THE  POWER  OF  PEOPLE

 

社会主義考174六月一日は「人民の力」創刊の日常岡雅雄


構造的に転形する世界—「新しい帝国主義」世界にあって


全世界の歴史的今日的な弱者を

全地球規模の「変革主体」へ


「新しい」社会主義の思想と理論と実践の探求へ


(一)大きく深く変わる世界—問われる「人民の力」


 世界は大きく深く転形して行っています。

20世紀の「旧い帝国主義」の世界から「新しい別の帝国主義」の世界へと、人類世界は大きく深く構造的に変わって行っているのだと思います。欧米日という先発資本主義列強の支配する「旧時代の帝国主義」から、後発の新しい資本主義諸国も参入と同時に、この近代500年間、白人世界(明治以降の日本も含めて)の「侵略と支配」下に「悲劇と抹殺と奴隷的苦難」の「地獄の運命」を味わされてきた非「欧米日」世界の民衆決起「新しい帝国主義」世界へと人類世界は転形して行っています。その全貌は当然にもまだ姿を見せていません。

 この「新しい帝国主義」世界が究極的にどのような世界となるのか誰にも分かりません。だからこそ、この「旧い帝国主義」世界から「新しい帝国主義」世界への「歴史的な転形期」に、国家も民族も人種も宗教も人々も政党や政治団体も、誰もが厳しく深く問われています。「自分自身の全存在」をかけて問われています。だからこそ、かく言う私たち「人民の力」こそ、主体的には、何よりも先ず問われていると思います。


(二)理想主義と「新たな飛躍」精神で「人民の力」結成


 私たち「人民の力」誌は、丁度45年前の1968年6月1日に横浜の数人の青年社会主義者が神奈川県地方の「地方社会主義機関誌」として創刊いたしました。手作りで粗末ではあっても、青年の意気と真実への探求心と理想主義に燃えていました。

 その意気と探求心と理想主義は、創刊から一年後(1969年夏)には「新たな飛躍を準備せよ!」(第34号)と全国の青年社会主義者への呼びかけとなりました。

 その「新たな飛躍を準備せよ!」の呼びかけは、既成の社会主義勢力から「反発や否定や敵意」を受けましたが、しかし、主に国鉄労働組合の青年労働者のなかにしっかりと受けとめられて全国に広がりました。この「新たな飛躍を準備せよ!」を受けとめた国労青年活動家たちが主導して、二年後の1971年7月15日には〈「日本労働者階級解放闘争同盟」の結成〉にたどりついたのであります。(註)この組織名称『日本労働者階級解放闘争同盟』は後に機関誌名称にちなんで現行の『人民の力』と改称しました。


(三)結成から—屈せず格闘しつづけて40年


 その結成から42年—2013年の今日、私たち「人民の力」は、問われています。「もう一つの新たな飛躍!」=「新々飛躍!」を遂げなければならないことが、(1)世界の構造的転形と(2)私たち「人民の力」自身の主体的転形という二重の原因によって迫られています。

 この71年結成から2010年(第11回全国大会)までの40年間を「人民の力」の歴史としては、(一)「旧40年人力」として、(二)それ以降の40年(今日現在も含めて)を「新40年人力」と区切っていますが、この1971年結成から2010年の第11回全国大会までの「旧40年人力」の歴史の上で、大きく画期をなしたのは1980年でした。1971年結成から1980年までのほぼ10年間は自立に向かっての「結集と基礎形成」への苦闘の過程でありました。

 その「結集と基礎形成」の10年をへて、思想・理論的にも実践的にも、わたしたち「人民の力」は「新しい前進」をめざしました。それが(イ)在日韓国人の指紋押捺拒否闘争や政治犯救援運動への連帯にはじまるアジア民衆連帯運動への前進による私たち人力の視野と実践の「日本的規模からアジア太平洋的規模」への拡大であり(ロ)国鉄労働者次元からの全般的で普遍的な労働者次元への深化でありました。(ハ)この「新しい前進」への転換をめざした80年代は①総評解体と労資一体労働勢力の覇権確立をめざした「労働戦線の帝国主義的な再編と統一」攻勢との闘いであり、中曽根政権の国鉄労働運動解体と日本資本主義再編をめざした「国鉄分割民営化」攻撃との攻防戦でありました。


