間は信越トレイル80kmの中でもっとも県境から遠ざかったところを通っている。県境にこだわり、かつ既存の道をなるべく利用することもトレイルをコンセプトであった。桂池から戸狩スキー場まで、概ね70%は平坦路であり秋口にはあけびを目にするもことができ里山歩きを感じさせる。かつての畑跡もみられる。
[詳細]
 桂池から流れでた水は中古池で貯められ水温をあげ、農業用に利用される。山中にトンネルが掘られ集落まで用水が作られているそうだ。中古池を半周し左に曲がり沢の右岸を北東に進む、左下は広大な北古池湿原である。湿原の対岸の山稜は新潟と長野の県境線である。湿原の北東端は広場になっておりゆっくりと休憩することができる。入り口の道標を確認して標高差にして30mほど小道をくだり、雑木、杉林の中をとおりぬける。経過時間や歩測をしてないと現在位置がつかみにくい地形でもあるが、仏ケ峰登山口までの中間点に道標の立つ分岐点があるので目安となる。ここで直角に左に折れ登っていく。山間、谷間の中で眺望はよくはないが、静かな山歩きを満喫できる。深い沢も3本ほどありアップダウンも多い。仏ケ峰登山口(戸狩スキー場)の直前は谷から尾根まで一揆に60mを登る辛い区間である。深い谷なので残雪期は注意を要する。登り切るとそこは開けた戸狩スキー場である。

8【仏ケ峰登山口〜仏ケ峰〜鍋倉山〜関田峠】8.2km

[概要]
 関田山脈の名峰鍋倉山を通過する区間である。始めの稜線までの登りと鍋倉山直前が急な登りで、中間はアップダウンの少ない稜線歩きである。飯山方面が良く見える場所、ブナ美林と呼ばれるきれいな林もある。
[詳細]
 
ゲレンデ北側のブナ林をジグザグに登り、再度ゲレンデに戻りリフト降り口まで登り詰める。ゲレンデ内の道標はスキーシーズン中、一時撤去される。スキー場内の道標は発見しずらいかもしれない。リフト降り口正面の山中にトレイルはつくられている。北西方向のヤセ尾根を250mぐらい行ったところから大きく方向を変え、磁北からやや東方向に進む。両側が急なはっきりした尾根であり新潟県と長野県
の県境でもある。仏ケ峰はピークが曖昧で道標のある地点が1140mと思われる。頂上から100mほど下ると再度ゆるやかな登りになる。100mほど平坦路が続き、北東方向にヤセ尾根をくだり、小山を乗り越すと小沢峠である。右に折れると北条間道と称される古道で戸狩スキー場に至る。小沢峠から鍋倉山までは約3kmあり5ケの小山がる。約2時間の行程。1154mHのピークを越し、ヤセ尾根を登りくだりしていくと左手斜面一帯が美しいブナ林となる。ルート上に10人ぐらいが休憩できる広場もある。
(松之山の美人林に対してブナ美林と呼んだらどうかと提案したのは私である。宇津ノ俣峠の先にある幻の池も私はアノ池と称していた・・・・)
この先、全線の中で最も細いと思われる小道が続く。東側はかつてガケ崩れがあった場所である。西側は遠く下にヨシ八池を望むことができ、正面には1288mの鍋倉山がしばしば顔を見せる。
鍋倉山直前の山も斜度がきつく、比較的長い登りである。
鍋倉山山頂には3等三角点がある。20m南はビューポイントで飯山盆地、志賀高原方面の雄大な景色を見ることができる。また、山頂から北方には妙高山も見ることができる。山頂から、ルートは黒倉山に向かう。沢筋にルートは作られており、ぬかるみもあり滑りやすい。7月始めまで雪が残る年もある。アサギマダラの群舞も見ることのできる場所でもある。
鞍部の分岐点が久々野峠である。ここから僅か5分で標高1242mの黒倉山である。晴れた日には佐渡島が見える。
黒倉山から2kmで関田峠である。秋ともなれば紅葉のトンネルとなる。雪に耐え粘り強く生きるブナの変形木も随所に見ることができる。関田山脈の銀座通りである。


