香りの虜囚
「また、ヒロインにバンダナ渡したな…」
シンがつまらなそうに言いながら、頼んであったカップをナギから受け取った。
ナギが苦笑して言い返す。
「ったく、キスマークの一つくらい黙殺してやってもいいが、あんなについてたら無理だっつーの」
「相変わらず、目ざといな。……おっ、ちゃんとキャラメル・マキアートだ…」
「…あたり前だ」
それでも、首に巻いたナギのバンダナを外せとヒロインに言わないあたり、シンもわかっているのだろう。
ある意味、ヒロインが首にナギのバンダナを巻いている時は、その下にシンの所有印がたくさんある、というのは仲間うちでは周知の事実になっている。
結局のところ、首のバンダナは、ヒロインが恥ずかしがることなく、いつもどおりみんなと接するための必須アイテムだった。
「ナギさん、倉庫の整頓、終わりました」
トワが食堂に顔を見せる。
「いい匂いですね」
「シンのリクエスト、キャラメル・マキアートだ」
へぇー、と言ったトワが、くんくんと、ナギの横でにおいをかいだ。
「なんだ?」
「あ、すいません。朝、ヒロインさんが、僕たちの体臭についてファジーさんと話してて…」
カップを傾けたシンが、吹き出しそうになって咳き込んだ。
「…シンのことはいいから、話を続けろ」
「僕は、自分じゃよく分からないんですが、海の風みたいなんだそうです。それで、ナギさんの匂いは、美味しそうだって言ってて…」
「はぁ?」
「トワには潮風の匂いが染みついていて、ナギには食い物の匂いが染みついているってわけか!?」
シンが笑う。
「よっぽどあいつを餌付けしてくれているんだな、ナギは」
それはそれで、お互いに心中に穏やかではないものもあるのだが…。
「おい、シンのことは言ってなかったのか?」
「ファジーさんが聞いて、何か言っていましたけど…。聞いちゃいけないかな…と」
トワが、ちらりとシンを見る。
「で、ファジーの反応は?」
「……大爆笑してました」
「ったく……。あいつは、朝から恥ずかし気もなく、何を話しているんだか…またお仕置きしないとな」
シンが面白そうに笑った。
「俺はどんな匂いがするんだって?」
夜、二人きりになると突然シンがヒロインに訊いた。
「え?」
「今朝、甲板でファジーと話していたんだろ?」
「ああ洗濯物の匂いの話ですか?」
「…男の体臭について話していたと聞いたぞ」
「違います。というか……あ、でも、そうなのかもしれません」
シンが、ヒロインの手に指を絡めた。
「朝から恥ずかしい奴だな」
「違いますってば。そんな変な話はしてませんっ」
「なら、どんな話をしたんだ?」
ヒロインの首にあるナギのバンダナをほどき、まだ残っているキスマークを強く吸う。
「ナギは美味しそうな匂いがするって?」
「柑橘系のおいしそうな、と言ったんです」
「それで、俺は?」
ヒロインが口ごもる。
「ファジーになんて言ったんだ? 教えろ」
「い…言えません」
「言えない?」
シンがにやりと笑って、ヒロインを見下ろした。
「言わせてやる」
「ぁっ…やぁっ……」
シンはヒロインの下衣を引っ張ってはぎ取ると、はぎ取った衣服でヒロインの右手首と右足首をくくりつけた。
「ゃあ、やめてっ…シンさん、嫌っ…」
嫌がるヒロインの左手首と左足首を、シンの上衣でくくりつける。非常に恥ずかしい格好にされてしまったヒロインは、あっという間に白状した。
「……だ、大好きないい香りですっ」
「ん?」
「だから、シンさんは、大好きないい香りって、ファジーさんに言ったの」
「…おまえ、白状するの早すぎ。いじめがいのないやつだな」
シンは、ヒロインの晒されている胸にキスする。
「せっかくここまで縛ったんだから、もっと楽しませろよ」
「そ…そんなっ…」
「本当は、次に、このバンダナで目隠しするつもりだったんだが、白状したご褒美に、それは、やめてやる」
ただし、口応えすると、もっと縛るぞ、と言いながら、顕わになっている芯芽を舐める。
「っんあっ……」
ヒロインが、びくんとのけぞった。
シンの指先が秘所を広げ、舌が秘壷の周りを舐め、唇が芯芽を吸い…。
「んはっ…はぁっ……ひぅん……」
ヒロインの漏らす声が、次第に甘やかに熱を帯びる。
透明な蜜が秘壷から溢れだす様を、シンは指先と舌で愉しむ。
「あぁ……あ…シンさん……」
「ものすごく、欲しそうな顔してるな」
シンが、硬くなった自分の欲望をヒロインの前に曝した。
「舐めろよ。そしたら、欲しがっているところに入れてやる」
縛られていて自由に動けないヒロインが、口をあけて舌を伸ばす。
恥ずかしそうに、舌で先端に滲んでいたものを何度も舐めとる。
「…いい子だ」
しばらく愉しげに眺めていたシンは、より熱くなった欲情の塊を、溢れる蜜壷の中へ沈めた。
「あぁん。シンさん……あん…」
洩れる吐息を、シンが深く口づけて封じる。
「んっ……んっ……んんっ……んんんっ」
お互いの呼吸が、次第に速さを増す。
「っ…」
「くっ…」
やがて、ヒロインの中で、蜜と熱い精が混ざり合った。
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