……カリグラ帝の政治を学んだことはあるか。
面白いことを教えてやろう。
王が一度、暴虐な行いをすると、臣下は本性をあらわす。
多くの臣下は、王以上の残虐さで生き残ろうとする。
そして、自分の罪はすべて王に被せてしまう。 しかたがなかった、という言葉で。
実際に手を下したのは、誰だ? どこまでが王の命令だった?





名前 「ティベリウス=クラディウス=ネロ=ドルスス=ゲルマニクス」
(ちなみに、紀元50年2月24日までは、ルキウス=ドミティウス=アヘノバルブスを名乗っていた)

生年月日 紀元37年12月15日 夜明け時。

没年月日 紀元68年6月9日 夜明け時。


幼少期のネロ像、スケッチ


成人したネロ像、スケッチ

名前が変わるまで

皇帝になるまで

名君と称えられた時代

暴君と評された時代
帰路



名前が変わるまで

 お父さんは3歳の時にさっさと死去しちゃったので、女手一つで育てられたってコトになりますね。
しかし、お母さんてば、超名門貴族のご令嬢。
息子を使用人や奴隷のごとく、とにかく自分の思い通りになる人にしたかったみたいです。
たぶん厳しい躾をしたんでしょう。無事に(?)母親には怖くて逆らえないという息子に育っていきます。
お父さんの死後、お母さんがローマから追放されたため、息子のルキウス少年も、一緒に追放されました。
とはいっても、家庭教師(舞踏家と理髪師)もいたし、乳母もいたし、それなりに裕福な生活だったかもしれない。
幼少期より、どうやら「演劇役者」にあこがれていたようです。っていうか、家庭教師の影響?
でも、お母さんは「息子を使ってローマに返り咲き」を狙っていたので、そんなこと快く思わなかった。
庶民の子供と「演劇ごっこ」をやって遊ぶのも、嫌がっていたらしい。
ルキウス少年は、遊びや学習や言動の面で、いろいろとお母さんに怒られていたみたいです。
そんなこんなで、一般庶民に混じって、一応平穏無事な、子供時代を過ごしたらしい。
まあ、ろくな記録が残っていないので判りませんけどね。
このまま育っていれば、巷で生活してて、それなりに明るくて、夢もあって、知恵もある、母親には尽くす、という好青年が出来あがったんでしょうね。
現実は、追放解除になってローマに戻ったお母さんが、まず息子と自分の財産を取り戻す。
見事、名門のお金持ちに復活。その財力と魅力で、皇帝と再婚しちゃう。
血筋からすれば、コレ以上ないってくらい名門の子供だったので、おまけでくっついていたルキウス少年が「皇帝の息子」になるのは簡単。
皇帝の養子になったところで、名前が変更。
皇帝の後継者という立派な立場になって、異母兄弟もできた代わりに、役者の夢は絶たれてしまう。
しかも、宮廷暮らしで、今までのように母親の目を盗んで庶民の子供と駆け回って遊ぶことも不可能。
哲学者というスゴイ家庭教師までくっついて、難しいお勉強。
たまーに、刺客に狙われたりもしたらしい。
 さぞかし最初は窮屈だったでしょうが、親に逆らえない良い子は、周囲の大人に従順に育っていったのでした。




皇帝になるまで

 皇帝の子供になって、名前も変わったルキウス…じゃなくてネロ少年。
 しかし、相変わらず母親には逆らえない良い子ちゃんでした。
でも、抑圧された良い子ちゃんって、どっかで反動があるらしく、後世に残った出来事って、なんだか悪い話ばかりなんですケド。意図的に、あとで歪められた出来事もあるんだろうなあ。
 例えば、義弟を苛めたとか。
盛り場で暴れたとか。
でも、お勉強はよくできたみたいです。根が真面目だったのかも。
 とにかくそんなネロ少年を母親は一見溺愛していたようです。本当に愛情だったのか、行動を追っているとかなり疑問ですが。
 残っている記録では、溺愛していたことになっています。
 さてさて、そんなお母さん、まずはネロ少年を「皇帝の後継者」の座に。
 何でも自分の思い通りの息子が皇帝になったら、ローマはお母さんの思いのままですからね。
 皇帝には、血のつながった息子がいたんですけど。
 当時の皇帝さんなんか足元にも及ばないくらい、母親とネロ少年は良い血筋だったんですヨ。伝説の英雄の血を受け継ぐ家系だったので。
 しかも、前皇帝はお母さんの兄だったりして。
もしかしたら、ネロ少年は前皇帝の息子じゃないかと言うくらい前皇帝はスゴイ家庭だったみたいですけど。
 そんなこんなで、正式に後継者となったネロ少年。もう、どうあがいてもレールに乗せられた人生。
 おまけに、お嫁さんも決定しちゃいます。
 結婚したのは、ネロ少年15歳。お嫁さんのオクタヴィアちゃん12歳……おいおいっ、てな状況ですね。
 でもね。なんか「夜の夫婦生活」ってやつ、無かったみたいなんですよ。まぁ、12歳ですからねぇ。
 0歳が存在しない年齢の数え方しているらしいので、現代で考えると11歳? 新郎新婦どっちにとっても災難だと思ってしまいます。
 さてさて、お母さんが次に考えるのは、「できるだけ早く息子を皇帝に」ということだったようです。
 それで邪魔者は今皇帝になっている夫。
 毒を盛ったとかなんとか、真相は実行犯のみが知るのでしょうが、とにかく目論み通りに皇帝は死去。
 ネロ少年は若干17歳にして、ローマを背負う存在になるのでした。
ただ、どうも本人が望んでいた地位では無さそうなんですよね…
 





名君と称えられた時代
まだ執筆中



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帰路