THE  POWER  OF  PEOPLE

 

社会主義考1379条=平和主義日本で東アジア共同体へ常岡雅雄



崩れゆく谷垣自民党 苦悶する鳩山民主党政権


脱アメリカ9条日本への道


その覚悟と模索をこそ

時代が日本に求めている


 昨年9月の政権発足時には71%もの高い支持率(不支持率14%)で圧倒的な国民の期待をになって登場した鳩山政権だったが、去る17、18日に朝日新聞が行なった全国世論調査(電話)によれば、既に低落の一途をたどってきていた鳩山内閣支持率は更に25%に急落した。逆に不支持率が61%に急増した。政権発足時より政治状況は一変して、鳩山政権は政権維持がいよいよ危ぶまれる「危険水域」に落ちこんでいっている。


 沈む船からは鼠も逃げ出す「離党」「新党」騒ぎ


 他方、自民党(谷垣禎一総裁)の瓦解も雪崩打って進み、自民党離党議員たちなどによる新党結成の動きも急速に進んでいる。

 例えば、今朝(4月22日)の朝日新聞は「舛添新党」が明日にも旗揚げすることを伝えている。各種世論調査で「首相候補ナンバーワン」にあがり「一日も早く民主党政権を倒さないと国民のためにならない。夢と希望をこの国に取り戻したい」と昨日の川崎市での講演会で新党結成への決意を表明した舛添要一前厚生労働大臣(61歳)を党首に渡辺秀央元郵政大臣(改革クラブ、75歳)、荒井広幸元自治政務次官(改革クラブ、51歳)、山内俊夫元文部科学副大臣(改革クラブ、63歳)、矢野哲朗元外務副大臣(自民党、63歳)、小池正勝元外務政務官、58歳)のまずは6名での新党結成である。

 この「舛添新党」に先立ち、19日には橋下徹大阪府知事が大阪府の府議と大阪・堺両市の市議の計30人で橋下府知事を代表に地域政党「大阪維新の会」を結成した。「国政とは一線を画」し「今後、東京23区より権限と財源を持つ特別区の設置などを含む『大阪都』構想を打ち出すことを検討している」という(朝日新聞4月20日)。

 その前日(18日)には、「このままでは国家の破産」「経営感覚なき民主党に代わって我々の『新党』が日本の舵をとる」(文藝春秋5月号)と謳い、山田宏東京都杉並区長、中田宏前横浜市長、齋藤弘前山形県知事らが、首長・首長経験者の政治団体「よい国つくろう!日本志民会議」(上田晃代表)を母体に「救国新党」「首長新党」として山田杉並区長を党首に「日本創新党」を結成した。

 さらに、平沼赳夫元経済産業大臣を党首に与謝野馨元財務大臣、園田博之元自民党幹事長代理、石原慎太郎東京都知事らが「小沢独裁を絶対に許さない」「たちあがれ日本」「このままでいけば鳩山政権は日本を衰退させてしまう」「次の参院選で民主に打ち勝つために、政治の世代交代を促すために、危機に瀕した日本経済を再生させるために、あえていま、我々は政治生命を賭して、自民党を離党し、新党を立ち上げる」と称する「結党宣言」を文藝春秋5月号に発表して、4月10日に新党「たちあがれ日本」を結成した。

 これら「最新の新党」に先立って既に「既存の新党」が存在している。即ち、昨年8月結成の「みんなの党」(渡辺喜美党首)、更に05年8月に一斉に結成した「国民新党」(亀井静香党首)、「新党日本」(田中康夫党首)、「新党大地」(鈴木宗男党首)などである。

 国民の圧倒的な期待で自民党長期政権を崩壊させて登場したにも関わらず、鳩山政権は、挑戦した普天間問題打開で覇権国家アメリカの世界戦略の壁の前に、その基本路線のあいまいさを露呈して、日々に窮地に陥っている。他方、自民党は、谷垣禎一総裁のもとに「政権奪還!」を糾合すれども、政権奪還への勇姿どころか自壊の姿を日々に国民のまえにさらして行っている。そして、瓦解する自民党からの離脱者などによる新党結成騒動は、まさに「沈む船からは鼠も逃げ出す」無様さを呈している。これら様々の新党運動は「時局表層での空騒ぎ」でしかない。戦後65年にわたる「日本問題」を引きずりながら21世紀初頭の日本が当面している国家的基本問題への自覚も覚悟も模索もない。まさに一片の理念も見当たらない「雨後の竹の子」劇でしかない。

