白い世界で
「シンさん…マスク嫌いなんですよね?」
不思議そうに確認するヒロインに、シンは薄い笑いを唇に浮かべて答える。
「誰が嫌いだと言った? 邪魔だ、と言っただけだろう?」
「……? つまり、嫌いだということですよね?」
風邪をひき、シンにうつさないようにマスクをしていた時は、邪魔だ外せと何度も言われたのに、突然、先日使ったマスクをつけてみろと言われて、ヒロインはかなり訝
しげにシンを見上げた。
「フン。マスクをつけたお前の間抜け顔をもう一度見てみたいだけだ。洗ってしまってあるんだろう? さっさと出してきてつけて見せろ」
腕組みしてヒロインを見下ろすシンは、すこし声に不機嫌が混じり始めている。
「……はい…」
相変わらず腑に落ちない表情で、ヒロインは先日シンに大不評だった、風邪感染防止手作りマスクをつけた。
「相変わらず、ふざけた顔だな」
ヒロインのマスクで半分隠れた顔を見るなり、シンは馬鹿にしたような口調で告げる。
「……じゃあ、外します」
「その前に、ちょっと手を出せ」
「?」
言われて、素直に差し出した手首へ、シンが器用にいつの間に外したのか自分のスカーフを巻きつけた。
「エ? シンさん?」
「あの時、おしおきを忘れていたからな。丁度いいから、今夜、してやる」
「へっ???」
言われたことが良く判りません、と顔に書かれたようなヒロインの表情は、白く四角い布がその半分を隠している。
「とはいえ、そのままじゃ、キスをするにも邪魔だな。お前、マスクをこっちにしていろ」
意地の悪い笑みを浮かべたシンが、指先でヒロインのマスクを上へずらす。
顔の半分を覆う大きさの白く四角い布は、彼女の眼と鼻を覆い隠した。
「シンさっ…」
慌てて抗議しようとするヒロインの唇は、問答無用で重ねられたシンの唇に封じられてしまう。
抱きすくめられて、口の中を優しく舐めまわされて、抗議しようとした意識が一気に溶けてなくなっていく。
白い布で遮られた言葉通り真っ白な視界。
顔の半分を隠されているだけで、羞恥心も半分になったような心地になり、ヒロインの舌がシンの愛撫に素直に答える。
「なんだ? マスクをつけていると、随分と積極的だな?」
唇を離したシンが、少し息を乱しながら、ヒロインの耳元で囁いた。
「あんっ……ふっ……」
明るい灯火の下に居るのに、マスクで顔の上半分を覆っただけで、ヒロインはいつもとは違う反応を見せた。
いつもなら、恥ずかしがって最初は声も出さない騎上位。
珍しく、最初から背を反らして素直に甘い声を漏らし、感じている。
そして、いつもなら、早く外して欲しいと言いだす手の自由を奪っているシンのスカーフにも苦情を言わない。
ここまで『その気』になっているヒロインは珍しい。
顔を半分白い布で覆い、明るい中で痴態を曝すヒロインに、シンもまた、いつも以上の刺激を感じていた。
「んふぅ……あぁん……」
ヒロインが粘液をシンに擦りつけるように腰を揺らす。
「どうした? 今日は随分と、おねだりも上手だな?」
普段、ここまで積極的に行われることのないヒロインからの刺激に、埋め込んだシンの分身は、悦びに打ち震えはじめる。
「マスクをつけたまま、俺に抱かれるのがそんなにイイのか?」
実際は切なげに眉間に皺を寄せつつ、そんな気配は微塵も気取らせないシンの言葉に、真っ白な視界にいるヒロインの肌はより熱を持つ。
「やぁ……、そういうわけじゃ…ふっ…あぁぁんっ」
腰に添えられていたシンの手が、ヒロインの胸を包み込んで指の隙間に突き出て硬くなった突起を挟み込む。
乳首を腰の動きに合わせるように擦りあげられて、ヒロインの声がひときわ高く掠れ、身体がビクビクと強張った。
シンを受け入れていた襞が、キュウと締まり、精を奥へ吸い上げるようにさざめく。
「…クッ……」
刺激に耐えきれなかったシンが、悔しそうに声を漏らした。
「あの……シンさん」
「なんだ?」
耳まで真っ赤に染めたヒロインが、上目づかいに添い寝するシンを見る。
「その………ぃ…………か?」
「聞こえないな。言いたいことがあるなら、もっとはっきり言え」
ヒロインは至極恥ずかしそうに、もう一度繰り返した。
「えーと……その…抜かない…ん…ですか?」
「もっと欲しいと、上手におねだりしているのは、お前だろう?」
シンが妖しく笑みを浮かべて、ヒロインを見返す。
一通りの行為が終わっても相変わらずヒロインの中に埋め込まれたままのシンは、既に硬さを取り戻しかけている。
視界を覆っていたマスクを外されたとたんヒロインは羞恥で真っ赤になって、埋め込まれたままのシンを刺激していた。
「だって…その……シンさんが……」
「馬鹿が。こんなにきつく締めつけられたら、抜けるわけがないだろう」
愉しげにシンがヒロインの耳元で囁いて、腰を揺らした。
クチュリクチュリと、二人のつながっている隙間からしばらく前に注がれた白濁が漏れだして音を立てる。
「ぅんっ……はぁぁぁぁぁぁぁんっ」
奥を擦られたヒロインがシンの動きに嬌声を漏らした。
「上手におねだりできたから、ご褒美に朝まで抜かないでいてやろうか?」
喉の奥で含み笑いを響かせながら、シンの腰の動きは次第に大きくなっていく。
「ひゃん…そん…あはぁぁんっ、ぅん…な…ぁ」
甘い喘ぎを漏らしつつ、ヒロインの意識は真っ白な世界へ堕ちていった。
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