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明舜独り旅
割れた器に、手を添える 長年、漆の仕事に関わり、金継ぎの教室も続けてきた。金継ぎとは、割れたり
欠けたりした器を漆で修復し、金紛を施しよみがえらせる日本独自の技法であ
る。こわれた器をただ捨てるのではなく、むしろその傷を活かして、器を再生さ
せる。それは、どこか人の生き方に似ていると、私は感じている。私自身もま
た、完璧とはほど遠い人生を歩んできた。劣等感、思うようにいかない仕事、人
とのすれ違い。若い頃は、それらの「欠け」を隠そうとしてきた。だが漆に触れ、
金継ぎを学ぶ中で、「欠けこそが、その人の物語なのだ」と思うようになった。器
の傷を直す作業は、手間も時間もかる。かけらを繋ぎ、下地を施して乾かし、漆
を塗っては乾かし、また塗り重ね、仕上げに金粉を撒く。時間をかけなければ完
成しないこの過程は人と向き合う時間にもなる。生徒さんの中には、器を直しな
がら、ご自身の心の整理をされる方も居られると思います。私たちは、誰もがど
こかに傷や欠けを持って生きている存在だからこそ、人の痛みを理解し、やさし
くなれる。そのことを否定するのではなく一緒に歩む、そんな生き方を金継ぎは
静かに教えてくれているような気がする。
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