裏 隠れ身


広い広いベッドのある部屋だった。
部屋が霞むくらい、何かの香が焚かれている。
不思議と、香の煙にむせることはないが、空気が澱んでいるような感覚を覚える。
「へえ、流石、シンが仕込んだだけのことあるじゃん」
ハヤテが感心したように、シンの目の前でヒロインの頭を抱えて腰を送りこんでいた。んぐんぐと、喉奥を侵されるヒロインの苦しげな声がする。
「ナギは、ヒロインちゃんの後ろから入れて支えてあげるといいね」
ソウシの声が部屋に響き、今度はナギが、シンの目の前でヒロインの臀部を抱えて腰を送りはじめる。パチュパチュと肉棒が濡れた穴を出入りする音がする。
口を塞がれ、人形のように前後にゆすられているヒロインの表情は、髪の毛に隠れてしまってシンから見えない。
ふと見れば、ヒロインの両手は、白い布で後ろ手に縛られたままである。
彼女の両手を括ったのは、自分だった…気がする。
ハヤテが呻いてヒロインの喉へ流し込み、ナギも奥へ精液を流し込んでいるようだ。
前後から注ぎ込まれて、痙攣するように震えたヒロインが、シンの目の前に転がされた。
相変わらず、乱れた髪に隠されて表情が見えない。が、口の端からも股の間からも精液がこぼれている様子が伺える。
あの身体は、ヒロインのはずだ。
肌のあちこちに残るキスマークは、昨夜、自分がつけた記憶がある。
強く焚かれる香に、判断力がうまくまわらない。
ソウシが、遠慮のかけらもなくヒロインの陰部へ指を差し込んだ。ヒロインが身体をかすかに痙攣させて背をそらす。
ヒロインの膣を動き回るソウシの指は、まるで、何か診察しているようにも見える。
「うん、これなら、すぐ次がリュウガでも大丈夫かな」
「おもしれぇ趣向だな、シン」
全裸のリュウガがシンの前に現れた。
「ハヤテとナギ、ヒロインちゃんをリュウガのところへ」
ぐったりと果てている様子のヒロインを、ハヤテとナギが抱え上げ、リュウガの上に重ねる。
「なるほど、いい具合だな」
シンに見せつけるように両足を開いてリュウガの男根を受け入れたヒロインの胸を、リュウガが弄り、首筋に舌を這わせた。
途端、それまで人形のように顔を伏せてぐったりしていたヒロインは、聞き慣れた喘ぎ声を洩らす。
リュウガに媚びるような声を上げたその顔は、シンだけが見慣れている筈の、感じている時のヒロインだ。
「ぅん? シンより気持ちイイだろ?」
そのままリュウガは巧みに腰を揺らして、ヒロインを導いていく。
「おい、トワ、お前も、口でしてもらえ」
「はいっ」
今度はトワが、ヒロインの前に立ち、頭を抱えて腰を送りはじめた。
口を塞がれているはずなのに、ヒロインの甘い声は止まらない。
強い香りに、何が起きているのか把握できない。
トワが注いで果てると、今度はソウシとリュウガがヒロインを前後に抱えあげ、上下に揺らし始めた。
「二輪刺しも上手だね、ヒロインちゃん」
もっともっとと、懇願し求めるような喘ぎが、引っ切り無しに続く。グチュグチョと濡れた穴を肉棒たちが出入りする音も止まらない。
「こんな体にされちゃったら、シン1人じゃ満足できないよねぇ。もしかして穴を全部塞がれないと、イケない身体になっちゃったのかな? 口にも欲しいの?」
ソウシが、くすくすと笑いながら、ヒロインに口づけた。
シンに手を縛られたまま、リュウガとソウシを受け入れているヒロインは、救いを求めるようにソウシの口づけを追う。
もっと、とキスをねだられて、ソウシが困ったようにシンを見た。
「シンはいつまでそうやって眺めている気なのかな?」
言われて初めて、腕を組み、何もせず傍観している自分に、シン自身が驚く。
そして、シンの口は、自分の想いとは見当はずれな言葉を発した。
「その淫乱が俺を呼ぶまで、ですかね」
リュウガが苦笑する。
「おいおい、これだけよがっていたら、もう自分の相手が誰かなんて、見えちゃいねぇぜ。シンが、そう仕込んだんだろうが」
ソウシが笑った。
「まあまあ、そういうことなら、心おきなくみんなでヒロインちゃんを可愛がってあげようよ。ナギ、せっかくだから、うんと優しいキスをしてあげたらどう? ヒロイ ンちゃん、優しいのが好きみたいだから、きっと喜ぶよ」
ナギが歩み寄って、ヒロインの頬を撫で、深く口づける。
ヒロインがとても嬉しそうにナギの名を呼んでいる。やがてリュウガとソウシに精液を注がれたヒロインは、次にトワとハヤテの二輪刺しを望み……とんだ淫乱に育った ものだとシンはそんな光景を傍観する。
次々と、嫌がることなく嬉しそうに仲間の精液に塗れていくヒロイン……。

チガウ
ナンダコレハ
ヤメロ
ヒロインは俺の…


シンがはっと身を起こすと、そこは医務室だった。
確か、疲れが随分たまっているからと、ソウシがマッサージをしてくれていたはずである。
「あぁ、目が覚めた?」
ソウシがにっこりとほほ笑んだ。
そこで、先ほどまでの光景は夢だったと理解する。
よく思い返せば、あんな広い場所はシリウス号のどこにもない。
そもそも、仲間達が、あんな行為に及ぶことはない……はずだ。
ふと、自分の前に、燃え尽きた香の灰があった。
夢の中の匂いは、この香だったかと気づく。
しかし、この灰は何故、自分の前に置かれているのか……。
「ドクター? これは何です?」
「あ、それは、夢見草の実験薬だよ。気持ちいい夢を見れるかな、と思って調合したんだけれど、どういうわけだか、自分で試してみたら悪夢になってしまってね。快楽 的な要素を改良して加えてみたんだけど、シンはどうだった? 気持ちいい夢が見れたかな?」
「……悪夢でしたよ。勝手に実験台にしないでください」
「そうは言ってもねぇ。トワじゃあ、改良した快楽要素がどういう働きをみせたか、いまいち本人が経験不足でね」
「………」
つまり、マッサージの誘いの時から、実験台にするつもりだったのだと、シンは理解する。
おかげで、とんでもない夢を見せられてしまった。
あまりの内容に、今すぐにでもヒロインを呼んで身体の隅々まで確認したい。
いや、確認しないと、安心できない。
焦燥感に駆られたシンは、ソウシへの言葉もそこそこに、医務室を去って行った。



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