 そこで、鳩山政権が挫折しつつある普天間問題が明らかにしている、今日の日本の基本問題について、ここで今一度見つめ直しておこう。

 今日の日本は「アメリカに隷従する国家」である。戦後65年間一貫してそうであった。即ち、戦後日本とは「隷米日本だった」のである。具体的にはどういうことか。


 あらためて見つめ直そう戦後日本の病根


 第一には、日本が「アメリカに軍事支配されている」ことである。

 それは、太平洋戦争において日本がアメリカに敗北してアメリカの軍事占領下におかれたことに始まる。無条件降伏させて軍事占領した日本にたいして、アメリカの精神は合理的であるから、かつての日本が台湾や朝鮮にたいして行なったように、国家を解体して自国に併合するとか、植民地主義的に支配するというようなことはしなかった。日本に独立を認め、日本としての国家の存続と政府の存立と政治の展開を許した。しかし、独立を認めたにしても軍事占領の実体をそのまま継続して日本列島の要所に米軍基地を配置してきた。それによって、日本をアメリカの世界戦略の一環に組みこんでアメリカの世界的軍事展開の布石としてきた。

 戦後日本は独立した国家の体裁をとりながらも、その本質はアメリカの軍事力によって支配された国家であった。それによってアメリカの世界戦略に緊縛されて脱けでることのできない「アメリカへの隷従国家」であったのである。

 第二には、戦後日本の政治も国民の精神も、この「アメリカへの隷従国家である」ことを受け入れ、あるいは、更に積極的に迎合するものとして形成され発展してきた。戦後日本は勝者アメリカに「軍事的に従属してきた」というだけではなく、更に、「政治としても国民の精神としても自ら進んでアメリカに隷従してきた」のである。

 したがって、第三には、戦後世界の覇権国家となったアメリカの「世界戦略に隷従する」ことによって、日本は「アジア太平洋から全世界にわたる人民や民族や国家の解放闘争や独立闘争などへの妨害者や敵対者としての役割を果たしてきた」のである。

 大まかに見ても「隷米国家日本」とはこのようなものであった。21世紀初頭の現在もそうであり続けている。


 帝国アメリカに堂々向きあってこそ鳩山「友愛」政治

 沖縄と徳之島を受けとめてこそオバマ「チェンジ」政治


 日本が「本当の意味」で「自立した国家」であろうとするならば、戦後日本のこの三つの国家的病根を克服できなければならない。そして、その「自立した国家」として晴れ晴れとして堂々たる見地から世界的にも国内的にも「主体的で自主的な政治」を行っていくことが出来なければならない。即ち、「アメリカに隷従した日本」から「脱アメリカの日本」へと「世紀の大飛躍」を遂げながら東アジア共同体への道をきりひらいて行かなければならないのである。

 「県外国外移設」をマニフェストした鳩山政権が今まさにその達成に苦悶しつつある「普天間基地」問題とは、この「世紀の大飛躍」それこそを政府も野党も国民も、日本人の全てが自覚しなければならないことを示している。普天間問題に取りくむ鳩山政権の政治は、この「アメリカ隷従日本から脱アメリカ日本への歴史的飛躍=世紀の大飛躍」を「真正面から堂々と探求する姿勢」にたって「格闘しぬいていく」ことによってこそ、例えそれが挫折に終ったとしても「21世紀的な意義」を歴史に刻むことができるのである。

 他方、鳩山政権にたいするオバマ政権は、日本がこの「世紀の飛躍を探求する」ことを「嫌悪したり妨げたり」するのではなく「理解をしめし歓迎する」対日政治をこそ行うべきである。それこそがオバマ「チェンジ政治」でなければならない。それこそがオバマ政権に歴史が求めている「チェンジ政治の対日遂行」であり「プラハ核廃絶宣言の対日実体化」なのである。

 普天間問題に直面して、全ての日本人はこうした点において、鳩山政権を鼓舞し、オバマ政権に説きかけていくことが求められている。

 普天間を抱えこまされてきた沖縄も、普天間を押しつけられようとしている徳之島も、今や明確に強力に激烈に「普天間NO!」を総意としている。その総意をしっかりと受けとめて鳩山政権は「アメリカに向かってこそ政治すべき」である。他方、オバマ政権は「普天間NO!」を総意とする「沖縄と徳之島」及びそれと思いを一つにする「日本国民に向きあってこそ政治すべき」である。そして、戦後から21世紀の今日までの「アメリカ隷従日本」という「根本的な日本問題」を「自覚する者たち」は、その「戦後日本の病根」に「挑戦していく世紀の一大決意」を固めなければならない。(10・04・22)