砂時計と彼


「灯りの下で見ると、落ちていく砂がとても神秘的ですね」
ヒロインが、うっとりと砂時計を眺めている。
「この砂は、どこの国にあった砂なのかなぁ…」
「それは、もともと砂じゃないぞ。大理石を砕いてあるんだ」
砂時計に見惚れるヒロインを、シンがつまらなそうに見た。
「大理石かぁ…」
相変わらず、砂時計に魅入っている。
「おい、少しは俺を見ろ」
「この砂が落ち終わるまで、眺めていたいんです」
「おまえ、俺より砂時計を選ぶのか?」
 そんなことないと言うヒロインの視線は、砂時計に固定されている。
 シンは、ヒロインを背後から抱きすくめた。
「そんなによければ、ずっと、砂時計を見てろ」
 そう言って、あと数秒で落ち終えそうな、ヒロインの目の前にある砂時計をひっくり返した。
「あー…もう少しだったのに…」
残念そうに言うヒロインの首筋に、シンが吸いつく。
「シンさんっ!?」
「黙ってお前は、砂時計見てろ」
表情は見えないが、怒っているような声に、ヒロインはぎくりとした。
背後からのシンの手が、ボタンをはずして服の中へ入り込んでくる。
「シンさ…」
「その砂が落ちるまで、俺を見ることは許さない」
シンの手のひらが、背後から持ち上げるようにヒロインの胸を揉み、時折、指先で中央の突起を擽る。
「ぁん……シンさん…」
「どうした? もっとココを触って欲しいのか?」
 耳元でささやきながら、シンは両手で胸の突起をつまんだ。
くるくると、突起を転がすように指先をすり合わせる。
「んはぁ………ぁぁあっ……」
「気持ち良さそうに、のけぞっているんじゃない。ほら、お前の大好きな砂時計見てろ」
ヒロインの背中を押して、砂時計に向かせると、シンの指先は下へ滑り出す。
「あの砂が落ち終えるまでに、お前をイカせてやるよ」
シンの指先が、背後からヒロインの秘部へ入り込む。
「ぁ……ぁぅ……っはっ…ん」
「なんだ、思ったより濡れてるな。なら…」
 ヒロインの下衣と下着が、太もものあたりまで引き下ろされる。
「シンさんっ、やめ……っっあっ」
 硬くなったシンのものが、後ろ側から秘壷へ差し込まれた。
「あぁつ……なに? シンさん……、いつもと何か違うの…」
「いいから、前見てろ」
 振り返ろうとしたヒロインを、背後から抱きとめる。
 後ろからの挿入は、刺激を受ける部分がいつもと異なり、ヒロインは震えた。
「変なの…シンさん、なんか変っ…ぃゃ…いやだぁ…」
「大丈夫だから、大人しくしてろ」
シンの指先が、ヒロインの敏感な部位を性急に愛撫する。
「あっ…ああっ…」
さらさらと落ちる砂に急かされるような刺激が、細かく、強く、複数の場所から。
 次第にヒロインは突き上げられ、淫らに喘ぐ声が止まらなくなる。
「あああぁぁぁぁっ」
 砂時計の砂が落ちきるより先に、ヒロインは絶頂を迎えていた。


「お前は、後ろからされた方が、いい声で啼くなぁ…」
 眠ろうとした時に、シンがぽつりと言った。
「もうっ…。何思い出して笑っているんですかっ。恥ずかしいから、やめてくださいっ」
 真っ赤になったヒロインが、毛布をかぶる。
「もう一度するぞ」
 横になっていたシンが、そろりと身を起こした。
「………」
すねたように、毛布をかぶっているヒロインに囁く。
「さっきは、砂時計なんかに嫉妬して、苛めて悪かった。今度は、ちゃんとお前の顔を見たい…愛してるよ」
 普段聞けない甘い言葉に、ヒロインが毛布から目をのぞかせる。
と、にやりと笑ったシンが、毛布をはぎ取った。
「きゃあっ」
「今聞かせてやった言葉は、高くつくからな」
「そんなぁ」
恋人たちの時間を、静かに流れ落ちた砂が見ていた。


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