THE  POWER  OF  PEOPLE

 

社会主義考173「新しい帝国主義」への時代に 常岡雅雄



国民主義でも国家主義でもなく

人種主義でも宗教主義でもなく


「生きる場」から 人間主義の帯を織る


徹底平和主義=真正9条「日本と世界」の道に立って


(一)いま自分は何処に生きているのか?

現実を歴史的に見る


 あらゆるものが目まぐるしく変化している。あらゆるものが濁流となって急激に流れている。自分自身も、自分の周辺も、激流に呑みこまれて流されている—この思いが、21世紀初頭の誰しもが感じていることではないでしょうか。

 21世紀初頭の今日、人類の世界は大きな歴史的な「転形期」に踏みこんでいるのではないでしょうか。すなわち、「旧い帝国主義」の時代から「新しい帝国主義」の時代への「転形期」であります。この「転形期」に入った人類世界の急激な変動こそが、人びと皆に、そう感じさせているのではないでしょうか。

 もちろん、「帝国主義」というものは人類の歴史上に幾つもあったと思います。

例えば、地中海世界の歴史に眼をやれば、イタリア半島の小さな寒村に起きて、当時地中海世界最強の覇権国家であったカルタゴを滅亡させて遂に地中海世界に覇権を確立した「ローマ帝国」がそうでした。

 アジア大陸に眼を転じれば、中国古代の「周」王朝を滅ぼし周辺諸国を征服して中国「戦国」時代に終止符を打った「始皇帝」が創建した「秦」帝国がそうでした。

 それ以降の中国大陸で、ジンギス汗のもとに西はヨーロッパ大陸から北はロシア大陸、東はアジア大陸全土にいたるまで全世界規模に征服構築した遊牧民族=蒙古民族の大帝国=「元」帝国もそうでした(日本列島は、時の北条政権の「独立の意志」と「鎌倉武士の奮戦」と「神風」とによって、二度にわたる征服戦争にもかかわらず「元」帝国に組み込まれることを免れました)。

 更に中国大陸東北部に起こった「満州」族が、漢民族の「明」王朝を滅ぼして創建した「清」王朝にいたる中国歴代「王朝」などに「古代型帝国主義」の典型をみることができます。


(二)二つの世界大戦をひき起した「旧帝国主義」

欧米「白人」の世界支配と資本主義的帝国主義


 しかし、ここで言う「帝国主義」とは、それらと「古代型帝国主義」とは違って、19世紀後半から20世紀全般にわたっての「近代的帝国主義」であります。

 すなわち、「ヨーロッパ・アメリカ・日本を当事者とする近代的で資本主義的な帝国主義」のことであります。その「近代型帝国主義」とは、次の五点をもって性格付けできるのではないでしょうか。

(一)西欧の最先端であるスペイン・ポルトガルの「現地住民を人間ともみなさず」に抹殺する冷酷残虐な全地球規模での世界侵略と、その典型的一環としてのコロンブスの所謂「アメリカ発見」(1492年、実際は「アメリカ到達」)によって特徴づけられる「西欧白人」人種の冷酷残虐な侵略と支配と植民地化の全地球規模での展開—すなわち、「近代五〇〇年にわたる西欧白人の世界支配」)のうえに、

(二)18世紀の産業革命をへて19世紀初頭にはまずイギリスに資本主義が確立しました。

(三)その資本主義はフランス・ドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国に広がり、

(四)更に「新大陸」アメリカへと広がりました。更に、そのアメリカを介して極東の日本へと資本主義は波及拡大しました。そして、明治以降の日本は、欧米「白人」世界の世界侵略に伍して冷酷残忍にアジア・中国・太平洋へ侵略と植民地支配を展開する侵略国家・戦争国家「天皇制日本」へと堕落していったのであります。

(五)したがって、20世紀とは、これら欧米日の先発資本主義諸国のあいだにおける「植民地と国家的権益と資本主義的な市場と資源供給地」をめぐる対立抗争と戦争の時代でありました。

 すなわち、20世紀とは「資本主義的な帝国主義」の時代であり、その「帝国主義」は第一次さらに第二次という二つの世界戦争を人類世界にもたらしてきました。

この基本的に「19世紀後半から20世紀全般にわたって欧米日の先発資本主義世界に展開した帝国主義」を、これからの21世紀以降の人類世界がおちいって行こうとしている「新しい帝国主義」に対比して「旧い帝国主義」と呼ぶことにしましよう。


(三)「新しい帝国主義」をもたらす

人類世界の構造的な変化


 欧米日列強の引き起こした二つの世界大戦をへて21世紀に入った人類世界は「構造的な変化」を遂げてきました。

(一)第一には、近代五〇〇年にわたって一握りの欧米白人世界(極東の黄色人種日本もその一翼とした)の侵略と圧殺と収奪と植民地支配のもとにおかれてきた有色人種の人々が国家独立を達成(全てではないが)し世界政治に登場してきました。

(二)第二には、欧米白人世界(黄色人種日本もその一翼とした)の専一世界支配の構造は終わりました。

(三)第三には、先発の欧米日資本主義だけにとどまらず、新しく国家独立達成や自由獲得した有色人種の諸国家や諸地域も合一した全地球規模でのグローバル資本主義が成立し展開しはじめたことです。全く様変わりした資本主義がグローバル(全地球規模)に出現し、展開しはじめたのです。

(四)第四には、かつて侵略され支配され植民地支配されてきて国家独立や自由獲得などを達成した有色人種民族のなかから中国、インド、ブラジルをはじめとした「世界大国」が登場し「資本主義大国」として全地球規模に展開しはじめていることであります。

こうした人類世界の新しい「構造的な変化」が「旧い帝国主義」世界から「新しい帝国主義」世界へと「様変わりを人類世界にもたらしていく」のではないでしょうか。21世紀初頭の現段階の世界は、その「転形期にある」と見るべきでありましょう。


(四)「緑と青」の視野と展望をもって

悠々社会主義の構えで「新々飛躍」を!


 この歴史的「転形期」にあって、私たちもまた、「今まで通り」=「旧い帝国主義下の社会主義運動のままであっていい」はずがありません。

 こうした「歴史と自己」認識に迫られて、私たちは、今回はまだ「西日本の範囲」に限られざるをえませんでしたが、広島県下に新設した人力山陽委員会事務所=「山陽凡人未来塾」で一週間ほど前に「緑と青」研究合宿をおこないました。悠々とした大きな構えで「新々飛躍」を遂げて行こう!と確認しあいました。


 なお、ここで云う「新々飛躍」とは、20世紀「旧帝国主義」世界から「新しい帝国主義」世界へと急激に目まぐるしく「転形を遂げて行きつつある」21世紀世界にあって、自分たち自身も「旧40年」段階からの「大きな転形」を余儀なくされながらも、いっそうの「飛躍的前進」をめざしてゆこうという私たち「人民の力」の「心がけ」なのであります。

 かつて「新たな飛躍」の決意で到達した「1971年の人力結成」いらい40年間は、私たち人民の力の発展史上でみれば「旧40年」でありました。その「旧40年」の次元から「更に新しい飛躍を遂げて行こう!」という私たち独自の決意を明示する言葉が「新々飛躍」なのであります。

(2013年4月20日)