(四)「人民の力」の一人ひとりが

迫られる歴史的全地球的な視野と決意と探求


 それから20年余、私たち「人民の力」は、①「労働戦線の帝国主義的再編統一」攻勢にたいしても②「国鉄分割民営化」攻撃にたいしても屈服することなく歩みつづけてくることができました。

(一)労働者の階級的精神と労働運動の階級的政治的な筋と(二)社会主義者の精神と社会主義運動の思想的政治的な姿勢とを堅持して前進してくることができました。「社会主義と労働運動」潮流の一端として力と位置を築きあげてくることができました。

そして21世紀も本格化する2010年代に入った今、私たち「人民の力」は、「新たな飛躍を準備せよ」精神できりひらいてきた「旧40年人力」次元を超えて「もう一つの新たな飛躍」に迫られているのであります。すなわち、40年前の1960年代末の提唱「新たな飛躍」次元を「もう一段高く深く超えたもう一つの新たな飛躍!」=「新々飛躍!」にむかう歴史的で全地球的な視野と勇気と決意と探求的格闘に迫られているのであります。


(五)資本主義世界の根本変革の道にたって

「悠々社会主義」と「1000年人力」の道


 いまだ全貌は詳しくは定かでないにしても、「新しい帝国主義」世界へと転形しつつあるに21世紀世界にあって、私たち「人民の力」が、社会主義者として、先ずはっきりとさせなければならないことは何でしょうか?

 それは、(イ)先ず第一には、この資本主義世界の根本変革をめざす社会主義者として当然にも、その「資本主義世界の根本変革」をめざすにふさわしい「視野と根性」を「自分自身として確立する」ことであります。私たちはその「視野と根性」を「悠々社会主義」として確認しあいました(第10回全国大会、2005年5月)。

 そして(ロ)同時に、この「資本主義世界の根本変革」を達成していくに要するであろう「時間的見通し」として、気持ち通りには決して短時間ではなく、歴史的な長さの長時間を要する労苦の過程を覚悟」して短くとも「1000年人力の道」と確認しあいました。


(六)「歴史的今日的な弱者」を「全地球規模の変革主体」へ


 近代500年の世界は、欧米白人勢力の地球規模の暴虐な「侵略と収奪と破壊と支配の世界」でありました。したがって、それは同時に、「白人勢力に侵略され収奪され破壊され支配されて無惨な非白人世界」でありました。すなわち、近代500年の人類世界とは、(一)欧米白人帝国主義勢力と(二)その「侵略と収奪と破壊と支配」を受けてきた非白人世界=非帝国主義世界との二大人類勢力との「階級的政治的闘争の世界」であったのであります。明治以降の後発資本主義である天皇制日本は欧米白人勢力の一角に参入してアジア太平洋地域に帝国主義的な暴虐のかぎりを尽くしました。

 20世紀の「旧い帝国主義」世界から「新しい帝国主義」世界へと大きく深く構造的転形を遂げつつある21世紀人類世界とは、この二大人類勢力の「階級的政治的な闘争」が、自然には解消されず、引き続き、しかも新たな構造と様相をもって、より深刻さを増して継続展開する世界となるでありましょう。

 私たち「人民の力」は「資本主義世界の根本変革の綱領的道」に立てばこそ、自分たちの「立つべき位置と姿勢」を覚悟を込めて明確にしなければなりません。

 21世紀初頭の「新しい帝国主義」への転形期にあればこそ、私たち「人民の力」には、それが厳しく鋭く迫ってきているのであります。私たち「人民の力」の「新々飛躍」とは、まさにこのことであります。


 すなわち、「全世界の歴史的今日的な弱者」を「21世紀の新しい帝国主義」にたいして「闘う全地球規模の変革勢力」に編み上げてゆくために、その一端にあって努めることこそ、私たち「人民の力」の21世紀の「社会主義道」なのであります。

(2013年5月26日)