9【関田峠〜梨平峠〜牧の小池〜牧峠】4.4km

[概要]
 標高差が割合少なく、梨平峠までに2つの小山がある。以降は心地よいアップダウンが続く。県境が直角に曲がっている顕著な箇所もある。
[詳細]
 信越トレイル案内板を見て山中に入る。心地よい緩やかな登りである。
グリーンピアへの分岐を過ぎ、下り坂になり湿地に至る。花と葉が同じ時期に出るナベクラザゼンソウがあるところだ。梨平峠(3等三角点)は、長野県側は羽広山集落へ、新潟県側は梨平集落に繋がる。峠の南側は広大な平地状になっているのだが無雪期はその様子を見る影も無し。長野県側に100mも下ると見事なブナ林を見ることができ、さらに下ると開拓農場の中にぽっかりと残された美しいブナ林がある。通称、羽広山のブナ林と呼ばれている。羽広山とは集落の名前であって山の名前ではない。
梨平峠から北方に進み三角点を過ぎ、5分も歩くと木橋がある。沢を4,5mは入ると炭焼き釜の跡もある。雑木の合間をさらに進む。斜面を下ると右手に小さな池があり、丸太のベンチがある。牧の小池という。信越トレイル開通にあたり命名された。6月には、モリアオガエルの産卵風景を見ることができる。牧峠まで30分ほどであり、直前の急階段手前は新潟県
方面を望むビューポイントがあるので、一息いれると良い。急な階段を下ると牧峠である。峠は冬場、7,8mの高さの吹きだまりができ春先にはぽっかりと黒いアスファルトが露出し、風の通り道であることがわかる。

10【牧峠〜花立山〜宇津ノ俣峠〜幻の池〜伏野峠】7.9km

[概要]
 牧峠あたりから新潟県側は急峻な地形が顕著となり、それに比し長野県側は緩やかな斜面になっている。
[詳細]
 峠から1つ小山を越すと草地の中にエゾアジサイを見ることができる。点在するブナの古木をみながら、しばらく行くと登りがきつくなる。1069mの花立山(3等三角点)である。山頂直前の左手には20畳ほどの小さな湿原がある。山頂近くの湿地は関田山脈では珍しい。
花立山を下りさらに小山を1つ越したあたりの右斜面は大きなカール状だ。積雪期であればその広大な斜面をひと滑りしたくなる様相となる。雪溶け水を集めて流れる沢は下流にて宇津ノ俣峠へのアクセス道が横断する。小山に登り急な斜面を下り曲がりくねった雑木をくぐるように歩くこと数分で宇津ノ俣峠。この峠の地形に似た箇所はこの先の幻の池まで3箇所ほどある。水のないU字形の沢が
長野県側にまっすぐに落ち込んでおり、新潟県側は沢状の様相はなく単純な急斜面になっている。多量の雪により源頭が洗い出されたのではないかと思われる。信越トレイルの事務局がある森の家へはこの宇津ノ俣峠もしくは牧峠からが近い。このあたりは竹の子採りに来る人も多い。宇津ノ俣峠から幻の池までは、小さなこぶがほぼ等間隔で3つあり、ルートが直角に東に折れ県境からわずか南にはずれたところに幻の池がある。ルートは池の北縁を通るように配慮されている。周囲は冬つばきにおおわれ南岸は太いブナ林である。冬季は藤沢の池から幻の池までほぼ直線で来ることができ、途中の広大なブナ林がすばらしい。池から稜線(県境)に戻りほぼ東方向に直線的に平坦路が続く。左右の眺望はなく柏の群落もある。付近は北斜面でぬかるみになっている。軽い上り下りを繰り返し、切通し状の伏野峠にでる。峠から403号を新潟県側に少し行くと眼前に信仰の山菱ケ岳を望むことができる。北斜面は雪がつかないほど急峻である。


11【伏野峠〜須川峠〜野々海峠〜深坂峠】8.7km

[概要]
 この区間は新潟、長野の両県の集落からだいぶ奥まった位置を通過している。そのつもりで、装備を整えて歩くことをお勧めする。
[詳細]
 トレイルは伏野峠にて国道403号線を横断する。狭い切り通しである。峠からいきなり標高差80mの急坂となる。飯山方面からこの山を見ると坊主頭のようにきれいな独立峰敵な存在であり、積雪期の山頂(1094m)からの展望はすばらしい。信濃川に延びる尾根の長さも総長5kmに及ぶ。須川峠までは40分ほどであるが、小山を3,4つ越すことになる。須川峠を過ぎ300mほど行くと菱ケ岳に至る古道との分岐がある。道標を確認して野々海峠方面に向かう。トレイル上唯一のロープを張った箇所がある。長さは5mほどである。ブナ林に囲まれた尾根道はまっすぐ続く。菱ケ岳の南に位置するピークを越し、東方への曲がり角にある道標は熊にかじられた痕跡がある。積雪期は見通しがきく場所である。急斜面をジグザグにわずか下りると平坦路となるが、長くは続かず緩やかな登りとなる。ピークにて直角に左に折れ下る。積雪期はしっかりと地図読みを要求される場所でもある。細かなアップダウンを繰り返し、西マド湿原の北端をかすめる。野々海峠は近い。この付近は雑木におおわれた平坦地の中央部を歩いている印象を受ける。しばらくしてブナ林に戻る。野々海峠は紅葉のシーズンは自動車で訪れる人も多い。野々海峠から大きな半円を右に描くようにして深坂峠に向かうのであるが、3分一ほど進んだ地点が信越トレイルの最北端であり、標柱が建っている。この先、北側はずっとガレ場が続くので、トレイルからはずれないように注意を要する。細かな沢やコブを迂回しつつ、馬頭観音に出会うとそのすぐ先が由緒ある深坂峠である。峠のいわれが刻まれた石碑もあり、ここからの新潟県側の奥深き山々の見晴らしはすばらしい。野々海池キャンプ場は自動車道のほかに湿地を貫く木道をたどり行くことができる。


12【深坂峠〜天水山】4.1km

[概要]
 信越トレイルの北向きの最終行程となるこの区間は、8割がたブナ林内である。深坂峠から天水山まで標高差20mを超えるピークが5つある。北側は急峻な崖が続く。天水山直前の鞍部ではクマの爪痕が刻まれた巨木を見ることができる。
[詳細]
 深坂峠から東方を望み左手におおきな山がはりだしているが三方岳ではない。三方岳から北東100mに位置する小ピークである。道路の壁を登り切りブナ林内を歩む。相変わらず変形したブナが多い。深坂峠を歩き出して10分ほどで、電波塔のあった平地を横断する、出入り口には道標が立っている。しばらくして左前方に北にはりだしている大きな稜線が見える。そこを越すと左下100mに深坂峠とキューピットバレイをつなぐ自動車道が見え隠れする。遠く谷間を通して新潟方面も望める。小ピークを1つ越し、登り返して標高差30m 三方岳(1138m)である。頂上付近にて南東から北東に進路を変え100m程で進路は南東になる。150mで小ピークを越し平坦路を歩むと、北方の眺望がきわめて良いピークに到達する。やせ尾根を下り天水山とほぼおなじ高さのピークを越すと鞍部には巨木があり熊の爪痕を見ることができる。ここから天水山は10分。山頂から少し離れたところに信越トレイルの北の基点を示す案内板と道標がある。更に少し下った道沿いに柿崎山岳会の設置した天水山の標識がある。調査のため1968年4月7日に訪れたらしい。天水山からは一揆に100mの標高差を下る。やぶにおおわれ視界は悪いが右手はかなり急である。冬季はこのガレ場でかもしかを見ることができる。道なりに行くと森宮野原に到達するが、鞍部にて左に
折れ、かつてオーレン草が栽培されていたというブナ林に入る。下草の手入れ跡が残る美しいブナ林である。林道を少し歩いて自動車(三叉路)に至る。
ここが松之山口である。
右方向が無印良品津南キャンプ場。左方向が深坂峠方面。正面は大厳寺高原を経て松之山温泉に至る。

付録
  信越トレイルが自動車道と交差する峠
     @万坂峠  A涌井 B北峠 C桂池(平丸峠) D関田峠  E牧峠  F伏野峠  G野々海峠  H深坂峠
参考
  距離は信越トレイルクラブ発行のオフィシャルマップによる。
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